はじめに
みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチームの富澤です。
25日の未明に公式より数々の発表があり、次期スタンダードセットやコラボ商品、特殊セットが紹介されました。来年は神河やドミナリアといった懐かしの次元にも回帰するため、今からワクワクが止まりませんね。
さて、今回はMOのイベント結果を振り返っていきます。
Standard Challenge #12331034
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | Venom1 | ディミーアコントロール |
準優勝 | Sorento04 | スゥルタイ根本原理 |
トップ4 | Fink64 | タッチ青グルールアドベンチャー |
トップ4 | Add1ct3d | スゥルタイ根本原理 |
トップ8 | Rooney56 | スゥルタイ根本原理 |
トップ8 | Lifeisrisk7 | スゥルタイ根本原理 |
トップ8 | teruteru8140 | ナヤウィノータ |
トップ8 | Lennny | スゥルタイ根本原理 |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
Standard Challenge #12331034を制したのはVenom1選手のディミーアコントロール。ボードへの干渉手段が多く、特に2マナの単体除去は8枚も採用されています。詳しくは次のデッキ紹介でみていきます。
MOでは依然としてスゥルタイ根本原理が人気のアーキタイプであり、今大会では5名のプレイヤーがトップ8へと入っています。単体除去に加えて《激しい恐怖》などの全体除去を複数採用し、制圧能力を高めた構築となっています。各種アドベンチャーやウィノータといった戦線を横に広げるデッキを強く意識していたようです。
メタゲーム
デッキタイプ | 使用者数 | トップ16 |
---|---|---|
スゥルタイ根本原理 | 14 | 7 |
ナヤウィノータ | 4 | 2 |
グルールアドベンチャー | 3(内タッチ青1黒2) | 2(内タッチ青1黒1) |
ナヤアドベンチャー | 3 | 2 |
ラクドスサクリファイス | 3 | 1 |
ディミーアコントロール | 2 | 1 |
その他 | 3 | 1 |
合計 | 32 | 16 |
一番人気となったのはスゥルタイ根本原理であり、使用者数は突出しています。面白いにはメインボードでは《長老ガーガロス》や除去呪文を優先してクリーチャー戦を強く意識していたことでしょう。結果をみるにこの選択は成功といえそうです。
トップ8デッキリストはこちら。
ディミーアコントロール
スゥルタイ根本原理の海を越えて見事優勝したディミーアコントロール。除去によるボード制圧を主軸に、プレインズウォーカーや《出現の根本原理》などのビッグスペル用に最小限の打ち消し呪文を揃えています。『フォーゴトン・レルム探訪』のカードも多く、特に《砂漠滅ぼし、イムリス》はコントロールにおける新たなフィニッシャーとなります。
この手のアーキタイプには珍しく、序盤は除去に頼り打ち消し呪文は中盤以降に真価を発揮するものばかりが採用されています。《軽蔑的な一撃》は大きくテンポのとれる打ち消し呪文であり、《出現の根本原理》やフィニッシャーを対処するにはうってつけのカード。打ち消し以外では厄介な《エシカの戦車》を対象にとれるのは嬉しいところです。
新加入の《君は悪党の住処を見つけた》はモードが複数ある《取り消し》であり、土地やフィニッシャーなど明確に必要なカードがある場合に限ってはルーティングとして機能します。ほかにドローと打ち消しが一体になったカードとしては「サイクリング」付きの《中和》があるため、こちらを選択したのは興味深いですね。
基本的には1対1交換を繰り返してゲームを長引かせていきますが、3ターン目に《真夜中の時計》が出せれば展開はガラっと変わります。早期に《砂漠滅ぼし、イムリス》や《悪夢の詩神、アショク》を着地させることで耐え忍ぶゲームから一転、フィニッシャーを維持して攻める展開へ。どちらも戦場にいる時間が長ければ長いほどアドバンテージをもたらしてくれるため、両方のカードが揃った場合は狙っていきましょう。
アドバンテージ獲得手段は2種類のパーマネントに頼っており、時間はかかるもののマナコストが軽いこともありほとんど隙を作らずに手札を増やすことができます。ひとたび戦場へと出せれば対処手段は限られるものの、《水晶壊し》と《古き神々への拘束》には気を付けましょう。
タッチ青グルールアドベンチャー
安定した太いクロックと膠着を打破する押し込み要素、サイドボードのタッチカードとそれらをサポートするマナシステムとメタゲームによってその細部を自在に変えるグルールアドベンチャー。チャレンジャーガントレットではナヤウィノータへの対抗馬として《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》を採用したタッチ黒バージョンが活躍していました。
今回トップ8に入賞したのは打ち消し呪文を採用したタッチ青であり、スゥルタイ根本原理が多いMOのメタゲームに合わせたチューニングとなります。
定番の《ヤスペラの歩哨》+《厚顔の無法者、マグダ》のマナエンジンに加えて、《裕福な亭主》が採用されています。通常、この枠には《リムロックの騎士》を採用することが多いのですが、《エシカの戦車》4枚を採用しているため、2マナ以下のマナ加速に軍配が上がっています。
また、マナクリーチャーの増加はサイドボード後の打ち消し呪文をより安定して運用できることへも繋がります。懸念すべきはマナソースの引き過ぎ(マナフラッド)ですが、呪文/土地の両面カード(以下、スペルランド)を採用することで土地総数を絞り込み、さらに《バグベアの居住地》と《ハイドラの巣》の2種類のクリーチャー化土地が加わったことで、溢れたマナを有効活用できる構築になっています。
《長老ガーガロス》や《恋煩いの野獣》など現在のスタンダードにはサイズの優れたクリーチャーが数多く存在します。赤い《支配魔法》である《アクロス戦争》は一時的にそれらのコントロールを奪い、ブロッカーをどかすと同時にライフを詰める打点となります。強力なカードですがインスタントトリックである《厚かましい借り手》は天敵であり、攻撃に合わせて使われると著しく戦線が崩壊する恐れもあるため、ティムールアドベンチャー相手には注意が必要です。
《歌狂いの裏切り》は3枚目の《アクロス戦争》にもなるスペルランド。マナコストが重くがも大きいため、タップアウトを狙ってキャストしていきたいところです。序盤に引いた場合は土地として置いてしまいましょう。
コントロールなど重いデッキに強い《軽蔑的な一撃》に加えて《否認》までも採用されています。《軽蔑的な一撃》はカードタイプに左右されず構えるタイミングもはっきりしているため、スゥルタイ根本原理に対してはもっとも効果範囲の広い打ち消し呪文となります。
《エンバレスの盾割り》はほとんどの緑のデッキに採用されている《エシカの戦車》対策であり、《エッジウォールの亭主》がいればカード3枚分の働きとなります。
Standard Challenge #12331046
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | Bielzito | タッチ青グルールアドベンチャー |
準優勝 | Patxi | スゥルタイ根本原理 |
トップ4 | mahzinha_linda | 赤単アグロ |
トップ4 | MaxMagicer | タッチ青グルールアドベンチャー |
トップ8 | Jaberwocki | ナヤアドベンチャー |
トップ8 | Venom1 | ディミーアコントロール |
トップ8 | Snapcaster-Bolt | タッチ青グルールアドベンチャー |
トップ8 | _against_ | ナヤウィノータ |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
前回大会と比べ、多種多様な顔ぶれとなったStandard Challenge #12331046。この大会を制したのはBielzito選手が使用したタッチ青グルールアドベンチャーでした。スゥルタイ根本原理はわずか1名にとどまり、6名がクリーチャー中心のアーキタイプと変化が見られます。
そんななか複数の入賞者を輩出したのはタッチ青グルールアドベンチャーであり、トップ8に3名と大躍進を遂げています。メインボードは速度重視のアグロ戦略ですが、重コントロールに対してはサイドボード後から打ち消し呪文でバックアップしていきます。
メタゲーム
デッキタイプ | 使用者数 | トップ16 |
---|---|---|
スゥルタイ根本原理 | 9 | 5 |
ディミーアコントロール | 8 | 5 |
グルールアドベンチャー | 4(内タッチ青3白1) | 3 |
ナヤウィノータ | 4 | 1 |
ナヤアドベンチャー | 2 | 1 |
ディミーアローグ | 2 | 0 |
その他 | 3 | 1 |
合計 | 32 | 16 |
スゥルタイ根本原理と人気を二分したのは前回優勝のディミーアコントロール。構成もほとんど変わっておらず、ボードコントロールと《真夜中の時計》入りとなっていました。
トップ8デッキリストはこちら。
赤単アグロ
久しぶりの入賞となった赤単アグロ。クリーチャーを展開しつつ要所要所を除去し、《朱地洞の族長、トーブラン》か《エンバレスの宝剣》でゲームを〆る戦略に変わりはありません。《軍団のまとめ役、ウィノータ》が登場するなどメタゲームが複雑化するにあたり一時的に数を減らしていましたが、多色デッキの咎め役は健在です。
対コントロール戦ではクリーチャーと除去のイタチごっことなり、特に全体除去など相手がタップアウトで動いた返しにがポイントとなります。戦場に《エンバレスの宝剣》があれば《熱烈な勇者》や《火刃の突撃者》など速攻クリーチャーでライフを詰められますが、そうでない場合はクリーチャー化土地の出番となります。
クリーチャー化土地はインスタント除去に対しては大きくテンポを損なう可能性がありますが、コストなしで用意しておけるためタップアウトを咎めるには最適なカードです。このデッキでは《不詳の安息地》に加えて《バグベアの居住地》まで採用されており、必ず1枚は用意しておきたいという強い意思を感じます。《バグベアの居住地》は攻撃するたびにトークンを生成し、戦場にダメージソースを増やしてくれます。仮に次のターンに相手がマナを構えているようなら、無理にクリーチャー化せずに生成済のトークンだけでダメージを刻む選択肢が生まれます。
サイドボードは用途がはっきりした火力が採用されています。クリーチャー以外のダメージソースでありスゥルタイ根本原理用の《乱動する渦》、《軍団のまとめ役、ウィノータ》や《黄金架のドラゴン》に対する《レッドキャップの乱闘》は定番ですね。
《バーニング・ハンズ》は赤単アグロがもっとも欲していたカードであり、単体で対処の難しかった《長老ガーガロス》やアドベンチャーなど緑のクリーチャーに強い火力となります。
ナヤアドベンチャー
前回のガントレットでトップ12へ入り、来週末に開催されるライバルズガントレットへの参加権利を獲得した Jaberwockiことローガン・ネトルズ/Logan Nettles選手。今シーズンのスタンダードではメタゲームに合わせて細部は変化しているものの、一貫してナヤアドベンチャーを使用し続けています。
ナヤアドベンチャーはメタゲームに対してデッキ全体ではなく、カードのスロットを変えて適応していきます。《軍団のまとめ役、ウィノータ》の登場以降は主力を《クラリオンのスピリット》から《エシカの戦車》へと変えて、単体で打点の高いダメージソースと除去を増やした構築となりました。
ナヤアドベンチャーの利点のひとつはミラーマッチに強い《巨人落とし》の存在です。3マナ以降の主軸となるクリーチャーをはじめ、《エンバレスの宝剣》や《軍団のまとめ役、ウィノータ》、《黄金架のドラゴン》など出た瞬間に対処必須なカードさえも応じることができるのです。しかもほかの「出来事」クリーチャーと違い、クリーチャーとして出ても戦場へタッパーとして影響を与え続けます。戦闘を支配して自分優位なダメージレースを演出し、不利な状況ならば《スカルドの決戦》まで耐えることも可能なのです。
メインボードはクリーチャー戦に寄せているため、スゥルタイ根本原理にはサイドボードから《精鋭呪文縛り》と《ドラニスの判事》のパッケージを投入します。《精鋭呪文縛り》単体でも十分時間を稼いでくれますが、《ドラニスの判事》がいることで《精鋭呪文縛り》が一緒にいる限り追放したカードは使用不可能と二重にロックがかかることになるのです。その間にビートダウンを完遂しましょう。
おわりに
発売当初はスタンダードに影響はないとも囁かれた『フォーゴトン・レルム探訪』でしたが、環境から消え去りつつあったデッキを復権させたり、サイドボード後の相性を変化させるなど環境に大きな影響を与えています。特に多色化した攻撃的なデッキではクリーチャー化土地の採用が嬉しく、存在自体がプレッシャーとなるためコントロール側がタップアウトしにくい状況を作りだしています。
そろそろ『イニストラード:真夜中の狩り』の足音が聞こえてくる季節です。プレビューが待ち遠しいですね!
次回もスタンダードの情報をお届けしたいと思います。それでは!