(※この記事は第17期レガシー神決定戦が開催される前に依頼されたものです)
新たな世界を探検しよう!
最新セット『フォーゴトン・レルム探訪』がもうすぐ発売されます!
世界的に人気を誇るテーブルRPG、ダンジョンズ&ドラゴンズ(以下、D&D)がついにマジックとコラボ!D&Dのキャラクターが多数収録されているだけでなく、「ダンジョン探索」や「ダイスを振る」などマジックに面白そうな能力がやってきました!
魅力的なカードばかりの『フォーゴトン・レルム探訪』を見ると、どのカードやデッキが強いのか、どのカードを買えばいいのか、悩んでしまう方も多いでしょう。
そこで、各構築フォーマットを代表する実力者である「神」のみなさんに、「『フォーゴトン・レルム探訪』で注目するカード トップ3!」を聞いてみました!
■ 「神」とは?
晴れる屋が主催している、「神決定戦」という大会の暫定王者。
スタンダード・パイオニア・モダン・ヴィンテージ・レガシー・リミテッドの6フォーマットそれぞれで行われており、予選大会(挑戦者決定戦)と決勝大会(神決定戦)を勝ち抜いた者だけが「神」になることができる。
各フォーマットを熟知した者ならではの視点から、鋭い意見が飛び交いました。「神」の目にはなにが映り、彼らはなにを考えたのでしょうか。
◆第17期スタンダード神:江原 洸太
『フォーゴトン・レルム探訪』カードセット全体の印象
印象としては、ローテーション後に活躍しそうなカードが多い印象です。ただ面白そうな能力も多いので使いたいカードもあります。20面ダイスを試合中にふるのは、ボードゲーム感があって楽しそうですね。新しい「探索」もダンジョンを攻略できればかなり強いので試す価値はありそうです。デッキや状況に応じて違うダンジョンに入れるのも戦略性がありますね。
環境的には、既存のデッキが数枚のカードで強化され、各単色系のデッキが新しいミシュラランドで活躍してくると思います。
『フォーゴトン・レルム探訪』スタンダード注目カードトップ3!
3位:《蜘蛛の女王、ロルス》
D&Dから選んだプレインズウォーカーは、ロルスです。[+]能力のない珍しいプレインズウォーカーですが、常在型能力で忠誠度を上げれるので心配なさそうです。サクリファイス系能力と相性が良いので、《悲哀の徘徊者》や《イマースタームの捕食者》と組み合わせた赤黒サクリファイスに入るかもしれません。クリーチャーさえいれば一気に奥義まで狙えるので、ぜひ使いたい1枚です。[−3]で出てくるトークンも到達持ちが2体と悪くなく攻めにも守りにも使えます。
2位:《群れ率いの人狼》
緑単に入る強力な1枚ですね。殴るたびにパワー合計6あれば1枚引けるので、2体の人狼で殴れば2枚引けるのは強いですね。単色にはありがたい手札補充カードで、息切れを防いでくれて後続にもつなげれるいいカードです。自身でパンプ能力もあり無駄がないとても強いクリーチャーになっています。
新しい《レンジャー・クラス》と合わせて緑単はかなり強化され、今後の注目デッキになりそうです。
1位:《高貴なる行いの書》
今回自分が1番使いたいカードです。天使を生成できる能力も魅力的なのですが、やはり天使を《白金の天使》にする起動型能力はこのカードの1番のポイントですね。
《不詳の安息地》とのコンボはとても注目されており、土地に戻ったとしても能力を失わないので対処する術がなければ無敵状態を作れます。コンボパーツも《栄光の探索》でどちらも集めることができるので、比較的決めやすいでしょう。コンボが決まればライブラリーアウトで勝てますが、MTGアリーナでは時間がかなりかかってしまうところが難点です。
◆第4期パイオニア神:平山 怜
『フォーゴトン・レルム探訪』カードセット全体の印象
今回はD&Dとのコラボということで、ダンジョンへの探索や20面ダイスを振るカードなど目新しい効果が多いです。出目次第で効果が変わるカードに対して、運が絡むことを嫌う人がいるかもしれませんが、もともとサイコロを振らなくてもマジックは運ゲーです。素直に楽しみましょう。
それ以外にもドラゴンのサポートカードもたくさん収録されており、《シルムガルの嘲笑》やタルキールの龍王たちとあわせて使いたいです。
『フォーゴトン・レルム探訪』パイオニア注目カードトップ3!
