統率者最強色はどれ?神決のメタゲームを覗いてみよう。
みなさんこんにちは、メディアチームのいってつです。
統率者神決定戦の興奮冷めやらぬ「1-5没」が私です。くやしー。早く第2回やろうよ。
統率者戦の魅力的なルール、「固有色」。デッキに採用できる色を制限する、統率者戦特有のルール。となれば、多くのプレイヤーが疑問に思ったはずです。「強い色」と「弱い色」があるんじゃないの、と。
果たして最強の色は何色なのか。今回は神決定戦に参加していたプレイヤーのデッキのデータをヒントに探ってみます。
- 2022/03/05
- 第1期 統率者神決定戦 カバレージ
統率者最強色は?
今回の神決定戦ではデッキリスト提出が任意だったものの、すべての統率者をメディアチームで確認していますので、すべてのデッキの固有色の把握ができています。
125人の参加者のうち、各色の採用割合は以下のようになりました。
色 | 採用率 |
---|---|
白 | 39.2% |
青 | 67.2% |
黒 | 47.2% |
赤 | 55.2% |
緑 | 44.0% |
最多採用色は青の67.2%。青はマジック最強色とも言われます。カードプールが広がる下環境ほどこの傾向は強くなります。統率者戦も例外ではありません。
ピッチスペルの代名詞的存在である《意志の力》をはじめとした強力な打ち消し呪文の数々。テクニカルなカード。そして豊富なアドバンテージ獲得源。マジックの強い要素の多くを持っています。
そして何より特殊勝利能力。青のコンボデッキで《タッサの神託者》を採用しないのは《変身》《変幻の杖》で《船砕きの怪物》を繰り出すデッキくらいでしょう。
では決勝ラウンドに進出した16デッキはいずれも青絡みだったのでしょうか。
いいえ、青を採用しないデッキが半分を占めたのです。
色 | 採用率(全体との比較) |
---|---|
白 | 50.0%(+10.8) |
青 | 50.0%(-17.2) |
黒 | 50.0%(+2.8) |
赤 | 75.0%(+19.8) |
緑 | 43.75%(-0.25) |
いずれのデッキも6ゲームの予選ラウンドで勝率50%以上という圧倒的なパワーを見せつけていました。決してまぐれで勝ち残ったわけではありません。
一方で赤いデッキは非常に多く、その数75%。青にも赤にも触れていないデッキは《祖神の使徒、テシャール》と《ギトラグの怪物》だけでした。
サンプル数の少ないプールでの比較であるため鵜呑みにはできませんが、赤い統率者の多さがやはり目につきます。決勝戦は4人中3人が赤絡みの統率者。予選ラウンドを唯一5勝で突破したデッキは赤単でした。
赤には《波止場の恐喝者》をはじめとした強引なマナ加速手段があります。これに加えて《死の国からの脱出》《最後の賭け》といったコンボ向きのカードがたくさん。統率者ピッチでもある《偏向はたき》も魅力的です。
《赤霊破》《紅蓮破》は対戦相手の青い打ち消しから自分のコンボを守るだけでなく、逆に対戦相手のコンボに妨害を挟むこともできます。
赤はアドバンテージを獲得するのもサーチも不安定で統率者戦最弱と言われることがある一方で、「全く逆、赤こそが最強色だ」という主張もあります。だからといって「青じゃなくてもガチ統率者できるんだ!《意志の力》とか買わなくていいじゃん!」と安易に考えるのは危険です 。トップ16に残った青を使わない統率者には他にも予選を突破するに足る理由があります。
予選ラウンドを5-1で駆け抜けたカミムラ選手の《厚顔の無法者、マグダ》は非常に高速に、かつ安定してゲームを終わらせるコンボデッキでした。2,3ターン目にはオープンリーチのような状態を作りだし、除去を差し込まれなければそのまま走り抜けてしまいます。
同じく単色、こちらも統率者戦最弱とまで言われた白単色の《祖神の使徒、テシャール》が決勝ラウンドに残っています。アサクラ選手の《祖神の使徒、テシャール》とカミムラ選手の《厚顔の無法者、マグダ》には共通点があります。それは「速さ」と「妨害されにくさ」です。
どちらのデッキもクリーチャーやアーティファクトを中心としたコンボで、《白鳥の歌》《唱え損ね》《狼狽の嵐》など1マナの打ち消しがほとんど当たりません。マストカウンターのタイミングがゲーム決着のタイミングよりもはるか前にあり、対応は困難です。3,4ターン目に打ち消しで止まらない王手をかけるのです。 この速さ、妨害されにくさが強みです。
対戦相手よりも早く王手をかけることができるなら打ち消しで対戦相手のコンボを止める必要はありませんし、妨害されにくいなら打ち消しで自分のコンボを守る必要もありません。これを満たしていれば青くない統率者にも十分なチャンスがあるのです。
今回のように1時間の制限時間以内の決着を目指す必要のあるゲームでは、早期の決着を目指すデッキが幅を利かせることになります。逆に、自分が一番最初に王手をかけられるデッキでないのなら、対戦相手のコンボを妨害する手段は必須。青の打ち消し呪文はやはり欲しくなってしまいます。
統率者戦の最弱色?
主席デザイナーであるMark Rosewaterは2018年10月の記事 『都からのさらなる話』で「白と赤は統率者戦のゲームに合致していない」「プレイヤーから色の役割を拡張してほしいと要望されている」と語っています。
ヘルメット姿で登場した人物がMark Rosewater。
「カラデシュ!すごい!本当にすごいんだ!」でも有名
ちょうど『ラヴニカのギルド』がリリースされたころのことです。早い話が「統率者戦において白と赤はその色の役割が統率者戦のルールのかみ合いが悪く扱いにくい(≒弱い)」ということです。これ以後、白と赤は少しずつ統率者戦向きの強力なカードを獲得していき、カジュアルなテーブルのみならず、競技的なテーブルでも存在感を増していくことになります。
今後も少しずつ白と赤は器用さを獲得していくでしょう。競技的な統率者戦の環境にも少なからず変化を与えることになると思います。そのとき、最強の色、最強の統率者は果たして何になるのでしょうか。
次回は?
今回は統率者神決定戦の結果をもとに現在の固有色の実態を見てみました。
次回は神決定戦の戦績をもとに手番順がゲームに与える影響を考えてみます。お楽しみに。
コマンダーサミットに参加しよう!
コマンダーサミットが3月20日にTC大阪で、21日にTC東京で開催予定です。カジュアルなゲームや変則ルールのほか、最強統率者決定戦では競技的とまではいきませんが強力なデッキとプレイヤーのぶつかりあいが楽しめるはずです。神決定戦に参加できなかった方の腕試しや、今回成績が振るわなかった方のリベンジマッチにいかがでしょうか。僕はリミテッドも楽しみです!
それではみなさん、晴れる屋メディア、Youtube、そしてイベントでお会いしましょう!