はじめに
新年あけましておめでとうございます。今年もみなさんにレガシーの情報をお届けしていきますので、よろしくお願いいたします。2022年もレガシーを楽しんでいきましょう!
2021年は2月の大規模な禁止改定に加え、歴代で最もインパクトのあったセットの『モダンホライゾン2』の登場するなど、レガシーでも変化が著しい年でした。今年はアメリカでもSCGのイベントが開催されるので盛り上がりが期待できそうです。
さて、今回の連載では新年早々に開催されたLegacy Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Legacy Challenge #12367821
コントロールのエキスパートが今年初のレガシーのイベントを制する
2022年1月3日
- 1位 4C Control
- 2位 Izzet Delver
- 3位 Izzet Delver
- 4位 Green Cloud Post
- 5位 Izzet Delver
- 6位 8 Cast
- 7位 Reanimator
- 8位 Painter
トップ8のデッキリストはこちら
土曜日のLegacy Challengeはプレイヤーが集まらず毎週不成立が続いていますが、日曜日は久々に参加者が100人を超えました。
2022年になってもIzzet Delverの安定したパフォーマンスは変わらず、今大会でもプレイオフに複数送り込む強さを見せています。
今大会で優勝を収めたのはコントロールのエキスパートで配信者のAnziD(Anuraag Das)の駆る多色コントロールでした。
デッキ紹介
4C Control
コントロールの名手として知られる配信者の配信者のAnziDは今大会で多色デッキを使用し、見事に優勝を収めました。
多色コントロールは《アーカムの天測儀》が禁止になりましたが《自然の怒りのタイタン、ウーロ》は健在であり、《忍耐》など『モダンホライゾン2』からの収穫もあって環境に留まり続けています。
このリストはBant Controlがベースですが、《表現の反復》やサイドボードの《溶融》《紅蓮破》のために赤をタッチしており、色が増えたことでデッキパワーが向上しています。《溶融》などにもアクセスすることができるようになったため、8 Castなど苦手としていたマッチアップも改善されています。
☆注目ポイント
《表現の反復》はIzzet Delverなどテンポデッキだけでなくコントロールでもアドバンテージ源として使われています。効率的にアドバンテージを稼げることから現代の《宝船の巡航》とも形容されるほどです。
《剣を鍬に》と《虹色の終焉》は現環境で最も効率的なスペルであり、このタイプのデッキをプレイする理由の一つになります。
これらの除去に加えてメインから採用された《忍耐》、サイドボードの《花の絨毯》《水流破》《紅蓮破》《赤霊破》などIzzet Delver対策が徹底しています。最近のIzzet Delverは同型対策に《邪悪な熱気》よりも《はらわた撃ち》を優先しているため、メインから《忍耐》を効率的に処理する手段が貧しい傾向にあったのも勝因だったようです。
《壌土からの生命》はスピードに難があるものの、《不毛の大地》を再利用することで特殊地形に頼った多くのデッキをロックできます。さらに、「発掘」によって墓地のカードを増やせるので《自然の怒りのタイタン、ウーロ》との相性も良く、長期的なアドバンテージは脅威となります。
《激しい叱責》は使い勝手の良いキャントリップ付きのエンチャントであり、環境にはびこる《ウルザの物語》の構築物トークン対策や、Doomsday Comboの《タッサの神託者》といったETB能力持ちクリーチャーの無力化として使えます。クリーチャーの能力を失わせる効果を利用して《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を場に残すという使い方もできます。
Izzet Delver
現環境のトップメタのIzzet Delverはデッキとしても完成されているため変化が少ないデッキですが、ここにきて変化が見られます。
最近のIzzet Delverは《ドラゴンの怒りの媒介者》《濁浪の執政》《敏捷なこそ泥、ラガバン》といった『モダンホライゾン2』から登場した強力なクリーチャーが主力として採用され、デッキ名にもなっていた《秘密を掘り下げる者》の枚数を減らしたリストが主流になっていました。今大会で準優勝という好成績を残したbocciのリストは 《秘密を掘り下げる者》が完全に撤廃され《真の名の宿敵》や《もみ消し》といったカードが採用されているなど興味深いアプローチが施されていました。
☆注目ポイント
《もみ消し》は過去に活躍したDelver系を彷彿させます。特に最近のDelver系では採用されていないリストが大半なので、今大会では警戒していない相手に刺さったことが想像できます。このリストが結果を残したことで《もみ消し》のインパクトは薄れる可能性がありますがマナ否定戦略と相性が良く、序盤のフェッチランドの起動を妨害して土地事故を誘発させる動きは依然として脅威となります。
ミラーマッチで《敏捷なこそ泥、ラガバン》を対策するために現在のリストは《はらわた撃ち》をメインから採用しています。サイドボードの《祭典壊し》はプレイヤーとプレインズウォーカーにもダメージが入るようになった《猛火の斉射》の上位交換であり、主にElvesやDeath and Taxesといったタフネス1のクリーチャーを並べてくるデッキとのマッチでサイドインされます。
メインとサイドに1枚ずつ採用されている《真の名の宿敵》は《イス卿の迷路》や《忍耐》でも止まることなく、フェアデッキとのマッチアップでは安定したクロックとして機能します。
Reanimator
現環境の多くのデッキの強化に貢献している『モダンホライゾン2』ですが、Reanimatorも強化されたデッキの一つです。
《グリセルブランド》以外のリアニメイト対象である《残虐の執政官》やハンデスの《悲嘆》といったカードを獲得し、最近もLegacy Show Case Challengeで優勝するなど結果を残し続けています。
青を使わないコンボデッキですが、ハンデスを多数搭載しているためカウンターなどの妨害スペルにも耐性があります。また、マナ加速によって最速で1-2ターン目に勝負を決めることもできる、速度勝負でも負けていません。動きは安定していますが、墓地を使うデッキの宿命として墓地対策に弱いため、いかにサイド後の対策を乗り越えるのかがこのデッキをプレイする上でキーとなります。
☆注目ポイント
追加の《暴露》として機能する《悲嘆》はこのデッキにとって大きな収穫の一つです。《悲嘆》を「想起」した後に《悲嘆》を《再活性》することも可能で、相手のプランを妨害しつつクロックも展開できるのはこのデッキの強い動きの一つです。
フル搭載されている《残虐の執政官》は《グリセルブランド》と異なり伝説のクリーチャーでないため《カラカス》でバウンスされません。また、場に出た時点ですでにアドバンテージを取っているため除去されても問題になりません。
《外科的摘出》や《忍耐》といったインスタントスピードの墓地対策は事前にハンデスで落とすことでケアすることができますが、《墓掘りの檻》《安らかなる眠り》《虚空の力線》といった置物は対策する必要があります。サイドボードのスペースの多くは《静寂》や《虹色の終焉》など相手の墓地対策の置物を処理する手段に割かれています。
Grixis Shadow
モダンでも活躍しているGrixis Shadowですが、レガシーでも見られるようになりました。このデッキの基本的な動きはレガシーのDelver系と変わらず、早い段階からクロックによってプレッシャーをかけつつハンデスやカウンターで相手のプランを妨害していきます。
《死の影》を採用していることから、能動的にライフを減らせる手段としてショックランドがマナ基盤に組み込まれているのが特徴です。必要なデュアルランドが1-2枚で済むため、ほかのレガシーの青いデッキと比べると資産的にも組みやすくなっています。
☆注目ポイント
《死の影》は早ければ2ターン目にはほかのクリーチャーを圧倒するサイズになり、相手に解答を要求するプレッシャーを与えます。特に除去が少ないコンボデッキに対しては理想のクロックになるでしょう。
モダンと異なりレガシーでは《夢の巣のルールス》が禁止なため、Izzet Delverなどのフィニッシャーを務める《濁浪の執政》が採用されています。タフネスの高い《死の影》と《濁浪の執政》は除去が火力に寄っているIzzet Delverにとって脅威になります。
ピッチコストとして4点のライフを支払う《殺し》は《死の影》と相性が良く、最近は《濁浪の執政》に対する解答としてGrixis Delverでも採用されるなど、再評価されているカードの1枚です。
サイドの「刹那」付きの布告系の除去である《突然の布告》はマリッドレイジトークンや、Sneak and Showの《引き裂かれし永劫、エムラクール》、Reanimatorの《グリセルブランド》などを対策しています。単体除去が中心なのでElvesなど小型のクリーチャーを並べてくるマッチアップ用に《祭典壊し》や《疫病を仕組むもの》も見られます。
総括
2022年になっても《敏捷なこそ泥、ラガバン》デッキが結果を残し続けていますが、《はらわた撃ち》をメインから採用して同型対策に力を入れてしまったことで、多色コントロールの勝率も上がってきています。
コンボデッキではReanimatorが台頭してきているため、サイドボードに追加の墓地対策を用意することをおすすめします。
USA Legacy Express Vol.193は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!