3位:《高貴なる行いの書》
天使1体に、場にいる限りゲームに敗北しなくなる効果を付与します。スタンダードでは、《不詳の安息地》とのコンボが話題になっています。土地である《不詳の安息地》に効果を付与することで、対戦相手に土地を触る手段がない限り自分はゲームに負けなくなります。
パイオニアでは、同様のコンボを《変わり谷》でできます。起動コストが《変わり谷》のほうが2コスト安いので、《高貴なる行いの書》を置いた次のターンからすぐにコンボを決めることができます。
2位:《月恵みのクレリック》
パイオニアでは、《創案の火》や《奇怪な具現》のようなデッキの軸となる強力な4マナのエンチャントがつかえます。これらを3マナで持ってくることができる《月恵みのクレリック》はデッキの安定性の向上に大きく貢献するでしょう。特に、先に述べたエンチャントは《空を放浪するもの、ヨーリオン》を相棒に添えることが多く、キーカードの水増しはデッキが求めていたものです。
1位:《よろめく怪異》
死亡したときに宝物トークンを出すことができます。《死が触れぬ者、リリアナ》の[-3]能力を使用したターンでは、死亡時に出した宝物を用いて再度墓地からこのカードを唱えることが可能です。それにより、《ナントゥーコの鞘虫》のようなサクり台を用意すると無限に出し入れすることができるのです。その状態で《むら気な召使い》や《ズーラポートの殺し屋》がいれば無限ドレインになります。
現在のカードプールでは優秀なゾンビのサクり台がないためデッキにはなりづらいかもしれませんが、今後優秀なゾンビが増えればデッキになるかもしれません。
◆第17期モダン神:宮下 翔太
『フォーゴトン・レルム探訪』カードセット全体の印象
D&Dにそこまで馴染みがあるわけではないですが、TRPGをかなり上手く再現してるなと感じた今回のセット。しかし、『モダンホライゾン2』のカードが強すぎて激変してしまった今のモダン環境。かなりのインフレっぷりゆえに並大抵のカードではモダンには食い込めません。杞憂に終わって良かったですが、選びたいカードがないなんて事態すら起こるかもと恐る恐るカードリストを眺めてました。
『フォーゴトン・レルム探訪』モダン注目カードトップ3!
3位:《オズワルド・フィドルベンダー》
モダン最強デッキの1つ(※個人の感想です)ハンマータイムのまたまた新戦力になるかもしれない1枚。タップ能力ゆえの遅さはかなり気になりますが、《メムナイト》が《巨像の鎚》になるのは脅威の一言。シルバーバレット戦略で《真髄の針》や《魂標ランタン》ような対策カードを引っ張ることも《ウルザの物語》同様に可能で、器用なカードだと思います。
2位:《宝物庫》
能力はほんとに飾りで、正直《ダークスティールの城塞》の下位互換に近いですが、それでもアンタップインできるアーティファクト土地は親和においては大きな価値を持ちます。
1位:《デミリッチ》
なんかスペルたくさん打たないと簡単に出せないけどそれなら果敢でいいし、スペルをたくさん打ちながら墓地肥やすデッキなんて都合のいいデッキが…ありますね。イゼットフェニックスが!
《信仰無き物あさり》禁止後環境から姿を消してしまったデッキですが、墓地から蘇るクリーチャーが2種類になったと考えるとかなりの強化。しかもこちらは墓地じゃなくて手札からでもマナコスト支払わず出てきます。イゼットデミリッチフェニックス復権なるか。
◆第16期レガシー神:鈴池 史康
『フォーゴトン・レルム探訪』カードセット全体の印象
コラボエキスパンションですね。ダンジョン探索やテキストの説明欄。基本地形のフレーバー、ダイスを振る数など、まるでTRPGで遊んでいるかのような新セットです。レガシーはダンジョンの評価がどうなるか気になるところです。
『フォーゴトン・レルム探訪』レガシー注目カードトップ3!
3位:《月恵みのクレリック》
エンチャントサーチなので《食物連鎖》や《魔の魅惑》など特定のエンチャントを使ったデッキで使われるかもしれません。時間はかかりますがタフネス2なので《護衛募集員》から《月恵みのクレリック》をサーチし、フィニッシュするエンチャントをサーチすることもできます。
2位:《願い》
《死せる願い》が涙目になりそうな願いカードがついに登場。ライフ損失もなくそのターンならいつでも唱えられデメリットもなし。《全知》から唱えることはできないのは残念。状況によってプレイするカードを変えられるので、スペルを多用するコンボデッキでは注目のカードです。
1位:《アーチリッチ、アサーラック》
発表とともに《魔の魅惑》とのコンボが噂されていましたが実際にMOで回してみたところ、《アーチリッチ、アサーラック》自体がフラッドを受け止めフィニッシャーにもなるため《洞窟のハーピー》より強いと感じました。
《洞窟のハーピー》と違い《赤霊破》でカウンターされず《疫病を仕組むもの》などで止まらないのでサーチはできませんが、今後《アーチリッチ、アサーラック》入りに変わっていくかと思います。いざ無限ダンジョン!!!
◆第16期ヴィンテージ神:高橋 優太
『フォーゴトン・レルム探訪』カードセット全体の印象
スタンダードでも使える基本セット的な立ち位置ですが、こういったほかのゲームの趣向を混ぜて行くのは面白い試み。ダンジョン探索やダイスロールなど、リミテッド向けに調整されたセットの印象です。
僕自身も早速MTGアリーナで遊びましたが、キーワード能力が多くかなりリミテッドが面白いセットです。ただ全体的なカードパワーは少し控え目で、プレインズウォーカーも残念ながらそこまで強くない。色対策など、サイドボード用のカードが強いです。
『フォーゴトン・レルム探訪』ヴィンテージ注目カードトップ3!
