統率者列伝!「これからの妨害の話をしよう」《大衆扇動者、ブリーナ》

いってつ

統率者列伝! ストリクスヘイヴン白熱教室

みなさんこんにちは、統率者戦が3度のメシくらい好きないってつです。食欲の秋ですね。そして統率者の秋ですね。

今回紹介する統率者はコンボをつかわずコンボデッキを蹴落とす「教授」です。

統率者の特徴

今回紹介するのは白黒の《大衆扇動者、ブリーナ》

『ストリクスヘイヴン:魔法学院』の統率者デッキで登場した統率者です。

「シルバークイル大学」の教授である彼女は、テロリストに脅迫されても逆に相手を説得して足を洗わせるなど、相手を思い通りにする技術を持っています。《大衆扇動者、ブリーナ》はゲームでもその口八丁で対戦相手を翻弄します。

大衆扇動者、ブリーナ

《大衆扇動者、ブリーナ》 (1)(白)(黒)

飛行

プレイヤー1人があなたの対戦相手1人を攻撃するたび、その攻撃されたプレイヤーのライフが他のあなたの対戦相手1人より多い場合、その攻撃プレイヤーはカード1枚を引き、あなたはあなたがコントロールしているクリーチャー1体の上に+1/+1カウンター2個を置く。

1/3

能力の誘発条件がかなりややこしいのでまとめましょう。

『プレイヤーが対戦相手(ブリーナのコントローラー以外)を攻撃する』
『防御プレイヤーのライフが対戦相手の中で最低ではない』

この条件を満たしていると、

『攻撃プレイヤーはドロー』
『ブリーナのコントローラーは自分のクリーチャー1体に+1/+1カウンターを二つのせる』

メレティスのキナイオスとティロ三日月の神

……という誘発型能力。対戦相手にもドローをさせるため、お祭り系統率者かと思いきや、実際にゲームが始まるとドローできる機会が《大衆扇動者、ブリーナ》のコントローラーと対戦相手で大きく異なることがわかります。

4人のライフが40、39,38、37の場合、ブリーナのコントローラーはライフが一番小さいプレイヤーを避けて2枚ドローできますが、対戦相手の中でライフが最小のプレイヤーのみが2枚ドローでき、ほかのプレイヤーは1枚しか引けません。

ブリーナのコントローラーのライフが40,ほか3人が39、38,38といった場合には、全員のドロー条件が一緒になりますが、デリーナのコントローラーは自軍が勝手に成長する漁夫の利を得ます。

対戦相手にドローを供給してしまうことに強い抵抗があるかもしれませんが、対戦相手がドローするとこちらもクリーチャーを二段階サイズアップします。ブリーナはあっという間にパワー11を超え、飛行のパンチ2回で対戦相手1人を蹴落とせるようになります。

破壊耐性は無いので除去は容易ですが、通常ドローと合わせて毎ターン3枚ドローするので後続をバッチリ構えられます。

2021/10/20 追記

《大衆扇動者、ブリーナ》の誘発型能力の誘発条件について増補しました。

デッキのコンセプト

統率者戦用デッキリスト
ブリーナスタックス

クリックして拡大

それでは《大衆扇動者、ブリーナ》の具体的な戦術を見ていきましょう。

統率者戦はテーブルのレベルが上がるにつれてコンボでの勝利を目指すデッキが増え、毎ターンダメージを与えて勝利するデッキというのはどんどん見られなくなります。

タッサの神託者むかつき深淵への覗き込み

特に《むかつき》《深淵への覗き込み》を早期に唱えて大量のカードを獲得し、《金属モックス》などの0マナアーティファクトや《暗黒の儀式》でマナを増やして「オラクルコンボ」や「ブリーチコンボ」を目指すデッキの活躍には目覚ましいものがあります。

こうしたコンボに対して強力にけん制するのが「スタックス」と呼ばれるデッキです。

煙突

かつて《煙突》で徹底的に対戦相手の行動を制限するデッキが存在していました。そのカード名から「スタックス」と呼ばれています。
(※アーキタイプとしての「スタックス」の由来には諸説あり)

今日では《煙突》を採用したデッキは少なくなってしまいましたが、対戦相手の行動を制限するカードは「スタックスカード」「スタックスクリーチャー」と呼ばれたりします。

ドラニスの判事ダウスィーの虚空歩きスレイベンの守護者、サリア

最序盤は対戦相手の動きを制限するスタックスクリーチャーを展開していきます。

しかしこれだけではゲームスピードを落としただけです。いずれ《断絶》《致命的なはしゃぎ回り》で除去されてコンボを押し通されてしまいます。そこで《大衆扇動者、ブリーナ》の能力が生きてきます。

ただ妨害するだけだったスタックスクリーチャーたちが攻撃時にドローを供給してくれるようになるのです。ドローしたカードからさらにスタックスカードを展開していきましょう。そうしてコンボデッキがモジモジしている間に《大衆扇動者、ブリーナ》のサイズがどんどん大きくなっていきます。

エメリアのアルコン静寂をもたらすもの敵対工作員

どれか1体を除去してもコンボに入れない……

対戦相手はスタックスクリーチャーを除去するか《大衆扇動者、ブリーナ》を除去するか悩みます。差し迫った脅威は2パン統率者ですが、スタックスクリーチャーを除去できなければ自分の勝利は遠のきます。

統率者戦で1ゲームに使える単体除去の数はごく限られた数しかありません。スタックスクリーチャーを除去してコンボに入れるのならいいですが、《大衆扇動者、ブリーナ》が供給するドローからスタックスクリーチャーを複数体展開すると、「1体どかした程度では自分がコンボに入れず、ほかの対戦相手へのアシストになってしまう」という状況が生まれます。

こうなれば対戦相手は除去を握っていてもなかなか打つことができなくなってしまいます。やがて対戦相手は統率者ダメージを刻んでくる《大衆扇動者、ブリーナ》に除去を撃つ羽目になりますが、これは数少ない除去を後ろ向きに使わせることに成功しています。

船殻破り

高レベルな統率者戦にはもともと全体除去が少なく、《船殻破り》の退場で単体除去もほかの役割のカードに置き換えられています。

そんなトレンドに乗るのが《大衆扇動者、ブリーナ》率いるスタックスデッキです。大量のスタックスクリーチャーがドローを供給しながら《大衆扇動者、ブリーナ》をフィニッシャーに育て上げます。

相性のいいカード

イカれたデッキメンバーを紹介するぜ!

繰り返しになりますが、《大衆扇動者、ブリーナ》の影響下ではスタックスクリーチャーは「妨害で対戦相手の勝利を遠のけ」つつ、こちらの「打点を上げながらドローすることで勝利に近づける」攻防一体のカードになっています。

唱えさせない

エーテル宣誓会の法学者スレイベンの守護者、サリア弁論の幻霊エメリアのアルコン

各ターンの呪文を唱える回数を制限するクリーチャーたち。ほとんどのコンボは呪文の相互作用によって成立しているため、毎ターン1つしか唱えられないとなればそもそもコンボに挑戦することさえできません。これらのクリーチャーが2体並べば負けることがほとんどなくなります。

《大衆扇動者、ブリーナ》が対戦相手に与えてしまうドローが活かされてしまうのも牽制します。

耳の痛い静寂

《耳の痛い静寂》はクリーチャー主体であるこのデッキには最高のスタックスカードです。

クリーチャーの能力を阻害する

静寂をもたらすもの静翼のグリフ

《スレイベンの守護者、サリア》《耳の痛い静寂》などはクリーチャーによるコンボには無力です。そこで採用されているのがこの二枚。《静寂をもたらすもの》はクリーチャーが戦場に出たとき・死亡したときの誘発をすべてキャンセルさせます。《波止場の恐喝者》《タッサの神託者》の誘発をキャンセルできるのはかなり優秀です。

《静翼のグリフ》は瞬速を持っていることも魅力的です。対戦相手の《波止場の恐喝者》にぶつけましょう。自分が《エメリアのアルコン》を出していても、対戦相手のターン中に行動してクリーチャーを増やすこともできます。飛行も持っているので、《大衆扇動者、ブリーナ》を育てるアタッカーとしても活躍できます。

ファイレクシアの破棄者静寂の守り手、リンヴァーラ

クリーチャーの起動型能力だって止められます。《ファイレクシアの破棄者》《真髄の針》を内蔵したようなクリーチャーですが、マナ能力も制限することができます。統率者が強力な起動型能力を持つならそれを止めてしまいましょう。

《静寂の守り手、リンヴァーラ》なら対戦相手のクリーチャーの起動型能力をすべてストップさせます。マナ能力さえ許さないので、緑の濃いデッキはプランが崩壊します。

そのほか

ダウスィーの虚空歩き敵対工作員

《ダウスィーの虚空歩き》は墓地利用とサーチ呪文を牽制する素晴らしい1枚です。対戦相手の墓地に置かれるカードはすべて追放され、《ダウスィーの虚空歩き》の能力で逆に利用できてしまいます。《神秘の教示者》などで除去を探すと、解決して追放されたサーチ呪文を相手に利用されてしまうのです。サーチ呪文を相手に渡してしまうのはリスクが大きいため、サーチ呪文ほか、強力な呪文が打ちにくくなってしまいます。

《敵対工作員》は対戦相手がサーチするカードをそのまま奪い取ることができます。対戦相手のデッキから《タッサの神託者》を引き抜き、自分の《汚れた契約》で勝利することも可能です。《敵対工作員》の能力で対戦相手をコントロールしている間はその手札も見ておくことをお忘れなく。

+1/+1カウンターと相性のいいカード

エスパーの歩哨ウーナの黒近衛歩行バリスタ

《大衆扇動者、ブリーナ》の能力でカウンターを載せる先は《大衆扇動者、ブリーナ》自身でなくてもかまいません。

《エスパーの歩哨》は白のちっちゃい《Mystic Remora》と呼ばれていました。毎ターン初めてクリーチャーでない呪文を唱えたとき、《エスパーの歩哨》のパワーぶんのマナを追加で払わなければドローさせてしまいます。「毎ターン1マナくらいならなんとか払おう」と対戦相手は考えますが、《大衆扇動者、ブリーナ》の能力で3/3になり、時には5/5まで育て上げます。こうなれば対戦相手はとても《エスパーの歩哨》をケアしていられません。

《ウーナの黒近衛》はスタックスクリーチャーが並んで盤面が仕上がってきたときに出すことでゲームを大きく有利にするクリーチャー。このデッキにならず者はいませんが、《大衆扇動者、ブリーナ》でカウンターをのせたスタックスクリーチャーが対戦相手に戦闘ダメージを与えるたびに手札を1枚捨てさせることができます。対戦相手の選択肢をさらに絞ってやりましょう。

《歩行バリスタ》はカウンターを外してダメージを飛ばせる装置。X=1で設置して、《大衆扇動者、ブリーナ》でカウンターを載せてやれば対戦相手の飛行ブロッカーやプレインズウォーカーもどんどん焼いていけます。《太陽冠のヘリオッド》との無限ダメージコンボも狙いに行けます。

いってつのイチオシ!

不気味な雇われ人

《不気味な雇われ人》は『フォーゴトン・レルム探訪』統率者セットに収録されていたクリーチャー。対戦相手に戦闘ダメージを与えると、ダメージを受けたプレイヤー一人につき2個の宝物を出します。《不気味な雇われ人》自身は攻撃する必要が無いため、このデッキでは《不気味な雇われ人》が戦場に出たターンから対戦相手3人を攻撃して6個の宝物を獲得できます。

《不気味な雇われ人》の素晴らしい点は自身が宝物の使い道でもあることです。宝物X個を生け贄に捧げてクリーチャーを-X/-X修正できます。自分のクリーチャーも対象にとれるので、自分がコンボを決めに行くときに邪魔なスタックスクリーチャーがいれば自ら除去することも可能です。

おわりに

コンボデッキは使いたくないけどコンボデッキに勝ちたい!という方はスタックスデッキを組んでみてもいいかもしれません。構築するときは明確で現実的な勝利手段を備えておきましょう。ただゲームを絞めつけてほかの人が勝ってしまうのでは本末転倒です。

スタックスデッキの面白さは構築とマリガン判断にあると思います。メタを読んでよりクリティカルなカードを探し、ゲーム前に公開される互いの統率者を見て、どんなカードを握っていれば勝てるのか考えます。対戦相手の腹を探るのが好きな方には非常におすすめです。いざマインドパレスへ。

サイクロンの裂け目毒の濁流

ま、ターン順の都合でスタックス展開が遅れてもだめだし、
《毒の濁流》に震えることにはなっちゃうけどね。
無敵のデッキなんてありません。

統率者戦の大規模イベント「コマンダーサミット」も近づいてきました!

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コマンダーサミットは朝から晩までさまざまなレベルの統率者戦、各種変則フォーマットを楽しめる機会です。それは同時に、まだ見ぬ統率者、デッキ、そしてプレイヤーと出会う機会でもあります。コマンダーサミットでの出会いから新しいコミュニティが生まれることを私たちは期待しています。

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この日は晴れる屋チャンネルのメインパーソナリティーであるトロピ大塚や僕自身もたくさんのデッキを持ち込んで参加予定です!

それではみなさん、統率者戦のテーブルでぜひお会いしましょう!

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いってつ 晴れる屋メディアライターです。最近の悩みは記事執筆と動画出演で忙しくて統率者戦が1日2回くらいしか遊べないこと。 いってつの記事はこちら

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