USA Legacy Express vol.186 -蒼きドラゴン舞うレガシー-

Kenta Hiroki

はじめに

みなさんこんにちは。

『モダンホライゾン2』リリース後2度目のLegacy Showcase Challengeが開催され、環境も落ち着いてきた感があります。

今回の連載では、Legacy Showcase ChallengeとLegacy Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。

Legacy Showcase Challenge #12318551
2つの異なるラガバンデッキ

2021年7月18日

  • 1位 Jeskai Ragavan Still
  • 2位 Izzet Delver
  • 3位 Bant Control
  • 4位 ANT
  • 5位 Izzet Delver
  • 6位 Dark Depths
  • 7位 Izzet Delver
  • 8位 Bant Control

トップ8のデッキリストはこちら

Legacy Chowcase Challengeは、毎週開催されるLegacy Challengeと異なり参加するのに40QPが必要で、この大会の上位8名にはシーズン末に開催されるShowcase Qualifier Championshipへの出場権が得られるプレミアイベントです。

参加者247名と大盛況でスイスラウンドは9ラウンドという長丁場でした。

今大会でもっともポピュラーなデッキはIzzet Delverでしたが、最後まで勝ち残ったのは最近結果を残し続けていたJeskai Ragavan Stillでした。

デッキ紹介

Jeskai Ragavan Still

Jeskai Ragavan Still

クリックで拡大

Jeskai Ragavan Stillは最近結果を残し続けているデッキで、《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ウルザの物語》いう『モダンホライゾン2』から登場した強力な2種類のカードを搭載しているのが特徴です。

《不毛の大地》《目くらまし》といったDelver系の要素も多く取り入れつつ、《剣を鍬に》《行き詰まり》といったコントロールカードも搭載したミッドレンジです。

☆注目ポイント

ウルザの物語行き詰まり

《ウルザの物語》は構築物トークンによって相手にプレッシャーをかけつつ、《改良式鋳造所》を始めとした1マナのアーティファクトを状況に応じてサーチするフレキシブルさも持ち合わせています。《ウルザの物語》を使うことで脅威を展開するためにスペルをプレイする必要がなくなるので《もみ消し》やカウンターなど妨害スペルも構えやすくなり、《行き詰まり》も張りやすくなります。このデッキが知れ渡ったことによって《もみ消し》の奇襲性は下がりましたが、相手の《不毛の大地》から《ウルザの物語》を守ったりとまだまだ使えるスペルです。

濁浪の執政真の名の宿敵

Izzet Delverでも活躍している《濁浪の執政》はこのデッキでもフィニッシャーを務めています。相手は《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ウルザの物語》といったほかの脅威も対処する必要があるため、サイズで勝る除去されにくいフィニッシャーはより厄介な存在となります。環境の多くの除去に耐性がありクロックも 速いので、多くの場合出して数ターン守ればゲームを終わらせるのに十分です。

また、《虹色の終焉》など優秀な単体除去が登場したことによって、除去耐性のある《真の名の宿敵》は有力な勝ち手段として再評価されています。

虹色の終焉

インスタントスピードの《稲妻》も捨てがたいですが、1マナの除去ではすでに《剣を鍬に》がフル搭載されているので、除去できる範囲の広い《虹色の終焉》のほうがミッドレンジのこのデッキに合っています。

渋面の溶岩使い紅蓮破

サイドの《渋面の溶岩使い》は、相手の《敏捷なこそ泥、ラガバン》を牽制する手段になります。Jeskaiカラーのデッキを使うメリットの一つとして、《剣を鍬に》《紅蓮破》の両方が使えるため、ほかのデッキよりも《濁浪の執政》対策がしやすくなっているところです。

Izzet Delver

Izzet Delver

クリックで拡大

筆者も今大会に参戦し、惜しくも決勝戦でTheo_Jungの駆るJeskai Ragavan Stillに敗れてしまいましたが、準優勝という好成績を残すことができました。これで目標だったShowcase Qualifier Championship本戦の出場権利も獲得しました。

使用したのは使い慣れたIzzet Delverです。一般的なリストと異なる点は《ドラゴンの怒りの媒介者》が不採用な点です。MOグラインダーのslow_brzが使用し、結果を残していたことから密かに注目していたバージョンで、日本国内の大会でも高野 成樹さんがほぼ同様のリストで第17期レガシー神決定戦で優勝を果たしたことで知れ渡りました。

☆注目ポイント

ドラゴンの怒りの媒介者

《ドラゴンの怒りの媒介者》を使わないことは思い切った判断のように感じられましたが、デッキを1マナに寄せないことで《虚空の杯》で完封されにくくなります。効率的な脅威である《ドラゴンの怒りの媒介者》ですが「昂揚」させないとパワー不足で、「昂揚」させてもBant Controlなど多くのデッキがメインから採用している《忍耐》に対して特攻してしまう場面が散見されたので採用しない選択肢もあるのではないかと思いました。その枠に採用されているのが《厚かましい借り手》《真の名の宿敵》です。

厚かましい借り手真の名の宿敵

《厚かましい借り手》は「出来事」によってDarkdepthsの《マリット・レイジトークン》《濁浪の執政》などをメインから対処する手段になります。瞬速持ちなので少し重く感じられるコストもそこまで気にならず、クロックとしても信頼性があります。

《虹色の終焉》の登場により単体除去が中心になり、《疫病を仕組むもの》を使ったデッキも減少傾向にあるので除去耐性のある《真の名の宿敵》の価値が上がりました。《忍耐》で止まらないのでクロックとしても信頼性があります。3マナ域と相性があまり良くない《表現の反復》の枚数も3枚に減らされています。

紅蓮破

《二股の稲妻》だった枠を《紅蓮破》に変更しました。Delver系のエキスパートであるwakarockと対戦したときに、メインから採用していた《紅蓮破》が刺さったことが強く印象に残ったので参考にしました。Showcase Challengeということで普段のチャレンジよりも同型やBantが多くなると予想していたのと、《二股の稲妻》が有効に機能するElvesやDeath and Taxesといった小型のクリーチャーを多用するデッキが減少傾向にあったことも理由の一つです。実際に青いデッキと多く当たったのでこの選択には満足です。

カラカス無のロッド溶融

サイドのカードについて。《カラカス》《マリット・レイジトークン》やShow and Tell系、《甦る死滅都市、ホガーク》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》対策だけでなく、ミラーマッチやJeskai Ragavanとのマッチアップでも相手の《敏捷なこそ泥、ラガバン》対策として機能しつつ、自軍の《敏捷なこそ泥、ラガバン》を相手の除去から守る手段にもなる有用な土地です。

《無のロッド》はアーティファクトマナを多用するコンボやAffinityなどさまざまなマッチアップで強力な妨害として機能します。ほかには《ウルザの物語》の登場によりJeskai Ragavan Stillなどミッドレンジもアーティファクトを多用するようになったので、《溶融》は現環境の必須のサイドカードとして定着しています。

Legacy Challenge #12321637
Death and Taxesが復権

2021年7月25日

  • 1位 Death and Taxes
  • 2位 Jeskai Ragavan Still
  • 3位 Hogaak
  • 4位 Izzet Delver
  • 5位 Madness
  • 6位 Jeskai Ragavan Still
  • 7位 Lands
  • 8位 Jeskai Superfriends

トップ8のデッキリストはこちら

オンラインPTQなどほかのイベントとスケジュールが被っていたため普段よりも少人数の参加となった日曜日のLegacy Challenge。

人気があったアーキタイプはIzzet DelverやJeskai Ragavan StillといったShowcase Challengeでも結果を残していたデッキでしたが、今大会で優勝を収めたのは《空を放浪するもの、ヨーリオン》を「相棒」にしたDeath and Taxesでした。

デッキ紹介

Death and Taxes

Death and Taxes

クリックで拡大

今大会で見事に優勝を果たしたxJCloudは、Death and Taxesのエキスパートです。

《霊気の薬瓶》《護衛募集員》《ちらつき鬼火》によってコントロールデッキに対してもロングゲームでも渡り合えます。《空を放浪するもの、ヨーリオン》を「相棒」として採用することでデッキの枚数が80枚になり、より多くのETB能力を持つクリーチャーが増量されています。

『モダンホライゾン2』からも《剣を鍬に》と同様の効果を内蔵した《孤独》が加入したことでコントロール要素が強くなりました。

☆注目ポイント

孤独

Death and Taxesは《孤独》をもっとも強く使うことができるデッキの一つです。白単色なのでピッチでプレイすることも容易で、《ちらつき鬼火》によって能力を使いまわすこともできます。《濁浪の執政》に対する回答になり、このデッキの復権に貢献した1枚といえます。《空を放浪するもの、ヨーリオン》も採用されているので、《霊気の薬瓶》にカウンターを5個まで乗せる選択肢もあります。

空を放浪するもの、ヨーリオン

《空を放浪するもの、ヨーリオン》を「相棒」にすることで消耗戦にも強くなりました。《護衛募集員》《スカイクレイブの亡霊》《石鍛冶の神秘家》といったETB能力持ちのクリーチャーを多用するため、多大なアドバンテージを稼ぐことができます。特に《カラカス》《空を放浪するもの、ヨーリオン》をバウンスして使いまわす動きが強力です。

カルドラの完成体

『モダンホライゾン2』から登場した《カルドラの完成体》《石鍛冶の神秘家》のサーチ対象として採用されています。除去耐性があり速攻を持つため《石鍛冶の神秘家》から最速で3ターン目に出してクロックをかけ始めるなど、比較対象として挙げられる《殴打頭蓋》よりも攻撃的な使い方ができます。トランプルによって《真の名の宿敵》などプロテクションでも完全に止まることがなくなります。警戒と絆魂を付ける《殴打頭蓋》のほうが防御面では優れており、追放系の除去を多用するデッキとのマッチアップではバウンスさせて再利用する能力が活きるのでマッチアップや状況に応じて使い分けていく必要があります。

Legacy Challenge #12323792
コンボデッキが多数上位に

2021年8月1日

  • 1位 Doomsday
  • 2位 Selesnya Darkdepths
  • 3位 Sneak and Show
  • 4位 Karn Echo
  • 5位 Izzet Delver
  • 6位 Death and Taxes
  • 7位 Izzet Delver
  • 8位 Sneak and Show

トップ8のデッキリストはこちら

今大会では、Delver系に強いとされているBant Controlが苦手とするShow and Tell系やDoomsdayといったコンボデッキが台頭してきました。

Showcase Challengeを制するなど最近活躍が著しかったJeskai ragavan Stillは今大会では振るわず、現環境のトップメタに位置するIzzet Delverはコンボデッキに強いこともあり安定した成績を残していました。

デッキ紹介

Karn Echo

Karn Echo

クリックで拡大

永劫のこだま覆いを割く者、ナーセット

《永劫のこだま》+《覆いを割く者、ナーセット》よって相手の手札を1枚残してすべて失わせて自分だけ手札をフルに補充するコンボを搭載したデッキで、《最高工匠卿、ウルザ》《大いなる創造者、カーン》による多角的な攻めができるのがこのデッキの特徴です。より確実にコンボを決めるために追加の《永劫のこだま》として《一日のやり直し》もフル搭載されています。

《古えの墳墓》《裏切り者の都》といった2マナランドや《水蓮の花びら》などアーティファクトマナを利用することによって最速1ターン目からコンボを決めることができます。

手札を墓地に落とす《ライオンの瞳のダイアモンド》《永劫のこだま》と相性が良く、「フラッシュバック」でプレイするのに必要なコストである青マナを含めた3マナも確保できます。

☆注目ポイント

虚空の杯最高工匠卿、ウルザ大いなる創造者、カーン

《虹色の終焉》など回答も増えてきましたが、《古えの墳墓》などマナ加速からの1ターン目《虚空の杯》は1マナのキャントリップスペルを多用するデッキにとって脅威であることには変わりません。《虚空の杯》《永劫のこだま》+《覆いを割く者、ナーセット》のコンボによって相手の行動を制限させたあとは、《最高工匠卿、ウルザ》《大いなる創造者、カーン》によって速やかにゲームを終わらせます。

意志の力海門修復

サイドにはコンボを守る手段兼ほかのコンボとのマッチアップでの追加の妨害手段として《意志の力》が4枚採用されています。デッキ内に青いカードが多く、青いカードとしてもカウントできる《海門修復》もフル搭載されているのでピッチでプレイするのには困ることは少なそうです。

Legacy Challenge #12323800
Death and Taxesが連覇

2021年8月2日

  • 1位 Death and Taxes
  • 2位 Jeskai Miracles
  • 3位 Doomsday
  • 4位 Sneak and Show
  • 5位 Bant Control
  • 6位 Selesnya Darkdepths
  • 7位 Reanimator
  • 8位 Ragavan Still

トップ8のデッキリストはこちら

Death and Taxesが日曜日のLegacy Challengeを連覇するという驚異的なパフォーマンスを見せます。

印象的だったのはプレイオフにトップメタのIzzet Delverの不在だったことです。Bant ControlやDeath and Taxes、Selesnya Darkdepths などDelver系に強いアーキタイプが多数勝ち残っていたことからも難しいメタだったことが分かります。

コンボデッキの中では、人気があり安定した成績を残し続けているSneak and ShowやDoomsdayが見られました。

Bant Control

Bant Control

クリックで拡大

《氷牙のコアトル》《剣を鍬に》で相手の脅威を対処していき、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《精神を刻む者、ジェイス》といったアドバンテージ源兼フィニッシャーでゲームを決めるお馴染みのコントロールデッキ。トップメタのDelver系に強いデッキとして常に安定した成績を残し続けています。

タフネス4というサイズで《稲妻》に耐性があり、多くのDelverデッキのクロックを止めると同時にDoomsdayコンボの勝ち手段である《タッサの神託者》対策にもなる《忍耐》や、《虚空の杯》など厄介な置物も対策できるフレキシブルな単体除去の《虹色の終焉》、デッキのさらなる安定性の向上に貢献するドロースペルの《豊穣な収穫》など、このデッキも『モダンホライゾン2』の恩恵を大きく受けたデッキの一つです。

☆注目ポイント

忍耐

Delver系とのマッチアップにめっぽう強い印象がある《忍耐》ですが、ライブラリー修復は地味ながら長期戦になりがちな同型やJeskai Ragavan Stillなどとのマッチアップで役に立ちます。墓地に落ちた勝ち手段を回収できるのでフィニッシャーがすべてカウンターされて摘むことが少なくなり、ライブラリーアウトも回避することができます。

激しい叱責

最近Bant Controlのメインから見られるようになった《激しい叱責》は、レガシーエキスパートでコントロールの名手であるAnziDが採用し始めたことで広く知れ渡ったテクです。

瞬速、キャントリップ付きなので使いやすく、《ドラゴンの怒りの媒介者》《敏捷なこそ泥、ラガバン》《護衛募集員》など能力持ちのクリーチャー対策として有用です。《真の名の宿敵》のプロテクションも失われるので、《剣を鍬に》など単体除去で対策することができるようになります。さらに、《ウルザの物語》の構築物トークンも一掃することができるのでJeskai Ragavan Stillとの相性の改善に貢献しています。また、《激しい叱責》の効果を利用することで《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を生け贄に捧げることを回避することもできるので覚えておきたいところです。

総括

《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ウルザの物語》などもそうですが、最近は《激しい叱責》《孤独》といった環境の脅威に対する回答も見られ、『モダンホライゾン2』が環境に長期に渡って大きな影響を与えていることが分かります。

しかし、毎週開催される大会で結果を残しているのがIzzet DelverやJeskai Ragavanといった《敏捷なこそ泥、ラガバン》など効率的な脅威を《目くらまし》など0マナでプレイできるカウンターでバックアップしていく戦略が中心なことから、《目くらまし》を禁止にしたほうがいいのではという意見も散見されています。

さまざまな意見がありますが、筆者個人的には《目くらまし》などソフトカウンターをケアするプレイングはレガシーの醍醐味の一つであると同時に高速コンボの抑止力としても機能しているので、フォーマット全体のバランスを考慮すると《目くらまし》だけを禁止にするのは難しいと考えています。

以上、USA Legacy Express vol.186でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!

この記事内で掲載されたカード

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら