◆はじめに
お疲れ様です。てんさいチンパンジー(@tensai_manohito)です。
遅くなりましたが明けましておめでとうございます。本年も晴れる屋と増田をよろしくお願いいたします。
今回は「アミュレットタイタン」の解説記事になります。
昨年末に開催されたThe Last Sun 2021に参加した際に私も使用したデッキで、あまりの面白さにイベント後も飽きることなく使い続けています。そんな魅力に溢れたアミュレットタイタンを紹介いたします。
また、アミュレットタイタン対策についても解説していますので、このデッキを使う予定がないという方も最後まで読んでいただけると幸いです。
◆アミュレットタイタンとは?
「アミュレットタイタン」とは《精力の護符》と《原始のタイタン》を用いたコンボデッキです。デッキの大半が土地を占め、呪文もほとんどが土地関連(土地を置く/探す)ということで、「どうやって勝つんだ」という以前に「これはデッキなのか?」という疑問すら浮かぶかもしれません。
その実態は最速2ターンキルという、明らかに法外のスピードを持った高速土地コンボデッキです。そんな速度を持ちながらも、デッキ本来の性質は長期戦にも強い一風変わったデッキでもあります。
反面、手札破壊/除去/打ち消しといったあらゆる干渉手段を苦手としており、またアミュレットタイタン自身がほぼ緑単色デッキということもあり、相手の動きにほとんど干渉できません。よく言えば漢らしい、悪く言えば相手にも好きなことをさせてしまう…そんなお茶目な(?)一面もあります。
「4色ブリンク」や「ヨーグモスコンボ」といったフェアデッキや、「アゾリウスコントロール」のような長期戦デッキ、「ウルザトロン」「バーン」のような干渉手段をあまり持たないデッキを得意とし、「グリクシスシャドウ」「人間」のような軽いクロック&妨害に長けたデッキや、「ベルチャー」「感染」のような自分より早いコンボデッキ、「ライブラリーアウト」のような別角度の攻め手を持ったデッキを苦手としています。
「アミュレットタイタンは知っているけど、実際にどうやって勝つのかよく分からない…」という人は多いかもしれません。アミュレットタイタンにはいくつかの勝ち方があり、その中でも代表的な2パターンを紹介します。
パターン1
メインフェイズ
1. 《シミックの成長室》をプレイ。《精力の護符》が2回誘発して《シミックの成長室》から4マナ。その後、2枚の《森》からマナを出して《森》を手札に戻す。
2. 浮きマナで《原始のタイタン》をプレイ。能力で《ボロスの駐屯地》と《処刑者の要塞》を持ってくる。
3. 《精力の護符》がそれぞれの土地に対して2回ずつ誘発。《ボロスの駐屯地》から赤と白を2マナずつを出して《処刑者の要塞》を2回起動し、《原始のタイタン》に+4/+0と速攻と警戒を付与。
戦闘フェイズ
4. 《原始のタイタン》の攻撃。誘発で《ヴェズーヴァ》と《軍の要塞、サンホーム》を持ってくる。《ヴェズーヴァ》は《ボロスの駐屯地》をコピー。
5. 《精力の護符》がそれぞれの土地に対して2回ずつ誘発。《ボロスの駐屯地》(《ヴェズーヴァ》)から赤と白を2マナずつを出して《軍の要塞、サンホーム》を起動し、《原始のタイタン》に二段攻撃を付与。
6. 結果、10/6 速攻・警戒・二段攻撃・トランプルの《原始のタイタン》が完成!!おおむね勝ち!!
パターン2
メインフェイズ
1. 《シミックの成長室》をプレイ。《精力の護符》が誘発して《シミックの成長室》から2マナ。《シミックの成長室》自身を戻す。
2. 《イリーシア木立のドライアド》がいるので2回目の《シミックの成長室》をプレイ。《精力の護符》が誘発して《シミックの成長室》から2マナ。2枚の《森》からマナを出して《森》を手札に戻す。
3. 浮きマナで《原始のタイタン》をプレイ。《ハンウィアーの要塞》と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を持ってくる。
4. 《精力の護符》がそれぞれの土地に対して誘発。《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》からマナを出し、《ハンウィアーの要塞》を起動して《原始のタイタン》に速攻を付与。
戦闘フェイズ
5. 《原始のタイタン》の攻撃。誘発で《ヴェズーヴァ》と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を持ってくる。《ヴェズーヴァ》は元から戦場にあった《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》をコピー。
6. 《イリーシア木立のドライアド》の能力で戦場に2枚の《山》が置かれたことになり、かつほかの土地も《山》なため、戦場にある3枚の《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》がそれぞれ2回ずつ誘発。
7. 結果、3×3×2=18点分のダメージを飛ばした後、《原始のタイタン》の攻撃!だいたい勝利!!
《精力の護符》の枚数や追加の《樹上の草食獣》《探検》《イリーシア木立のドライアド》によってスタートの条件は変わるものの、このように少ない土地と《原始のタイタン》1枚から勝ちうる一撃必殺を持っています。
◆サンプルリスト
◆採用カード解説:メインボード
固定スロット
これらはアミュレットタイタンを構成する固定スロットです。アミュレットタイタンをアミュレットタイタンたらしめるカードなので触れないでおきましょう。
《シミックの成長室》《グルールの芝地》
本記事では“お帰りランド”と称します。土地を手札に戻して2マナの出る土地になるため、アドバンテージの取れる珍しい土地です。マリガンは多いが、6マナまでは伸ばしたい!というワガママな要求をするアミュレットタイタンとの相性は抜群です。
採用枚数は8枚~10枚と使用者の思想によって多少前後する枠ではあります。今回、紹介するリストは《豊穣な収穫》で探すパターンもあるため、8枚と少なめです。
《ギャレンブリグ城》
緑マナが出る・マナ加速・アンタップイン可能な土地です。しかも能力は《原始のタイタン》が唱えられる6マナを生み出すということで、驚くほどデッキと噛み合っています。意外と森・タイプを持った土地が少なくアンタップインしづらいため、意識して先に置きましょう。
《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ》
自分都合ならばほぼ《森》の上位互換です。《ハンウィアーの要塞》や《トレイリア西部》といった非緑の土地から緑マナが出るようになるので、《ギャレンブリグ城》が起動しやすくなります。しかし、《血染めの月》《月の大魔術師》のような土地対策を考えると《森》のほうが優れているため、それらの対策を強く見るのであれば《森》に差し替えたほうがよいでしょう。
《ボジューカの沼》《光輝の泉》《幽霊街》《カルニの庭》
特定のデッキに効果的な土地を《原始のタイタン》で探す動きもアミュレットタイタンならではの戦い方です。色が合わない・タップインなどでメインの動きに噛まないので、サイドに採用して必要な相手にのみサイドインするパターンも考えられます。この枠は流行りに合わせて動かすのがよいでしょう。
今回紹介するリストは《ボジューカの沼》のみメインから採用し、《光輝の泉》《幽霊街》はサイドに採用、《カルニの庭》は不採用です。
《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》
《原始のタイタン》で攻撃する以外の勝ち手段です。《山》は1枚も入っていないため、誘発させるには《イリーシア木立のドライアド》が必須になりますが、逆に《イリーシア木立のドライアド》が戦場に存在するときのこのカードはすさまじい威力です。お帰りランドで自身を戻して使いまわすことで3点砲台として運用したりと、ほかのデッキにはない使い方ができます。
《ウルザの物語》
追加の《精力の護符》です。設置から2ターン後には《精力の護符》になるため、相手視点では土地とは思えないプレッシャーが掛かります。第Ⅲ章を解決するターンに《原始のタイタン》が唱えられるタイミングで設置しましょう。アミュレットタイタンにおいてはオマケに思われがちな構築物・トークンを作る能力は、《原始のタイタン》で土地が伸びるような展開でフィニッシャー級の活躍をします。
《ヴェズーヴァ》
すべての土地の追加です。最終的に《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》をコピーすることが多いですが、デッキに眠っていて欲しいが引いてしまった土地を先に置いておくことで、《ヴェズーヴァ》がその役割を担うことも可能です。“便利”という言葉がそのままの役割です。
《魂の洞窟》
土地が持って良い能力とは到底思えない打ち消し無効に加えて、色マナが出る上にアンタップイン。誰がどう見ても狂った強さです。《探検の地図》《トレイリア西部》の存在からメインに1枚あると嬉しいですし、サイド後は適切なマッチアップでは複数枚引いても嬉しいので、75枚中に3~4枚は採用したいです。
《ハンウィアーの要塞》
《原始のタイタン》への速攻付与として《ハンウィアーの要塞》か《処刑者の要塞》のいずれかは必須です。詳細は後述しますが、個人的には《ハンウィアーの要塞》を推しており、今回紹介するリストも《ハンウィアーの要塞》を採用しています。これは《処刑者の要塞》が悪いというより、《処刑者の要塞》を採用するに際してセットで必要な《ボロスの駐屯地》が弱いと判断したためです。
《トレイリア西部》
「変成」によってマナコストが0のカードをサーチ可能です。だいたい《召喚士の契約》をサーチしますが、相手や状況に合わせて《魂の洞窟》や《ウルザの物語》《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》になることもあります。
《召喚士の契約》で《原始のタイタン》をサーチし、《原始のタイタン》で《トレイリア西部》《シミックの成長室》を持ってきて《トレイリア西部》を手札に戻して、また「変成」で《召喚士の契約》をサーチして…と、相手が倒れるまで《原始のタイタン》を叩きつけ続けられます。個人的にはこれがアミュレットタイタンでもっとも美しい動きだと思っており、お帰りランドでこの土地を戻している瞬間に“生”を感じます(諸説アリ)。
《崩壊する痕跡》
戦場に置かれたときにしか色マナが出ないため、パッと見は《氷の橋、天戸》の劣化に思えるかもしれません。しかし、《崩壊する痕跡》はタップインで置いてもマナが出るというのがポイントです。
《樹上の草食獣》の能力で置いて浮いたマナから《豊穣な収穫》や《精力の護符》に繋げたり、《原始のタイタン》で持ってきて先に引いてしまった《ハンウィアーの要塞》を起動したりと、いぶし銀な活躍を見せてくれます。ほかにも《精力の護符》があると手札に戻らない2マナ土地として換算できたりと、地味ながら代用の効かない働きができます。
《耕作する巨躯》
『イニストラード:真紅の契り』で登場し、モダン環境に影響を与えたカードです。手札の土地を戦場に置きカードを引くという行動を繰り返すため、最終的に手札はすべて呪文になります。《精力の護符》があると置いた土地がすべてアンタップするため、手札に貯まった呪文を一気に吐き出して大体はゲームセットです。
主な役割は《召喚士の契約》で《原始のタイタン》以外の選択肢を持たせるためです。《原始のタイタン》では見た目通りにしかならないとき、《耕作する巨躯》の連鎖によって起こる“奇跡”に期待して持ってきます。
《探検の地図》
《精力の護符》以外の《ウルザの物語》第Ⅲ章用サーチ先です。すでに《精力の護符》を引いている場合、2枚目の《精力の護符》よりもお帰りランドが欲しいケースというのは頻発します。ほかにも長期戦になったときには《ウルザの物語》で構築物・トークンを作りながら《探検の地図》をサーチし、《探検の地図》で再び《ウルザの物語》をサーチして構築物・トークンを作って…と繰り返すことで、相手に脅威を押しつけ続けられます。
《豊穣な収穫》
アミュレットタイタンはムラのある・不安定なデッキと認識されています。その要因の1つとして、「土地が多すぎる」ことが挙げられます。《精力の護符》とお帰りランド、そして土地を置く回数を増やすカード(《探検》《イリーシア木立のドライアド》など)の組み合わせは、実際にはそこまで土地枚数が必要なコンボではありません。
むしろ、それらがそろっていればゲーム中に引きたい土地は3~4枚程度で足ります。にもかかわらず、一般的なアミュレットタイタンには30枚以上の土地が採用されていることがほとんどです。それは、《精力の護符》がなかったときも考えて《原始のタイタン》の素出しを狙っているからです。
土地が必要ないケースと土地が必要なケース。矛盾した2つの戦略。これがアミュレットタイタンの不安定な原因です。もっと分かりやすく言えば、《グリセルブランド》を素出ししようとしているリアニメイトのようなものです。そりゃあ安定しているわけがない。
なので、アミュレットタイタンが抱えるこの矛盾した2つの戦略の”接着剤”となるカードが必要と考えました。それが状況に応じて呪文か土地に変換できる《豊穣な収穫》です。これによって実質の土地カウントを減らすことなく土地枚数を減らすことができます。アミュレットタイタンは土地 or マナ加速 or ゴールしか採用されていないため、ある程度狙ったカードを手に入れやすいのもポイントです。
《探検》
アミュレットタイタンは《精力の護符》を絡めて少ない手札で勝つこともありますが、《原始のタイタン》を素出しする展開も十分にありえます。《原始のタイタン》の6マナというのは相応の土地が必要なため、マリガンは少ないほうが嬉しいです(アミュレットタイタンに限った話ではないですが…)。
《探検》は《樹上の草食獣》や《精力の護符》(《ウルザの物語》)とセットで引くことで、3ターン目の《原始のタイタン》の確率を上げてくれます。また、お帰りランドの都合上、この手の追加セットランド権利を得るカードと相性がよいのもアミュレットタイタンならではです。
《樹上の草食獣》が弱いマッチアップ(対コントロールなど)では《樹上の草食獣》を減らす関係上、早いターンに撃てるマナ加速カードは貴重なので、サイド後のバランスも考えるならしっかり4枚採用したいです。
◆採用カード解説:サイドボード
《活性の力》
特定のマッチアップにおける勝利貢献度が非常に高いです。主にハンマータイムを睨んでの採用ですが、いざ当たると意外と困るウルザソプターや鱗親和などにも強く出られます。
《真実の解体者、コジレック》
ライブラリーアウトに対して、あるとないとでは大きな差になる山札修復カードです。《外科的摘出》で抜かれそうになったときには《忍耐》で逃がしましょう。ほかにもアゾリウスコントロールのように長期戦になるマッチアップでは対処の難しい脅威として使います。
《忍耐》
リビングエンド、リアニメイトには墓地対策として、ライブラリーアウトには山札修復として運用します。グリクシスシャドウ、イゼットラガバンのような墓地利用が本質ではないデッキに対してはサイドインしないほうが無難でしょう。
《大祖始の遺産》
《忍耐》と異なり手札が減らないため、少しでも墓地を利用する相手にカジュアルにサイドイン可能です。《ウルザの物語》でサーチ可能ということも含め、《忍耐》と散らしています。
《辺境地の罠外し》
《血染めの月》一点狙いの置き物破壊です。《基盤砕き》《再利用の賢者》が比較対象になりますが、これらは《倦怠の宝珠》で止まってしまう可能性があるので《辺境地の罠外し》を優先しています。
《桜族の長老》
対コントロール用です。一体何を言ってるんだと思われるかもしれませんが…
《桜族の長老》は対策という観点では優れたカードではないです。しかし、アミュレットタイタンのようなコンボデッキにおいて、サイド後の過剰なサイドカード投入はデッキ本来の持ち味を薄めてしまい、結果として勝率がそこまで上がらない傾向にあります。そのため、大量に対策カードを用意しても効果が薄いです。
そこで、メインの役割に近いカードをより有効なカードに差し替える用に枠を割きました。《桜族の長老》は《樹上の草食獣》が弱いマッチアップでの差し替えを想定しています。壁の必要ないマッチアップ=コントロール系であることが多く、対コントロールでは《樹上の草食獣》本体に価値はなく、手札の減らない《桜族の長老》のほうが優れています。
対コントロールの一番の負けパターンは、マナ加速が遅れた状態で早期に《精神を刻む者、ジェイス》や《ドミナリアの英雄、テフェリー》が定着することです。これらに対して《不屈の追跡者》のような追加の脅威は意味がありません。そもそも脅威という観点では《原始のタイタン》が十分にその役割を担っています。必要なのは、その手前のマナ加速と《原始のタイタン》を通す方法です。
つまり、対コントロールの勝ちパターンは「マナ加速」「《魂の洞窟》を経由」「《原始のタイタン》を唱える」というこの3ステップをきちんと踏むことです。そして、「マナ加速」において手札が減ってしまう《樹上の草食獣》は対コントロールで弱いカード=サイドアウト候補であり、それに差し替えるカードが必要だと判断しました。その役割として《桜族の長老》に白羽の矢が立ったということです。
◆不採用カード紹介
《大いなる創造者、カーン》
アミュレットタイタンはサイドに余裕があるので、リソース源として《大いなる創造者、カーン》を使う思想は理解できます。しかし、《大いなる創造者、カーン》そのものがアミュレットタイタンと相性がよいということはなく、リソース源としても中途半端に感じました。
《軍の要塞、サンホーム》《処刑者の要塞》《ボロスの駐屯地》
これらをセットで採用することで、勝ちパターンが《原始のタイタン》と《精力の護符》のみで完結するのは素晴らしいです。しかし、現在のモダンは相手がタップアウトでも《孤独》で妨害され、わずか1マナでも立っていたら《邪悪な熱気》を考えなければいけません。《原始のタイタン》が安全に攻撃できる状況であれば、これらの土地に頼らずとも有利といえるでしょう。
また、《原始のタイタン》に速攻を付与するために《処刑者の要塞》を採用してしまうと、一緒に持ってくる土地がほぼ《ボロスの駐屯地》で固定されてしまうのがイマイチです。《ハンウィアーの要塞》であれば《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》という追加の勝ち手段を同時に用意できるので、《孤独》などで妨害されても後続の《イリーシア木立のドライアド》が脅威としてカウントできるようになります。
《迷える探求者、梓》
手札の土地を追加で置くだけであり、《イリーシア木立のドライアド》と異なり単体で勝つパターンが存在しません。《精力の護符》が設置してあるときにお帰りランドを経由した《召喚士の契約》から持ってこれるマナ加速要員としては、《樹上の草食獣》でも増えるマナは同じです(《迷える探求者、梓》は3マナ払って+4マナ、《樹上の草食獣》は1マナ払って+2マナ。厳密には色マナが増えるか否かで異なりますが)。
召喚してターンが返ってきて、なおかつ《精力の護符》+お帰りランド+《原始のタイタン》がそろっているような限定的な状況でしか活躍できません。“強いときに強いカード”という認識なため、今回は不採用としました。
《四肢切断》
主に《月の大魔術師》を対処するためです。が、範囲が狭いので今回は不採用です。グルールムーンのようなデッキの流行次第では採用を検討します。《エスパーの歩哨》や《敏捷なこそ泥、ラガバン》を対処するために使うのは、アミュレットタイタン本来の動きとは関係ないところで手札を使わされていることからもイマイチです。
《仕組まれた爆薬》
《夢の巣のルールス》系のデッキは全体的にマナコストが軽く、複数交換しやすい良カードです。しかし、「烈日」=1で設置してしまうと自分のパーマネントも巻き込みやすく、使いにくさが目立ちます。また、序盤の《敏捷なこそ泥、ラガバン》や《ドラゴンの怒りの媒介者》には間に合っておらず、後半であればこれらの脅威は対処するより無視したほうがよい(自分の動きを優先させたほうがよい)ということもあり、今回は不採用としました。
《夏の帳》
アミュレットタイタンは自分のターン中に緑マナを使って行動することが多いため、緑マナを構えて返すのが難しいです。打ち消しの入ったデッキに対しては《魂の洞窟》で十分なことが多く、手札破壊に対しては前述のとおり構えて返しづらいことから意外と機能しづらいです。カードとしては強いものの、アミュレットタイタンには合っていないため不採用としました。
◆主要コンボ解説
アミュレットタイタンを扱う上で特に重要なのが、《イリーシア木立のドライアド》と《原始のタイタン》を絡めた土地コンボです。それぞれがどんな組み合わせで運用されるのかを知るところからスタートラインです。アミュレットタイタンを見たことがある・知っている人にとっては冗長な内容になりますが、ご了承ください。
《イリーシア木立のドライアド》関連
《イリーシア木立のドライアド》+《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》
《イリーシア木立のドライアド》の能力で土地がすべての基本土地タイプを持つため、《ドライアド》と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が戦場にあるときに土地を置くと、本来は《山》でない土地であろうと《ヴァラクート》が誘発します。
このとき、《ヴァラクート》自身も《山》としてカウントされるのがポイントで、通常は《ヴァラクート》+《山》×5枚+置いた土地の合計7枚目以降で誘発するのが基本ですが、《ドライアド》が戦場にいると《ヴァラクート》自身も《山》としてカウントされるため、《ヴァラクート》含む土地5枚+置いた土地の6枚目から《ヴァラクート》が誘発するようになります。
少し違和感を覚えるかもしれませんが、アミュレットタイタンにおいては「《イリーシア木立のドライアド》がいるときしか誘発しない」「6枚目の土地から誘発する」と覚えておけばよいでしょう。
《イリーシア木立のドライアド》+《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》+《シミックの成長室》
お帰りランドでお帰りランドを戻すことで、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が無限砲台になります。《原始のタイタン》が《屍呆症》《外科的摘出》で抜かれた場合は、この勝ち手段を目指すことが多いです。
《原始のタイタン》関連
《ハンウィアーの要塞》+《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》
《精力の護符》があればそれぞれがアンタップされるため、そのまま《ハンウィアーの要塞》を起動して《原始のタイタン》に速攻を付与して攻撃できます。攻撃時に再び土地を2枚持ってくることができるため、《精力の護符》があるときにはこのセットを最優先で持ってくることが多いです。
ただし、相手が《孤独》や《邪悪な熱気》《火/氷》を構えているであろう場合はその限りではありません。その場合は後述する《シミックの成長室》+《トレイリア西部》の組み合わせに変更しましょう。
《シミックの成長室》+《トレイリア西部》
《シミックの成長室》の手札に土地を戻す能力を利用して、「変成」を持った《トレイリア西部》を手札に戻すコンボです。《精力の護符》があれば(青)(青)(緑)の3マナが浮いた状態で《トレイリア西部》を手札に戻せるので、そのまま「変成」が可能です。これによって延々と《原始のタイタン》を使って戦うことができるのがアミュレットタイタンの強みです。
《シミックの成長室》+《グルールの芝地》
これといって効果のある組み合わせではないですが、《精力の護符》があるときに一番マナが増え、手札も2枚増えます。《ヴェールのリリアナ》《死の飢えのタイタン、クロクサ》からほかの手札を守ったり、《耕作する巨躯》を出すのが確定している場合には、この組み合わせで持ってくることがあります。
《ハンウィアーの要塞》+《シミックの成長室》
《精力の護符》がないときでも、セットランド権利が残っており、赤マナが浮いている場合、《シミックの成長室》で《ハンウィアーの要塞》を戻す→《ハンウィアーの要塞》を置く→起動して《原始のタイタン》に速攻を付与、と動けます。
最低でも7マナ必要ではあるものの、《精力の護符》を使わないで速攻を付与できるパターンとして覚えておきましょう。このパターンは《処刑者の要塞》では実現しづらく(できないことはないですが、戦場に赤マナ+白マナが用意できているケースは珍しい)、《ハンウィアーの要塞》であるメリットと言えます。
《ハンウィアーの要塞》+《ヴェズーヴァ》
すでに《ハンウィアーの要塞》を引いてしまって、《原始のタイタン》を出すために《ハンウィアーの要塞》からマナを出さなければならない状況でも、《ヴェズーヴァ》で《ハンウィアーの要塞》をコピーすることで《ハンウィアーの要塞》+《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》と持ってきた場合と同じ効果を得られます。
このように《ヴェズーヴァ》は非常に便利な使い方ができます。戦場に《ハンウィアーの要塞》が2枚あってもあまり意味がないので、役目を終えた《ヴェズーヴァ》は、余裕があるときにお帰りランドで拾っておきましょう。
《ハンウィアーの要塞》+《崩壊する痕跡》
《崩壊する痕跡》はタップインでも1マナ出るため、《原始のタイタン》で持ってきた際にも1マナ出せます。《原始のタイタン》用の6マナ+《ハンウィアーの要塞》がすでに戦場にあり、かつ《精力の護符》がない場面で《崩壊する痕跡》を持ってくることで、《ハンウィアーの要塞》を起動できます。限られたシーンではありますが、意外と出くわすので覚えておいて損はないでしょう。
◆プレイ指針
アミュレットタイタンのようなコンボデッキは、フェアデッキとは異なる考え方をすることが多いです。その辺りの思想やプレイ指針について掘り下げます。
お帰りランドは置く or 持っておく?
アミュレットタイタンにおいて、一番難しいのがお帰りランドの扱いです。《精力の護符》との組み合わせで一気に加速できますが、《精力の護符》がないときはただのタップインランドです。何も考えずに置いてしまうと、《精力の護符》を引いたときに《精力の護符》が何もしない置き物になってしまいます。
逆に手札に残しておくと、いざ《精力の護符》を対処されたときにタップインでもたついてしまう原因にもなります。この辺りの考え方は状況次第としか言えませんが、基本的には次のターンに《原始のタイタン》の6マナが確定するのであれば置いた方がよく、そうでなければ、ほかの土地から置いてお帰りランドは残しておいたほうがよい方向に転がることが多いです。
マナ計算を覚える
アミュレットタイタンは《精力の護符》とお帰りランドでマナを”インチキ”するデッキです。どの組み合わせで何マナ出るのかを覚えておくと、実践のときに悩まずに済みます。ほとんどはパターンで決まっているので、慣れてくればこの辺りの計算が一瞬でできるようになります。慣れるまでは無限に一人回ししましょう。
例1
手札から《シミックの成長室》を置くと+4マナ。《探検》を唱えて-2マナから《シミックの成長室》を置くと+4マナ。差し引き+2マナ。で合計6マナ発生することが分かります。
つまり、「《精力の護符》×2枚と《探検》と《シミックの成長室》からは6マナしか出ない」ため、《召喚士の契約》から呼べるクリーチャーは《原始のタイタン》に限られます。《耕作する巨躯》は出せません。《探検》が《樹上の草食獣》であったり、元の手札に《イリーシア木立のドライアド》が追加されると+1マナされるので《耕作する巨躯》が受かるようになるということです。
例2
手札から《シミックの成長室》を置くと6マナ発生します。この6マナを使って《原始のタイタン》を唱え、さらに《トレイリア西部》と《シミックの成長室》を持ってきます。すると、ここからさらに9マナ発生するので、《トレイリア西部》の「変成」3マナ(《召喚士の契約》をサーチ)+《原始のタイタン》の6マナが担えます。
これを《トレイリア西部》が残っている数だけ連鎖させ、最後の《原始のタイタン》で《ハンウィアーの要塞》と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を持ってきて、すべての《原始のタイタン》に速攻を付与することが可能です。
つまり、「《精力の護符》が3枚あるときに《原始のタイタン》を唱えると、デッキの《トレイリア西部》の数だけ《原始のタイタン》を並べられる」ということになります。
対策を割り切る
アミュレットタイタンは対策に弱いデッキです。どうやっても《活性の力》や《血染めの月》を回避できない展開は存在します。しかし、対策されなければ圧倒的なスピードで押し切れるデッキでもあります。なので、過度に対策に怯えるのではなく、勝てる手札がきたときには勝ちに行きましょう。
例3
たとえばこのような手札が来たと想定します。
1ターン目:《ウルザの物語》から《精力の護符》。
2ターン目:《シミックの成長室》を出し入れして《イリーシア木立のドライアド》。
3ターン目:《ウルザの物語》の第Ⅲ章を解決。《精力の護符》をサーチ。《シミックの成長室》を出し入れして《原始のタイタン》。
という最高の動きが見えた手札です。しかし、相手に《活性の力》があると《ウルザの物語》も《精力の護符》も《イリーシア木立のドライアド》もすべて対象に取れます。被害は甚大です。勝利は大きく遠のきます。
ただ《活性の力》をケアしようとしてアーティファクト・エンチャントを1枚以下に抑えながら展開しようとすると、どうしても追加の土地が複数枚必要になり、それらを待つとなるといつ勝てるのか分からなくなります。であれば、ケアするのは辞めて持ってないことに賭けて突っ張ったほうが期待値は高いです。
相手のキープ基準も必ずしもこちらに対処できる手札であるとは限りません。自分都合で理想的な手札であればキープはするでしょうし、マリガンしている場合はなおさらです。最悪なのは迂回した結果、勝てたはずのゲームを落とすことです。勝てるときに勝ちに行く。それが勝率に繋がります。
ライフは削っておく
アミュレットタイタンはコンボデッキということで、特定カードの組み合わせで一気にライフを削るか戦場を支配します。そのため、戦闘なんてどうでもいいのでは?と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。《イリーシア木立のドライアド》や構築物・トークンで相手のライフを削っておくことは非常に重要です。
《原始のタイタン》《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を絡めて一気にライフを削るゲームであれば関係ないですが、必ずしもそういう展開になるとは限りません。素引きした《イリーシア木立のドライアド》《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を使って地道に3点ずつ削る展開も当然存在します。そんなとき、相手のライフが20点と18点では1ターンの差になります。
また、《屍呆症》で《原始のタイタン》が抜かれてしまい、《高山の月》で《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が指定され、《ウルザの物語》でしか勝てなくなるときがあります。そんなときもある程度削れている場合と一切削っていない場合では、構築物・トークンが攻撃に参加できる頻度は変わってきます。コンボデッキだから~と適当にならず、削れるときに削りましょう。
明確な理由をもって行動する
「今の手札で何が足りないのか」「次のターン、何を引いたら行動が変わるのか」を常に念頭に置いて行動を決定しましょう。その逆算ができて、初めて正しい行動が取れるようになります。むしろ、その逆算ができていない状態の行動はすべてランダム行動です。サイコロを振って目の前にあるカードを適当に選び、ただ順番に並べているだけです。
例4
例として4色ブリンクとの対戦を想定します。
《孤独》+《儚い存在》でこちらの《イリーシア木立のドライアド》と《原始のタイタン》を除去した次の相手のアップキープ開始時。こちらの戦場にクリーチャーはいないが、《孤独》を対象に《儚い存在》の「反復」を解決した。
《孤独》で攻撃できるのにもかかわらず、《儚い存在》を「反復」で唱えた理由はなにか?
推測1:《儚い存在》を墓地に落としたい。
推測2:《永遠の証人》を持っている or 受け入れを作っている可能性が高い。
上記推測を踏まえ、《原始のタイタン》で持ってくる土地の選択肢に《ボジューカの沼》を含める。
この考え方はアミュレットタイタンに限った話ではないですが、アミュレットタイタンは絵合わせ要素が強いのでより顕著です。「これを引くなら前のターンに××しておけばよかった~」という後悔も多くなりがちです。
そんなとき、ただその状況を嘆くだけなら誰にでもできます。しかし、後悔をするだけでは先に進みません。そこで一歩引いて、「なぜこの受け入れを考えられなかったのか/どうすればこの受け入れを考えられたのか」と考えて、初めて反省と呼べます。常に「なぜ?」と考えながら行動を決定しましょう。
◆マリガン判断
アミュレットタイタンは「土地」「マナ加速」「ゴール」の3つの要素からなるデッキです。これらがバランスよくそろっていれば当然キープですが、1つの要素は欠けていても、特定のカードが引き込めれば動ける場合もキープします。逆にそれ以外はほぼマリガンです。至ってシンプルです。
Case 1
キープします。理想的な初手です。《ウルザの物語》+《精力の護符》でスタートし、2ターン目に《イリーシア木立のドライアド》、3ターン目に《原始のタイタン》という動きが見えます。この初手に限らず、3ターン目に《原始のタイタン》が確定するような手札はキープです。
Case 2
キープします。《精力の護符》はないものの、《樹上の草食獣》《イリーシア木立のドライアド》《ギャレンブリグ城》によって3ターン目の《原始のタイタン》を狙える手札です。一度でも《原始のタイタン》が戦場に出れば、《トレイリア西部》+《シミックの成長室》を持ってくることで次の《原始のタイタン》に繋げることができるため、フェアデッキには《原始のタイタン》連打で押し切れます。
Case 3
マリガンします。呪文はそろっていますが土地がなく、お帰りランドを含む土地を複数枚連続で引かないと手札を消化できません。明らかに土地の少ない手札はマリガンしましょう。
Case 4
マリガンします。[Case 3]とは反対で、土地は十分ですが呪文に不安が残ります。いくら6マナまで伸ばしたい・土地が重要なデッキだからといって、相手もそこまで悠長に待ってはくれません。《精力の護符》 or マナ加速を含まない手札はだいたいマリガンです。
Case 5
キープします。一見、ゴールがないのでイマイチに見えるかもしれません。しかし、十分なマナ加速と土地がある手札は後続が受かりやすいです。少なくとも、[Case 3]のようなゴールの多い手札よりも断然よいです。
直接の《原始のタイタン》《召喚士の契約》でなくとも、青マナが2つ出る場合(今回は《吹きさらしの荒野》→《繁殖池》と《シミックの成長室》)は《トレイリア西部》も受かるため、見た目以上に受け入れは広いです。
◆サイド方針
モダンには膨大なアーキタイプが存在するため、アーキタイプ毎にサイドボーディングを紹介するのではなく、サイドアウトの方針について解説します。サイドインするカードは見た目の通りの役割で、「◆採用カード解説」で解説した通りです。
《樹上の草食獣》
4色ブリンク、アゾリウスコントロールなど長期戦になるマッチアップでは弱いので減らしましょう。
《探検》
《エスパーの歩哨》《大歓楽の幻霊》に弱いので、ハンマータイム、ウルザソプター、バーン相手には減らしたほうがよいでしょう。《豊穣な収穫》も同様に前述のクリーチャーには弱いのですが、土地のスロットを削って採用している都合上、仕方なく残します。
《耕作する巨躯》
《激しい叱責》のように能力を無効化されたり、《死の飢えのタイタン、クロクサ》のように手札の土地も絞ってくる相手には弱いです。グリクシスシャドウ、ラクドスラガバン相手には真っ先に抜きます。
《ボジューカの沼》《魂の洞窟》
墓地を使わなかったり(バーン、ウルザトロンなど)、打ち消しを使わない相手(ヨーグモスコンボ、ハンマータイムなど)に対しては不要な土地です。サイドに代わりとなる土地が数枚用意されているので、役割の持てるものに差し替えましょう。
《精力の護符》《ウルザの物語》
デッキの核となる《精力の護符》とそれをサーチする《ウルザの物語》はアミュレットタイタンにとっては重要なカードであり、コンセプトを支えるものです。しかし、いずれも《血染めの月》《月の大魔術師》に対しては無力です。
そのため、相手が《血染めの月》系のカードにインした戦略を取ってくるという確信が持てる場合、どちらも抜いてしまうのも手です(グルールムーン、エンチャントレスなど)。かなりリスクのある戦術ですが、アミュレットタイタンにとって《血染めの月》は本当に呼吸が止まるレベルでキツいカードです。“裏技”に対抗するためには、こちらも相応の”裏技”で対抗するしかありません。
◆アミュレットタイタン対策
モダンは膨大なアーキタイプ数を誇るフォーマットなため、特定のアーキタイプに対するサイドボーディングについて深く考える機会は少ないと思います。特にアミュレットタイタンのような特殊な土地コンボデッキに対して、どのようなカードが有効なのかはあまり知らない方に向けて、対策カードを紹介します。
対策カードの影響度を”5段階”評価で表し、影響度の高いものから順に紹介します。自分のデッキに合った対策カードでアミュレットタイタンをボコボコにしましょう。
《血染めの月》《月の大魔術師》 影響度:★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
(測定不能)
最強の対策です。出されたら泡を吹いて倒れます。仮に対処できたとしても、大きく手番を損するか着地時に《ウルザの物語》を破壊されているかであり、いずれにせよ影響が大きすぎます。これの対処のために《活性の力》や《四肢切断》のような対策カードを入れてしまうと、自身の勝ちが遠のいて本末転倒なので、基本的には出てこないこと祈って無視しています。
《夢を引き裂く者、アショク》 影響度:★★★★★★★★★★
《血染めの月》ほどではないですが、それでも十分な威力です。《召喚士の契約》《原始のタイタン》《ウルザの物語》といったデッキの核になるカードがすべて止まります。
アミュレットタイタンはクリーチャーが貧弱なので戦闘で倒すのは困難ですし、《イリーシア木立のドライアド》+《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》もそれぞれを探す《召喚士の契約》や《探検の地図》が止まるのでほとんど対処できません。最近は同カラーのデッキが《夢の巣のルールス》を優先する関係上、採用率が低いのが救いです。
《ヴェールのリリアナ》 影響度:★★★★★
《夢を引き裂く者、アショク》同様、プレインズウォーカーには触りづらいので対策としてはかなり有効です。《イリーシア木立のドライアド》を除去しつつ、手札を絞ってくるので、一度ハマると絶対に抜け出せないのもポイントが高いです。適正ターンに唱えられた場合はほぼ負けます。これもまた《夢の巣のルールス》の都合上から、あまり見かけなくなったのが救いです。
《活性の力》 影響度:★★★★
《ウルザの物語》《精力の護符》《イリーシア木立のドライアド》といった序盤の要に対応できます。序盤はピッチで隙なく対応し、中盤以降は普通にマナコストを支払って1:2交換が可能ということで、理想的な対策カードです。
《激しい叱責》 影響度:★★★★
一時凌ぎではありますが、幅広く対応できます。《原始のタイタン》を無力化され、直後に《邪悪な熱気》で除去されると何とも言えない気分になります。最終的に《夢の巣のルールス》で使いまわされると詰みます。
《高山の月》《広がりゆく海》 影響度:★★★
どちらも《ウルザの物語》対策として有名ですが、《シミックの成長室》や《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》にも有効です。基本的に先張りはせず、相手が《ウルザの物語》かお帰りランドを置いてきたときに狙い打ちしましょう。
《倦怠の宝珠》《静寂をもたらすもの》 影響度:★★★
《原始のタイタン》の召喚時の誘発が止まります。地味に《樹上の草食獣》や《耕作する巨躯》も止まります。が、本体そのものが止まるわけではなく、殴られてしまうと意味がないので、《原始のタイタン》を倒せる除去(《流刑への道》《終止》《邪悪な熱気》など)とセットでの運用が必須です。
《虚空の鏡》《虚空の杯》 影響度:★★
《召喚士の契約》を止めることで、《召喚士の契約》そのものに加えて《トレイリア西部》の価値を下げます。これ単体ではデッキ全体が機能不全になるということはないですが、無色ということもあって《大いなる創造者、カーン》を使ったデッキはもちろん、さまざまなデッキで採用可能です。
《減衰球》 影響度:★★
効かないことはないですが、意外と効きません。設置側にも影響が出るためゲームが伸びやすく、そうなると普通に土地を伸ばされて《原始のタイタン》に繋がれてしまいます。
《屍呆症》《外科的摘出》 影響度:★★
《原始のタイタン》が抜かれるのは厳しいですが、手札1枚を使ってまでやる価値があるかといわれると微妙です。《イリーシア木立のドライアド》や《ウルザの物語》といったほかの脅威は依然として残るため、あまりオススメできません。
《真髄の針》 影響度:★
効きません。何度か唱えられたことがありますが、だいたい《ウルザの物語》を指定されました。ほとんど意味がありません。抜きましょう。
◆TIPS
《耕作する巨躯》関連
《耕作する巨躯》の能力解決中にほかの処理が割り込まれることはありません。お帰りランドとの組み合わせで無限ドローにはなりませんし、ステータスが6/6になった時点で《邪悪な熱気》を撃たれることもありません。《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》や《ボジューカの沼》の対象も処理が終わるまで選ぶ必要はありません。
《耕作する巨躯》の能力解決後、待機している誘発型能力の解決順を選ぶ際に対象を選びます。ただし、《魂の洞窟》や《ヴェズーヴァ》のように置くに際して処理が必要な土地に関しては、その限りではありません。《魂の洞窟》であれば置くに際して種族を指定する必要があり、《ヴェズーヴァ》であればコピー先を選ぶ必要があります。
《イリーシア木立のドライアド》関連
《激しい叱責》で能力を失った場合、《踏査》能力は無効化されますが、《虹色の前兆》能力は無効化されません。これは《激しい叱責》が継続的効果の第6種、《虹色の前兆》能力が第4種だからです。第4種→第6種の順番で効果が適用されるため、最終的にあなたのコントロールする土地は、すべての基本土地タイプを持ちます。
《血染めの月》が先に場にあるときに《イリーシア木立のドライアド》が出ると、あなたのコントロールする土地はすべての基本土地タイプを持ちます。これは《血染めの月》と《虹色の前兆》能力どちらも継続的効果の第4種であるため、タイムスタンプ順で効果が適用されるからです。逆に《イリーシア木立のドライアド》が先に場にあるときに《血染めの月》が出ると、《血染めの月》が後から適用され、基本でない土地はすべて《山》になります(ほかの基本土地タイプを持たない)。
「第6種とか第4種とかタイムスタンプとか一体なんなんだ…」と思った方は、とりあえず事例ベースでそういうものだと覚えておくとよいでしょう。もっと詳しく知りたい方はこちらを参考にしてください。
《ヴェズーヴァ》関連
《ヴェズーヴァ》は戦場に置かれるに際してコピーを選ぶため、《原始のタイタン》で《ヴェズーヴァ》+土地Aを持ってくる場合、土地Aはまだ戦場にないため選ぶことはできません。また、コピーする土地を選ばないことも可能です。その場合、マナが出ない・効果を持たない土地になります。
当然、相手の土地のコピーにもなれます。《墨蛾の生息地》《ストーム・ジャイアントの聖堂》《天界の列柱》《ミシュラの工廠》になってブロッカーとして運用したり、《ヴァントレス城》で長期戦に備えたり、相手の《ウルザの物語》になったり、《地平線の梢》系になってドローしたりなどなど。臨機応変に使いましょう。
《召喚士の契約》関連
忘れがちですが、《召喚士の契約》はインスタントです。何も考えず自分のメインに唱えるのではなく、いつ唱えるのが有効かを意識しましょう。《否定の力》を回避したり、次の自分のターンに契約を払っておいたほうがお得な場合、あえて相手ターン中に唱えることもあります。対コントロールでは《魂の洞窟》が出ると《召喚士の契約》自体が打ち消し対象になるので、タップアウト時に通しておくのが有効です。
自分のターンであっても、いつ唱えるのがよいのかしっかりタイミングを考えましょう。頻出するのが《ウルザの物語》の第Ⅲ章の誘発に対応して唱えるケースです。このタイミングで唱えることで、《召喚士の契約》が打ち消されなければ《ウルザの物語》からはマナを出して第Ⅲ章を解決、打ち消された場合は《ウルザの物語》で構築物・トークンを作ってから第Ⅲ章を解決して…と、相手の対応に合わせて最適な行動を選べます。
また、《虚空の杯》《虚空の鏡》《乱動する渦》《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》《夢を引き裂く者、アショク》といった《召喚士の契約》自体を咎めるものに対しても、対応して唱えることができます。《死せる生》《外科的摘出》に対応して唱えて《忍耐》を持ってきて、そのまま「想起」で唱える…ということもしばしばあります。当然ですが、いずれの場合も次のアップキープ開始時に契約の支払いは発生しますので、契約コストが支払える場合に限ります。
《トレイリア西部》関連
「変成」はソーサリータイミングでしか行えません。《原始のタイタン》の攻撃時にお帰りランドとセットで持ってきても「変成」はできないので注意して下さい。
「変成」は《召喚士の契約》を持ってくることが多いですが、マナが十分にあるときは必要になるまで「変成」しないほうがよいです。《召喚士の契約》に変換してしまうと、《思考囲い》《コジレックの審問》で落とされるようになってしまいます。《トレイリア西部》のままであれば手札破壊で落とされることはほとんどありません。
浮きマナの管理
MOでは気にする必要はないですが、紙では浮きマナはライフや毒カウンター同様にメモ帳で管理する必要があります。しかし、メモ帳だけでは色やマナ数がそれぞれどのくらい浮いているのか見えづらく、トラブルの種にもなります。
そこで役に立つのが「マナカウントカード」です。これとサイコロでどの色マナがどの程度浮いているのかを分かりやすく管理できます。メモ帳での記録は必須なので、それと同時に行う必要はありますが、相手にも分かりやすく親切なので、可能な限り使うことをオススメします。
◆おわりに
以上で「アミュレットタイタン」ガイドは終了になります。本記事を通じてアミュレットタイタンの魅力が少しでも伝わったのなら幸いです。
【プレビュー】実は「魂力」も帰ってくるんです。土地と能力、あなたは上手く使い分けることができるでしょうか? #mtgjp #MTGNeon pic.twitter.com/RJpQiCXw0u
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) January 27, 2022
また、『神河:輝ける世界』のプレビューが始まっていますが、早速アミュレットタイタンと相性が良さそうなカードが公開されました。発売されたらすぐに試してみたいと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました。
増田 勝仁(Twitter)