決勝戦:佐々木 祐介(白緑) vs. 谷本 雅史(白青)

晴れる屋メディアチーム

By Souta Nakagawa

2022年最初のリミテッド帝王を決める戦い

『イニストラード:真紅の契り』の総評は、「レアカードが強い」だった。

歓迎する吸血鬼真紅の花嫁、オリヴィア耕作する巨躯船砕きの怪物

《歓迎する吸血鬼》《真紅の花嫁、オリヴィア》《耕作する巨躯》《船砕きの怪物》など、枚挙にいとまがない。レアカード1枚で戦況が変わる──勝敗が入れ替わるといった経験をしたプレイヤーも多いはずだ。

ところが、決勝戦で活躍したのはいわゆる「ボムレア」ではなく、手堅くデッキの完成度を高めるカードたち。つまり、運などに左右されない実力こそが、トップ8の戦いを勝ち抜く要因となったのだ。

総勢51名が参加した『第6期関西帝王戦リミテッド』の頂点を決める闘い。フィーチャーテーブルには、2人の猛者が立った。

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佐々木 祐介が使用するのは「白緑」。《教区刃の見習い》《田舎の補充兵》といった「訓練」持ちのクリーチャーを並べ、白と緑の特徴であるクリーチャーの質と数で敵を圧倒するデッキだ。

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谷本 雅史が使用するのは「白青」。《塩水漁り》などの「降霊」能力を有するクリーチャーと《縫合された助手》のようなカードとのシナジーを活かし、飛行軍団と豊富なアドバンテージ源で勝利を狙うデッキだ。

どちらも白色を擁する、しかし違う方向性のデッキを握る両者。10時間にわたる激闘の最終戦、『帝王』の称号を賭けた戦いをご覧いただこう。

佐々木 祐介(左) vs. 谷本 雅史(右)

決勝戦

Game 1

佐々木、谷本ともにマリガンはせず、どちらも初手をキープした。

先行の佐々木が《平地》を置き、後攻の谷本が《島》を設置する。そして佐々木にターンが返ってくると、早くも白緑の真骨頂である小型クリーチャーの襲撃準備が始まった。

土地を伸ばした佐々木が早々に唱えたのは、《ドラグスコルの歩兵》。「降霊」能力を持ち、除去されても墓地からオーラとして舞い戻る強力なカードだ。これに対して谷本は《島》を置くだけに留まる。

ドラグスコルの歩兵吸血鬼の討伐者

ならば、この軍団が攻勢に打って出ない理由はない。ターンをもらった佐々木は早速《ドラグスコルの歩兵》で攻撃。谷本のライフを18に減らすと、次いで《吸血鬼の討伐者》が着地。後続のクリーチャーをそろえ、さらにライフを削る準備を整える。

さて、谷本はというと、変わらず《島》を置いてターンを渡す。これは大口を開けた罠への誘いか、それとも単なる手札事故か。いずれにしても、佐々木は攻撃の手を緩めない。今度は《吸血鬼の討伐者》を含めた攻撃で、谷本のライフは14に。

グリフ乗り霊灯の罠

このままライフ差を広げたい佐々木は《グリフ乗り》を唱えるが、やはり谷本は対策を持っていた。盤面に着地する前に挟み込まれたのは、《霊灯の罠》。これにより飛行戦力を打ち消した谷本は、自ターンに土地を置くと、さらに佐々木の戦力を削ぐべく、《ドラグスコルの歩兵》を対象に《シガルダの拘禁》を唱えた。こうなると、佐々木のもとに残ったのは吸血鬼が1体のみ。

それでも佐々木は、一貫して攻めの姿勢を崩さない。残された《吸血鬼の討伐者》で攻撃して谷本のライフを12まで減らしてゆく。

ここでどうにか態勢を整えたい谷本だが、土地の枚数が増えるばかりで、一転攻勢を仕掛けられるカードが手札に入ってこないのか、そのままターンを明け渡す。こうなれば、もはやクリーチャーが減らされようが、どうなろうが佐々木の行動は変わらない──できるだけ多く攻撃し、できるだけ多くのライフを削るのだ。

次のターン、佐々木が吸血鬼で攻撃して相手のライフを10に減らすと、そのターンの終了時に谷本が《シガルダの拘禁》の起動型能力を発動。これにより、《ドラグスコルの歩兵》は「降霊」すらできずに追放され、谷本の戦場には血・トークンが生成された。

谷本はさっそく血・トークンでカードを引き、そのまま《潜水スカーブ》を召喚。あえて「濫用」はせず、貴重な戦力として盤面に保持する。

潜水スカーブ勇敢な姿勢

だが、この状況で佐々木が唱えたのは《勇敢な姿勢》《潜水スカーブ》が破壊されてしまい、がら空きとなった谷本の戦場を、なおも《吸血鬼の討伐者》が攻め立てる。8点となったライフに追い打ちをかけるように、佐々木が援軍として《鷺恵みの霊》を繰り出す!

鷺恵みの霊

最後の望みをかけて谷本はドローしたが、打つ手なしとみたのか投了した。

佐々木 1-0 谷本

Game 2

両者ともにまたもマリガンはなし。先手を得た谷本が《進化する未開地》を設置してターンを渡すと、佐々木は《森》から《うなる狼》を召喚。変わらず、攻めの姿勢を崩さない。

ところが、今度は谷本も指をくわえて見ているだけではなかった。《進化する未開地》から《島》を持ってくると、次いで置いた《平地》とともに《セルホフの埋葬者》を召喚し、攻撃に備える。

教区刃の見習い塩水漁り

ターンが返ってきた佐々木は、さっそく《うなる狼》で攻撃。ライフを19に減らされ、《教区刃の見習い》を追加で召喚された谷本だが、ここは動じず、返しのターンで《塩水漁り》を盤面に着地させた。クリーチャーと一緒にやってきたスピリット・トークンとともに、反撃の機会をうかがう。

民兵の結集者監禁の円環

対する佐々木は、《民兵の結集者》を唱えた。攻撃するたびに自軍のクリーチャー1体をアンタップする、攻防一体の優れたクリーチャーだが、佐々木はあえて攻撃には移らなかった。 そのターンの終わりに《セルホフの埋葬者》でルーティングした谷本は《監禁の円環》を唱えて、佐々木の《民兵の結集者》を追放する。そしてさらに土地を伸ばすが、こちらもすぐには攻めに打って出ず、対戦相手の様子をうかがう。

盤面に戦力がそろいつつある中、先に攻撃を仕掛けたのは佐々木だった。再び《教区刃の見習い》を唱えた佐々木が、ついに1体目の《教区刃の見習い》と効果で3/3になった《うなる狼》でコンバットを宣言した!これに対し、谷本はなんとクリーチャーを3体用いて、全力で《うなる狼》をブロック!結果として佐々木は《うなる狼》、谷本はスピリット・トークンと《塩水漁り》を失い、ライフは18となる。

ドーンハルトの霊夢鎖の霊

クリーチャーを複数体失ってしまったが、ルーティングで手札を調整していた谷本は動じない。《ドーンハルトの霊》《夢鎖の霊》を唱えて再度盤面を整えなおしただけでなく、《夢鎖の霊》の効果で、戦闘開始時にタップしていた《教区刃の見習い》のアンタップを封じる。

ネベルガストの詐欺師

やや攻め手を崩された佐々木は《ネベルガストの詐欺師》を召喚。タッパーにはタッパーで対策するといわんばかりのクリーチャーだが、自軍が一部起き上がらない状況は「訓練」能力をうまく使えず、結局攻撃には移れない。

鷺恵みの霊塩水漁り

これを絶好のチャンスと見た谷本は、墓地にルーターで落としていた《鷺恵みの霊》の能力を起動。スピリット・トークンをさらに2体増やしただけでなく、《塩水漁り》を「降霊」し、またもトークンを1体増やす。そして《夢鎖の霊》で攻撃しながらクリーチャーを起こさせず、佐々木のライフは17に。

佐々木も手元のクリーチャーで攻撃するが、双方ブロックされてしまう。ここで佐々木はかなり迷った末に、手札で温めていた《巨大な力》《教区刃の見習い》に唱えた。ブロックしていた《ドーンハルトの霊》は撃破され、谷本のライフは16に削られてしまう。《民兵の結集者》も着地させて、どうにかゲームをリードしたい佐々木。

潜水スカーブ

だが、谷本が《潜水スカーブ》を召喚。「濫用」能力によって頼みの綱でもあった《民兵の結集者》をライブラリーの一番上に置かざるを得なくなってしまう。しかもいまだ存命(?)の《夢鎖の霊》を加えた飛行軍団の攻撃によって《ネベルガストの詐欺師》のアンタップが封じられた佐々木は、5点のダメージを受ける。

ライフが12となった佐々木が《民兵の結集者》を再度唱えてターンを渡すと、谷本は一気呵成に畳みかける。この機を逃すまいと、《潜水スカーブ》を含めた全クリーチャーで攻撃を仕掛けたのだ!

どうにか地上の生物は食い止めた佐々木だが、空を飛ぶスピリットだけはどうしようもなく、ライフを7に削られる。それでもチャンスを待つ佐々木に対し、谷本が唱えたのは2体目となる《塩水漁り》

塩水漁り

ターンをもらった佐々木は残った《教区刃の見習い》で反撃を図るが、それも谷本が放った《勇敢な姿勢》によって遮られてしまった末、ここで投了した。

佐々木 1-1 谷本

Game 3

最後のゲームは佐々木が一度マリガンし、谷本はノーマリガン。先手の佐々木が《平地》を置いてエンドしたのに対し、今度は谷本が《島》から《ランタンを携える者》を唱え、先に攻める手段を用意した。これに対し、佐々木は《教区刃の見習い》を召喚する。サイズ差で圧倒するために「訓練」持ちのクリーチャーは欠かせないが、やはり空の戦力は防げない。

ランタンを携える者教区刃の見習い

返す谷本のターンで《ランタンを携える者》が攻撃を仕掛け、佐々木のライフは19になる。さらに谷本は《嵐追いのドレイク》を盤面に繰り出し、飛行戦力を強化した。

慈愛の祖霊

さて、こうなれば佐々木に防御を固める選択肢はない。《教区刃の見習い》で攻撃して谷口のライフを同じく19に削ると、《慈愛の祖霊》を召喚。このままクロックを刻めば絆魂のおかげで、ライフレースに大きく差をつけられる。

養育する存在嵐追いのドレイク

一方で谷本も、負けじと《養育する存在》《嵐追いのドレイク》に付与した。スピリット・トークンで頭数を増やしただけでなくドローもこなし、飛行軍団の攻撃で佐々木のライフを15に減らす。

ここで除去を引き込めるとありがたいが、佐々木が擁する色は白と緑。《勇敢な姿勢》かコンバットトリック以外での除去が望めないなら──敵をより早く倒すだけだとでもいうかのように、佐々木は自軍での一斉攻撃を仕掛けた。

ここから佐々木が始めたのは、まさしくノーガードの攻撃だった。谷本のライフを15に減らした佐々木が《民兵の結集者》を着地させると、谷本は《鋼纏いの霊》を召喚した後、オーラをまとった《嵐追いのドレイク》で攻撃し、佐々木のライフを12とする。

そして返ってきたターンでも、佐々木は再び全軍突撃を敢行した。谷本は冷静に、今後の脅威となりうる《民兵の結集者》を3体のクリーチャーでブロック。少し悩んでから、佐々木は《鋼纏いの霊》と相打つことを選んだのち、《勇敢な姿勢》を唱えた。これによって破壊不能を得た《民兵の結集者》は無事に生存する。

この流れに乗りたい佐々木が《グリフ乗り》を唱えたが、これは《霊灯の罠》によって打ち消された。とはいえこれ以上の対策はなく、谷本はターンが回ってきてもドローしてすぐに佐々木にターンを渡した。

ここでも佐々木は前のめりな姿勢を崩さずに全軍攻撃を仕掛けるが、スピリット・トークンと《ランタンを携える者》で攻撃をブロックされただけでなく、《教区刃の見習い》《勇敢な姿勢》で除去されてしまい、谷口のライフを変動させられない。しかし+1/+1カウンター2個は《慈愛の祖霊》に移し替えられ、佐々木はライフを16に回復する。

しかし、まだまだ巻き返せない数値ではない。谷本は《シガルダの拘禁》《慈愛の祖霊》に唱え、佐々木の回復手段を奪う。そして《嵐追いのドレイク》で攻撃し、ライフを14まで減らした。

田舎の補充兵

飛行クリーチャーで攻め立てる谷本に対し、佐々木は《田舎の補充兵》を唱え、3/1の猪・トークンを軍団に加え入れてターンを渡す。次のターンの一斉攻撃で、谷本のライフを一気に削り落とす気だ。

だが、谷本も最後のターンに備えて《塩水漁り》を唱え、スピリット・トークンを着地。変わらず《嵐追いのドレイク》でクロックを刻み、佐々木のライフを10とする。そして佐々木に渡したターン──ここからが決着の始まりとなった。

まずは佐々木が、躊躇うことなく《教区刃の見習い》《田舎の補充兵》、猪・トークンで総攻撃。《塩水漁り》とスピリット・トークンが補充兵を受け止めるも、4点分の打点を受けて谷本の残りライフは11。

塩水漁り塩水漁り

《ドラグスコルの歩兵》も召喚して万全を期す佐々木だったが、果たして谷本は奥の手を握っていた。そう、返しのターンで手札から唱えた《塩水漁り》、そして墓地から「降霊」で唱えた《塩水縛りの贈り物》がそれだ!スピリット・トークンも含めた4体のクリーチャーが登場し、《養育する存在》で強化された《嵐追いのドレイク》が攻撃!佐々木のライフをたちまち4点まで減らす!

万事休すの佐々木は残されたクリーチャーで攻撃を試みるも、生成されたスピリット・トークンと《塩水漁り》に防がれてしまい、2点しか通らない。そして墓地に落ちた《塩水漁り》は、《塩水縛りの贈り物》となって戦場に舞い戻る。それだけでなく、谷本の手札から第三の《塩水漁り》が出現した!

塩水漁り

これにより肥大化した《嵐追いのドレイク》とスピリット・トークンの攻撃によって、「訓練」軍団の堅牢なる城は崩壊した。

そしてまた──ここに新たなる『帝王』が誕生したのだった。

佐々木 1-2 谷本

『第6期関西帝王戦リミテッド』優勝は谷本 雅史!おめでとう!!

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