Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2021/7/22)
はじめに
みなさん、こんにちは!
今回のテーマはモダンです。最近、私はモダンにのめり込んでおり、ハマっていると言わざるを得えません。Magic Onlineでは重要な大会が多く開かれていることもあり、モダンはますます魅力的になっていますね。
スタンダードやヒストリックは長らく停滞しており、『フォーゴトン・レルム探訪』が発売されても少なくともしばらくは両環境に大きな変化が生まれることはなさそうです。
『モダンホライゾン2』はかつてないほどモダン環境を一新させました。優秀で強力なカードが多く収録されたことで、数多くの新しいデッキが産声をあげたのです。
《アスモラノマルディカダイスティナカルダカール》はその発音の難しさに違わぬ強さを持った新規クリーチャーであり、当初私はこのクリーチャーを軸にしたデッキを使っていました。確かに良いデッキではあったものの、モダンという広大なフォーマットを駆け抜けるには力不足であるように感じました。
この戦略に固執するのをやめようと思っていると、ガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassifがリビングエンドを使っているのを目撃しました。このアーキタイプは昔は好きになれませんでしたが、新しい構成はとても面白そうに思え、とりあえず試してみることにしました。
リビングエンド
ガブリエル・ナシフがInsight eSportsが主催するModern Openでトップ4に入賞したときのリストがこちらです。
彼の試合を少し観戦していると、その構築の素晴らしさに興味をそそられました。《悲嘆》や《緻密》はリビングエンドに強力な妨害手段を与えながらも、メインプランである《死せる生》にも噛み合っていたのです。
Magic Onlineのリーグで何度か使ってみたところ、非常に良い成績を残すことができたため、今月のMana Traders series予選はリビングエンドを選ぶことにしました。
結果、通算成績8-2で予選通過条件を達成し、来週の本選スイスラウンドへの出場を決めることができました。
ではそのとき使用したリストをご紹介しましょう。
デッキリスト
メインデッキはほとんど変更していません。《厚かましい借り手》の枠に《波起こし》の3枚目を入れたのみです。《波起こし》はマリガンへの耐性を大きく向上させるなど、とても便利なカードであることが調整過程でわかったのです。
他方、サイドボードにはいくつか修正を加えました。なかでも大きな変更だったのは《フェアリーの忌み者》を《虚空の力線》に変更したことです。《虚空の力線》はさまざまなデッキに対して致命傷を与え、ミラーでも非常に強力な1枚。2枚目以降が手札に来てしまったとしても、《悲嘆》のピッチコストに充てれば問題ありません。
《死亡/退場》はもう1枚欲しかったので1枚追加しています。また、ナシフは《鋳塊かじり》を選択していましたが、私は《基盤砕き》の4枚目を優先させています。
プレイング
リビングエンドはプレイングが単純なデッキである印象を与えますが、私の経験から言えば、一見些細に見えても明暗を分ける分岐点が多く存在するデッキです。これは何度もリビングエンドを使ってきたからこそわかったことです。使っていくうちにプレイにちょっとした変化を加えられるようになり、その結果勝率が上がっていきました。
原則的には、相手のターン終了時に「サイクリング」します。しかし、どんなルールにも例外がつきものです。
自分のターンに「サイクリング」するのはどんなとき?
使用上のアドバイス
「サイクリング」するカードに選択肢がある場合は、《意思切る者》は温存しましょう。《悲嘆》や《緻密》のコストに充てられます。
青を含むデッキと当たったときは、相手のターンに「続唱」をしかけることで《否定の力》をピッチスペルとして使わせないようにします。
状況によっては相手のドローステップに「続唱」し、リアニメイトした《悲嘆》でドローしたカードを捨てさせることもあります。
《意思切る者》と《悲嘆》を一挙に墓地から戻せば、相手の手札を破壊しながらドローを操作することができ、行動に大きな制約をかけられます。
クロックの計算をしましょう。手札に「続唱」呪文である《断片無き工作員》と《暴力的な突発》の2枚がある場合、次のターンに与えられるダメージ総量を計算し、そのどちらをプレイすべきか判断します。
インスタントタイミングで「続唱」できるのは魅力的ですが、まずは《断片無き工作員》を唱え、次のターンに《暴力的な突発》でクリーチャー全体を強化した方が良いマッチアップもあります。
《風呼びのエイヴン》は「サイクリング」呪文だけでも4/3の飛行クリーチャーだけでもありません。ときとしてクリーチャーに飛行を付与する2つ目の能力が意味を持つことがあります。
サイドボーディング
モダンには数えきれないほどのデッキが存在するうえ、ほかのフォーマットほどデッキリストが固定化されていません。そのため、相手がどんな対策カードを、どれだけ採用しているかを予め把握しておくことは困難です。
そこで、今回はサイドボードガイドを用意するのではなく、どんなカードがリビングエンドに有効で、それに対してリビングエンド側はどう対処すれば良いのかをお話しましょう。
《トーモッドの墓所》《大祖始の遺産》《虚無の呪文爆弾》
この手の墓地対策に対しては、その対策カード自体を破壊してしまう、あるいは「続唱」呪文に反応して使わせてしまい墓地をゼロから肥やします。墓地を肥やすこと自体は問題にならないでしょうが、《死せる生》がデッキ内に3枚しかない点には注意が必要です。
《安らかなる眠り》《虚空の力線》
この2枚に関しては、対処するほかありません。《厚かましい借り手》ならば一時的に、《活性の力》《基盤砕き》《否定の力》なら抜本的に対応できますが、いずれにしても解決しなければならないパーマネントです。
《忍耐》
もっとも対処が難しい1枚だと思われます。《緻密》しか解答になるものはありません。タイミングが合えば《暴力的な突発》を対応して唱えることで回避できます。
《ボジューカの沼》
これも対処が難しい1枚ですね。幸い、採用率が高くなく、基本的にはソーサリータイミングでセットされるものですからケアしやすくなっています。
《ヴェクの聖別者》《ダウスィーの虚空歩き》
有害にもなれば無害にもなり得る2枚。《死せる生》で戦場から退けることができますが、この2枚が着地する前に墓地を肥やして置かないと苦労することになります。《厚かましい借り手》は理想的な解答とは言えませんが、それでも十分でしょう。
《虚空の杯》《虚空の鏡》
これらのアーティファクトについては、そこまで心配する必要はありません。リビングエンドは「サイクリング」を重ねることでデッキを掘り進められるため、いずれ《活性の力》《基盤砕き》を見つけ出せます。破壊に成功したらコンボへ向かいましょう。
《時を解す者、テフェリー》
《否定の力》《悲嘆》《緻密》。《時を解す者、テフェリー》に対処するカードは少なくありませんが、一度着地されてしまうと対処が困難になる厄介なプレインズウォーカーです。戦場の《時を解す者、テフェリー》は《厚かましい借り手》でなんとかくぐり抜けましょう。
《血染めの月》
《血染めの月》が戦場に居座り、予め対策を用意していなかった場合、敗北に直結します。土地の置き方には気を配り、基本土地をサーチするようにしましょう。特に《森》を置いておけば、《基盤砕き》のみならず《暴力的な突発》もプレイできるようになります。
打ち消し呪文
《悲嘆》や《否定の力》を駆使しながら、《死せる生》の解決を目指しましょう。先ほども言いましたが、《死せる生》は3枚しかありませんから、弾切れにならないように気をつけてください。
今のモダン環境は素晴らしい状態にあります。ぜひ遊んでみてくださいね。この記事がみなさんの役に立ったことを願って。
ではまた次回。健康にはお気をつけて。