【ルポ】晴れる屋がデッキリスト提出をデジタル化。なぜ?プレイヤーのメリットは?

いってつ

デッキリスト提出をデジタルへ移行

「いってつ君、これ俺よくわかんないよ!」

休憩時間に晴れる屋TC東京をぶらぶらしていると知人に声をかけられた。彼の手には「オンラインリスト提出確認用紙」が握られていた――

「いままで通り手書きじゃダメなの?」

レジ袋有料化でとまどったのも一昔前のことで、「袋ください」が常とう句になって久しい。マジックの世界もSDG’sの潮流にのり、チャレンジャーデッキや統率者デッキの梱包材をシンプルにしたりと、プラ素材をなるべく使わない方針へ転換。2023年までに梱包材をプラスチックフリーにする声明を発表している。

そんなおり、晴れる屋ではデッキリスト提出がデジタル化された。「紙に手書き」での提出は廃止となり、晴れる屋もペーパーレスへの一歩を踏み出したということなのだろうか。

「デッキリストが載る」と言えば、プレイヤーにとっては勝利の証のようなもので、たくさんのデッキリストを載せているプレイヤーはコンスタントに勝利している強豪と言えるし、ビルダーは自分のデッキの能力を証明するひとつの手段になっている。そのデッキリストの提出方法を巡って一部のプレイヤーの間ではとまどいの言葉も聞かれる。

レジ袋有料化が定着するか怪しくなってきた昨今。デッキリスト提出のデジタル化は定着するのだろうか。晴れる屋TC東京(高田馬場)で長年イベントスタッフとして活躍するスタッフに話を聞いてみた。

インタビュー

そもそもなぜシステム変更されたのか

イベントスタッフ:「実は今回のシステム変更はお客様側からの要望があって実現したのです」

――正直言って意外です。どのような要望が寄せられたのでしょうか。

イベントスタッフ:「従来から休日のイベントの一部では事前のデッキリスト提出が必須でした。そこでは以前からオンラインでのデッキリスト提出が可能だったのです。一方、平日の大会などではデッキリストの事前登録は不要で、勝者の方にデッキリストと交換に晴れる屋ポイントを贈呈していました」

――競技性の高い大会では確かに以前からそうでしたね。

イベントスタッフ:「そんななか、お客様から”休日大会はオンラインでデッキ登録できるのだから、平日もできるようにしてほしい”とのご要望がありました。”コピーして貼り付けるだけで済むオンライン提出のほうが楽だ”とのことでした。今回のシステム変更はこれにお応えした形なのです。事前にリストを準備しておけばコピペするだけでデッキリストが提出できるようになりました。」

――なるほど、時間のない人や、ふだんアリーナやマジックオンラインでプレイしている人も簡単にデッキリストが登録できるようになっています。MO用のデッキリストがエクスポートできるデッキリスト共有サイトからでもコピペでデッキ登録できますね。《空を放浪するもの、ヨーリオン》を相棒に指定していてメインボードの枚数が多い人や統率者戦のプレイヤーにも恩恵がありそうですね。

空を放浪するもの、ヨーリオン

《空を放浪するもの、ヨーリオン》を相棒に指定する場合は、
80枚以上のデッキを組まなくてはならない

イベントスタッフ:「80枚100枚と手書きするのは本当に大変ですからね。デッキリストを事前に作っていなくてもその場で入力して作ることもできます。カード名の予測変換機能も付いているので便利ですよ」

――とはいえ、スマートフォンの画面上でデッキリストを打ち込んでいくのも少し大変そうです。それこそ電池切れだったらどうしたらいいんでしょう。

イベントスタッフ:「その日の23:59までなら自宅からでもイベントページから提出ができます。また、店内に常設している注文用PCから登録していただいても結構です

――なるほど、店内注文用PCを使ってもいいのですね。それなら入力もずいぶん楽になりそうです。

デッキリストのオンライン化はユーザーファーストでの変更だったようだ。筆者自身も試してみたが、1度やってしまうと慣れてしまったのでぜひ食わず嫌いせずにチャレンジしてほしい。

ログインの際はシークレットウィンドウをお使いください。
店内PC使用後はログアウトを忘れずに。

となると――

ここからはもう少し踏み込んだ質問をしてみた。

――では、今後は平日大会でも事前のデッキ登録が必要になったりするのでしょうか。

イベントスタッフ:「そんなことはありません。平日大会はこれまで通り、デッキを持ってきてすぐ参加できるイベントになっています。ただ、事前に自宅でイベントページからデッキ登録をしておくことは可能です。提出締め切りまでは一度登録したデッキ内容の編集もできます」

――その日に使うデッキがはっきりしている方には便利ですね。カジュアルなイベントでも3-0したというのは名誉なことなので、ぜひデッキリストを載せて自慢してほしいです。

イベントスタッフ:「一方、『神挑戦者決定戦』などルール適用度『競技』である大型大会では今まで通り事前のデッキリスト提出が必須になっています。デッキリストに不備があるとゲームの敗北や失格など厳しい懲罰が適用される恐れもあるので注意して登録してください」

――競技性の高い大会ではデッキリストの提出もシビアですね。それだけに勝者が勝ち取る賞品や名誉も大きくなっているのでぜひ挑戦してほしいです。

デッキリストが公開されるということは環境理解のための重要な情報が増えることになる。マジックコミュニティの全体利益のためにもデッキリストの提出は意義深い。それが誰かのリストの完全コピーであっても、「あのアーキタイプがまた3-0している」というのは重要な情報だ。

3-0した場合などデッキリスト提出を求められて、オンラインでデッキリスト提出すると「シングルカード100円引き券」がもらえるキャンペーンも実施中とのこと。さらにアドを稼いでいこう!

――ところで僕は先日レガシーの大会に出て0-3という悲しい成績だったのですが、事前にデッキリストを登録してしまいました。僕の成績はデッキリストとともに公開されてしまうのでしょうか。

イベントスタッフ:「原則的にデッキリストの公開は3-0やラウンド勝者などの入賞者に限ります。しかし提出されたリストはスタッフが目を通すので、思わぬところで影響を与えることになるかもしれませんね」

――ああ、よかった。(?)

――ところで、ご要望をくださったお客様がいらっしゃったとのことですが、仮に僕が何か要望を出したいとしたらどのようにお伝えすればよいのでしょうか。

イベントスタッフ:「イベントスタッフに直接伝えていただいても結構ですし、お問い合わせフォームからでも可能です。導入・改良してほしいサービスやシステムについてご要望いただければお応えできるかもしれません!」

――そういえば今は統率者イベントでも勝利デッキを掲載しています。コマンダーサミットではどうなるのでしょう?

イベントスタッフ:詳細は調整中ですが、コマンダーサミットでもデッキリストの登録をしていただけます。変則フォーマットであるヒュージリーダーズやオースブレイカーなどのデッキも登録できるように準備を進めておりますので、変則フォーマットの愛好家の方にもぜひデッキリスト登録をお願いしたいです。

――それは素晴らしい施策ですね!コマンダーサミットが一層楽しみになってきました。

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まとめ

紙に手書きでのデッキリスト提出は廃止され、オンラインでの提出に一本化された。アリーナやMOで使っているリストをそのまま流し込めるし、イベント前に提出することだってできる。

デッキリスト登録が簡単になっていく。デッキ登録用紙の上でペンを走らせながら「いやあ、3-0はうれしいんだけどさあ。デッキリスト書くのが大変だよへへへ」なんてはにかむことは無くなる。

「え!デッキリスト手書きだったってマジですか、メチャクチャしんどいじゃないですか!」なんて言われる日がやがてやってくる。

メタゲームは今日も回っていく。新しい統率者デッキが生まれる。マジックのイベントの面白さ、3-0の名誉は変わらない。

冒頭に登場した知人は今日もスタンダードの大会に出ていた。緑単で3-0したらしい。

「リスト提出?あれね、一回やってみたら慣れちゃったよ。楽でいいね!」

彼は上機嫌で1500円分のポイントとシングルカード割引券を持ち帰っていった。

「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」という言葉がある。「よくわかんないからデッキリスト提出しなくていいや」をいつまでも続けてしまってはもったいない。はじめは抵抗があるかもしれないが、ぜひオンラインのデッキリスト提出を試してみて欲しい。

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いってつ 晴れる屋メディアライターです。最近の悩みは記事執筆と動画出演で忙しくて統率者戦が1日2回くらいしか遊べないこと。 いってつの記事はこちら

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