メタゲームブレイクダウン:スタンダード
晴れる屋メディアチーム
晴れる屋メディアチーム
The Last Sun 2021が始まる前から確信していたことがある。それは、スタンダードの使用者数1位はイゼットターンに違いないということだ。
このデッキの魅力は、シンプルながら強力なフィニッシュコンボにある。8マナを揃えて《感電の反復》に続けて《アールンドの天啓》をプレイすれば、自動的に追加2ターンと4点分のクロックが手に入る。これまでのコンボデッキは何度も呪文を唱えたり、手札と墓地を循環させたりと、やや複雑な工程があった。対して、イゼットターンはカードを集めて8マナ揃うまで生き延びるだけで良いのだ。
本記事ではスタンダードのメタゲームブレイクダウンをお届けしよう。
デッキタイプ | 使用者数 | 使用率 |
---|---|---|
イゼットターン | 53 | 41.4 |
緑単アグロ | 23 | 18 |
白単アグロ | 16 | 12.5 |
ディミーアコントロール | 7 | 5.4 |
イゼットドラゴン | 6 | 4.6 |
グリクシスターン | 5 | 4 |
黒単ゾンビ | 4 | 3.1 |
その他 | 14 | 11 |
合計 | 128 | 100% |
環境を代表するコンボ-コントロールはメタゲームの一番手になるに違いないと予想し、事実、それは外れなかった。唯一の例外は、思ったよりも使用者数が少なかったことだろう。使用者数53名、参加者の内4割が最強デッキの一角であるイゼットターンを選択している。なんせ次点の緑単アグロの倍以上の使用者がいるのだから。
しかし、これは裏を返せばそこかしこでイゼットターンのミラーマッチが行われることになる。イゼットドラゴンやコントロール要素の強いデッキまで含めれば半数を越えるため、スタンダードラウンドは時間を過ぎても決着がつかず、引き分けとなる対戦も多く見られるはずだ。
最強デッキを使用するのは当然であり、合理的な選択肢だ。しかし、それはミラーマッチを戦い続ける覚悟が必要となる。だとすれば、あえてイゼットターンをさけてそれに強いアーキタイプを選択するのもありなのではないだろうか。
参加者たちの中にはメタゲームがイゼットターンへ偏ることを見越して、デッキを選択しているプレイヤーもいた。メタゲームが一つのデッキに過度に偏るならば、それを逆手にとって有利な構成を持ち込んでしまえばいい、というわけだ。
環境を代表するコンボ-コントロールに隙はない。デッキの大半をドロー呪文と除去で埋め、勝ち手段をわずか6~8枚程度のスロットに落とし込んでいる。しかもその勝ち手段である《感電の反復》と《アールンドの天啓》はゲーム途中でのコントロール要素であり、延命カードでもある。
イゼットターンはコンボ始動までに8マナを必要とするため、本来であればマリガンを苦手とするデッキである。しかし、たとえマリガンしようとも、下環境で活躍中の《表現の反復》があれば立ち直るのに時間はかからない。スタンダード最強の2マナドローをもっともうまく使えるデッキのひとつといえるだろう。
選択者は、メタられるのは承知の上で、それでもなお揺らぐことのない自信を持ち環境最強デッキを持ってきているのだ。
イゼットターンの対抗馬といえば、緑単アグロの出番だ。2マナ域から始まるクリーチャーはマナシンボルが濃い代わりに、平均的なサイズはほかの色よりも大きくなっている。《老樹林のトロール》は専用カードともいえ、高いパワーに加えて除去1枚では失われない厄介なクロックとなっている。しかもその強力無比なクロックを《蛇皮のヴェール》で守られてしまうのだからたまらない。わずか1マナでイゼット側の除去をはじきつつ、ダメージを通す術を持っているのだ。
さらに、攻撃手段に非クリーチャーパーマネントがあるのも魅力といえる。このデッキの顔である《エシカの戦車》はソーサリータイミングで除去されず、5マナ域には《レンと七番》や《不自然な成長》が揃っている。クリーチャー除去満載の構築では裏目が生じるようになっている。
3番手も同じく、単色アグロが追う。緑単アグロよりもワンテンポ軽く、数で押すのが魅力な白単アグロだ。《堕ちたる者の案内者》から始まる最速のクロックは、《輝かしい聖戦士、エーデリン》で完結し、対戦相手のライフを削りきるまで止まることはない。
また、白単アグロはほかの2つのデッキと比べるとわかりやすいメタカードが複数採用されている。イゼットには呪文のプレイに制約をかける《パラディン・クラス》や《スレイベンの守護者、サリア》、緑単アグロにはその基盤である氷雪地形を攻める《傑士の神、レーデイン》だ。特に《傑士の神、レーデイン》は、《予想外の授かり物》や《アールンドの天啓》のマナコストを引き上げてコンボに待ったをかける、複数のアーキタイプに刺さるメタカードといえるだろう。
4番手には純粋なコントロールであるディミーアが飛び込んできた。ディミーアコントロールは《セッジムーアの魔女》のような軽いクロックを採用することで、イゼットターンに対して明確に制限時間をかけている。このクロックを軽い《強迫》と打ち消し呪文でサポートするように構築しているのだ。
《アールンドの天啓》+《感電の反復》のコンボは打ち消し呪文1枚では対処できず、また《予想外の授かり物》のマナ加速もあり、コントロールは不利とされていた。しかし、クロックと妨害要素両方を持ち合わせたディミーアコントロールならば、イゼットターンの牙城を崩すことも可能である。
付け加えるならばクリーチャー除去もある程度採用しているため、全方位を意識したアーキタイプとなっている。コントロールとして、上位3デッキへ迫れるだろうか。
今回紹介した以外にもミラーマッチに差をつけるべく黒を足したグリクシスターンや除去耐性を持つクロックを展開する黒単ゾンビなども散見された。いずれもイゼットターンを意識したデッキで間違いないだろう。
包囲網が敷かれたうえで、決勝ラウンドにはどれほどのイゼットターンが残るのか、明日はぜひともその点に注目していただきたい。
観戦記事
パイオニア
レガシー
晴れる屋メディアチーム
THE LAST SUN 2023 カバレージ
2023/12/17 00:00
観戦記事
パイオニア
晴れる屋メディアチーム
THE LAST SUN 2023:メタゲームブレイクダウン(パイオニア)
2023/12/16 00:02
観戦記事
レガシー
晴れる屋メディアチーム
THE LAST SUN 2023:メタゲームブレイクダウン(レガシー)
2023/12/16 00:01
観戦記事
スタンダード
モダン
晴れる屋メディアチーム
THE LAST SUN 2022 カバレージ
2022/12/24 00:00
観戦記事
スタンダード
モダン
晴れる屋メディアチーム
The Last Sun 2021 カバレージ
2021/12/25 00:00
観戦記事
パイオニア
レガシー
晴れる屋メディアチーム
The Last Sun 2020 カバレージ
2021/11/06 00:00