パウパー初参戦記 ~ティムールミッドレンジ~

Petr Sochurek

(編注:この記事はパウパーに関する禁止予告前に執筆されたものです。)

Translated by Nobukazu Kato

原文はこちら
(掲載日 2021/9/6)

はじめに

みなさん、こんにちは!

変身

ひとつ白状しますが、先日の組織化プレイに関する発表があってから、マジックとの関わり方が今まででは考えられないようなものになってきました。このゲームをプレイする楽しさは相変わらずありますが、これまでモチベーションの大部分は全力を尽くしてプレイすること、見据えた大会で勝ち抜く方法を摸索することでした。そのため、次のイベントのフォーマットに専念することが常だったのです。

そのプレッシャーから解法された今、これまで目を向けてこなかったフォーマットにようやく手を伸ばすことができるようになりました。これまで毎日24時間休まずにマジックをプレイしていたとは言えませんが、グランプリに出場しようと思うならキューブドラフトやパウパーのイベントに参加することは肯定されませんでした。最近はカジュアルに統率者戦、パウパー、プレモダンの大会に出て大いに楽しんでいます。正直に言えば、これまでの時代のほうが性に合っていましたが、これはこれで楽しいものですね!

皮肉にも良い変化になったことはもうひとつあります。Magic Onlineへの回帰です。昔ながらのインターフェースに戻ってこんなにも喜ぶなんて思ってもみませんでした。

確かにグラフィックなどの点においてはアリーナに軍配が上がりますが、アリーナは基本的に常に全神経を集中させなくてはならず、プレイと並行して何か別のことをするのは現実的ではありません。また、プレイの制限時間を告げるロープがあり、それまで慣れ親しんできた紙のマジックとは違うゲームに感じることもあります。できることなら、ゲームの明暗を分ける判断はじっくりと時間を使って考えたいのです。その点でいえば、Magic Onlineは最高ですよ!

最近特にハマっているのがパウパーであり、今日はこの少々未開拓なフォーマットに焦点を当てようと思います。毎日無数のゲームが行われているので「未開拓」は言い過ぎかもしれませんが、まだまだ誰も試していないことを試せそうなフォーマットではあります。

パウパー環境を知る

トロン

パウパーを一切プレイしたことがなかったため、環境の感覚をつかむために適当なデッキを選んでリーグに1~2回参加しました。そのとき最初に試したのがこのトロンでした。

トロン

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私の理屈はこうでした。パウパーはカードパワーが低いフォーマットだから、ウルザランドのように壊れたカードは強いに違いない。しかし、そう簡単ではありませんでした。

浄化の野火

トロンはプレイングが極めて難しく、私のように相手のデッキの動きを知らないプレイヤーならなおさら難しく感じられます。さらに《浄化の野火》は誰しもが採用しているような印象を受けたため、トロンは早々に見切りをつけました。

誤解のないように言っておきますが、トロンはおそらく良いアーキタイプです。ただ、このデッキで勝つにはもっと経験を積まなくてはならないはずです。

青赤氷雪

もっと簡単で能動的なデッキがないかと思っていると、フォーマット初期からベストデッキのひとつであった青赤氷雪の存在を思い出しました。そうして次に試したのがこのリストです。

デッキ名

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青赤氷雪は悪くありませんでした、1~2マッチ勝てましたからね!ですが、現環境のベストデッキのひとつである青黒忍者の下位互換を使っているだけだとすぐに気づきました。

殺しグルマグのアンコウ

この2つのデッキはやっていることがほぼ同じですが、黒は《殺し》《グルマグのアンコウ》を使うことができます。この2枚はカードパワーが飛び抜けており、赤が提供するどんなカードよりも明らかに強力です。黒ではなく赤を優先する理由があるとすれば、メタゲームが青に偏って《紅蓮破》が欲しくなることぐらいでしょうが、今はまだその状況にありません。

ストーム

こうしてリーグに参加しているうち、新たにパウパーで組めるようになったストームデッキが異常な強さを持っていることに気づきました。おそらくこれまで一番相手にしたことが多いデッキでしょう。

デッキ名

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最初にこのデッキを見たとき、誰かが作ったよくあるカジュアルデッキだろうと思っていました。まさか青の忍者デッキが多数いるこの環境で戦っていけるわけがないと。ところがどうでしょう、私の勘違いでした。

騒鳴の嵐電位式リレー

ストームは《電位式リレー》によって非常に粘り強く戦うことができるうえ、安定して2ターンキルができるのです!もしパウパーの大会に出ようと思うなら絶対にこのデッキは意識しておきましょう。《残響する真実》を忘れずに!

デッキを選ぶ

冒頭でお話したように、時代は変わりました。今は勝率を最大限まで高める姿勢ではなく、楽しむことを重視しています。そこで、自分のプレイスタイルに合っていて、ほかのプレイヤーにあまり警戒されていないものを使いたいと思っていたところ、私にピッタリのものが見つかりました。

赤緑ミッドレンジ

赤緑ミッドレンジ

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私のことを知っている方ならわかると思いますが、私は根っからのミッドレンジ好きです。だからこのデッキは最高なんじゃないかと直観しました!

先ほど楽しむことが主眼だと言いましたが、できることなら数マッチは勝ちたいものです。このデッキの問題点はストームに対して死に札が多く、親和の《エイトグ》にも苦戦することですが、幸いにも解決策はあります。

眷者の装飾品浄化の野火残響する真実

この赤緑ミッドレンジは2色土地、《眷者の装飾品》《浄化の野火》といった色マナサポートが豊富な構成であるため、赤緑に加えてもう一色足すことが可能であり、青を足せば《水流破》《残響する真実》を使えるようになります。語弊のないように言っておきますが、ストームとの相性はそれでも良くありません。ただ、戦えるようにはなります。

熟考漂い

青を足すメリットはほかにもあり、《熟考漂い》が選べるようになります。やや地味な《アウルベア》からの大幅の強化です。

では、現在のデッキリストを紹介しましょう。

ティムールミッドレンジ

デッキ名

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マナサポートが多いデッキとは言いましたが、黒タッチの構成よりも若干マナベースが弱くなっているのは隠せません。そこで色事故を軽減すべく《眷者の装飾品》をフル投入してあります。このカードは1枚目に比べると2枚目以降の価値が大きく下がるのは否めませんが、それを承知のうえでも採用したいほどの強さがあります。

まだ調整の初期段階にありますので、不確かなカードも多いですが、このデッキは使っていて最高に楽しいデッキです。楽しみたいと思っている人には心からおすすめしますよ!

サイドボードガイド

親和

対 親和

Out

稲妻 稲妻
残響する真実 残響する真実
眷者の装飾品

In

青霊破 青霊破 青霊破
古えの遺恨 古えの遺恨

《稲妻》は除去できるものがありません。《眷者の装飾品》は相手がアーティファクト破壊を入れてくることが多いうえに、ドロー能力を起動している暇がないので価値が低いマッチアップです。

青黒忍者

対 青黒忍者

Out

探検 探検 探検
残響する真実 残響する真実

In

赤霊破 赤霊破 赤霊破 赤霊破
紅蓮破

《赤霊破》《紅蓮破》を計5枚サイドインします。リソース交換の機会が増え、サイド後は消耗戦になるので、キャントリップしてゲームスピードを速める《探検》は必要性が下がります。

ストーム

対 ストーム

Out

苛立つアルティサウルス 苛立つアルティサウルス
感電破 感電破
稲妻 稲妻
マグマの陥没孔 削剥

In

青霊破 青霊破 青霊破
焦熱の連続砲撃 焦熱の連続砲撃 焦熱の連続砲撃
残響する真実 残響する真実

《苛立つアルティサウルス》はそのアドバンテージ獲得力が必要ないマッチアップですし、マナコストが重いがゆえに妨害を構える余裕がなくなります。そのため《苛立つアルティサウルス》と除去は確実にサイドアウト候補です。

《感電破》はクロックを早めてくれるので、数枚は残して置いて良いだろうと思います。

エルフ

対 エルフ

Out

苛立つアルティサウルス 苛立つアルティサウルス
残響する真実 残響する真実
乗り込み部隊
眷者の装飾品

In

赤霊破 赤霊破 赤霊破
焦熱の連続砲撃 焦熱の連続砲撃 焦熱の連続砲撃

エルフは実はサイド後に青のカードを多く使うので、ここでは《紅蓮破》系の呪文を数枚入れるようにしています。相手のクリーチャーをさばいて行けば1枚1枚のカードは強くないため、消耗戦に引きずり込めば勝ちやすくなるはずです。そこで重めの呪文をカットし、デッキが円滑に動くようにしています。

トロン

対 トロン

Out

感電破 感電破 感電破
稲妻 稲妻
残響する真実 残響する真実

In

赤霊破 赤霊破 赤霊破 赤霊破
古えの遺恨 古えの遺恨
紅蓮破

《古えの遺恨》《予言のプリズム》《眷者の装飾品》を破壊すれば色事故を起こすのがトロンですから、《古えの遺恨》は紛れもなく効果的です。そのほかのサイドインアウトについては説明するまでもないでしょう。


今回の内容は以上です。ぜひみなさんにもパウパーを楽しんでいただけたらと思います。今回の記事を気に入ってくれた方は私のSNSをフォローしてみて下さいね!

ではまた次回!

ペトル・ソフーレク (Twitter / Instagram / Youtube)

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Petr Sochurek 緻密な環境分析と正確無比なプレイングに裏付けられた実力は、"ヨーロッパで3本の指に入る"と称される新鋭。 【グランプリ・パリ2016】では、「グリクシスコントロール」を操り見事に優勝を勝ち取る。 世界が注目する、トッププレイヤーの1人。 Petr Sochurekの記事はこちら