はじめに
みなさんこんにちは。
来週末には第17期レガシー神決定戦が開催される予定です。『モダンホライゾン2』がリリースされて1か月が経ち、環境も落ち着いてきた中でのテーブルトップのイベントなので楽しみですね。
さて、今回の連載ではLegacy Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Legacy Challenge #12309175
Urza Stillのワンツーフィニッシュ
2021年6月26日
- 1位 Urza Still
- 2位 Urza Still
- 3位 4C Control
- 4位 Lands
- 5位 Dark Depths
- 6位 Esper Vial
- 7位 Mono Red Prison
- 8位 Omni-Tell
トップ8のデッキリストはこちら
今大会ではミッドレンジやコントロールが多数上位入賞を収めました。優勝を収めたのはここ最近結果を残し続けているUrza Stillでした。
Urza Stillは《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ウルザの物語》《濁浪の執政》といった『モダンホライゾン2』の強力なカードで占められたミッドレンジです。最近の規格外のパワーを持ったカードとレガシー定番の効率的なスペルの組み合わせによるデッキパワーの高さは本物で、今後も良く見られるデッキになりそうです。
デッキ紹介
Urza Still
《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ウルザの物語》《濁浪の執政》といった『モダンホライゾン2』から登場した強力なカードをまとめたオールスターのようなデッキで、ストリーマーのArk4がこのデッキを製作し、Legacy Challengeを制して以来結果を残し続けています。
《敏捷なこそ泥、ラガバン》を青の強力な妨害スペルでバックアップしていく戦略は、現在のレガシーでは最高の戦略の一つとされています。これだけなら現環境のトップメタのIzzet Delverと変わりありませんが、このデッキには『モダンホライゾン2』のカードの中でももっとも壊れたカードとされている《ウルザの物語》が採用されています。トークンを生み出し状況に応じた1マナのアーティファクトをサーチする能力は、それだけで大きなアドバンテージを生み出します。
序盤の脅威である《敏捷なこそ泥、ラガバン》や《ウルザの物語》、そして環境の多くの除去に対して耐性を持つ《真の名の宿敵》や《濁浪の執政》といった異なるタイプのアンサーを要求してくるのもこのデッキの特徴です。
☆注目ポイント
《敏捷なこそ泥、ラガバン》の弱点の一つとして《タルモゴイフ》など高タフネスのブロッカーによって止まってしまうというのが挙げられますが、このデッキは《虹色の終焉》や《剣を鍬に》といった軽い除去を多数採用しているため、Izzet Delverよりもさらに攻撃が通りやすくなっています。
《行き詰まり》は最近ではあまり見かけませんが、強力な1マナ域の《敏捷なこそ泥、ラガバン》と、脅威を展開するのにスペルをプレイする必要がない《ウルザの物語》を使ったこのデッキにフィットしています。
《ウルザの物語》から《改良式鋳造所》をサーチすることができるので、《不毛の大地》などで対策されない限り大きくアドバンテージを稼ぐことができます。そのためこのデッキの《もみ消し》は、相手の《不毛の大地》から《ウルザの物語》を守るために使うことが主になります。
メインのサーチ先は《真髄の針》《魂標ランタン》《改良式鋳造所》になります。《真髄の針》のおかげでメインからさまざまな戦略を対策できるようになりました。《魂標ランタン》はHogaakやBant Controlなど墓地を使うデッキ相手にサーチしていきます。
特定の対策が必要ない場合は、勝ち手段兼アドバンテージ源の《改良式鋳造所》をサーチします。このデッキはアーティファクト専用デッキではありませんが、《改良式鋳造所》と宝物トークンによって構築物トークンのサイズが比較的大きくなります。
Legacy Challenge #12309185
やはり強いDelver
2021年6月27日
- 1位 Izzet Delver
- 2位 Mono Red Prison
- 3位 Grixis Midrange
- 4位 MUD
- 5位 Bant Snow Miracles
- 6位 Hogaak
- 7位 Izzet Delver
- 8位 Dark Depths
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今大会ではコンボデッキはDark Depthsや墓地を使ったHogaakなどが中心で、Bant Snow MiraclesやIzzet Delverなどフェアデッキが活躍していました。
優勝を収めたのは純正のIzzet Delverでした。人気、勝率ともに高く現環境のトップメタの貫録を見せます。
デッキ紹介
Izzet Delver
今大会で優勝を収めた強豪プレイヤーのGul_Dukatが使用したのは、現環境のトップメタのIzzet Delverでした。『モダンホライゾン2』がリリースされる前から環境のトップに位置していたIzzet Delverでしたが、《ドラゴンの怒りの媒介者》と《敏捷なこそ泥、ラガバン》という強力な1マナ域が加わったことでより効率的な動きができるようになりました。
非常に綺麗にまとまったリストですが、メインの《邪悪な熱気》など細部でイノベーションが見られます。
☆注目ポイント
《ドラゴンの怒りの媒介者》はDelver系の主力の一つとして定着しています。「昂揚」の条件を満たしてしまうと攻撃が強制になってしまうため守りに使いにくいのが難点ですが、「諜報」は軽いスペルを多用するこのデッキでは非常に強力なものになります。ライブラリートップにある不要なカードを墓地に落とすことで得られる疑似的なアドバンテージは、アグロデッキにとっては特に重要です。
Izzet Delverは2色なのでマナ基盤が安定しているものの、クリーチャーのサイズに関しては《タルモゴイフ》や《グルマグのアンコウ》などが使えるTemurやGrixisバージョンが有利でした。しかし、《濁浪の執政》の登場によって状況が大きく変化しました。《濁浪の執政》は軽いスペルを多用するこのデッキでは2マナ8/8飛行として出すことも容易で、速やかにゲームを終わらせてくれます。
《致命的な一押し》《突然の衰微》《稲妻》《虹色の終焉》など現環境の主要な除去の多くに耐性を持っているため除去されにくく、このクリーチャーを効率良く除去できるのは《剣を鍬に》など限られているのもこのクリーチャーの強みです。
《邪悪な熱気》が追加の火力除去として採用されています。「昂揚」の条件を満たしていれば、1マナという軽さで《タルモゴイフ》や《忍耐》など高タフネスのクリーチャーを処理するなど非常に良い働きをします。
《ウルザの物語》を使ったデッキが増加傾向にあり、本格的にアーティファクトを対策する必要が出てきたためサイドには《溶融》が採られています。
Legacy Challenge #12312084
コンボデッキが上位を支配する
2021年7月3日
- 1位 Omni-Tell
- 2位 Doomsday
- 3位 Izzet Delver
- 4位 Aluren
- 5位 Miracles
- 6位 Izzet Delver
- 7位 Doomsday
- 8位 Doomsday
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『モダンホライゾン2』リリース直後の環境は《敏捷なこそ泥、ラガバン》を活用したIzzet Delverが結果を残しましたが、その後のイベントでは《忍耐》や《虹色の終焉》によって強化されたBant Controlが台頭してきました。
コントロールがDelver系を抑えたことによってShow and Tell系やDoomsdayといったコンボデッキも復権してきました。現環境の多くのデッキが『モダンホライゾン2』の恩恵を受けている中、今大会で優勝を収めたOmni-Tellと準優勝したDoomsdayはともに『モダンホライゾン2』のカードが不採用だったのが印象的でした。
デッキ紹介
Aluren
『モダンホライゾン2』から登場した新プレインズウォーカーである《飢餓の潮流、グリスト》は、さまざまな緑ベースのデッキに影響を与えています。
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《氷牙のコアトル》といったアドバンテージが取れるクリーチャーのほかにも、効率的な除去である《虹色の終焉》も加わり《忍耐》も採用することによってDelver系との相性も改善されています。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を始めとした《魔の魅惑》のコンボ以外での勝ち手段も複数用意されているので、ミッドレンジとして振舞いつつ相手の隙を見てコンボを決めるという双子デッキのような戦略を取ることができます。
☆注目ポイント
《飢餓の潮流、グリスト》は戦場以外では1/1のクリーチャーという常在能力を利用して、《魔の魅惑》からマナを支払わずにプレイしたり《護衛募集員》からサーチすることが可能です。カードの特性上《否定の力》でもカウンターされず、3マナという軽さもあり対処されにくい非常に強力なプレインズウォーカーになっています。
[+1]能力によってトークンを生成することができるため自身を守ることができ、「切削」により墓地のカードが増えるので《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を「脱出」する助けになります。[-2]能力はクリーチャーを生け贄にすることが要求されますが、プレインズウォーカーも対処できるなど受けが広く、コストとなるクリーチャーも[+1]能力で用意することができます。
《忍耐》はメインから無理なく採用できる墓地対策兼Delver系の対策として活躍します。3/4到達というスペックは《稲妻》1枚で落ちないのでDelver系にとっては非常に対策が困難です。瞬速持ちなので奇襲性もあり《敏捷なこそ泥、ラガバン》や《ドラゴンの怒りの媒介者》などDelver系の多くのアタッカーを止めることができます。最近はDelver側も《邪悪な熱気》など対策を用意してきていますが、対処しにくいクリーチャーであることに変わりありません。
Legacy Challenge #12312092
引っ張りだこのウルザの物語
2021年7月4日
- 1位 Izzet Delver
- 2位 Sneak and Show
- 3位 Doomsday
- 4位 Izzet Delver
- 5位 Urza Painter
- 6位 Eldrazi Post
- 7位 Urza Still
- 8位 Ruby Storm
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DoomsdayやShow and Tell系などコンボが増加傾向にあり、苦手なBant Controlが抑えられているメタはDelver系にとっては有利で、今大会でもIzzet Delverが順当に勝ち進みました。
また、最近結果を残し続けているUrza StillのほかにUrza Painterも見られるようになりました。
デッキ紹介
Urza Painter
レガシーエキスパートのGriselpuff(Bob Huang)は、今大会で《ウルザの物語》と《敏捷なこそ泥、ラガバン》を含めたIzzetカラーのPainterで入賞していました。
《ウルザの物語》と《敏捷なこそ泥、ラガバン》を活用したミッドレンジ戦略を取りつつ、《絵描きの召使い》+《丸砥石》による瞬殺コンボを搭載したデッキです。
《絵描きの召使い》+《丸砥石》コンボはデッキの構成上アーティファクトを多用するので《ウルザの物語》がフィットしており、《紅蓮破》をメインから採っているので青いデッキに強くなります。
☆注目ポイント
《ウルザの物語》によってコンボパーツの《丸砥石》をサーチできます。《ウルザの物語》によって生み出された構築物トークンと《改良式鋳造所》による勝ち手段もあるので、《絵描きの召使い》コンボへの依存度が低くなります。コンボによって即敗北となる可能性が常にあるため、相手は除去や妨害を構えることを余儀なくされ行動が著しく制限させられます。
《ウルザの物語》デッキにとって厄介となる《血染めの月》を対策するために《水流破》がメインから採用されています。相手の《敏捷なこそ泥、ラガバン》に対しての除去として使え、赤いスペルに対するカウンターはSneak and ShowやRuby Stormなどコンボデッキに対してもある程度有効に機能します。
Delver系やBant Controlなど青ベースのフェアデッキ、コンボデッキでも《渦まく知識》や《思案》などを使用するデッキが多いレガシーでは、《紅蓮破》(《赤霊破》)は最高の妨害スペルの一つになります。青を指定した《絵描きの召使い》と組み合わせることによって1マナの《名誉回復》として機能します。
総括
『モダンホライゾン2』がリリースされた直後はDelver系が強化されすぎてしまうのではないかと懸念されていましたが、Bant Controlも《忍耐》や万能除去の《虹色の終焉》を獲得して対応力が向上しました。
また、《ウルザの物語》パッケージを搭載した各種アーティファクトデッキや《飢餓の潮流、グリスト》を搭載した緑デッキなど、ほかのデッキも同様かそれ以上に強化されていたことが分かってきました。
今週末にはMOの大規模なイベントであるLegacy Showcase Challengeが開催されますが、果たして《敏捷なこそ泥、ラガバン》と《ウルザの物語》の支配が続くのか要注目です。
USA Legacy Express vol.185は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!