はじめに
みなさんこんにちは。
構築フォーマットの中でも人気のあるモダンですが、日本国内では年末に開催予定のThe Last Sun 2021のフォーマットにモダンが採用されていることもあり、今もっとも熱いフォーマットの一つでもあります。
さて、今回の連載では先週末に開催されたModern Showcase ChallengeとModern Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Modern Challenge #12355688
Belcher、ショーケースチャレンジを制する
2021年11月13日
- 1位 Belcher
- 2位 Merfolk
- 3位 Azorius Control
- 4位 Amulet Titan
- 5位 4C Control
- 6位 Hammer Time
- 7位 Jund Saga
- 8位 Jund Saga
トップ8のデッキリストはこちら
参加者300名超えのShowcase Challengeは、さまざまなデッキが活躍するモダンらしい結果となりました。決勝戦にCounter Monkey、4C Control、Hammer Timeなどのトップメタの姿はなく、優勝を収めたのはメインから《否定の契約》をフル搭載し、追加の勝ち手段として《紅蓮術士の昇天》を採用したBelcherでした。
優勝こそ逃したものの、Merfolkは今大会で準優勝という好成績を残しました。また、Amulet Titanも入賞しており、4C Controlなど多色のタップアウトミッドレンジが中心のメタから動きが見られます。
デッキ紹介
4C Control
4C は複数の強力なプレインズウォーカーや《創造の座、オムナス》を《否定の力》や《孤独》といったピッチスペルでサポートしていくタップアウトコントロールです。
《対抗呪文》や《虹色の終焉》といった軽い妨害スペルで序盤を凌いでいき、カードパワーの高さで相手を圧倒します。多色デッキなので《血染めの月》を使うデッキには弱くなります。そのため、サイドの《活性の力》や《天界の粛清》は必須となります。
☆注目ポイント
《レンと六番》はモダンを定義するプレインズウォーカーとして定着しています。
フェッチランドを回収することができる[+1]能力は、多色であるこのデッキの安定性を支えています。このデッキでは《孤立した砂州》など「サイクリング」ランドを再利用することでカードアドバンテージを稼ぐこともできます。《ドラゴンの怒りの媒介者》や《敏捷なこそ泥、ラガバン》など現環境には強力なタフネス1クリーチャーが散見されるため、[-1]能力も非常に便利な除去として機能します。
《忍耐》はLiving Endなど墓地を使うコンボデッキとのマッチアップだけでなく、Dimir Millなどライブラリーアウトを狙ってくるデッキにも有効なサイドボードカードになります。
Azoriusコントロールと同様に1マナのスペルを採用していないため、《虚空の杯》を無理なく採用することができます。Counter MonkeyやRakdos、Hammer Timeなど1マナ域を多用するデッキに対してサイドインされます。
このデッキの課題点としては、「疾駆」でプレイされた《敏捷なこそ泥、ラガバン》の対処が難しいことです。メタによっては《稲妻》などインスタントスピードの除去を増やすことも考慮に値します。
Belcher
『ゼンディカーの夜明け』から登場した両面カードによってトーナメントレベルにまで強化されたコンボデッキ。最近プレイオフに入賞し続けているなど活躍が著しかったBelcherですが、優勝は初めてです。
デッキの基本的な動きなどは前回の連載でも紹介しています。勝因としては、デッキが警戒されていなかったというのもありますが、現環境の多くのデッキがクリーチャーベースなので、各デッキの妨害も《孤独》《虹色の終焉》《至高の評決》といったクリーチャー除去が多く、《否定の力》などスペルベースのコンボ対策が少なめだったというのが挙げられます。4C Controlなどタップアウトコントロールが中心のメタなのもこのデッキにとっては追い風でした。
☆注目ポイント
今大会で優勝を果たしたリストは、一般的なリストと比べると特徴的に仕上がっています。まず、今までメインからフル搭載されていた《血染めの月》がサイドに落とされています。マナ加速から2ターン目に《血染めの月》をプレイするのは強力に思えますが、メインから《否定の契約》がフル搭載されているなど、《ゴブリンの放火砲》を無理やり通して勝つという戦略にフォーカスしているようです。
コンボデッキは爆発力がある分リソースが不足しがちですが、《小道の再交差》によって「奇跡」を仕込むことができるので、2マナの《Wheel of Fortune》として扱える《魂の再鍛》によってリソースを回復させることで再度コンボを仕掛けることができます。
貴重なサイドボードのスペースに、デッキのコンセプトにまったく合っていない《孤児護り、カヒーラ》が「相棒」として採用されています。現環境で《孤児護り、カヒーラ》を採用しているデッキは、Azorius ControlやElementalsなので、相手のマリガン判断を狂わせることに貢献したことが予想されます。
このデッキでは《紅蓮術士の昇天》は強力なアドバンテージ源兼追加の勝ち手段として機能します。《紅蓮術士の昇天》に2個以上カウンターが乗った状態で、墓地からカードを回収する《バーラ・ゲドの復活》や「儀式」スペル、《魔力変》をコピーで使いまわし続けて最終的に《棘平原の危険》によってゲームを決めることができます。
Merfolk
Merfolkはマジックでももっともポピュラーな部族デッキの一つです。軽いMerfolkクリーチャーとそれを強化するロードを並べてビートダウンしていくデッキで、『モダンホライゾン2』からも収穫がありました。現環境で多くのデッキに有効なカードとされている《血染めの月》の影響をあまり受けないのもこのデッキの強みです。
Merfolkクリーチャーの枚数は少なめで、《大魔導師の魔除け》や《緻密》といったカードが採られているなど個性的なリストに仕上がっています。
☆注目ポイント
意外と最近のセットからの収穫が多いMerfolk。《激浪の形成師》は殴れる《広がりゆく海》としてこのデッキの新戦力として定着しています。また、トリプルシンボルの《大魔導師の魔除け》のために《変わり谷》を諦めています。カウンターだけでなくカードドロー、そしてパーマネント奪取というフレキシブルな効果はこのデッキでも重宝します。
《アトランティスの王》が2枚にまで削られており、Merfolkクリーチャーやロードも少なめとなっているので、ロードをコピーできる《玻璃池のミミック》でカバーしていきます。《海と空のシヴィエルン》は単体でも3マナ3/4とサイズ面で優れ、除去耐性&カードアドバンテージと中々の性能です。
《緻密》と《マーフォークのペテン師》はクリーチャーデッキが中心の現環境では強力な妨害手段として機能します。《緻密》は環境主流の除去として定着している《孤独》対策になります。《マーフォークのペテン師》は《潮流の先駆け》と相性が良いクリーチャーで、タップしたクリーチャーをバウンスすることができ、インスタントタイミングで動くことが必須となるHammer Timeや《敏捷なこそ泥、ラガバン》を使ったデッキとのマッチアップで重宝します。
Modern Challenge #12355715
Belcherが連覇
2021年11月14日
- 1位 Belcher
- 2位 4C Elementals
- 3位 Glimpse Combo
- 4位 Hammer time
- 5位 Counter Monkey
- 6位 Belcher
- 7位 5C Control
- 8位 4C Midrange
トップ8のデッキリストはこちら
BelcherがShowcase Challengeから引き続いて優勝という快挙を成し遂げました。
Belcherは今大会では優勝者を含めるとプレイオフに2名の入賞者を輩出し、Showcase Challengeでのパフォーマンスが偶然ではなかったことが証明されました。ほかにも、3位にGlimpseなどコンボデッキが活躍しています。
デッキ紹介
Counter Monkey
Showcase Challengeでは振るいませんでしたが、人気があるデッキなので今週末にラスベガスで開催されるイベントでも見られそうです。
『イニストラード:真夜中の狩り』リリース後の最も注目すべき変更点は、《考慮》が《思考掃き》の枠に採用されるようになったことです。
このデッキが登場した『モダンホライゾン2』リリース直後の環境に比べてコントロールが増加したため、最近使われているリストは《稲妻》などメインの除去の枚数が減らされてカウンターが多めに採用される傾向にあります。
☆注目ポイント
《考慮》と《思考掃き》はどちらも「昂揚」や「探査」に貢献してくれますが、ドローできるカードを選択できる《考慮》はキーカードを引き当てるのに役に立ちます。カウンターやサイドボードのカードも見つけやすくなったのでデッキの安定性も向上しました。
カウンターの選択がほかのリストと比べると若干異なります。《呪文貫き》の枠は4枚目の《対抗呪文》と《呪文嵌め》に差し替えられています。コントロールなど長期戦になるマッチアップを意識したのか、ソフトカウンターよりも確定カウンターを優先したようです。
コンボデッキやHammer Timeなどとのマッチアップを考慮すると軽い《呪文貫き》のほうが優先されます。また、現環境には《レンと六番》《虚空の杯》(X=1)、《石鍛冶の神秘家》など2マナ域の脅威が多いので《呪文嵌め》は優秀なカウンターとして機能します。
コントロールやミラーマッチ用に最近サイドに採用されるようになった《精神を刻む者、ジェイス》がメインから採用されています。最近は《孤独》によって《濁浪の執政》が対策されやすくなってきたので、クリーチャー除去が効かないフィニッシャーも必要になってきました。
Glimps Combo
「続唱」を利用したデッキはTemur FootfallsやLiving Endだけではありません。《波ふるい》や《溶鉱炉の大長》でパーマネントを可能な限り展開し、「続唱」から《明日の瞥見》をプレイして圧倒的なボードアドバンテージを築いていくコンボデッキも現環境には存在します。
パーマネントの数が多いほど捲れるカードも増えるので、強力なパーマネントを展開できる確率も上がります。また、《ゴブリンの闇住まい》によって《明日の瞥見》を再利用することが可能です。《創造の座、オムナス》と複数の土地が捲れれば、多くの場合そのままゲームに勝つことができます。
☆注目ポイント
Living EndやTemur Footfallsと同様に「続唱」スペルの《暴力的な突発》や《断片無き工作員》からのスタートとなります。特にインスタントスピードで仕掛けることができる《暴力的な突発》は、カウンターを多用する青ベースのデッキとのマッチアップで重要になります。
《波ふるい》《歴戦の紅蓮術士》《溶鉱炉の大長》など、少ないコストでトークンを生成できるカードを利用して《明日の瞥見》の準備をしていきます。
サイドボードには、《神聖の力線》や《時を解す者、テフェリー》といったハンデスやカウンターを無力化するカードや、《神秘の論争》や《基盤砕き》といった「続唱」の邪魔をしないスペルなどコンボを守る手段が中心です。
総括
Modern Showcase ChallengeとModern Challengeの結果を見ていきましたが、現在のモダンは群雄割拠な環境で、今回取りあげたデッキ以外でもさまざまなデッキが活躍しています。
毎週異なるデッキが勝ち続けている環境なため、今週末にラスベガスで開催される大会の結果が楽しみです。SCG Invitationalと異なり、モダンのみで行われる2日制のイベントなので注目です。
以上USA Modern Express vol.66でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!