はじめに
みなさんこんにちは。
先週末は延期が続いていたThe Last Sun 2020が無事開催されました。そして今年もオンラインでEternal Weekendが開催されます。
さて、今回の連載ではThe Last Sun 2020、Legacy Showcase Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。また、ボーナストピックとして《敏捷なこそ泥、ラガバン》を禁止にして行われた「RagaBANNED Tournament」の結果をお届けします。
The Last Sun 2020
The Last Sunでも”猿”が大暴れ
2021年11月6日
- 1位 Aluren
- 2位 4C Control
- 3位 Death and Taxes
- 4位 Lands
- 5位 Izzet Delver
- 6位 Izzet Delver
- 7位 Izzet Delver
- 8位 Reanimator
京極 匡将
トップ8のデッキリストはこちら
社会情勢によって延期を余儀なくされたThe Last Sun 2020でしたが無事に開催されました。The Last Sunは通例2つのフォーマットを用いて競われ、今年はパイオニアとレガシーで行われました。
メタゲームブレイクダウンによると、環境の大本命とされているIzzet Delverが使用者35名(全体の33.9パーセント)とほかを大きく突き放した使用率を誇っています。
ほかに結果を残したデッキは、LandsやAluren、4C ControlなどIzzet Delverに強いデッキが散見されました。
デッキ紹介
Lands
Izzet Delverの次に高い使用率だったのがLandsです。Landsはカウンターされない土地を中心とした戦略なため、現環境のトップメタであるIzzet Delverを含めた青ベースのフェアデッキに強いデッキです。不利なマッチであるコンボデッキが少ないのも選択の理由となりました。
レガシーで長い間活躍し続けているデッキで、基本的な動きは《踏査》や《モックス・ダイアモンド》といったマナ加速や墓地から土地を回収する《壌土からの生命》を利用してアドバンテージを稼いでいき、《リシャーダの港》や《不毛の大地》によって相手の動きを制限することです。相手のクリーチャーは《イス卿の迷路》や《罰する火》+《燃え柳の木立ち》によって対処していきます。
このデッキの主なフィニッシャーは《暗黒の深部》+《演劇の舞台》から生み出される《マリット・レイジトークン》で、たとえ《剣を鍬に》などで対処されてしまったとしても《壌土からの生命》によってコンボパーツを再利用することができます。
☆注目ポイント
土地が並ぶこのデッキでは《ウルザの物語》によって構築物・トークンを生成するマナに困ることが少なく、《壌土からの生命》で使いまわす動きは多くのフェアデッキにとって脅威となります。
また《演劇の舞台》との組み合わせが特に強力で、《演劇の舞台》で《ウルザの物語》をコピーし、Ⅲ章が解決する前に《演劇の舞台》をほかの土地にコピーすることでサクリファイスする必要がなくなり、構築物・トークンを生成し続けることができます。
《否定の力》によって以前よりも厳しくはなりましたが、毎ターン「発掘」することができる《壌土からの生命》はカウンターに耐性があり、このデッキが青いフェアデッキに強い理由の一つです。
その《否定の力》を対策するために、サイドには《紅蓮破》と《赤霊破》が合わせて4枚採用されています。ほかには《濁浪の執政》や《実物提示教育》、各コンボデッキのキャントリップなどいろいろなマッチで活躍してくれます。
《忍耐》や《活性の力》といったピッチスペルはさまざまなマッチアップでキーとなります。《忍耐》は墓地を使ったコンボやDelver系とのマッチだけでなく、Doomsdayコンボ対策としても使えます。《活性の力》は《血染めの月》や《基本に帰れ》、《安らかなる眠り》、相手の《ウルザの物語》などを対策することができるので、特にこのデッキよりも速い段階から厄介な置物を複数展開してくるMono Red Stompyなどとのマッチアップでは重宝します。
4C Control
《アーカムの天測儀》が禁止カードに指定されて以来、多色のコントロールはマナ基盤が安定しているBantバージョンが主流になりましたが、最近は基本地形をまったく採用していない4色コントロールも見られるようになりました。
強力なドローソースである《表現の反復》はDelver系以外のデッキでも採用されています。4色だけありデッキパワーが高く、《忍耐》や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》といった脅威はIzzet Delverにとって対処が難しい脅威です。
