「カジュアルを遊ぶとガチが上手くなる」!? 統率者戦神ツボイ選手にインタビュー

いってつ

統率者戦、初の神!ヒーローインタビュー

運営サイドである私たちにとっても全く想定外の大きな盛り上がりを見せた第1期統率者神決定戦。トーナメントセンター東京の閉店時間を過ぎても続いた激戦を制し、初代神の座に就いたツボイ選手に当日は叶わなかったヒーローインタビューをさせていただきました。

ツボイ選手とマジック

――マジックに初めて触れたのはいつごろのことですか。

「中学生のころに初めて手にしたセットが『ネメシス』でした。それから遊んだり遊ばなかったり……大学生のころに初めて統率者戦を知りましたが当時は小さい身内のコミュニティで遊んでいました」

パララクスの波果敢な勇士リン・シヴィーからみつく鉄線

『ネメシス』は2000年リリースのセット。

「大きな変化があったのは2年前、マジックにもリモート対戦が広まったころです。カメラとマイクを買って、本腰を入れて遊ぼうと思ったんです。そのうちお店でのイベントに参加したり、オープンなdiscordサーバーに参加するようになりました」

――マジック歴は長いものの、統率者戦に本格的に参入したのはここ数年のことだったんですね。他のフォーマットは遊んでいるんでしょうか。

「 実は競技フォーマットはほとんど遊んでいないんです。非公式フォーマットですが、ミドルスクールは遊んでいます。マジックを好きになったきっかけの懐かしいカードを強く使えるのが魅力です」

冬の宝珠Phyrexian Dreadnought

ミドルスクールは1995年から2003年までにリリースされたカードを使用する非公式フォーマット。

デッキと戦術の選択

ツボイ選手のデッキリストはこちら

――今回は黒抜き4色、《トリトンの英雄、トラシオス》《綱投げ、アキリ》を選択していましたね。

トリトンの英雄、トラシオス

「マジックにたくさんあるコンボの中で無限マナが好きなんです。無限マナのゴールになる統率者として《トリトンの英雄、トラシオス》が気に入っています。ゲームが硬直したときにアドバンテージをとり続けることができるのも心強いです」

綱投げ、アキリ

《綱投げ、アキリ》はその軽さが魅力です。全体除去で《トリトンの英雄、トラシオス》が死亡した後も2マナで唱えて《激情の後見》《偏向はたき》を構えることができます。先制攻撃と警戒を持っているので《刃を咲かせる者、ナジーラ》《織り手のティムナ》のような統率者に対してブロッカーを立てながら相手のライフを詰めていけます」

「なぜ《粗野な牧人、ブルース・タール》じゃなくて《綱投げ、アキリ》なのかとよく聞かれるのですが、統率者がどちらもマナ総量2であることが重要なんです。このデッキは、重要な役割を担うクリーチャーがマナ総量3に集中しています。統率者がどちらもマナ総量2で、状況に合わせて《新生化》でどちらの統率者を残すのか選べるのが強みです」

粗野な牧人、ブルース・タール新生化

《織り手のティムナ》《ルーデヴィックの名作、クラム》と比べるとアドバンテージを獲得する能力にやや難があります。一方で《波止場の恐喝者》には非常にアクセスしやすいので一気にまくることも狙えます。 スタックスを相手にしても《トリトンの英雄、トラシオス》の能力で状況を打開できるカードを探しながら粘り強く戦えるのもデッキの強みだと思っています」

破滅の終焉異界の進化召喚の調べ

《破滅の終焉》は4マナの《波止場の恐喝者》
クリーチャーサーチが豊富であることもティムナ&クラムと比べて大きな利点となる。

織り手のティムナルーデヴィックの名作、クラム

ティムナ&クラムは今大会で使用者最多のデッキだった。
メタゲームブレイクダウンはこちら

――決勝戦では4番手という厳しい席順でしたね。どんなキープやプレイングを意識しましたか。

厚顔の無法者、マグダロフガフフの息子、ログラクフ愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット

《厚顔の無法者、マグダ》に、《ロフガフフの息子、ログラクフ》&《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》という高速なコンボデッキがいたので、マリガン中から《トレストの密偵長、エドリック》のヨシダ選手と相談してロングレンジでのゲームを目指しました

トレストの密偵長、エドリックMystic Remora

「結果的に、ヨシダ選手の《Mystic Remora》のおかげでゲームが長引いたことに救われました」

画像のタイトル

決勝戦、マリガン中のツボイ選手。勝負はもう始まっている。

――現在の統率者戦で最強の色はなんだと思いますか。

「う~ん……(困)」
「やっぱり爆発力という点では赤でしょうか。」

吸血の教示者Demonic Consultation

「実は直前までデッキ選択に悩んでいました。サーチ最強色の黒が無いことが気にかかっていたんです。デモコンタッサも使えませんし。 ただ、《波止場の恐喝者》《死の国からの脱出》、この二枚が強すぎて黒の強力なサーチカードとデモコンを諦める十分な理由になりました」

波止場の恐喝者死の国からの脱出

《波止場の恐喝者》は4番手が一気にまくるパワーがありながら、コンボパーツでもあるため、このカードを軸にすることでデッキをきれいにまとめることもできました」

――次回は防衛する立場になります。他のフォーマットと比べて圧倒的に防衛が困難と言われていますがいかがですか。

「厳しい戦いになるのは理解しています。環境を考察してできる限り最適なデッキと戦術を選択しておきたいと思っています」

「とはいえ、統率者戦が本当に大好きなので、挑戦者決定戦を突破してきた素晴らしいデッキ、プレイヤーの方々と戦えるのを本当に楽しみにしています!

カジュアルな統率者戦

――ツボイさんはカジュアルな統率者戦も楽しんでいるそうですね。どんなデッキを使っているんですか。

黎明をもたらす者ライラ永遠の頂点、ブロコス埋葬布を纏う者、エイスリオス

《黎明をもたらす者ライラ》《永遠の頂点、ブロコス》《埋葬布を纏う者、エイスリオス》などです。

「パーマネント勝負になることが多く、全体除去が飛び交いやすい環境なので、全体除去に強い統率者がお気に入りですね」

「いい意味でコンボがユルく、じっくりと盤面を作りながら、パーティーゲーム、ボードゲームのような雰囲気で遊べるのがカジュアルな統率者戦の魅力です。神決定戦をきっかけに統率者戦に興味を持ってくださった方はぜひデッキをひとつ持って参入してみてほしいですね!オープンなdiscordサーバーや店舗イベントにもカジュアルなゲームを楽しむプレイヤーさんはたくさんいるのでぜひ気軽に参加してみてほしいです」

――ツボイさんは何をきっかけにカジュアルな統率者戦から競技的な統率者戦に参入したんでしょうか。

「実は逆なんです。もともと身内でパワーレベルがよくわからないまま「より強いデッキを」と遊んでいました。discordサーバーに参加して、自分では強いデッキを握っているつもりなんだけれどなかなか勝てないことがありました。そんなとき、“ツボイさんは優しいから怖くない”と言われたんです」

「アドバンテージをたくさん取られていると、つい対戦相手の動きに対応したくなってしまいました。その結果、自分のリソースを大量に使ってしまっていたんです」

「カジュアルな環境だと、ゲーム中の脅威が目まぐるしく変化するため、自分ひとりのリソースを全部使っていてはとても足りません。そこで、どのように振る舞えば自分のリソースを温存できるかといった、ヘイト管理の練習をイチからやり直したいと思い、カジュアルなゲームに挑戦するようになりました。その経験から、高レベル卓でも妨害札を差し込むタイミングをより慎重に考えることができるようになりました」

精霊龍、ウギン荒廃鋼の巨像核の占い師、ジン=ギタクシアス

カジュアルなゲームでは一度大きくアドバンテージを失うと回復が困難。
除去や打ち消しの使いどころを見誤ると敗北につながるのはガチ・カジュアルとも同様。

――競技的な統率者戦とカジュアルな統率者戦、その間には溝は無く、地続きで互いに学びがあるのですね。

総括

――神決定戦を振り返って、参加していかがでしたか。

「統率者戦は遊ぶ場所、練習する場所はたくさんありましたが、成果を披露する場所に恵まれませんでした。そういった意味で、コマンダーサミットや神決定戦はすごくいい機会だと思います。神決定戦はdiscordサーバーでもライブビューイングされて、競技志向の方々だけでなく、カジュアルプレイヤーの方々にもとても楽しんでいただけたようです」

「神決定戦は統率者戦が活気づく本当にいいきっかけになったと思います。運営の晴れる屋さん、参加者の皆さん、応援・観戦してくださった皆さん、関わってくださったすべての方々に心より感謝いたします。本当にありがとうございました!」

――こちらこそ、ご参加いただきありがとうございます。改めまして、初代神への就任、おめでとうございます!

展望

予想をはるかに超える盛り上がりを見せた統率者戦神決定戦。次回大会では神が初の防衛となるか、新たな神が生まれるのか。次回の日程はまだ決まっていませんが、早くもワクワクが止まりません!

それではみなさん、次回の統率者神決定戦でお会いしましょう!

この記事内で掲載されたカード

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いってつ 晴れる屋メディアライターです。最近の悩みは記事執筆と動画出演で忙しくて統率者戦が1日2回くらいしか遊べないこと。Commander Format Panel メンバー。 いってつの記事はこちら