USA Modern Express vol.63 -イニストラードで始まる新環境-

Kenta Hiroki

はじめに

みなさんこんにちは。

今週リリース予定の『イニストラード:真夜中の狩り』は、すでにMOで実装されており新環境の大会結果も出ています。

今回の連載では、先週末に開催されたModern Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。

Modern Challenge #12340205
『イニストラード:真夜中の狩り』からの新カード多数

2021年9月18日

  • 1位 Living End
  • 2位 Counter Monkey
  • 3位 4C Elementals
  • 4位 Azorius Control
  • 5位 Esper Reanimator
  • 6位 Jeskai Phoenix
  • 7位 Azorius Control
  • 8位 Azorius Blink

トップ8のデッキリストはこちら

『イニストラード:真夜中の狩り』実装後初のModern Challenge。早くも新カードを採用したデッキが入賞していました。

参加プレイヤーもbobthedog(Gabriel Nassif)、kanister(Piotr Glogowski)、aspiringspike(Evart Moughon)と強豪ぞろいでした。

デッキ紹介

Esper Reanimator

Esper Reanimator

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《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ウルザの物語》といったカードだけでなく『モダンホライゾン2』からさまざまな有用なカードが登場しました。《残虐の執政官》《頑強》《無名の墓》といったリアニメイトデッキを作るためのパーツがそろっており、Reanimatorはトップデッキではなかったものの一部で使われていました。

そして『イニストラード:真夜中の狩り』から登場したカードによって強化され、今回のModern Challengeでも入賞しています。

☆注目ポイント

頑強無名の墓

レガシーで使われている《納墓》《再活性》には敵わないものの、《頑強》《無名の墓》モダン版のReanimatorというアーキタイプを成立させるには十分な性能のカードでした。

《無名の墓》《頑強》はともに伝説でないカードしかサーチや対象にできませんが、《残虐の執政官》《セラの使者》という最適なターゲットが存在します。《無名の墓》はクリーチャーだけでなく、「フラッシュバック」持ちの《掘葬の儀式》もサーチできるので覚えておきたいところです。

残虐の執政官セラの使者

《残虐の執政官》はアドバンテージを稼ぎつつ、ゲームを速やかに終わらせるほどのクロック性能を持ち合わせています。場に出てしまえば、たとえ除去されてしまったとしてもすでに十分なアドバンテージが取れています。

《セラの使者》は指定したカードタイプのプロテクションを与えるという能力の性質上、相手のデッキをある程度まで理解しておく必要がありますが、主要な除去のカードタイプを指定することで相手をロックすることができ、3回攻撃を通すだけで20点のライフを削り切ることができるクロック性能は脅威となります。

ConsiderFaithful Mending

『イニストラード:真夜中の狩り』からは《考慮》《信仰の繕い》が早速採用されています。《考慮》《選択》の亜種ともいえるキャントリップスペルで、カードを墓地に置くことができるのでデッキに合っています。

Reanimatorは《信仰の繕い》の強さをもっとも活かせるデッキの一つです。インスタントスピードでライフを回復しつつ必要なカードを探し出し、クリーチャーを墓地に送ることができます。隙を作らずにリアニメイトの準備ができ、「フラッシュバック」も付いているので使いやすいスペルです。

Jeskai Phoenix

Jeskai Phoenix

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『イニストラード:真夜中の狩り』は過去に活躍していたデッキの復権にも一役買っています。

《信仰無き物あさり》が禁止になるまでモダンでトップメタの一角として活躍していたIzzet Phoenixは、最近でも《信仰無き回収》《デミリッチ》など新戦力を獲得して見られるようになりました。そしてさらに、新カードによってModern Challengeでも結果を残せるほどにまで強化されました。

墓地を使ったデッキですが、メインとサイドともに置物対策が用意されているので、見た目以上に墓地対策にも耐性があるデッキです。

☆注目ポイント

Faithful Mending

《信仰の繕い》は色を足す価値のある優秀なスペルです。2マナなので《信仰無き物あさり》と同じようにはいきませんが、インスタントスピードになりライフゲインもBurnなどライフを攻めてくるデッキとのダメージレースで助けになります。

デミリッチ弧光のフェニックス

軽いスペルと《魔力変》を使うこのデッキでは、《デミリッチ》をマナを費やさずにプレイすることも容易です。墓地から復活できる《デミリッチ》《弧光のフェニックス》は除去にも強く、《虹色の終焉》が主要な除去の1枚として使われている現環境では脅威となります。

虹色の終焉

白を足したメリットの一つとして、万能除去の《虹色の終焉》が使えるようになりました。Izzetバージョンのときには処理が難しかった《虚空の杯》《罠の橋》《安らかなる眠り》といった置物や、厄介な《ヴェクの聖別者》などメインから対策できるようになりました。Hammer Timeとのマッチアップでも有力な除去として機能します。

Azorius Control

Azorius Control

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モダン定番のアーキタイプであるAzorius Controlでしたが、『モダンホライゾン2』がリリースされて以来、しばらくコントロールは苦戦を強いられていました。しかし、環境が明らかになってくるにつれてコントロールも上位で見られるようになってきました。

環境の多くのデッキが《夢の巣のルールス》を使用しており、そのほかのデッキも「続唱」デッキやCounter Monkeyなど0-2マナのスペルを多用するため、それらの多くをシャットアウトできる《虚空の杯》は強力なコントロールカードとして機能します。

万能除去である《虹色の終焉》の登場によって1マナの除去を採用する必要性が薄れたのも、《虚空の杯》をメインから無理なく使うことができるようになった理由の一つです。

☆注目ポイント

孤独

メインからフル搭載された《孤独》は、《虹色の終焉》では処理できない《濁浪の執政》やエルドラージクリーチャー、《虹色の終焉》をケアした「疾駆」の《敏捷なこそ泥、ラガバン》も対策できます。

Memory DelugeSunset Revelry

《記憶の氾濫》《時を越えた探索》を彷彿とさせるドロースペルで、必要なカードを探しつつアドバンテージも得られる優秀なカードです。《黄昏の享楽》《機を見た援軍》よりもコストが軽く、Burnなどアグロデッキに効果的なカードで、今後よく見かけるカードになりそうです。

Fateful Absence孤児護り、カヒーラ

サイドに忍ばせてある《運命的不在》は、相手に追加のカードを与えてしまうリスクがありますが、2マナの《英雄の破滅》と同様の効果を持つ優秀な除去です。「相棒」として採用されている《孤児護り、カヒーラ》は、《孤独》のコストとしても使えるなど見た目以上に仕事をするクリーチャーです。

Modern Challenge #12340211
環境最高のミッドレンジ

2021年9月19日

  • 1位 4C Elementals
  • 2位 Mono Red Eldrazi
  • 3位 Counter Monkey
  • 4位 Golgari Yawgmoth
  • 5位 Azorius Control
  • 6位 Amulet Titan
  • 7位 Living End
  • 8位 Burn

トップ8のデッキリストはこちら

優勝を収めたのは結果を残し続けている4C Elementalsでしたが、今大会のプレイオフはLiving End、Burn、Counter Monkey、Azorius Control などさまざまなアーキタイプが勝ち残っていました。

また、前週のModern Challengeでも優勝していた赤単色のエルドラージが、今大会でも準優勝という好成績を残していました。

デッキ紹介

Mono Red Eldrazi

Mono Red Eldrazi

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Mono Red Eldraziは《砕骨の巨人》《激情》《四肢切断》といった優秀な除去や、《敏捷なこそ泥、ラガバン》《作り変えるもの》などアドバンテージが取れる優秀なクリーチャーがそろったミッドレンジです。

赤単色で《荒地》を使用しているため、《血染めの月》を無理なく使えるところもこのバージョンの特徴です。

☆注目ポイント

魂の洞窟難題の予見者現実を砕くもの

《魂の洞窟》の恩恵でカウンターに耐性があり、現環境の主要な除去が《稲妻》《虹色の終焉》である現環境では、《難題の予見者》《現実を砕くもの》は除去されにくい脅威となります。Counter Monkeyなどは、これらのために《邪悪な熱気》を温存せざるを得なくなります。

大祖始の遺産歪める嘆き血染めの月

サイドの《大祖始の遺産》は、各種《夢の巣のルールス》デッキやReanimator、Living Endなど現環境には墓地を使うデッキが数多く存在するので必須カードになります。ソーサリーをカウンターできる《歪める嘆き》「続唱」デッキに対して有力な妨害手段として機能します。《ウルザの物語》を使用したデッキや多色Elementals、土地コンボなど、現環境の多くのデッキは特殊地形を多用するため《血染めの月》を張ることで機能不全に陥ります。

4C Elementals

4C Elementals

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今大会で見事に優勝を収めた多色のElementalsは、『モダンホライゾン2』から《孤独》などインカーネーションが登場したことで見かけるようになったアーキタイプです。

相手の除去からクリーチャーを守ることができる《儚い存在》や、《孤独》《激情》《虹色の終焉》といった除去、墓地対策の《忍耐》、アドバンテージ源の《発現する浅瀬》《創造の座、オムナス》とそろっているElementalsは、ほかのミッドレンジに強いデッキとして環境に君臨しています。

☆注目ポイント

儚い存在発現する浅瀬

ETB能力を使いまわせる《儚い存在》「想起」と非常に相性の良いスペルです。「想起」でプレイしたカードを戦場に残したままにできますし、「反復」によってさらにアドバンテージを得ることが可能です。

《発現する浅瀬》は各種インカーネーションや《創造の座、オムナス》とのシナジーが強力で、ピッチスペルによって失ったアドバンテージを容易に取り戻すことができます。

楽園の拡散

必要な色マナの確保手段とマナ加速としても機能する《楽園の拡散》は、このデッキの安定性を支えています。基本土地の《森》に付けることで、劇的に刺さる《血染めの月》による被害も緩和されます。

忍耐否定の力黒曜石の焦がし口

墓地対策の《忍耐》は、各種《夢の巣のルールス》デッキや「探査」「昂揚」対策、ReanimatorやPhoenixのほかにも自分の墓地を対象にすることで「切削」対策にもなるなど多くのマッチアップで活躍します。

各種ミッドレンジやクリーチャーデッキに対して強さを発揮するElementalsですが、Tronなど土地コンボを苦手とします。土地コンボや「続唱」デッキなど異なる軸から攻めてくる戦略に対しては、サイド後に《否定の力》《黒曜石の焦がし口》といったカードで対処していきます。

総括

『イニストラード:真夜中の狩り』加入後の環境を見ていきましたが、特定のデッキが環境を支配するのではなくさまざまなアーキタイプが活躍する良環境です。特に新カードによって強化されたJeskai Phoenixは使っていて楽しそうなデッキなのでおすすめです。

全体的に墓地を使ったデッキが多いので墓地対策はこれまで以上に重要になりそうです。

以上、USA Modern Express vol.63でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!

この記事内で掲載されたカード

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Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら