USA Legacy Express vol.195 -グッバイラガバン-

Kenta Hiroki

はじめに

みなさんこんにちは。

敏捷なこそ泥、ラガバン

1月25日の禁止制限告知ついに《敏捷なこそ泥、ラガバン》が禁止になりました。ほかのカードも追加で禁止になるのかと話題になりましたが、結局禁止になったのは《敏捷なこそ泥、ラガバン》のみでした。

筆者は《敏捷なこそ泥、ラガバン》を使う側でしたが、対策が難しく本来テンポデッキに対して有利なはずのコントロールですら苦戦を強いられていたので、禁止になったことは良かったと思っています。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回の連載では禁止制限告知後のイベントの入賞デッキを見ていきたいと思います。

Legacy Challenge 1/29
新環境の王者はウーロ

2022年1月29日

  • 1位 4C Control
  • 2位 Blue Zenith
  • 3位 Eldrazi Stompy
  • 4位 Temur Delver
  • 5位 Reanimator
  • 6位 Reanimator
  • 7位 Moon Stompy
  • 8位 Izzet Delver

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ほかのChallengeイベントと異なり、最低参加人数が32名に変更された土曜日のLegacy Challenge。長らく参加者が集まらず不成立が続いていましたが、禁止改定後は90名以上のプレイヤーが集いました。

新環境一発目のイベントを制したのは多色コントロールでした。準優勝を果たしたデッキもBlue Zenithと、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》デッキが新環境の勝ち組のようです。

《敏捷なこそ泥、ラガバン》が禁止になったことで、ほかの青いデッキに対して無類の強さを見せたテンポデッキの選択肢が狭まり、コントロールやミッドレンジが相対的に強化された印象です。

デッキ紹介

4C Control

4C Control

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大方の予想通り、《敏捷なこそ泥、ラガバン》デッキに苦戦を強いられていた青いフェアデッキが勝ち残りました。序盤から《敏捷なこそ泥、ラガバン》の対応に追われることがなくなったので、インスタントスピードの除去を探す代わりに耐性を整えることに集中しやすくなりました。

《ドラゴンの怒りの媒介者》など低マナ域のクリーチャーも採用されているので、コンボデッキとのマッチアップでも従来までのコントロールに比べて渡り合えるようです。

マナ基盤に基本地形が含まれていないため、《血染めの月》《不毛の大地》には弱くなります。《不毛の大地》《壌土からの生命》である程度はカバーできますが、《血染めの月》をメインから搭載したRed Stompyなどは苦手なマッチアップになりそうです。

☆注目ポイント

ドラゴンの怒りの媒介者

Izzet Delverの主力として採用されている《ドラゴンの怒りの媒介者》ですが、ドローを安定させる「諜報」はコントロールデッキでも使える能力で、墓地も肥やすこともできるので《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を「脱出」させやすくなります。

ダク・フェイデン

《表現の反復》だった枠には《ダク・フェイデン》が採用されています。《ダク・フェイデン》の[+1]能力は《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を探しつつ墓地を肥やすルーターとして使えますが、《船殻破り》と組み合わせることで相手にカードを捨てさせつつマナ加速する使い方もできます。

Master of Death

《死の達人》は見慣れないカードですが、墓地から手札に戻ってくる能力を利用して《ダク・フェイデン》《ドラゴンの怒りの媒介者》の「諜報」からアドバンテージを得ることができます。《ゴブリンの太守スクイー》と似ているカードですが、青いカードなので《意志の力》《否定の力》のコストとしても使えます。

Legacy Challenge #12380829
猿亡き後のレガシー

2022年1月30日

  • 1位 Death and Taxes
  • 2位 Izzet Delver
  • 3位 Jeskai Day’s Undoing
  • 4位 4C Control
  • 5位 Izzet Delver
  • 6位 4C Control
  • 7位 Izzet Delver
  • 8位 Reanimator

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禁止改定直後に開催されたLegacy Showcase Challengeは、参加者200名以上と大盛況でした。

《敏捷なこそ泥、ラガバン》が禁止になったとはいえ、メインの戦略は健在なためIzzet Delverは旧環境から引き続いて高い使用率を維持しています。

一日のやり直し船殻破り

Delver系の次に人気があったのは、旧環境でも活躍していた《一日のやり直し》《船殻破り》のコンボを搭載したJeskai Controlでした。このデッキは禁止改定の影響を受けない有力な戦略のひとつとして注目を集めていたデッキです。

今大会ではDelver系がプレイオフに3名と禁止改定による影響を感じさせない強さを見せましたが、優勝を収めたのはDeath and Taxesでした。Death and Taxesは環境を問わず常に一定数存在するデッキで、Delver系に強いデッキなので新環境でも活躍が期待できそうです。

デッキ紹介

Death and Taxes

Death and Taxes

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現環境では定番の《空を放浪するもの、ヨーリオン》《ウルザの物語》パッケージを搭載したバージョン。Death and Taxesは近年新戦力にも恵まれて大幅に強化されています。

クリーチャーデッキなので《敏捷なこそ泥、ラガバン》に耐性があり、《剣を鍬に》《孤独》といった優秀な除去や、《石鍛冶の神秘家》《スレイベンの守護者、サリア》などの脅威の存在からDelver系に強い戦略として以前から大会の上位でも良く見られるアーキタイプでした。

《敏捷なこそ泥、ラガバン》が禁止になったことでDelver系が弱体化して高速コンボが増加する可能性もありましたが、大会結果を見るとDelver系は健在で、決勝戦でもIzzet Delverに勝利していることから新環境でも有力な戦略として要注目です。

☆注目ポイント

不毛の大地リシャーダの港

宝物・トークンを出す《敏捷なこそ泥、ラガバン》の退場によって《不毛の大地》《リシャーダの港》によるマナ否定は本来の強さを取り戻しました。

永久のドラゴン

マナを必要とする《空を放浪するもの、ヨーリオン》《ウルザの物語》パッケージが搭載されているため、従来よりも安定して土地を置くことが重要です。《永久のドラゴン》は序盤は必要な土地を確保しつつ、マナが余る中盤以降はカウンターされない4/4飛行として墓地から復活します。Delver系に対して4/4というサイズは《稲妻》1枚で落ちない脅威となり、《ドラゴンの怒りの媒介者》も止めれます。

ウルザの物語

《ウルザの物語》は現環境でもっとも強力なカードの1枚で、特に4C Controlなど青いフェアデッキにとって脅威となります。シナジー重視だったDeath and Taxesが単体でも強力な《ウルザの物語》を獲得したことによって、カードパワーで勝るコントロールやミッドレンジとのマッチアップとも総力戦で負けにくくなりました。

魂標ランタン真髄の針墓掘りの檻影槍

Death and Taxesに対して代表的な対策カードである《倦怠の宝珠》や、小型クリーチャーを一掃する全体火力の影響を受けないのも《ウルザの物語》パッケージの強みです。また、《魂標ランタン》《真髄の針》《墓掘りの檻》といったカードをサーチできるのでコンボデッキへの耐性も上がりました。フェアデッキに対しては構築物・トークンにトランプルをつけられる《影槍》をサーチすることになります。絆魂もDelver系とのダメージレースを有利にしてくれます。

Legacy Super Qualifier #12383900
新環境でもDelverが大活躍

2022年2月5日

  • 1位 Izzet Delver
  • 2位 Death and Taxes
  • 3位 4C Control
  • 4位 Reanimator
  • 5位 Madness
  • 6位 Jeskai Control
  • 7位 8 Cast
  • 8位 Izzet Delver

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MOで開催されたレガシーのPTQは、参加者250名と人気を取り戻しました。

今大会の上位はDelver系、コントロール、コンボ、Death and Taxesなどさまざまなデッキが勝ち残り、禁止改定後のレガシーの環境は混沌としています。

見事に決勝戦にまで勝ち残り、チャンピオンシップアリーナの権利を獲得したのはLegacy Showcaseでも結果を残していたIzzet DelverDeath and Taxesでした。

デッキ紹介

Izzet Delver

Izzet Delver

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《敏捷なこそ泥、ラガバン》を失ったことでたしかに弱体化はしたものの、Delverは新環境でも強いという事実には誰も驚かないと思います。

Izzet Delverは『モダンホライゾン2』がリリースされる以前から安定した成績を残し続けていたデッキで、豊富なキャントリップスペルと《表現の反復》のおかげで環境に合わせて調整もしやすく、禁止改定後の環境でも最高のデッキと見て間違いなさそうです。

☆注目ポイント

島山

最近のIzzet Delverのマナ基盤は、1ターン目から安定して赤いスペルをプレイするために《Volcanic Island》4枚と《蒸気孔》+基本地形0または《島》1枚が主流でした。しかし、《敏捷なこそ泥、ラガバン》の退場によって1ターン目に赤マナが必要な場面も減ったため、安定性を重視して《島》2枚と《山》1枚が採用されています。

秘密を掘り下げる者紅蓮破

《秘密を掘り下げる者》が再びメインから4枚採用されるようになり、数枚の自由枠ができました。《敏捷なこそ泥、ラガバン》禁止後の環境も同型や多色コントロール、青ベースのコンボや8 Castなど、青いデッキと当たることが多い環境なので《紅蓮破》がメインから採用されています。同型の《濁浪の執政》をメインから処理する手段があるため有利に立ち回ることができます。

溶融Fall from Favor

サイドボードの《溶融》は、8 Castなどアーティファクトが中心のデッキに劇的な効果が期待できます。《失墜》はあまり見かけないカードですが、クリーチャーのサイズを問わずに無力化しつつ「統治者」を得られる優秀な除去です。《忍耐》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》といった対処しにくいクリーチャーにも効果があるので、多色コントロールとのマッチアップで特に活躍が期待できます。

SCG CON Philadelphia Legacy $10K
禁止改定後の環境

2022年2月13日

  • 1位 Selesnya Depths
  • 2位 8 Cast
  • 3位 Food Chain
  • 4位 Jeskai Control
  • 5位 Izzet Delver
  • 6位 Painter
  • 7位 The Spy
  • 8位 Jeskai Control

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久々の大規模なテーブルトップのイベントで、禁止改定直後の新環境ということもありなんと400名近い参加者がいました。

MOのイベントで猛威を振るっていたIzzet Delverは、《敏捷なこそ泥、ラガバン》禁止の影響が大きかったのか、今大会ではトップ32にわずか4名と極めて平凡な結果となりました。

プレイオフはテンポ、コントロール、ミッドレンジ、コンボとさまざまなデッキが見られ、 禁止改定後のレガシーの環境は多様性を取り戻していることが確認できました。

デッキ紹介

Selesnya Depths

Selesnya Depths

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《暗黒の深部》《演劇の舞台》コンボを搭載したSelesnyaカラーのミッドレンジコンボ。《緑の太陽の頂点》によるツールボックスデッキ的な要素もあり、《聖遺の騎士》など緑の優秀なクリーチャーにアクセスできるため、《暗黒の深部》《演劇の舞台》コンボに頼らずにゲームに勝つことができます。

サーチスペルのおかげでデッキが非常に安定しており、《ルーンの与え手》《森を護る者》《セジーリのステップ》といったコンボを守る手段も豊富です。

Selesnya Depthsも『モダンホライゾン2』から登場したカードによって大幅に強化されたデッキです。マナ基盤の安定性に貢献している《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ》、Delver系からコンボなどさまざまなマッチアップで活躍する《忍耐》、万能除去の《虹色の終焉》と収穫が多く、現環境のトップメタの一角であるDelver系に強い構成で、苦手なコンボが少ない現環境ではいい立ち位置のデッキです。

☆注目ポイント

成長の揺り篭、ヤヴィマヤ

《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ》《イス卿の迷路》《暗黒の深部》《Glacial Chasm》といったマナが出ない土地からも緑マナが出るようになるため、たとえば《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ》《暗黒の深部》《演劇の舞台》とそろっていればコンボが決まるためキルターンも早まります。すべての土地が森としてカウントされるようになるので、《聖遺の騎士》ともシナジーがあります。

忍耐

《忍耐》はDelver系に対して「昂揚」や「探査」を妨害しつつ、主力のアタッカーを止めることができるので非常に強力な脅威となります。ReanimatorやThe Spyに対して有効なのは言わずもがな、Doomsday相手にも《タッサの神託者》の能力の誘発に対応して相手の墓地をライブラリーの下に送ることで妨害することができます。

Jeskai Control

Jeskai Control

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最近のレガシーのコントロールといえば、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を採用した多色のコントロールが主流になっていました。

しかし、《船殻破り》《一日のやり直し》のコンボを搭載したJeskai Controlが禁止改定直前のLegacy Challengeで優勝したことによって復権の兆しを見せています。今回の禁止改定によるダメージは皆無で、新環境の有力デッキとして注目を集めています。

デッキの動きは伝統的なドローゴースタイルのデッキに近く、《虹色の終焉》《剣を鍬に》といった効率的な除去やカウンターで序盤をしのいでいき、ある程度ゲームをコントロールしたら《船殻破り》(《覆いを割く者、ナーセット》)+《一日のやり直し》のコンボで大きなアドバンテージ差をつけてほぼ勝ちが確定します。

☆注目ポイント

船殻破り覆いを割く者、ナーセット一日のやり直し

《船殻破り》《覆いを割く者、ナーセット》は追加のドローを止めることができるため、相手は追加の脅威や妨害をそろえることが難しくなります。《船殻破り》《覆いを割く者、ナーセット》が場にある状態で《一日のやり直し》を解決させることができれば、自分の手札を補充しつつ相手の手札を空にすることができます。

時を解す者、テフェリー

《一日のやり直し》に対応して《船殻破り》《覆いを割く者、ナーセット》を除去されてしまうことを防いでくれるのが《時を解す者、テフェリー》です。コンボパーツである《船殻破り》《覆いを割く者、ナーセット》は、相手のドロースペルを無力化できるため単体でも十分に有用なカードで、特に《覆いを割く者、ナーセット》《一日のやり直し》を含めた必要なスペルを探すことができます。

血染めの月溶融

現在のレガシーでは赤をタッチするメリットが大きく《紅蓮破》だけでなくほかの有用なカードにアクセスすることができます。《血染めの月》は多色コントロールやLandsなど、現環境には特殊地形に依存したデッキが散見されるので有効なサイドカードになります。《溶融》《ウルザの物語》パッケージを採用したデッキが増加傾向にあるため、現在非常に有用なサイドカードとして多くのデッキが採用しています。

総括

禁止改定後の環境でも、Izzet Delverは新環境のすべての大きな大会で結果を残していました。Death and TaxesとSelesnya DepthsはIzzet Delverに強く、コントロールにも強いため高速コンボが少ない現環境では良い選択になりそうです。

《船殻破り》《一日のやり直し》のコンボを搭載したJeskai Controlも、Izzet Delverと並んで現環境の青いフェアデッキの中では高い勝率を出しており、SCGのイベントやMOのCSQでも結果を残していたため、今後も人気が出そうなデッキです。

《敏捷なこそ泥、ラガバン》の禁止はレガシーにとってはプラスで、先週末に開催されたSCGのイベントも400人近い参加者が集うなど大盛況でした。

USA Legacy Express vol.195は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!

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Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Standard Express」「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら