スタンダード情報局 vol.64 -《貪る混沌、碑出告》は新たなThe Spy!?-

富澤 洋平

はじめに

みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチームの富澤です。

今回も張り切ってスタンダードを見ていこうと思いましたが、すでに自分の気持ちは神河へと旅立っています。来月に発売を控えた『神河:輝ける世界』が待ち遠しく、いくら大会結果に目を通しても《燃え立つ空、軋賜》や《漆月魁渡》を使ったデッキばかりを夢想してしまっています。

ならばいっそのこと、『神河:輝ける世界』のカードをご紹介しようではありませんか。今回は神河次元をド派手なネオンインクで染め上げるオーガ、《貪る混沌、碑出告》です。

かつての神河でも存在していた《碑出告》ですが、構築戦ではあまり活躍できませんでした。にも関わらず不思議と、このカードのことをはっきりと覚えています。力強いイラストと豪快な能力は、見るものすべてに強い印象を残しました。

その《碑出告》が派手なネオンインク仕様で収録されるとあっては、紹介しないわけにはいきません。生まれ変わった姿をみていきましょう。

《碑出告》とは?

《無情の碑出告》

無情の碑出告

《碑出告》とは、『神河謀叛』に収録された伝説のクリーチャーであり、サイズは5マナ4/3とやや大人しめです。赤の5マナクリーチャーにありがちな速攻や回避能力もなく、単体では戦闘に不向きな仕様となっています。現在のスタンダードを代表する《黄金架のドラゴン》と比較すれば一目瞭然ですね。

確かに戦闘能力だけを見比べれば《黄金架のドラゴン》に軍配が上がるかもしれませんが、《碑出告》のテキストをよく読んでみましょう。このクリーチャーの真価は起動型能力にあるとわかります。

《無情の碑出告》

「(T):《無情の碑出告》は各プレイヤーに、そのプレイヤーの総ライフの端数を切り捨てた半分に等しい点数のダメージを与える。」

何という殺意!!召喚酔いは気になるものの、タップするだけでプレイヤーのライフを半分にすることができます。初期ライフであるとするならば、10点ダメージ!つまり、《無情の碑出告》は生きた10点火力(!?)ともいえるのです。

しかし、都合の良いことばかりではありません。《無情の碑出告》の効果範囲にはそのコントローラーも含まれます。仮に対戦相手がダメージで先行する場合、諸刃の剣となってしまいます。

そうなると《無情の碑出告》の起動後に速やかにゲームを終わらせるカードが必要ですね。実は《碑出告》と名前のつくカードはもう1種類あり、それこそまさに求めていたカードなのです。

《碑出告の第二の儀式》

碑出告の第二の儀式

同じオーガの名を冠した《碑出告の第二の儀式》4マナで10点と破格のダメージ効率を誇るインスタントです。対戦相手のライフが20点ならば「《無情の碑出告》起動→《碑出告の第二の儀式》」で削りきれます。6ターン目には決まることを考えると、現在のスタンダードの最有力デッキである《アールンドの天啓》もびっくりな2枚コンボといえるかもしれません。

活力の波動ショックヤヴィマヤの沿岸

ただし、本家と同じく、《碑出告の第二の儀式》もデメリットを持っています。何と対象になったプレイヤーのライフがちょうど10点でなければ、ダメージを与えることができないのです。解決前にライフを回復されれば無効化されてしまいますし、火力やダメージランドも天敵となります。10点に固執するあまり不自然な攻撃をしては相手に悟られてしまいます。

いずれのカードも効果相応のデメリットを持ち、何も考えずにデッキへ入れても活躍が見込めるとはいきません。一癖も二癖もあり、デッキ全体でサポートしなければならないでしょう。しかしながら、この派手な効果と不器用さの同居こそ《碑出告》の魅力であり、赤が漢らしいといわれる由縁になります。《碑出告》は忘れられつつある、赤の根源的なでカードデザインを思い出させてくれるのです。

さて、旧《碑出告》の紹介が長引いてしまいましたが、ここからは新しい《碑出告》を見ていきます。

《貪る混沌、碑出告》

一目見ただけで、現代のクリーチャースペックに合わせて調整されたことがわかります。マナコストが軽くなりながらもサイズアップしており、デメリットは見当たりません。元祖《碑出告》の強味は戦闘を無視したダメージ能力にありましたが、この点も使いやすくなっています。

《貪る混沌、碑出告》

「(2)(赤)(T):あなたのライブラリーの一番上にあるカード1枚を追放する。このターン、あなたはそのカードをプレイしてもよい。あなたがこれにより土地でないカード1枚を追放したとき、クリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーのうち1つを対象とする。《貪る混沌、碑出告》はそれに追放されたカードのマナ総量に等しい点数のダメージを与える。」

ライブラリートップを追放し、そのカードのマナコスト分のダメージをいずれかの対象へ与える能力です。ライブラリーというランダムな分野のためダメージ量は運頼みともいえますが、もうひとつある占術能力を使えば調節が利きます。しかも追放したカードはプレイできるので、上手くいけば1回の起動でカード2枚分の働きをしてくれます。貪る混沌の名に相応しいカードアドバンテージの権化といえるクリーチャーに仕上がっています。

逆に、プレイしないことを前提にマナコストの重いカードを増やして大ダメージを狙うのも面白いかもしれません。残念ながら一度の起動で20点は削りきれませんが、7マナ以上のカードを増やせば2~3ターンで勝利できそうです。大味な感じが実に《碑出告》らしいですね。

次期スタンダードで活躍の機会はあるのでしょうか?ここからは《貪る混沌、碑出告》の可能性に迫っていきます。

《貪る混沌、碑出告》は新たなマナレスデッキとなるのか?

《貪る混沌、碑出告》の効果を最大限発揮するには常に呪文を追放する必要があります。つまるところ構築段階でハズレとなる土地を減らしたり、起動前にライブラリーを操作しなければならないのです。

ゴブリンの放火砲

ライブラリー内の呪文をダメージに変換する意味では《ゴブリンの放火砲》は近い効果であり、構築のヒントがありそうです。土地の代わりにマナ加速呪文ばかりを採用したBelcherは今も現役のアーキタイプです。《猿人の指導霊》などから呪文を連鎖させて、瞬間的に7マナを生成し一撃必殺を狙います。

1 Land Belcher

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過去には、デッキ内から土地をすべて追放するギミックを仕込んだマナベルチャーも存在していました。こちらは初動こそゆったりしていますが、マナアーティファクトによる強固な足場と複数のチューターにより再現性の高いデッキとなっています。土地は20枚もありますが、《マナ切り離し》を使うことで文字通りデッキ内から土地を追放し、《ゴブリンの放火砲》のダメージ量を飛躍的に高めるのです。

マナベルチャー

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残念なことに現在のスタンダードにはマナ加速呪文も、《マナ切り離し》も存在していません。楽して《貪る混沌、碑出告》の効果を最大限利用するのは時期尚早、地道に占術でライブラリーを操作するしかないのでしょうか。BelcherならぬHidetsuguは日の目を見る前に頓挫してしまった…かに思えました。

諦めかけていたところ、モダンのデッキに目が留まりました。The Spyです!

#2cデッキ名

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モダン、レガシー、ヴィンテージに存在するThe Spyは『ゼンディカーの夜明け』の呪文/土地の両面カード(以下、スペルランド)の特性を上手く活用したデッキです。これらは第一面が呪文でありながら、第二面により土地として置くことができます。つまり、土地カードを一切採用せずに、マナを生成する手段を得ているのです。この特性を利用すれば、《貪る混沌、碑出告》の効果を最大限引き出せるはず!

サンプルリスト

《貪る混沌、碑出告》

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このデッキは土地0枚ながらスペルランドを44枚採用しているため《貪る混沌、碑出告》まで安定してマナが伸び、起動すれば必ずダメージが入るように構築しています。採用しているカードの1/3以上が7マナを超えていることからも、カードアドバンテージ面よりもダメージ量を重視。そのかいあって巨大クリーチャーを出されたとしても《貪る混沌、碑出告》で対処できるのです。

色の合わない白・青・緑のスペルランドは主に4枚目の土地として置くものであり、《貪る混沌、碑出告》が着地する4ターン目のテンポロスを軽減するためです。

氷砕きのクラーケン

スタンダードの最大コストカードは12マナの《氷砕きのクラーケン》であり、一撃で半分以上のライフをもっていきます。このカードが追放されれば、あとは《マグマ・オパス》《オンドゥの転置》をめくるだけ。クリーチャーとして戦場にでることはなく、スペルランドでもないため、可能な限りデッキに眠り続けていてほしいカードです。

領界路の開放マグマ・オパス

《貪る混沌、碑出告》と当たり牌を除くと、残るはマナ関連です。《領界路の開放》《マグマ・オパス》は貴重なマナ加速カードであり、3ターン目に《碑出告》をプレイできるようになります。起動型能力にタップを伴う都合上、《碑出告》の早期着地は勝敗に直結します。《マグマ・オパス》は当たり牌でありながらコンボの初動も助ける優秀な呪文です。

仮に3ターン目に《碑出告》がプレイできたとして、次のターンからマナコストが高い順に追放されれば、最速で5ターン目に勝利できます。除去耐性のない《貪る混沌、碑出告》が何のサポートもなく生き残り続け、ライフも残っている奇跡のような状況が前提になりますが、必要なのはクリーチャー1枚のみ。《貪る混沌、碑出告》が第二のThe Spyとなる日は、そう遠くないかもしれません

おわりに

《貪る混沌、碑出告》デッキが本当にThe Spyかどうかを実証すべく、早速MTGアリーナで試そうと思いましたが、『神河:輝ける世界』リリース前ということでかなわず。非常に残念悔しい思いをしました。ほかにも相性の良いカードが収録されることを願いながら、『神河:輝ける世界』を待つしかありませんね。

なお、2022年2月18日(金)発売予定の『神河:輝ける世界』ですが、現在晴れる屋ではブースターBOXの予約受付中となっております!下記のリンクより『神河:輝ける世界』の商品ページへ繋がっておりますので、ぜひ、ご活用ください!!

『神河:輝ける世界』

この記事内で掲載されたカード

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富澤 洋平 晴れる屋メディアチームスタッフです。《黄金架のドラゴン》のカードパワーに圧倒される毎日です。 富澤 洋平の記事はこちら

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