はじめに
みなさんこんにちは。
先週末にはオンラインのCSQがあり、来週末にはLegacy Showcase Challengeも開催されるなど、レガシーのイベントが充実しています。
さて、今回の連載では先週末に開催されたイベントの結果を見ていきたいと思います。
Legacy Super Qualifier #12375120
予選を突破したのはDeath and Taxes
2022年1月15日
- 1位 Death and Taxes
- 2位 Jeskai Control
- 3位 Jeskai Control
- 4位 4C Control
- 5位 Vengevine
- 6位 4C Control
- 7位 Selesnya Depths
- 8位 8 Cast
トップ8のデッキリストはこちら
先週末にLegacy Super Qualifierが開催されました。上位2名にはMTGアリーナで行われる『神河:輝ける世界』チャンピオンシップの権利が与えられます。
現環境トップメタのIzzet Delverは今大会でも人気のデッキでしたが、母数の多さに反してデータによると勝率は50パーセント未満と振るわなかったようです。人気があるデッキゆえにマークが厳しく、対策を乗り越えられるかが使用者のスキルに大きく左右される点も見逃せないファクターです。
今大会で予選を突破したDeath and Taxesは、Izzet Delverと相性がいいデッキの一つです。また、準優勝で予選を抜けた《船殻破り》と《一日のやり直し》を搭載したJeskai Controlにも注目が集まっています。
デッキ紹介
Death and Taxes
長丁場の予選を見事に通過したのは、Death and Taxesのエキスパートであるyoshiwata(@yowa_MTG)でした。
Death and Taxesは新セットによって強化され続けているデッキで、《孤独》や《カルドラの完成体》など強力なカードの恩恵を受けています。
《空を放浪するもの、ヨーリオン》を「相棒」として採用した現在主流の80枚バージョンで、使いこなすのには慣れが必要なデッキですが、クリーチャーデッキなので《敏捷なこそ泥、ラガバン》に耐性があり、《カラカス》をフル搭載しているため対処しやすくなっています。また、《ちらつき鬼火》のおかげで《濁浪の執政》のサイズをリセットしたり、《敏捷なこそ泥、ラガバン》で盗られたカードを取り返すことができたりとIzzet Delverの脅威にしっかりと対応できるデッキです。
☆注目ポイント
メインから2枚採用されている《永久のドラゴン》に注目が集まります。《ドラゴンの怒りの媒介者》や《秘密を掘り下げる者》を止めることができ、「永遠」持ちなのでカウンターされないフィニッシャーとして青いデッキにとって脅威になります。また、「平地サイクリング」持ちなのでデッキの安定性の向上にも一役買っています。《空を放浪するもの、ヨーリオン》を採用したこのバージョンは土地を置きたいので、土地サイクリングは地味ながら重要な能力です。
自身をサクリファイスすることで置物を処理できる《聖戦士の奇襲兵》は、最近サイドで見かける《倦怠の宝珠》の影響を受けずに破壊することができます。エンチャントでもある《ウルザの物語》がさまざまなデッキで散見される現環境では、メインから採用しても十分に活躍できるクリーチャーです。
墓地対策にサイドのスペースが多く割かれています。それぞれ異なる役割を持っており、マナを支払わずにインスタントスピードで使える《フェアリーの忌み者》と《外科的摘出》は、Reanimatorなど速い墓地コンボとのマッチアップで特に強さを発揮します。
《安らかなる眠り》は《ドラゴンの怒りの媒介者》の「昂揚」や《濁浪の執政》の「探査」を妨害できます。《墓掘りの檻》と《封じ込める僧侶》は、《緑の太陽の頂点》を使うデッキとのマッチアップでもサイドインできるなど、複数の異なるマッチで有効です。
Jeskai Control
ziggy_stardustがLegacy Challengeで優勝して以来、注目を集めていた《船殻破り》と《一日のやり直し》のコンボを搭載したコントロールデッキで、今大会でも予選突破、複数の入賞者を出すなど安定した強さを見せます。
《船殻破り》《一日のやり直し》《覆いを割く者、ナーセット》《時を解す者、テフェリー》といった3マナ域が多めに採用されているのが特徴で、除去・カウンター・アドバンテージ源とバランス良くまとまったコントロールデッキです。
追加のカウンターとして《狼狽の嵐》と《否定の力》がメインから採用されているため、コンボデッキとの相性が従来までのJeskaiに比べて改善されています。コントロールの定番として定着している《虹色の終焉》と《剣を鍬に》の2種類の除去によって、多くのクリーチャーデッキに有利に立ち回れます。
☆注目ポイント
《船殻破り》+《一日のやり直し》が決まれば圧倒的なアドバンテージ差がつくので、たいていのマッチアップでは勝ちが確定します。また、事前に《時を解す者、テフェリー》を設置しておくことで安全にコンボを決めることが可能です。《覆いを割く者、ナーセット》と《船殻破り》は、コンボパーツでありながらどちらも相手にとって脅威であり、単体でも機能するのが優秀です。
メインからフル搭載された《時を解す者、テフェリー》は、相手のカウンターを無力化してコンボを安全に成立させてくれる重要なカードです。《濁浪の執政》や《ウルザの物語》をバウンスして時間を稼いだり、《瞬唱の魔道士》を使いまわすことも可能です。
赤をタッチするメリットとしては、《紅蓮破》以外に《溶融》や《血染めの月》といった特定のデッキに刺さる強力なサイドボードカードが使えるようになることです。特に《血染めの月》は、4C ControlやLandsなど現環境には特殊地形に大きく依存したデッキが多いため、サイドインする機会が多くなります。
Legacy Challenge #12375156
コントロールが強い環境
2022年1月16日
- 1位 Birgi Storm
- 2位 Lands
- 3位 4C Control
- 4位 4C Control
- 5位 Death and Taxes
- 6位 4C Control
- 7位 Reanimator
- 8位 Izzet Ragavan
トップ8のデッキリストはこちら
日曜日に開催されたLegacy Challenge。《船殻破り》+《一日のやり直し》のコンボを搭載したJeskai Controlは今大会でも人気があり、トップ16に複数の入賞者を出すなど安定した成績を残していました。
Izzet DelverはLegacy Super Qualifierに比べて高い勝率を出していたものの、苦手なマッチアップである4C Controlが上位に複数勝ち残っていたためあまり振るわなかったようです。
プレイオフを見事に勝ち抜いたのは、《語りの神、ビルギ》を搭載したストーム系のコンボでした。
デッキ紹介
Birgi Storm
比較的最近のセットから登場したカードを多数搭載したストームコンボ。
2マナランドやマナアーティファクトのマナ加速から《深淵への覗き込み》《語りの神、ビルギ》《永劫のこだま》で手札を補充して、最終的に《燃え立つ願い》や《願い》によって《巣穴からの総出》《苦悶の触手》などをサーチしてゲームを決めます。
青赤なのでハンデスが使えませんが、《防御の光網》をメインから採用しており、「ストーム」付きのアドバンテージ獲得手段である《電位式リレー》があるので青いデッキとの相性も悪くありません。
☆注目ポイント
《語りの神、ビルギ》の登場によってトーナメントレベルにまで強化されました。このデッキのマナエンジンであり、裏面で置けばアドバンテージ源にもなります。起動型能力で《永劫のこだま》を捨てれば、カード2枚に加えて「フラッシュバック」で手札を一気に補充することが可能です。また《永劫のこだま》は《燃え立つ願い》でサーチしてこれるので、安定してコンボに移行することができます。
《無謀なる衝動》によって低マナで手札を補充することができます。《ジェスカの意志》よりも見れるカードは1枚少なくなりますが、《無謀なる衝動》のほうが追放したカードを次のターンまで使えます。《永劫のこだま》をサーチする手段兼墓地に落とす手段として、サーチスペルの《ギャンブル》が採用されています。
《願い》は3マナと《燃え立つ願い》よりも重くなりますが、どんなカードでも手に入ります。基本的には追加の《燃え立つ願い》ですが、《残響する真実》や追加の勝ち手段として《ウルザの物語》もサーチできます。
Lands
常に環境に存在し続けているLands。《壌土からの生命》でカードアドバンテージを稼ぎ、《踏査》によるマナアドバンテージを活かして《不毛の大地》を再利用し続け相手のマナを縛っていきます。
《罰する火》+《燃え柳の木立ち》や《イス卿の迷路》といったカードで相手のクリーチャーを処理していき、最終的に《演劇の舞台》+《暗黒の深部》で《マリット・レイジトークン》を生成してゲームに勝利します。
現環境のトップメタであるIzzet Delverに対しても強く、《敏捷なこそ泥、ラガバン》は《カラカス》で、《濁浪の執政》は《イス卿の迷路》で対処することができます。《マリット・レイジトークン》に対する回答に貧しいため、かなり相性の良いマッチアップとなります。
最近のLandsは、《演劇の舞台》+《暗黒の深部》以外にも勝ち手段が用意されており、フレキシブルなゲームプランを構築することができます。
☆注目ポイント
《ヴァラクートの探検》は《壌土からの生命》と《踏査》とシナジーがあり、ライブラリーを掘り進めることができます。アドバンテージ源兼追加の勝ち手段として機能します。
《ウルザの物語》を採用したデッキなので、サーチ用にアーティファクトが複数採用されています。《探検の地図》は素で引いても必要な土地をサーチできる有用なアーティファクトです。クリーチャー除去として機能する《黄鉄の呪文爆弾》も、特定の戦略に対して有効なサーチ先となります。
土地を《壌土からの生命》によって再利用できるLandsは、《ウルザの物語》の強さをもっとも発揮できるデッキの一つです。《ウルザの物語》+《演劇の舞台》を組み合わせることによって、毎ターン構築物・トークンを生成し続けることが可能です。
土地を多く採用していますが、《イス卿の迷路》や《暗黒の深部》といった土地はマナを生み出さないため、《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ》はマナ基盤の安定化に貢献します。《ボジューカの沼》は《輪作》でサーチしてこれる墓地対策で、墓地を使ったコンボデッキ以外でもIzzet Delverの「探査」や「昂揚」を妨害する手段にもなります。
総括
一時期は禁止カード、特に《敏捷なこそ泥、ラガバン》についてさまざまな意見が散見されました。しかし、環境が進むにつれて《敏捷なこそ泥、ラガバン》デッキ以外のデッキの研究が進んだ結果、現在は《敏捷なこそ泥、ラガバン》デッキ一強状態ではなく、4C Control、Death and Taxes、Lands、Reanimator、Elves、最近ではJeskai Controlなどさまざまなデッキが結果を残しています。
ほかのデッキのリストがアップデートされる中で、Izzet Delverのリストが煮詰まってきていて対応されやすくなったという意見も散見されますが、Legacy ChallengeでJPA93が《Spell Pierce》4枚入りのリストで入賞していました。
Legacy Super Qualifierや最近のLegacy Challengeの結果から、この環境のレガシーはもうしばらく続くことが予想されます。
以上、USA Legacy Express vol.194でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!