はじめに
みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチームの富澤です。
前回は日本選手権2021 SEASON2で活躍したナヤウィノータをご紹介しました。運は絡むものの、《軍団のまとめ役、ウィノータ》の能力さえ解決えできれば一撃20点も夢ではありません。
今回は$5K SCG Tour Online Championship Qualifierの大会結果とStandard Challenge #12323803より一風変わったデッキをお届けします。
先週末の注目デッキは?
まずは先週末の注目デッキを確認していきましょう!
先々週に引き続き活躍中のナヤウィノータ。決まったときの破壊力もさることながら、優れたミッドレンジデッキでもあります。ほかのデッキから意識されてガードが上がっていますが、もっとも警戒すべきデッキで間違いありません。詳しい紹介は前回しましたので、今回は変更点のみをみていきます。
このデッキひとつのポイントは3ターン目に《エシカの戦車》を着地させられるかどうか。これにより次のターンから展開が変わっていきます。そのためには確実にマナ加速できる《裕福な亭主》を含めて10枚前後のマナクリーチャーを採用したいところです。
このプラスαの部分に加わっているのは《ヤスペラの歩哨》以下4種7枚のクリーチャー。《ヤスペラの歩哨》は単体では機能しないものの、マナ域が被りにくい1マナのクリーチャーであり、より前のめりな展開を可能にしてくれます。中長期戦では《帰還した王、ケンリス》の色マナ供給源にもなってくれます。
マナクリーチャーの有無は勝敗に直結しかねないため除去されがちですが、対戦相手もそのすべてを除去できるわけではありません。干渉手段は2マナ以上が多いため、マナ域をズラして採用することで戦場に残りやすくなります。
サイドボードは緑単アグロ、ミラーマッチ、ディミーアローグ対策がズラリと並びます。《レッドキャップの乱闘》はわずか赤1マナで《軍団のまとめ役、ウィノータ》を落とせるミラーマッチの要となるテンポ除去。ほかにも《エシカの戦車》や《黄金架のドラゴン》など中盤の主軸を請け負います。
除去と打ち消し呪文でコントロールするディミーアローグには不利との話も囁かれていましたが、使用したryuumei選手いわく5-0とのこと。《レンジャー・クラス》や《エシカの戦車》といった1枚で複数の働きをしてくれるパーマネントと、サイドボードからは墓地対策で対抗します。《運命の神、クローティス》は状況に合わせて選択できる効果を持っており、終盤ではダメ押しにもなります。ひとたび戦場に出ればまず対処されることはありません。
《アゴナスの雄牛》はドロー効果も強力ながら、「脱出」コストの高さが魅力です。一度に8枚のカードを墓地から追放するため、瞬間的に「切削」によるボーナスを無効化できます。
$5K SCG Tour Online Championship Qualifier
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | Rumti | 緑単アグロ |
準優勝 | ryuumei | ナヤウィノータ |
トップ4 | 茂里 憲之 | イゼットコントロール |
トップ4 | Chase Masters | タッチ緑ディミーアコントロール |
トップ8 | Daftendirekt | 白単アグロ |
トップ8 | 江原 洸太 | ディミーアローグ |
トップ8 | Diogo Santos | マグダグルール |
トップ8 | hironori tanaka | スゥルタイ根本原理 |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
参加者156名で開催された$5K SCG Tour Online Championship Qualifierは緑単アグロを使用したRumti選手が制しました。サイドボードには《風化したルーン石》まで採用されており、ナヤウィノータを意識した構築となっています。
トップ8はどれひとつ被ることなく8つのアーキタイプが入る混戦模様。青黒軸のデッキは3種類残っており、Chase Masters選手のデッキはディミーアコントロールに《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》と《古き神々への拘束》タッチされた意欲作。メインボードから《悪意に満ちた者、ケアヴェク》が採用されており、横に並べる戦略に強い構築になっています。
メタゲーム
デッキタイプ | 使用者数 | トップ16 |
---|---|---|
ナヤウィノータ | 42 | 5 |
ディミーアローグ | 21 | 1 |
グルールアドベンチャー | 19 | 1 |
スゥルタイ根本原理 | 18 | 2 |
ティムールアドベンチャー | 9 | 0 |
白単アグロ | 6 | 1 |
ディミーアコントロール | 4 | 2 |
緑単アグロ | 4 | 1 |
サイクリング | 4 | 1 |
イゼットドラゴン | 4 | 0 |
その他 | 25 | 2 |
合計 | 156 | 16 |
トップ8こそアーキタイプはバラけていたものの、トップ16まで目を伸ばすと複数名入賞しているアーキタイプもでてきます。ナヤウィノータはメタられながらも5名が残っており、自力の高さを証明しました。スゥルタイ根本原理は4番手とかなりメタゲームは動いているようです。
トップ8デッキリストはこちら。
緑単アグロ
今大会を制したRumti選手の緑単アグロ。従来通りの氷雪型の構築に加えて、《恋煩いの野獣》と《カザンドゥのマンモス》の3マナパワー5クリーチャーによる《グレートヘンジ》早期着地パッケージ入りとなっています。マナカーブ通りに展開して格闘除去がサポートする押し切りプランだけでなく、《グレートヘンジ》や《レンジャー・クラス》によるリソース勝負などあらゆる状況に対応できるデッキとなっています。
意外なのは2マナ域が分散している点です。《群れ率いの人狼》と《レンジャー・クラス》は2枚ずつにし、《漁る軟泥》を採用しています。墓地対策でありながら、中盤以降は《恋煩いの野獣》などにもサイズで劣りません。
格闘除去との相性と早期決着を目論見、《探索する獣》を3枚とガッツリ採用されています。回避能力は横に並びやすい単色アグロのブロッカーを素通りし、速攻があるため大振りな動きの返しとしてもグッド。格闘除去との相性の良さも見逃せません。
インスタントタイミングでの干渉を要求するデッキが現れたことで、除去選択にも変化が生まれました。テンポ面に優れた《吹雪の乱闘》、フィニッシュにもなる《原初の力》に加えて、《強行突破》が採用されています。2マナと重いものの貴重なインスタントであり、《軍団のまとめ役、ウィノータ》に睨みを利かす1枚。12枚取られたトランプラーと組み合わせれば本体火力のようにも機能します。
対《軍団のまとめ役、ウィノータ》戦で決定的な仕事をしてくれるのがサイドボードの《風化したルーン石》。誘発こそするものの、《軍団のまとめ役、ウィノータ》の効果でクリーチャーを戦場へ出すことはできません。ジェスカイ変容の《雷の頂点、ヴァドロック》やリアニメイト効果も防げることを覚えておきましょう。
イゼットコントロール
茂里 憲之選手が持ち込んだのは非氷雪のイゼットコントロール。これまでは《ガラゼス・プリズマリ》と《黄金架のドラゴン》のイゼットドラゴンが有名でしたが、それよりもコントロール要素強めになっています。基本的には火力を使いながら戦場を平らにしていき、ドロー呪文でリソース差をつけ、打ち消し呪文と少数の勝ち手段でゲームを締めくくります。
メインボードには5種14枚の火力が採用されていますが、なかでも《バーニング・ハンズ》と《燃えがら地獄》が目を引きます。《バーニング・ハンズ》は緑専用と思われがちですが、それ以外のパーマネントに対しても2マナ2点と最低限の働きをしてくれます。《軍団のまとめ役、ウィノータ》本体こそ対処できないものの、マナクリーチャーから《エシカの戦車》本体まで幅広く対処可能です。
《燃えがら地獄》は珍しいインスタントの全体除去であり、戦線を横に並べながらビートダウンするナヤウィノータや白単アグロに効果的。状況によってはノンキックでも複数交換が狙えます。
リソース補充には定番の《表現の反復》と《精神迷わせの秘本》に加えて《真夜中の時計》が採用されています。序盤はマナを拡張して行動回数を担保し、時間が経てば使いきったカードを回収しながら圧倒的なアドバンテージをもたらしてくれます。墓地とライブラリーをリシャッフルできるため、ディミーアローグの「切削」に対しても効果的です。
フィニッシャーは《キオーラ、海神を打ち倒す》。このパワフルな英雄譚は単体除去に強く、着地してしまえばコントロールといえど対処手段は限られてしまいます。その少ない対処手段を打ち消し呪文ではじけば、あとは3度攻撃に向かうだけ。章が進むごとに勝手に道は開けていきます。
II章で時間を稼ぎ、III章では追加されたブロッカーやパーマネントを排除しつつさらにダメージを稼いでくれます。瞬速を持つクリーチャーがない限り16点がは確約されたようなもの。戦場をコントロールし、余裕があれば打ち消し呪文を構えながらプレイしたいところです。
Standard Challenge #12323803
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | hcook725 | ディミーアローグ |
準優勝 | mahzinha_linda | 赤単アグロ |
トップ4 | fingers1991 | スゥルタイ根本原理 |
トップ4 | Gul_Dukat | スゥルタイ根本原理 |
トップ8 | AndyAWKWARD | スゥルタイ根本原理 |
トップ8 | djbmppwns | 白単アグロ |
トップ8 | An_Actual_Potato | ナヤウィノータ |
トップ8 | Waldo423 | ナヤウィノータ |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
Standard Challenge #12323803はディミーアローグを使用したhcook725選手が優勝。MOではスゥルタイ根本原理がトップ8に3名と人気実力ともに健在なようですが、ナヤウィノータの脅威は確実に迫っています。
メタゲーム
デッキタイプ | 使用者数 | トップ16 |
---|---|---|
スゥルタイ根本原理 | 9 | 5 |
ナヤウィノータ | 7 | 3 |
マグダグルール | 4 | 1 |
ティムールルーカ | 3 | 1 |
ディミーアローグ | 2 | 1 |
その他 | 7 | 5 |
合計 | 32 | 16 |
ナヤウィノータ以外は規定通りのスゥルタイ根本原理を頂点としたメタゲームが形成されています。ナヤウィノータの増加を受けて、MTGアリーナ同様にディミーアローグが増加するのでしょうか。
全デッキリストはこちら。
白単氷雪ヨーリオン
今大会でトップ16に入ったAardos選手の白単氷雪ヨーリオンは、タップアウト型のボードコントロールになります。大量の除去呪文で相手の戦力を削ぎ、戦場に出たときの効果を持つパーマネントと《空を放浪するもの、ヨーリオン》を組み合わせてアドバンテージ獲得を目指します。《高貴なる行いの書》+《不詳の安息地》の不死コンボも内蔵されていますが、土地が伸びやすい構成であるため白単アグロよりも決まりやすくなっています。
ほとんどのカードがソーサリータイミングでしか使用できず、《軍団のまとめ役、ウィノータ》が着地してしまえば運頼みとなってしまいます。そのため《軍団のまとめ役、ウィノータ》が機能しにくい戦場を作れるように1マナ域からズラリと除去呪文が並びます。
《ポータブル・ホール》はパーマネント全般を対象にとれるため、《裕福な亭主》が生成する宝物トークンを潰せる小回りの利く除去となります。《ドゥームスカール》は「予顕」すれば3マナで全体除去となる破格の呪文。後手番でのゲームメイクに一役買ってくれています。
《アイ・オヴ・ヴェクナ》は5枚目の《精神迷わせの秘本》となる貴重なアドバンテージソース。伝説のカードゆえに《栄光の探索》でサーチでき、複数採用する必要がありません。
代償としてライフを支払うため、3種類のライフ回復カードが採用されています。《治癒のポーション》はキャントリップ付きの《治癒の軟膏》といった感じですが、《空を放浪するもの、ヨーリオン》とのシナジーを形成しリソースを拡充する役目も担っています。
白単アグロへの最終兵器である《赦免のアルコン》は、ナヤウィノータの戦略を全否定するカードでもあります。いくら《軍団のまとめ役、ウィノータ》を着地させようとも、マナがなければ攻撃に参加できず、返しの全体除去の餌食となってしまいます。除去呪文が少ないナヤウィノータの弱点を突いた素晴らしい選択といえますね。
おわりに
今回はナヤウィノータに対するアプローチを中心に紹介してきました。上記以外にも《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》のようなメタカードがあるため、ナヤウィノータの牙城はいつまで続くか注目です。
今週末にはチャレンジャーガントレットが控えていますね。次回はそれらの情報をお届けしたいと思います。