はじめに
みなさんこんにちは。
Eternal Weekend 2021とLegacy Showcase Challengeが終了し、タイミング的にも今週辺りに禁止改定の告知があると思われていましたが、なんと告知されませんでした。
このタイミングでも変更がないということは、年内に変更されることはなさそうなので、今回の連載では上記大会とChampionship Qualifier(以下、CSQ)の結果を追いながら現環境を解析していきたいと思います。
Eternal Weekend 2021: 《Bayou》
新たな3マナプレインズウォーカー
2021年11月20日
- 1位 Elves
- 2位 Blue Zenith
- 3位 4C Control
- 4位 Elves
- 5位 Mono Green Cloudpost
- 6位 Elves
- 7位 8 Cast
- 8位 Izzet Delver
トップ8のデッキリストはこちら
優勝賞品が《Bayou》の大判カードである今大会で優勝を果たしたのは、奇しくも《Bayou》を採用したElvesでした。
トップメタであるIzzet Delverの勝率はそれほど高くはなく、4C ControlやBlue Zenith、8 Castなどが上位で見られました。
デッキ紹介
Elves
今大会でプレイオフに3名の入賞者を出したElves。《アロサウルス飼い》のおかげでカウンターにも耐性があり、トップメタのIzzet Delverにも強いデッキの一つです。
このデッキは《垣間見る自然》でエルフクリーチャーを並べていきながらドローを進め、最終的に《遺産のドルイド》や《ガイアの揺籃の地》で生み出したマナから《自然の秩序》や《緑の太陽の頂点》を唱え、《孔蹄のビヒモス》を出して瞬殺するコンボを搭載しています。ほかにも、《ワイアウッドの共生虫》+《エルフの幻想家》によってカードアドバンテージを稼ぎながら戦えたりと非常にフレキシブルなデッキです。
最近では全体除去が減少傾向にあり、Izzet Delverのサイドにも《乱暴/転落》や《猛火の斉射》といった全体火力が不採用なことが多く、小型クリーチャーを並べるElvesにとっては追い風でした。
☆注目ポイント
《アロサウルス飼い》によりカウンターを気にせずに《自然の秩序》などを通すことができるようになったので、Delver系を始めとした青いフェアデッキとの相性が劇的に改善されました。また、もともとElvesにとって厄介な置物であった《虚空の杯》を無力化することができるのもポイントです。
《緑の太陽の頂点》用に環境のデッキに刺さる緑のクリーチャーがメインから採用されています。《溜め込み屋のアウフ》は、マナアーティファクトを多用するStormや8 Castといったデッキを著しく減速させます。ほかには、墓地対策としてだけでなく、3/4というサイズを活かしてDelver系とのマッチアップで脅威となる《忍耐》も採用されています。
《飢餓の潮流、グリスト》は戦場以外ではクリーチャーカードという常在型能力を活かして、《緑の太陽の頂点》でサーチしてくることができます。クリーチャーが多いので除去としても機能しやすく、サーチ可能な除去はこのデッキにとっては貴重です。
Eternal Weekend 2021: 《不毛の大地》
環境トップメタがその強さを見せる
2021年11月20日
- 1位 Izzet Delver
- 2位 Izzet Delver
- 3位 Selesnya Depths
- 4位 8 Cast
- 5位 Izzet Delver
- 6位 Bant Control
- 7位 Izzet Delver
- 8位 Elves
トップ8のデッキリストはこちら
こちらは《不毛の大地》の大判カードが優勝賞品の大会。現環境のトップメタであるIzzet Delverのワンツーフィニッシュで幕を閉じました。トップ8の半数がIzzet Delverとデッキの地力の強さを見せつけています。
また、優勝こそ逃したものの8 Castは今大会でも結果を残していました。デッキパワーは環境でもトップクラスですが、《溶融》など対策カードを2枚以上サイドに採用したデッキが多い現環境では勝ち切ることが困難なようです。
デッキ紹介
Izzet Delver
現環境のトップメタで常に高い使用率&勝率を維持し続けているのがIzzet Delverです。
リストはほぼ完成されており、キャントリップや《表現の反復》といったカードのおかげで細部をメタに合わせて調整しやすいので、対応力は環境でもトップクラスです。このデッキを対策するにはサイドボードの数枚のカードでは不十分で、LandsやBlue Zenithといったこのデッキに対して強いデッキを選択する必要があります。
☆注目ポイント
一時期は《秘密を掘り下げる者》を解雇または減量したリストも見られましたが、今回結果を残していたのは《秘密を掘り下げる者》を増量したバージョンで、伝統的なDelverに近いリストでした。《ドラゴンの怒りの媒介者》や《濁浪の執政》は強力なクリーチャーですが、墓地対策に弱いためそれらの影響を受けないクロックとして《秘密を掘り下げる者》を採用する価値はあります。
メインから採用されている《はらわた撃ち》は、《敏捷なこそ泥、ラガバン》デッキとのマッチアップ以外でもElvesやDeath & Taxesのクリーチャーや、Blue Zenithに対してもマナクリーチャーやブロッカーの《氷牙のコアトル》をテンポを失わずに除去できるなど多くのマッチアップで使えます。
サイドの《墓掘りの檻》はReanimatorだけでなく、ElvesやBlue Zenith、Selesnya Depthsといった《緑の太陽の頂点》を使うデッキに対しても有効なカードになります。2枚採用された《溶融》は、最近上位でよく見られるようになった8 Cast対策です。《倦怠の宝珠》はETB能力持ちのクリーチャーを多用するDeath & Taxesに有効なサイドカードになります。
Eternal Weekend 2021: 《森の知恵》
青デッキ多数
2021年11月21日
- 1位 Izzet Delver
- 2位 Doomsday
- 3位 Blue Zenith
- 4位 Death & Taxes
- 5位 Jeskai Ragavan
- 6位 Blue Zenith
- 7位 8 Cast
- 8位 Izzet Delver
トップ8のデッキリストはこちら
日曜日に開催された本大会。優勝賞品は《森の知恵》の大判カードでした。
Izzet Delverが優勝し、Delver以外でもJeskai RagavanやBlue Zenithといった青いフェアデッキが活躍したようです。ほかには、8 CastやDeath & Taxesといったデッキも安定した成績を残しています。
デッキ紹介
Doomsday
Doomsdayは現在のレガシーでもっとも活躍しているコンボデッキです。Izzet Delverとの相性がいいとは言えないものの、Blue Zenith、4C Control、LandsなどDelver系に強いデッキの多くに強く、大きな大会では頻繁に上位で見かけるデッキの一つです。
このデッキは基本的に《最後の審判》による1枚コンボを狙います。マナ加速から《最後の審判》をプレイして、最終的に《タッサの神託者》で特殊勝利します。カウンターやハンデスなど妨害要素も豊富なのでほかのコンボデッキにも対応ができ、コンボを守ることもできるので《暗黒の儀式》を使った高速コンボの中では安定したデッキになります。しかし、《最後の審判》によって選択する5枚のカードはマッチアップや状況によって異なるため、このデッキを使いこなすには練習が必須です。
☆注目ポイント
《考慮》によってより効率的にコンボを決めることができるようになりました。《最後の審判》によって《考慮》《綿密な分析》《ライオンの瞳のダイアモンド》《水蓮の花びら》《タッサの神託者》の5枚を選択し、《考慮》によって《綿密な分析》を墓地に落とします。引いてきた《ライオンの瞳のダイアモンド》を使って(青)(青)(青)を出し、《綿密な分析》を「フラッシュバック」して《水蓮の花びら》と《タッサの神託者》をプレイして勝利ということもできるようになりました。
サイドボードには《殻船着の島》+《引き裂かれし永劫、エムラクール》のコンボが搭載されているのも面白いところです。《翻弄する魔道士》や《倦怠の宝珠》など、《タッサの神託者》を対策してくる相手に有効な追加の勝ち手段となります。
Legacy Premier #12359611
レガシーでも最高の相棒、ヨーリオン
2021年11月28日
- 1位 Blue Zenith
- 2位 Izzet Delver
- 3位 Reanimator
- 4位 Lands
- 5位 Reanimator
- 6位 Elves
- 7位 Red Prison
- 8位 Jeskai Ragavan
トップ8のデッキリストはこちら
Eternal Weekendの翌週に開催されたCSQ。参加者わずか96名とMOのCSQにしては小規模でした。
今大会ではReanimatorが優勝こそ逃したものの、プレイオフに2名と好成績を残していました。各デッキのメイン、サイドボードともに墓地対策が減少傾向にあり、墓地を使ったコンボデッキにとっては勝ちやすいメタだったようです。
Eternal Weekendでも結果を残していたBlue Zenithは、今大会でも優勝を収めるなどIzzet Delverと並んで現環境最高の青いフェアデッキとしての地位を確立しています。
デッキ紹介
Reanimator
《納墓》や《信仰無き物あさり》といったカードで《グリセルブランド》などの大型クリーチャーを墓地に落とし、《再活性》や《死体発掘》で釣り上げるコンボデッキです。墓地対策に弱いデッキですが、大型クリーチャーを最速1ターン目から高速展開できるなど、回れば相手を問わずゲームに勝つことができます。
プレイングもそこまで難しくなく、《暴露》や《悲嘆》といった0マナでプレイできるハンデスのおかげでカウンターなど妨害にも耐性があります。
☆注目ポイント
このデッキも『モダンホライゾン2』から登場したカードによって強化されたデッキの一つです。追加の《暴露》のように使える《悲嘆》のほかに、新たな勝ち手段を手に入れました。
《残虐の執政官》はモダンのEsper Reanimatorでも勝ち手段として採用されているクリーチャーで、たとえ除去されたとしても場に出た時点で大量のアドバンテージを稼いでくれます。また、伝説のクリーチャーではないので《カラカス》にも耐性があります。《セラの使者》はソーサリーを指定すればストーム系のコンボが勝ちにくくなるなど、ほかのコンボとのマッチアップで最高の勝ち手段となります。
サイドボードには墓地対策に備えて《実物提示教育》が採用されています。《残虐の執政官》を早めに出せれば盤面を一瞬で制圧することが可能です。
Legacy Showcase Challenge #12361863
環境最高の青いフェアデッキ
2021年12月5日
- 1位 Blue Zenith
- 2位 Bant Loam
- 3位 Reanimator
- 4位 Hollow Vines
- 5位 4C Control
- 6位 Red Prison
- 7位 Reanimator
- 8位 Death & Taxes
トップ8のデッキリストはこちら
先週末にはLegacy Showcase Challengeが開催されました。Showcase Challengeは、シーズン末に行われるShowcase Qualifierへの参加資格を得るための大規模なイベントです。参加には40QPが必要となるため、毎週末に開催されるフォーマットチャレンジよりもレベルが高いイベントになる傾向があります。
今大会のプレイオフで印象的だったのは、現環境のトップメタであるIzzet Delverが不在だったことです。人気があるデッキですがその分対策も厳しく、特に最近はBlue Zenithなど苦手なマッチアップが増加傾向にあるのも敗因だと思われます。
デッキ紹介
Blue Zenith
Blue Zenithは《空を放浪するもの、ヨーリオン》を「相棒」として採用したミッドレンジで、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《壌土からの生命》などデッキ内のさまざまなエンジンを利用して相手とのアドバンテージ差を広げていくミッドレンジデッキです。
80枚デッキは安定性に不安がある印象がありますが、各種キャントリップスペルに加えて《緑の太陽の頂点》のおかげで一貫性のある構成に仕上がっています。
優秀な除去やアドバンテージ源を搭載しているため、Delver系などクリーチャーデッキに対しては有利がつきますが、クロックが遅いためDoomsdayなどコンボデッキは苦手なマッチアップとなります。
☆注目ポイント
《氷牙のコアトル》はIzzet Delverの《濁浪の執政》と交換することができるので、体制が整うまでの時間稼ぎとして活躍します。《豊かな成長》は決して《アーカムの天測儀》の代わりになるカードではありませんが、《空を放浪するもの、ヨーリオン》との相性が良く、マナ基盤の安定に貢献しています。
《緑の太陽の頂点》は80枚デッキの安定性を支える重要なスペルです。《ドライアドの東屋》をサーチすることでマナ加速のように使用したり、墓地を使うデッキに対して《忍耐》をサーチしたり、《秋の騎士》で置物を対策したりと非常にフレキシブルに使えます。マナはかかりますが《原始のタイタン》もサーチできるなど、フィニッシャーの水増しにもなります。
このデッキにはいろいろなクリーチャーがピン刺しされています。キャントリップを多用するデッキは、《トレストの使者、レオヴォルド》で機能不全に追いやることができます。《ラムナプの採掘者》は除去耐性はないものの《不毛の大地》を使いまわすことができるので、LandsやCloudpostなど特殊地形を多用するデッキに対して強いクリーチャーです。《飢餓の潮流、グリスト》は除去としても勝ち手段としても機能するため、《緑の太陽の頂点》でサーチできる脅威の中でも最高クラスのカードです。
総括
レガシーコミュニティーが禁止改定告知に注目をしていましたが、今週になっても告知されることはありませんでした。Eternal Weekend 2021では、Izzet Delverが3つ中2つのイベントを制する強さは見せたものの、禁止が出るほどの使用率ではなかったようです。また、参加者はすべてのカードを使用できたため、カード資産による影響がなく信憑性のあるデータだったと言えます。
Eternal Weekendでは、ElvesやDeath & Taxes、Blue Zenithといった《敏捷なこそ泥、ラガバン》デッキに強いデッキも高い勝率を出しており、これらのデッキはDelver系以外とのマッチアップにも強いため、ただのトップメタを狩るだけのデッキでないのもポイントです。
また、たとえ《敏捷なこそ泥、ラガバン》を禁止にしたとしても、《ドラゴンの怒りの媒介者》や《濁浪の執政》といった強力なクロックや優秀なアドバンテージ源である《表現の反復》もあるので、《敏捷なこそ泥、ラガバン》のみを禁止にすれば万事解決という単純な問題ではないことが、禁止改定を難しくしている理由の一つだと筆者は考えています。
以上、USA Legacy Express vol.192でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!