USA Legacy Express vol.184 -デルバー中心のメタゲーム-

Kenta Hiroki

はじめに

みなさんこんにちは。

MOではすでに『モダンホライゾン2』が実装され、Showcase ChallengeなどMOの大きな大会も開催されました。強力なカードが多数収録されたセットなのでレガシーの環境に多大な影響を与えています。

今回の連載では、Legacy Showcase Challengeと先週末に開催されたLegacy Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。

Legacy Challenge #12299467
親和が新環境初のChallengeを制する

2021年6月5日

  • 1位 Affinity
  • 2位 Bant Snow Miracles
  • 3位 Izzet Delver
  • 4位 Izzet Delver
  • 5位 Izzet Delver
  • 6位 Temur Midrange
  • 7位 Affinity
  • 8位 Izzet Delver

トップ8のデッキリストはこちら

『モダンホライゾン2』実装直後に開催されたLegacy Challengeは、開催が延期されていたLegacy ShowCaseが今大会の翌日に開催されるということで注目が集まったイベントでした。

今回のイベントではIzzet Delverが大活躍。元々トップメタだったところにさらに複数の新戦力が追加され、大幅に強化されたので予想していた方も多かったのではないでしょうか。

しかし今大会を制したのは、新カードを獲得して生まれ変わったAffinityでした。

デッキ紹介

Affinity

Affinity

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『モダンホライゾン2』から得た新戦力によってAffinityは大幅に強化され、今大会で見事に優勝を収めました。

優勝したリストは青白ベースで、高速でアーティファクトを並べて《思考の監視者》などでアドバンテージを稼ぎます。

展開力が半端なくアドバンテージを稼ぐ手段も持ち合わせているため、Delver系やBant Snow Miraclesといったフェアデッキに強く、ノーマークだったため対策が薄く、苦手なコンボデッキが少なかった今大会では圧倒的な強さを見せました。

☆注目ポイント

ウルザの物語

《ウルザの物語》はプレビュー段階から高いポテンシャルを評価されていたカードで、このカードを中心としたデッキが登場することが予想されていました。マナ能力、トークン生成、アーティファクトのサーチとすべての能力がこのデッキにマッチしています。《改良式鋳造所》や、サイド後は《墓掘りの檻》といったカードもサーチできます。

思考の監視者エスパーの歩哨

《思考の監視者》は、このデッキの有力なカードアドバンテージ源で飛行持ちなのでアタッカーとしても優秀です。《エスパーの歩哨》は、Delver系やコントロールのように《渦まく知識》などキャントリップに頼ったデッキをカードアドバンテージで圧倒します。特に序盤では脅威に対抗しつつ追加のコストを支払うのは困難で、このクリーチャーに除去を使わせることで後続が生き残りやすくなります。

イラクサ嚢胞エーテル宣誓会の法学者

《イラクサ嚢胞》は、《頭蓋囲い》と似たアーティファクトの数に応じて強化される装備品です。細菌・トークンも付いてくるので、アーティファクトの多いこのデッキではコストパフォーマンスに優れたクロックとしても機能します。妨害手段が少ないためコンボを苦手としますが、Elvesなど同じターンにスペルを連打するチェイン・コンボ対策としてメインから《エーテル宣誓会の法学者》がフル搭載されています。

Bant Snow Miracles

Bant Snow Miracles

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今大会で準優勝を果たしたのは、コントロールのエキスパートで配信者でもあるAnziDの新作、Bant Snow Miraclesでした。

『モダンホライゾン2』からの新戦力にも恵まれ、軽い除去や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》といったフィニッシャーを搭載しているためDelver系に強いデッキになります。

このタイプのデッキが苦手とするSneak and ShowなどのコンボデッキがDelver系に抑えられていることもあり、現環境では良い立ち位置にあるデッキです。

☆注目ポイント

忍耐

このデッキの注目ポイントは、メインから採用された《忍耐》です。色拘束は強めですが3マナと軽く、3/4到達というスペックはDelver系のほとんどのクリーチャーを止めることができます。墓地のカードすべてをライブラリーの下に置く能力も、墓地を使ったコンボやDoomsdayなど多くのマッチアップで有用です。

虹色の終焉

《虹色の終焉》は、Delver系の1マナの脅威をわずか1マナで除去したり、《森の知恵》《虚空の杯》《霊気の薬瓶》など対策が困難だった置物にも対処できる近年稀に見る非常にフレキシブルな除去スペルです。

豊穣な収穫花の絨毯

このデッキでは《豊穣な収穫》《定業》よりも優先して採用されています。確定で土地が手に入るので、土地を置くことが重要なコントロールデッキの安定性の向上に貢献しています。《花の絨毯》をメイン、サイドと合わせて合計4枚採用するなど、《目くらまし》などDelver系のソフトカウンターや《不毛の大地》対策が徹底されています。

Legacy Challenge #12299442
新環境のレガシーは猿が大暴れ

2021年6月6日

  • 1位 Izzet Delver
  • 2位 Izzet Delver
  • 3位 Death and Taxes
  • 4位 Hogaak
  • 5位 Esper Vial
  • 6位 Affinity
  • 7位 Izzet Delver
  • 8位 Lands

トップ8のデッキリストはこちら

サーバーがダウンしていた関係で開催が延期されていたLegacy Showcase Challengeが開催されました。参加するのに40QPが必要なイベントでしたが197名もの参加者を出しました。

『モダンホライゾン2』が実装された直後に開催された大規模なイベントだったこともあり、注目が集まった大会です。今大会ではIzzet Delverが非常にポピュラーで高い勝率を出し、決勝戦もIzzet Delverのミラーマッチでした。

前日に開催されたLegacy Challengeを制したAffinityは、対策が厳しくなってきたのにも関らず今大会でも結果を残すという強さを見せました。

デッキ紹介

Izzet Delver

Izzet Delver

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旧環境でもトップメタに位置していたIzzet Delverですが、『モダンホライゾン2』から得た新戦力によってさらに強化されました。

『モダンホライゾン2』から《ドラゴンの怒りの媒介者》《濁浪の執政》《敏捷なこそ泥、ラガバン》といった強力なクリーチャーを得たことで、《スプライトのドラゴン》《若き紅蓮術士》といった2マナ域が抜けてより軽い構成になっています。

☆注目ポイント

敏捷なこそ泥、ラガバン

《目くらまし》《意志の力》でバックアップされた《ドラゴンの怒りの媒介者》《敏捷なこそ泥、ラガバン》といった1マナクリーチャーは、相手にとって非常に厄介な脅威となります。以前よりも1マナ域のクリーチャーをプレイできる初手をキープすることが重要になりました。

軽いスペルを多用するレガシーでは、相手も同じように軽いスペルを中心に構成されていることが多いので、《敏捷なこそ泥、ラガバン》によって追放したカードをプレイしやすく、ダメージを一度でも通すことでアドバンテージを生み出します。宝物・トークンによるマナアドバンテージはあの《死儀礼のシャーマン》を彷彿とさせますね。

キャントリップを奪える可能性がある青いデッキには特に強く、ブロッカーを用意できるDeath and Taxesなどには少し弱くなりますが、このデッキは火力スペルも多数採用しているので攻撃が通しやすくなっています。「疾駆」持ちなのでマナに余裕ができる中盤以降は、相手のソーサリースピードの除去をかわしながらダメージとアドバンテージを稼ぐこともできます。

ドラゴンの怒りの媒介者

《ドラゴンの怒りの媒介者》の「諜報」はドローの質を上げることに貢献し、墓地を肥やすことで《濁浪の執政》の「探査」コストが払いやすくなったりと地味ながらいい働きをします。「昂揚」の達成も容易で、《秘密を掘り下げる者》《ドラゴンの怒りの媒介者》で空から攻める動きが強力です。

濁浪の執政

青い《墓忍び》とも呼ばれている《濁浪の執政》は、このデッキのフィニッシャーを務めていた《天上の餌あさり》のようにカードアドバンテージを稼ぐことはできませんが、サイズで勝り《稲妻》など火力スペルに耐性があります。2マナでパワー8の飛行は速やかにゲームを終わらせる力があり、墓地に十分なソーサリーやインスタントが落ちていなくても2マナパワー4-5でも十分なスペックです。

溶融

前日のLegacy Challengeで猛威を振るったAffinity対策として、サイドに《溶融》が採用されています。Affinityの強さは本物で、今後もよく見かけるデッキになると予想できるので対策はしっかりしておきたいところです。

Legacy Challenge #12302281
安定のBant Control

2021年6月12日

  • 1位 Bant Snow Miracles
  • 2位 Selesnya Depths
  • 3位 Hogaak
  • 4位 Mono Red Stompy
  • 5位 Sneak and Show
  • 6位 Izzet Delver
  • 7位 Elves
  • 8位 Food Chain

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前週大活躍だったIzzet Delverは流石にマークが厳しかったようで、今大会では前の週のような成績を残すことはできなかったようです。

優勝したのはBant Snow Miraclesで、《仕組まれた爆薬》をメインから採用するなど、よりIzzet Delverの1マナの脅威を対策することに力を入れていました。

デッキ紹介

Selesnya Depths

Selesnya Depths

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準優勝という好成績を残したSelesnya Depthsは、Dark Depthsコンボに《聖遺の騎士》《緑の太陽の頂点》といったカードを取り入れたデッキです。

エルフの開墾者聖遺の騎士演劇の舞台暗黒の深部

《エルフの開墾者》《聖遺の騎士》といった土地をサーチする能力を持ったクリーチャーや、《輪作》《演劇の舞台》《暗黒の深部》コンボで勝利を目指していきます。《エルフの開墾者》《聖遺の騎士》は単体でも優秀なクリーチャーなのでDark Depthsコンボ依存度が低く、クリーチャーのサイズでも勝るため除去を火力に頼ったIzzet Delverに強い構成となっています。

☆注目ポイント

忍耐緑の太陽の頂点

Bant Snow Miraclesでも活躍していた《忍耐》が採用されています。3/4というサイズはDelver系にとって対処しにくく、このデッキでは《緑の太陽の頂点》からサーチすることもできるので、墓地を使ったデッキとのマッチアップで有利にゲームが進みやすくなります。

成長の揺り篭、ヤヴィマヤ

《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ》は、緑ベースの《暗黒の深部》コンボにとって大きな収穫です。2枚目以降も《エルフの開墾者》などでほかの土地に変換することができるので無駄になりにくく、必要な緑マナを確保しやすくなり、《聖遺の騎士》ともシナジーがあります。

ウルザの物語演劇の舞台

このデッキには《暗黒の深部》コンボ以外にも面白いアプローチが施されています。《ウルザの物語》《演劇の舞台》でコピーし、3章が解決する前に《演劇の舞台》をほかの土地にコピーすることでサクリファイスする必要がなくなり、トークンを生み出す能力を残したままキープすることができるのです(参考ツイート)。

溜め込み屋のアウフ活性の力窒息

サイドには追加の《忍耐》や、Affinityなど各種アーティファクトを対策する《溜め込み屋のアウフ》《活性の力》が中心で、そのほかDelver系や青いコントロールとのマッチアップ用に《窒息》が3枚積まれているなど徹底しています。

Legacy Challenge #12302291
コントロールが多数、優勝はEldrazi Post

2021年6月13日

  • 1位 Mono Green Cloudpost
  • 2位 Bant Miracles
  • 3位 Hogaak
  • 4位 Doomsday
  • 5位 Elves
  • 6位 Bant Snow Miracles
  • 7位 Depths Combo
  • 8位 Sneak and Show

トップ8のデッキリストはこちら

《忍耐》入りのBant Snow Miraclesが安定した成績を残していることからも、Izzet Delverにとっては厳しい週末だったことが分かります。

Delver系が数を減らしコントロールが増加したため、Sneak and Showなどコンボデッキも復権してきました。

デッキ紹介

Sneak and Show

Sneak and Show

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レガシーではお馴染みのコンボデッキ。カウンターでバックアップしつつ、2マナランドやアーティファクトマナ加速を利用することで早い段階から仕掛けることができます。そのため除去スペルが無駄になりやすいコントロールに対してはカウンター合戦を制するのは容易で、クロックによりプレッシャーをかけつつカウンター妨害でバックアップできるDelver系は苦手なマッチとなります。

Delver系に苦戦を強いられ最近は上位で見かけることが少なかったSneak and Showですが、《忍耐》入りのBant Snow Miracles が結果を残すようになり、Delver系が上位から数を減らしたことによって復権してきました。

☆注目ポイント

目くらまし

最近では相手の対抗策がそろう前に決着をつけられるようにするために、Show and Tell系でもソフトカウンターは《目くらまし》が優先される傾向にあります。

水蓮の花びら猿人の指導霊

Delver系のソフトカウンターをケアするために《水蓮の花びら》4枚に加えて《猿人の指導霊》も採用されています。マナ加速を増やすことによって相手の手札が整う前に仕掛けやすくなります。

敏捷なこそ泥、ラガバン

今回入賞したJPA93のリストで最も印象に残ったのは、サイドに採用されている《敏捷なこそ泥、ラガバン》でした。1ターン目の《敏捷なこそ泥、ラガバン》をカウンターでバックアップする動きと、Sneak and Show本来の動きを対処をするのは困難を極めます。サイド後は相手も除去を減らす傾向にあるので対処されにくく、宝物・トークンによるマナアドバンテージでよりスムーズにコンボを仕掛けることができます。今後このデッキと対戦する際は、サイド後も除去を残しておいたほうがいいかもしれませんね。

総括

予想通り強力なカードが多数収録された『モダンホライゾン2』はレガシーの環境を激変させました。《敏捷なこそ泥、ラガバン》を始めとした一部のカードが強すぎるのではないかと懸念する声も見られます。

Izzet Delverは《敏捷なこそ泥、ラガバン》など新戦力によってさらに強化され、最初の週の大会結果はDelverが多く、勝率も高かったためこのデッキの強さと環境の健全性が話題になっています。しかし、この環境もまだ始まったばかりで《忍耐》《虹色の終焉》といったカードを採用したBant Snow MiraclesやAffinityなども結果を残しており、Delverの脅威にも十分に対抗しています。

USA Legacy Express vol.184は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!

この記事内で掲載されたカード

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Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Standard Express」「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら