統率者列伝 《真実の解体者、コジレック》
みなさんこんにちは、統率者戦大好きいってつです。
『フォーゴトン・レルム探訪』のリリース、《船殻破り》の禁止で統率者戦は環境が大きく変わりそうですね。
新セット発売の度にメディアチームではそれぞれの尺度で注目のカードを紹介しています。
- 2021/07/12
- メディアチームが独断と偏見で選ぶ『フォーゴトン・レルム探訪』
- 晴れる屋メディアチーム
いってつはそのたびに統率者戦を意識した選出をしています。特にアーティファクトや無色の呪文を選ぶようにしています。固有色が無色のカードはどんなデッキに入れることもできるという観点から……でもあるのですが、最大の理由は、いってつが最も愛する統率者《真実の解体者、コジレック》に採用できるからです。
統率者デッキを紹介する統率者列伝。今回は修羅の道、無色統率者デッキをご紹介します。
デッキのコンセプト
統率者に無色のカードを指定すると、固有色が無色のカードしかデッキに入れることができなくなります。この制約がデッキにどんな影響を与えるのか見ていきましょう。
土地が大変
統率領域に《真実の解体者、コジレック》を置くと、統率者戦を始めたばかりの方はみなさん驚かれます。
「これって……土地ってどうなるんですか?」
「色マナでる土地は入れられません……」
「ヤバ……」
《平地》など、基本土地タイプをもつ土地はもちろん、相性のよさそうな《アカデミーの廃墟》なども入れられません。
固有色が無いため、《統率の塔》《オパールの宮殿》など、固有色を参照する土地も意味をなしません。入れることはできますが、《統率の塔》からはマナが出ないのです。
その一方、無色マナさえ出せれば土地はなんだっていいので、強力な能力土地にありがちな「色マナが出ない」という弱点がカバーされます。
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ》はこれ自体に色マナを出す能力が書かれているわけではないのでデッキに入れることができます。《ウギンの目》《イス卿の迷路》などマナが出ない土地からマナが出せるようになりますね。おのれ《虚空の鏡》。
インスタントが無い
無色のインスタントもなくはありません。ただし非常に少ないのです。そのため、対戦相手の動きに対応して意表を突くということは難しくなっています。逆に、無色デッキが全体除去《神の怒り》を《歪める嘆き》で打ち消すなど誰にも予想できませんからこれがクリティカルにハマるときもあります。
とにかく弱点が大きすぎる
終わった。
無色のカードしか入れられない以上、アーティファクトを中心に戦うことになるのですが、統率者戦にはアーティファクトを咎めるカードが多く存在しています。《無のロッド》は除去がかなり困難!
助けて!!!!
ちょっとそこの青いキミ!あれ消してよ!ねえ!
お願いお願い!
…………。
はい、解決しましょう…………。
…………。
…………。
…………。
このように、かなり戦術上の制約が厳しいのですが、それがまた楽しいのが無色統率者です。アーティファクトをたくさん使うので戦場にパーマネントがたくさん並ぶのも楽しいですし、いくつものアーティファクトが思わぬコンボを見せる面白いデッキです。
統率者の特徴
《真実の解体者、コジレック》 (10)
伝説のクリーチャー - エルドラージ
あなたがこの呪文を唱えたとき、カードを4枚引く。
滅殺4(このクリーチャーが攻撃するたび、防御プレイヤーはパーマネントを4つ生け贄に捧げる。)
真実の解体者、コジレックがいずれかの領域からいずれかの墓地に置かれたとき、オーナーは自分の墓地を自分のライブラリーに加えて切り直す。
12/12
デカすぎだろ……!
2度殴れば対戦相手を敗北へ追い込む12というパワー。そして「滅殺」。
飛行など回避能力はないためブロックは容易ですが、パーマネントを4つ生贄に捧げながら攻撃をキャッチし続けるのは困難。
唱えたときに誘発する能力で4枚ドローできてしまうため、仮にコジレックが打ち消されたり破壊されてもアドバンテージを得ることができます。引いたカードを使って次のターンにすぐに出しなおしたりできます。無限マナが成立しているなら《高級市場》で生贄に捧げて唱えなおし、また大量にドローしてコンボパーツを探しに行くこともできます。
《剣を鍬に》などの除去は大した問題ではありません。また唱えて4枚の手札をゲットできるからです。ヤバいのはコントロール奪取やフェイズアウト、「能力を失わせる」系の除去です。戦場から移動しないため統率領域に戻すこともできず、二進も三進もいかなくなります。
とはいえ滅殺4のパワーはやはり圧倒的。《真実の解体者、コジレック》を戦場に出す時の周囲のリアクションをよく観察しましょう。時には「除去打たないでくれるならこのターンは違う人を殴るよ」といった盤外戦略の道具にもなります。
無色統率者界隈ではより制圧力と手札回復に優れた《大いなる歪み、コジレック》が人気です。滅殺はなくともよりコンボを目指しやすい!
ではなぜいってつは《真実の解体者、コジレック》を統率者に選んだのでしょうか。それは統率者戦を始めた間もないころ、《真実の解体者、コジレック》デッキにボコボコにされて「癖を歪ませられた」からです。滅殺だ。滅殺はいいぞ。お前も滅殺するんだ。滅殺はすべてを解決する。
気を取り直して。
統率者を出して殴る。実にシンプルなソリューションです。すべてを打ち滅ぼしましょう。
相性のいいカード
《稲妻のすね当て》は統率者を守りつつ速攻を与える、殴り統率者にうれしい定番の装備品です。装備コストも(0)なので、出してすぐ装備できてしまいます。
《統率者の板金鎧》はクリーチャーにデッキの固有色以外の色からのプロテクションを与える装備品。このデッキでは――そう、プロテクション(有色)となります。強い。有色の呪文の対象にならず、ブロックもされない。強い。
そうそう、さくっと統率者を出す方法も紹介しましょう。《晶洞ゴーレム》で戦闘ダメージを与えると統率者を統率領域から唱えることができます。マナコストを支払うことなく。パワー5のトランプルに対して1点も通さない壁を対戦相手全員が立てることはほとんどないでしょう。殴れれば《真実の解体者、コジレック》の登場は間違いなし!
対コンボデッキ
打ち消しやインスタントタイミングでの除去が打てない以上、対戦相手のコンボを止めるにはそもそも唱えさせないことが重要になってきます。
《三なる宝球》は呪文を唱えるコストを無理やり3にしてしまいます。《否定の力》などマナコストを払わずに唱える呪文さえ3マナを要求。自分も影響を受けるので注意。
《王神の立像》は6マナと重い代わり、マナコストの増量は相手だけ。《磁石のゴーレム》はアーティファクトでない呪文のみコスト増量!
コンボ紹介
攻撃への強力な制限がかけられてしまい、《真実の解体者、コジレック》のダメージだけで勝利するのが難しくなった時はコンボで勝利を目指しましょう。時として《真実の解体者、コジレック》は囮です。対戦相手がわざわざ除去をサーチしたら万々歳。そのすきにこっそりコンボパーツを揃えましょう。
《カルドーサの鍛冶場主》
《カルドーサの鍛冶場主》はアーティファクト3つを生贄に捧げることでライブラリーからアーティファクト1つを戦場に出すクリーチャー。
戦場に大量のアーティファクトを並べておき、《カルドーサの鍛冶場主》を起動、《前兆の時計》をサーチし、《前兆の時計》の能力で《カルドーサの鍛冶場主》をアンタップ、もう一度起動し《マイアの戦闘球》をサーチ。《マイアの戦闘球》の能力でさらにアーティファクトが4つ出るのでこれを使ってまたサーチ&アンタップ。
《カルドーサの鍛冶場主》+6つのアーティファクト(うち3つはアンタップ状態)でスタートすれば、ライブラリーからアーティファクトを2枚直接戦場へ出せてしまいます。より多くのアーティファクトがあれば自由度は広がります。いってつがよくサーチするのは《見捨てられた碑》《玄武岩のモノリス》です。この二枚で無限マナに突入したらあとは《歩行バリスタ》で勝利できてしまいます。後述の無限コマを狙いに行くこともあります。
《見捨てられた碑》《玄武岩のモノリス》
《玄武岩のモノリス》が絡む無限コンボと言えば《ブライトハースの指輪》が有名ですが、《見捨てられた碑》ならもっと理屈は簡単です。《見捨てられた碑》がある状態で《玄武岩のモノリス》をタップすると4マナ出るので、うち3マナを使って《玄武岩のモノリス》をアンタップ。この繰り返しで無色マナを好きなだけ出すことができます。あとは《真実の解体者、コジレック》を出して殴り切るだけ。《カルドーサの鍛冶場主》コンボでこの盤面を作っているなら、引いたアーティファクトを戦場に出してまた起動、やりたい放題できます。
無限コマ
ドローできる代わりに次のドローが《師範の占い独楽》になってしまうへんなカード《師範の占い独楽》。これにライブラリー上の無色の呪文が唱えられるようになる《神秘の炉》をあてがうことで、《師範の占い独楽》でドロー、ライブラリー上の《師範の占い独楽》を唱える、《師範の占い独楽》の能力でまたドロー……これの繰り返しでマナがある限りドローすることができます。無限マナを成立させたり、《師範の占い独楽》を唱えるコストを0にできれば無限ドローに突入します。
いってつのイチオシ!
《さまようアルカイック》は『ストリクスヘイヴン:魔法学院』で登場した比較的新しいカードです。対戦相手がインスタント・ソーサリーを唱えたとき、追加で2マナを払わなければそれをコピーできてしまうのです!
ドローやサーチをコピーできたらお得!打ち消しもコピーすることができるのがエラすぎます。大好きなカードの一枚です。
うっかり《否定の契約》をコピーしないように注意。契約コストを後で払える算段があればいいのですが……(前科あり)。
おわりに
無色デッキを使っていて一番楽しい瞬間は《精霊龍、ウギン》の[-X]能力や《全ては塵》を使うときです。自分は全く痛まずに全体除去ができるのですから、こんなに爽快なことはありません。
これに限らず、統率者を出すだけでもこのデッキは注目を集めやすくなっています。
多元宇宙を恐怖に陥れたエルドラージとともに盤面を制圧しましょう。対戦相手は「打倒エルドラージ」を掲げて立ち向かうでしょうが……圧倒的なパワーでひねりつぶしましょう!
「統率者戦は固有色が多い方が取れる戦術が多くなり、より有利」と言われることがあります。《帰還した王、ケンリス》《刃を咲かせる者、ナジーラ》などはたくさんの戦術・勝ち筋を搭載できる強みがあります。無色統率者はインスタントタイミングで行動できない”一人ポケカ”ですし、高額なアーティファクトを大量に採用してもたった1枚の《溜め込み屋のアウフ》で心停止に陥る不安定なデッキです。
《真実の解体者、コジレック》や《大いなる歪み、コジレック》など無色統率者デッキを使う人に何度か出会ったことがあります。「最強のデッキ!」とは誰も言いませんが、みんなどこか誇らしげです。それはやはりデッキに愛着があるからでしょう。
統率者戦ではやはり好きなデッキ・楽しいと思えるデッキを使いたいものですね!
次回は『フォーゴトン・レルム探訪』で登場する統率者でデッキを作ってみようと思います。お楽しみに!