3位:《バーニング・ハンズ》
意外なことに、ヴィンテージはほかのどのフォーマットよりも《タルモゴイフ》が強いです。ドロー呪文やアーティファクトを使うデッキが多いためカードタイプが多く、相手の《Bazaar of Baghdad》起動でもサイズアップするからです。コンボデッキが多い影響で《剣を鍬に》を使うデッキが少ないのも理由です。
1枚で完走するすることも多かった《タルモゴイフ》ですが、《バーニング・ハンズ》なら簡単に除去。この6点というのが重要で、《王冠泥棒、オーコ》の忠誠度6も削れるのがポイント。スゥルタイミッドレンジ対策としてサイドボードで見るようになるかも。スタンダードでも《長老ガーガロス》《星界の大蛇、コーマ》を2マナインスタントで除去できるのはすごく強いと思います。
2位:《ポータブル・ホール》
ヴィンテージはどのデッキでも序盤で出遅れると一気に引き離されるので、0マナと1マナがとても大事。その点、《ポータブル・ホール》は相手のMoxシリーズも《抵抗の宝球》も《死儀礼のシャーマン》もすべて1マナで除去できます。
アーティファクトである点は破壊されやすいデメリットがありますが、《逆説的な結果》で手札に戻せるメリットもあります。比較対象は《虹色の終焉》でしたが、《ポータブル・ホール》は単色デッキでも使える点が差異ですね。白単ヘイトベアーや逆説ストームで見るようになるかも。
1位:《デミリッチ》
パワー9のうち3つが青いことから考えても、ヴィンテージで最強色は間違いなく青です。そして《デミリッチ》は攻撃時に墓地のインスタントやソーサリーをコピーする能力。《Ancestral Recall》《Time Walk》をコピーできたら強い!
またコストを軽減する能力も、《ギタクシア派の調査》《噴出》などの0マナ呪文を用いれば現実的です。《稲妻》《紅蓮破》両方で除去されますが、墓地から唱えることができるので疑似的な除去耐性に近いかも。《思考停止》で「切削」して墓地から《デミリッチ》もできそう。夢が広がる能力です。
◆第8期リミテッド神:高橋 太朗
『フォーゴトン・レルム探訪』カードセット全体の印象
全体のデザインとしてはダンジョン探索や20面ダイスなどTRPGの要素をうまくMTGに落とし込んだ、斬新でフレーバーに富んだセットですね。一方リミテッドの視点で見るとギルドのような固定された色の組み合わせや戦略があるわけではなく、カードの効果もベーシックなものが多いので、細かなシナジーを駆使して少しずつアドバンテージを稼いでいくような玄人好みのセットだと感じました。
新しいメカニズムではダンジョン探索が注目です。3種類のダンジョンがあり、デッキの戦略に合わせたダンジョンを選択できるのは面白そうですね。ドラフトではどのダンジョンを使うのかを考えながらピックしていく必要がありそうです。
『フォーゴトン・レルム探訪』リミテッド注目カードトップ3!
3位:《君は見張り中に物音を聞いた》
今回はRPGの選択肢よろしくモードを選ぶカードがたくさん収録されていますが、その中でもコモンのこのカードは使い勝手がよさそうです。攻撃クリーチャー限定の除去と全体+1/+1修正のカードはほかのセットでも多く収録されていますが、強く使えるタイミングが限定的であり、今一歩でデッキに入りきらないことが多く微妙な立ち位置のカードたちでした。
しかしこのカードは、それらが一つにまとまったことにより大きく汎用性が上がりました。コストも軽く、それぞれ状況次第では強力な効果なのでいぶし銀の働きをしてくれるカードとなりそうです。
2位:《放浪する吟遊詩人》
ダンジョン探索は多くのカードが持っていますが、1枚のカードで継続して探索できるカードはあまり多くありません。そしてそれらのカードも起動コストが重かったり、戦闘が必要だったりとシーンによってはうまく機能しないことがあります。
その点、《放浪する吟遊詩人》は土地を置くだけで効果が誘発し、ローリスク・ローコストで探索を行うことができるため使いやすそうです。上陸のように土地が出たときではなくターン終了時にチェックするため、先に土地をおいてからこのカードを出しても誘発するのもうれしいですね。
1位:《ウォーロック・クラス》
クラスカードはレア、アンコモンともに強力なものが多いのですが、アンコモンの中では特にこれが強そうだと感じました。レベル2までのコストが軽いため、序盤はちくちくライフを削りつつ手札を整えることができ、終盤はレベル3で一気に勝負を決めることができます。レベル3の能力が誘発するのが終了ステップ開始時というのもいいですね。ダメージが通ったのを確認してから使えるため、たとえしのがれても隙をさらすことなく別のことにマナが使えるのはありがたいです。
「神」ならではの柔軟な発想と鋭い着眼点から、各フォーマットの『フォーゴトン・レルム探訪』の注目カードをレビューしてもらいました!
目を引くような強いカードが多く、どんなデッキを組むか考えるのが楽しいですね!彼らの意見を参考に新たな戦力とともに新環境へと踏み出しましょう!