ガチ統率者は運のいいプレイヤーが勝つ?
みなさんこんにちは、メディアチームのいってつです。
統率者神決定戦の余波はすさまじく、競技的な統率者戦に新たに参入するプレイヤーが増えたと聞いています!ようこそこの素晴らしいフォーマットのテーブルへ!
ハイレベルな統率者戦を遊んでいると、1番手が非常に有利であることにすぐ気づくはずです。多くのプレイヤーが言います。「統率者戦は先手ゲー」だと。
《魔力の墓所》《暗黒の儀式》ほか非常に強力なマナ加速が豊富な統率者戦では番手が1ターン目から強力な行動が可能です。《リスティックの研究》や《法の定め》といった妨害置物を置いたり、極端な話《Wheel of Fortune》などで初手をめちゃくちゃにすることが珍しくありません。
今回の神決定戦でも「1番手が1ターン目に《むかつき》を通してそのまま終わっちゃった」なんて話を聞きました。
一般的にマジックでは先攻が有利だと言われています。開始プレイヤーは最初のターンのドロー・ステップがとばされ、カード1枚分損をしますが、それでもなおほとんどすべてのプレイヤーは先手を選びます。開始プレイヤーでもドロー・ステップがある統率者戦では、開始プレイヤーになるデメリットはほとんどありません。
多くの統率者戦のコミュニティで、統率者戦の手番と勝率の関係を明らかにしようと統計が取られてきました。ほとんどの場合、1番手が35~40%前後の勝率だったとされています。今回は統率者神のデータをもとに検証してみましょう。
この記事は監修も受けておらず、統計学的な有意を検証していません。
あくまで読み物として、情報の利用は参考程度にとどめてください。
統計
3人で行われた7ゲームを除いた予選ラウンドの総ゲーム数は172でした。
手番 | 勝利数 |
---|---|
1番手 | 42(24.4%) |
2番手 | 57(33.1%) |
3番手 | 33(19.2%) |
4番手 | 36(20.9%) |
引き分け | 4(2.3%) |
最も勝利数が多かったのは2番手。その勝率、33.1%でした。
2番手のプレイヤーの3人に1人は勝利できた一方で、3番手4番手のプレイヤーは5人に1人しか勝利できなかったことになります。
さらに印象深いことに準決勝の4テーブルはすべて1番手が勝利していました。
1番手が最多勝利にならなかったのは意外に思えますが、実際にこの日こんなゲームを何度も見ました。「一番最初にコンボを仕掛けた1番手に対し妨害を吐き出してしまい、優先権をパスし続けた2番手が次の手番で勝ってしまう」という展開です。
1番手の王手に対して一番苦しむのは4番手です。2番手が打ち消しを持っていたとしても優先権をパスし、3番手4番手のプレイヤーに対応を強いることができます。
もちろん4番手もフェッチランドなどの能力を起動してもう一周優先権を回すことが可能です。しかし、《ギタクシア派の調査》で手札を覗かれていたり、《トリトンの英雄、トラシオス》の能力で打ち消しを手札に加えてしまうなど、手札に妨害手段があることがバレてしまっている場合は悲惨です。
一番最初にドローし、土地を置き、呪文を唱えられる1番手が一番最初に勝負を仕掛けるのは自然なこと。制限時間切れになると全員が敗北するというルールだったため、最速でコンボを狙うデッキやプレイングが多く、いつも以上にこうした展開は多かったでしょう。 この緊張の局面を乗り越えたとき、大きな利を得るのは2番手なのです。
決勝戦では真逆の展開となりました。お互いの脅威度合いを評価しあって、誰かが漁夫の利を得ることがないように牽制しあっていました。達人の間合いとでも呼ぶべきでしょうか。TC東京の閉店時間後も続いた超ロングゲームも決着はコンバットダメージがもたらしました。
決勝戦に残ったプレイヤーは運が良かっただけ?
では予選ラウンドを勝率5割以上で突破したプレイヤーは単に運が良かっただけなのでしょうか。
予選ラウンドを5-1という圧倒的な成績で駆け抜けたカミムラ選手を見てみましょう。使用デッキは《厚顔の無法者、マグダ》です。
手番 | 勝利数 |
---|---|
第1ラウンド | 2番手・勝利 |
第2ラウンド | 1番手・敗北 |
第3ラウンド | 1番手・勝利 |
第4ラウンド | 4番手・勝利 |
第5ラウンド | 1番手・勝利 |
第6ラウンド | 3番手・勝利 |
1番手が3度!「運が良かった」のは間違いないでしょう。一方で、3番手、4番手のときにもガッチリと勝ち星を挙げています。
予選を勝率50%以上で勝ち抜けた16人全員を見てみましょう。トップ16のプレイヤーがそれぞれ「何番手のゲームを何回行ったか」の合計をまとめてみます。
手番 | ゲーム数 |
---|---|
1番手 | 23 |
2番手 | 28 |
3番手 | 27 |
4番手 | 18 |
さすがに4番手をひいた数は少なかったようですが、勝率に驚きました。4番手スタートのゲームは捨て試合ではなく、18ゲーム中10ゲームを勝利していたのです。トップ16ともなると4番手でスタートさせても勝率5割を超える猛者揃いです。全体では4番手が勝利したゲームが36(20.9%)しかなかったことを考えるとすさまじい数字です。
トップ16に残るようなプレイヤーは4番手になることが少なかったのは事実ですが、たとえ4番手になってもキッチリと勝つことでポイントを稼ぐことに成功していました。最も極端だったのは《親指なしのクラーク》《千の顔の逆嶋》のニワ選手。4番手を3度も強いられながらそのうち2戦を勝利し、4-2で予選ラウンドを終えています。第1回コマンダーサミットでの最強統率者決定戦優勝の実力は本物です。
運を味方につける前に
- 2017/07/19
- もうダイスロールなんてやめないか?
- Pierre Dagen
かつてPierre Dagenは『もうダイスロールなんてやめないか?』で「先手後手の有利不利をまったく平等にはできないから、イベント中の先手をとれる回数が平等になるように運営側がコントロールしてはどうか」と提案しています。統率者神決定戦も全員が1回か2回ずつ1番手や4番手を平等に得ることができれば公平・平等に感じられます。
3番手を4回、4番手1回の筆者が次回の優勝を狙うにあたり、まずやるべきことは何でしょうか。神頼み?カツカレーを食べる?「平等1番手」を運営に提案する?
いいえ、きっと最優先すべきは3番手、4番手でも勝利できるプランと技術の習得です。仮に全員が平等に1番手を取れたとしても、決勝ラウンドに残るのは4番手でも勝利をもぎ取れるデッキと技術を持ったプレイヤーでしょう。3番手、4番手には「運が悪い」なりの戦い方があるはずです。それを研究し、実践していくしかありません。
ほかの競技フォーマットと同じく、統率者戦も強くなるには練習が欠かせません。
神決定戦の次回の開催日は未定ですが、ひとまずその前に練習と腕試しの場としてコマンダーサミットの最強統率者決定戦がおすすめです。
コマンダーサミットは3月20日にTC大阪で、21日にTC東京で開催予定です。最強統率者決定戦では競技的とまではいきませんが、強力なデッキとプレイヤーのぶつかりあいが楽しめるはずです。僕はリミテッドも楽しみです!
それではみなさん、晴れる屋メディア、Youtube、そしてイベントでお会いしましょう!