はじめに
みなさんこんにちは。
2021年は2月の大規模な禁止改訂に加え、『モダンホライゾン2』の登場など変化が著しい年でした。もともと人気があるモダンですが、今年はアメリカでもSCGのイベントが開催されるのでさらなる盛り上がりが期待できそうです。
さて、今回の連載では先週末に開催されたModern Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Modern Challenge #12372524
安定の多色コントロール
2022年1月8日
- 1位 4C Blink
- 2位 4C Control
- 3位 Boros Prowess
- 4位 Grixis Shadow
- 5位 Hammer Time
- 6位 Jeskai Control
- 7位 4C Blink
- 8位 Izzet Ragavan
トップ8のデッキリストはこちら
優勝を収めたのは4C Blinkでした。
今大会で入賞したデッキには、Izzet Ragavan以外のすべてのデッキで「相棒」が採用されていました。手札に加えるのに3マナを追加で支払うエラッタを加えられた後も、「相棒」はデッキ構築上の特別な理由がない限りほぼマストになっています。
デッキ紹介
4C Blink
デッキの種類が多いモダンですが、競技レベルのトップメタはある程度まで固まってきている感があります。各色から優秀なカードを集めた4C Blinkは、毎週大きな大会で結果を残し続けており、現環境のトップメタの一角です。
4C Blinkは、《レンと六番》や《時を解す者、テフェリー》《創造の座、オムナス》といった各色からパワーカードを集めたミッドレンジです。また、《表現の反復》や《孤独》、《永遠の証人》+《儚い存在》、《空を放浪するもの、ヨーリオン》とアドバンテージを稼ぐ手段も豊富です。
《虹色の終焉》や《孤独》など除去も優秀で、現環境のフェアデッキの頂点に位置するデッキです。
☆注目ポイント
デッキパワーが高いこのデッキは、ロングゲームに持ち込むことができれば勝利に近付きます。そのため、土地を毎ターン置きつつ相手の脅威を捌いていくことがポイントです。特にインスタントタイミングでクリーチャーを除去できる《孤独》は重要です。0マナなので《エラダムリーの呼び声》とも相性が良く、持ってきてすぐに唱えることが可能です。
《虹色の終焉》はさまざまなデッキで採用されている優秀な除去ですが、ソーサリーなので「疾駆」でプレイされた《敏捷なこそ泥、ラガバン》を対策できないのが難点です。このデッキでは、《稲妻》や《氷牙のコアトル》などインスタントタイミングで対処する手段が増えたことで、《敏捷なこそ泥、ラガバン》デッキとの相性が改善されています。
黒いスペルを多用するGrixis Shadowが上位で多数見られるようになったため、サイドに《夏の帳》を採用するリストが増えてきています。Grixis Shadow以外でも、Jund SagaやRakdos、Izzet Ragavanなどハンデスやカウンターを多用するミッドレンジに対して、テンポとカードアドバンテージを同時に稼ぐことができる現在オススメのサイドカードです。
Boros Prowess
『モダンホライゾン2』前の環境でもトップメタの一角として常に上位で見られたデッキですが、《ドラゴンの怒りの媒介者》と《敏捷なこそ泥、ラガバン》が加わり強化されました。16体の1マナクリーチャーを搭載した非常にアグレッシブなデッキで、《稲妻》や《虹色の終焉》など効率的な除去にも恵まれています。
《舞台照らし》や《無謀なる衝動》のおかげで息切れしにくく、《夢の巣のルールス》もあるのでロングゲームでも十分渡り合える能力があります。
☆注目ポイント
《虹色の終焉》は《タルモゴイフ》などの高タフネスクリーチャーやプロテクション(赤)の《ヴェクの聖別者》、1マナ域を多用するこのデッキにとって非常に厄介な《虚空の杯》を処理できる優秀な除去です。赤いデッキにとって触りにくいパーマネントにも対応できるようになったのは大きな収穫といえます。
《溶岩の投げ矢》のおかげで相手の《敏捷なこそ泥、ラガバン》を牽制しやすくなっています。多くの高タフネスのクリーチャーは《虹色の終焉》で間に合いますが、《濁浪の執政》を対処する必要があるため《流刑への道》もサイドに採られています。《虚空の杯》は、Living EndやTemur Footfallsなど「続唱」デッキに対してX=0で置くために採用されています。
Modern Challenge #12372530
環境最高のコンボデッキ
2022年1月9日
- 1位 Hammer Time
- 2位 Tron
- 3位 4C Midrange
- 4位 Izzet Ragavan
- 5位 Jund Saga
- 6位 Infect
- 7位 Hardened Scales
- 8位 Hammer Time
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現環境のトップメタの一角に位置するHammer Timeが順当に勝ち上がり優勝を収めました。また、4C Blinkなどフェアデッキに対して強いTronが今大会で準優勝しています。
ほかには4C Midrange、Jund Saga、Izzet Ragavanなど、各種《敏捷なこそ泥、ラガバン》デッキも安定した成績を残し続けています。
デッキ紹介
Izzet Ragavan
世界王者の高橋 優太選手も参戦していました。高橋選手はThe Last Sun 2021でもIzzet Ragavanを使用してプレイオフ進出を果たしていました。
このデッキは、《表現の反復》や《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ドラゴンの怒りの媒介者》《濁浪の執政》といったレガシーのIzzetと変わらない顔ぶれがそろっています。
Izzet Ragavanは人気があるデッキであると同時に、安定した成績を残し続けているデッキです。《濁浪の執政》は多くのデッキがメインの除去として採用している《虹色の終焉》で除去されない優秀なフィニッシャーで、《夢の巣のルールス》の「相棒」としての採用を諦めるほどの価値があるカードです。
☆注目ポイント
多くのリストに1枚ずつ採用されている《大魔導師の魔除け》や《厚かましい借り手》は不採用で、「続唱」デッキを意識してか《呪文貫き》が3枚と多めに採られています。1マナスペルを増量することによって全体的に軽い構成になり、《濁浪の執政》を「探査」でプレイしやすくなっています。
《夢の巣のルールス》を採用しない分、特殊地形対策になる《血染めの月》が使えます。Tronなど土地コンボの数は現環境では少数ですが、《ウルザの物語》や多色のミッドレンジが散見されるため、《血染めの月》を着地させることができれば、それだけでゲームを有利な方向に進められます。
『イニストラード:真紅の契り』から加入した《炎恵みの稲妻》は、除去したカードを追放できるので《夢の巣のルールス》デッキや「不死」クリーチャーを多用するGolgari Yawgmothとのマッチアップでも活躍します。
4C Midrange
Grixis Midrangeをベースに白の優秀な除去をタッチしたデッキ。
Grixisは、エンチャントやプロテクション(赤)(黒)を持つ《ヴェクの聖別者》を処理するのが困難という弱点を抱えていました。白をタッチすることで、現環境でもっともフレキシブルな除去である《虹色の終焉》が使えるようになり対応力が向上しています。
4色ですが、モダンはフェッチランド、ショックラウンド、トライオームなど土地に恵まれているためマナ基盤は安定しています。幅広い脅威に対応できるので、ほかの《敏捷なこそ泥、ラガバン》+《夢の巣のルールス》デッキとのマッチアップに強いバージョンになります。ショックランドによってライフの損失が激しいため、BurnやProwessなど速攻でライフを攻めてくる戦略は苦手なマッチとなります。
☆注目ポイント
《ケイヤの手管》が使えるのも白をタッチする明確なメリットの一つです。布告系の除去は《濁浪の執政》など大型のクリーチャーを処理でき、現環境には墓地を使ったデッキが多数存在するため、メインから無理なく採用できる墓地対策としても優秀です。トークンを生成する効果も地味ながら《敏捷なこそ泥、ラガバン》のブロッカーになり、Hammer Timeとのマッチアップでも時間を稼ぐことができます。
最近では《瞬唱の魔道士》を採用しているデッキは少なくなりましたが、このデッキでは《夢の巣のルールス》と《コラガンの命令》によって使いまわすことが可能です。
エンチャントとアーティファクトを同時に除去できる《摩耗/損耗》は、Hammer Timeとのマッチアップで最適な除去の1枚です。《シガルダの助け》や各種装備品、《ウルザの物語》にも撃つことができます。
総括
現環境では、Grixis ShadowやIzzet Ragavanが安定した成績を残し続けています。ほかのフェアデッキをカードパワーで圧倒する4C Blinkの人気が出てくるにつれて、Azoriusなどほかのコントロールは減少傾向にあります。アグロデッキではHammer Timeが常に大会上位をキープしています。
『モダンホライゾン2』による大きな変化はありましたが、モダンは面白いフォーマットであることは変わりなく、今後も人気がある構築フォーマットとして盛り上がりが期待できそうです。
USA Modern Express vol.69は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!