4色バージョンになっても基本的な戦略に変化はなく、相手の脅威を対処しつつ《表現の反復》や《森の知恵》でアドバンテージ差を広げていき、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《精神を刻む者、ジェイス》といったフィニッシャーに繋げていきます。
☆注目ポイント
4色になったことで《不毛の大地》に弱くなったことが懸念されますが、メインから採用されている《壌土からの生命》でリソースのリカバリーもしやすくなっています。
コントロールにとって相手の《ウルザの物語》が脅威となるため、4色ですが《不毛の大地》も採用されています。《壌土からの生命》によって《不毛の大地》を回収して相手の土地を攻めることもできるので、従来までのコントロールと比べるとLandsやCloud Post系との相性も緩和されています。
赤をタッチすることで《紅蓮破》《溶融》《イゼットの静電術師》といったカードが使えるようになりました。おなじみの《紅蓮破》は最近結果を残し続けているEcho Affinityにもサイドインすることができます。《溶融》も主にEcho Affinityへの対策カードとなります。《イゼットの静電術師》はElvesやDeath and Taxesといったタフネス1クリーチャーを並べてくるデッキとのマッチアップで重宝します。
Legacy Challenge #12353455
ウルザと猿の物語は続く
2021年11月7日
- 1位 Death and Taxes
- 2位 Izzet Delver
- 3位 Jeskai Ragavan
- 4位 Izzet Delver
- 5位 Painter
- 6位 4C Zenith
- 7位 Izzet Saga Ragavan
- 8位 Echo Affinity
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最近参加者が集まりにくくなっているレガシーのイベントですが、日曜日に開催されたLegacy Showcase Challengeは、Showcase本戦への参加権がかかっているため、普段より多くのプレイヤーが参加していました。
ここでも、トップメタのIzzet Delverは決勝戦まで勝ち残る安定した強さを見せています。
デッキ紹介
Izzet Delver
環境の大本命であるIzzet Delver。最近では《秘密を掘り下げる者》などクリーチャーを減らして、《ウルザの物語》パッケージと除去を多めに入れたミッドレンジ寄りのバージョンも散見されます。
現在のレガシーの大会に出るなら1番にオススメできるデッキで、Eternal Weekendでももっとも高い使用率であることが予想されます。ミラーマッチも多発するため、このデッキを使う場合はミラーマッチの練習はしっかりとしておくといいでしょう。
☆注目ポイント
《はらわた撃ち》は同型の《敏捷なこそ泥、ラガバン》をもっとも効率的に処理できる手段です。同型にありがちな「相手の《敏捷なこそ泥、ラガバン》を《稲妻》で対処しようとしたら、《目くらまし》で対処されて不利な戦いを強いられる」ことも少なくなります。
0マナでプレイできるのでタフネス1のクリーチャーが多いDeath and Taxesにも有力な除去で、「諜報」持ちの《ドラゴンの怒りの媒介者》や「探査」クリーチャーの《濁浪の執政》とも相性のいいスペルです。同型が多くなることが予想されるEternal Weekendでも活躍が期待できます。
サイドの《狡猾の宮廷》は見慣れないカードですが、コントロールやLandsといったクリーチャーに強いデッキに対してサイドインされます。《真の名の宿敵》も除去耐性と回避能力の高さから、多色コントロールやLandsなどとのマッチアップで信頼性の高いクロックとなります。
Death and Taxes
環境を問わず常に一定数存在するDeath and Taxes。比較的最近のセットによって強化され、カードパワーが飛躍的に向上した現環境でも活躍しています。特に《孤独》と《空を放浪するもの、ヨーリオン》はこのデッキにとっては大きな収穫でした。
最近は《空を放浪するもの、ヨーリオン》を「相棒」にした80枚バージョンが主流で、マナ基盤も《ウルザの物語》パッケージや《平地》をサーチできる《永久のドラゴン》など、デッキパワーを上げつつも安定性が損なわれないように入念な調整がされています。
☆注目ポイント
《空を放浪するもの、ヨーリオン》は、場に出たときの能力を持つクリーチャーを多用するこのデッキと非常に相性が良く、《孤独》のピッチコストとしても使用することができます。
白単のDeath and Taxesは《孤独》のピッチコストに困ることが少なく、追加の《剣を鍬に》として多くのクリーチャーデッキとのマッチアップで活躍します。
《ウルザの物語》によってメインでは《改良式鋳造所》や《影槍》を、サイド後は墓地対策の《大祖始の遺産》などを状況に応じてサーチしてこれるようになりました。『イニストラード:真夜中の狩り』から登場した《聖戦士の奇襲兵》は、《護衛募集員》でサーチできる《解呪》で、レガシーは厄介な置物が散見されるためいろいろなマッチアップで活躍します。
ボーナストピック:RagaBANNED Tournament
2021年11月6日
- 1位 Death and Taxes
- 2位 Izzet Delver
- 3位 4C Control
- 4位 Echo Affinity
- 5位 Mono Green Cloudpost
- 6位 Mono Red Stompy
- 7位 TES
- 8位 4C Control
トップ8のデッキリストはこちら
レガシーを定期的に配信しているストリーマーであり、コントロールのエキスパートとしても有名なAnuraag Das(@anzidmtg)の主催する《敏捷なこそ泥、ラガバン》を禁止にしたNo Ragavan Tounamentが土曜日に行われました。
ダブルイルミネーション形式で、Delver一強の現環境のレガシーと異なり、さまざまなデッキが2敗以上の成績を残していました。今大会の結果は、Eternal Weekend後に告知されるであろう禁止改定後の環境を考えるうえで参考になると思います。
Izzet Delverは決勝戦にまで残るという健闘を見せたものの、《敏捷なこそ泥、ラガバン》の不在によって大きく弱体化したことが分かります。Death and Taxesは、現在でもShowcase Challengeでも優勝するなど十分な強さを見せており、Eternal Weekend後の環境でも活躍が期待できそうです。
デッキ紹介
4C Control
残念ながら時間切れによって準々決勝で敗れてしまったMatthew Vook氏でしたが、新環境に向けてコントロールデッキを仕上げているのは流石の強豪プレイヤーです。
本人が現環境ではタッチ赤のバージョンのほうがいいとツイートしていましたが、もし今大会のように《敏捷なこそ泥、ラガバン》のみが禁止になる場合は新環境に向けて参考になるリストだといえます。
☆注目ポイント
《敏捷なこそ泥、ラガバン》が禁止になったとしても、《目くらまし》と《濁浪の執政》があればDelverデッキは環境に残ることが予想されます。《悪意の大梟》はキャントリップしつつIzzet Delverのアタッカーと交換することができる優秀なクリーチャーです。《忍耐》とともにこのデッキの守りの要となります。
メインから採用されている《激しい叱責》は、主にコントロールにとって脅威となる《ウルザの物語》対策として機能します。サイドの《疫病を仕組むもの》はDeath and TaxesやElves、《若き紅蓮術士》《真の名の宿敵》といったさまざまな脅威を対策することができます。
Izzet Delver
《敏捷なこそ泥、ラガバン》が禁止になった環境では勝率こそ落としたものの、今大会でも準優勝という好成績を残していました。
☆注目ポイント
《敏捷なこそ泥、ラガバン》が禁止になった環境では、《秘密を掘り下げる者》がスタメン復帰を果たしています。《虹色の終焉》など優秀な単体除去が幅を利かせていることを想定し、《若き紅蓮術士》で横に並べる戦略も採用されています。
《敏捷なこそ泥、ラガバン》と同じようにはいきませんが、《若き紅蓮術士》などに相手に除去を使わせて、《濁浪の執政》でゲームを終わらせるという動きは健在です。
総括
先日、公式からEternal Weekendが終わるまでは禁止改定を行わないと発表がありました。
これについては賛否両論がありますが、Eternal Weekendの結果を見て最終的な判断を下すという方向になったようです。今回取りあげたデッキはどれもEternal Weekend本戦にオススメできるもので、それ以外のデッキでは前回の連載でも紹介したEcho AffinityやCounter Monkeyなどがオススメです。
以上、USA Legacy Express vol.191でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシライフを!