はじめに
こんにちは。Hareruya Prosの佐藤です。
待望の新セット『ニューカペナの街角』の全カードリストが公開され、みなさんワクワクしている時期ではないでしょうか。
そこで今回は発売を今週末に控えた『ニューカペナの街角』の注目カードを紹介していこう思います。主にスタンダード目線となります。それではよろしくお願いします。
なお、『ニューカペナの街角』で登場する新メカニズムについての詳細は『ニューカペナの街角』のメカニズムを参照ください。
単色のカード
《救出専門家》
《救出専門家》は条件付きのリアニメイト内蔵クリーチャーです。墓地の2マナ以下のクリーチャーを戦場に戻すも、《救出専門家》自身をコントロールしている限りそのクリーチャーで攻撃やブロックに参加できません。本体がパワー3の絆魂持ちであることを考えるといずれは対処しなければならず、したがって釣ってきたクリーチャーはアクティブになりやすいと思います。
理想は《光輝王の野心家》のようにいるだけで盤面に影響を与えるクリーチャーでしょう。少しマナはかかりますが、敵対者サイクルを釣るのもおすすめです。
白の3マナ域は《精鋭呪文縛り》や《輝かしい聖戦士、エーデリン》、《婚礼の発表》など強力カードが集まる激戦区ですが、それぞれ方向性が違うため採用は十分考えられます。
《終末の影》
《終末の影》は《死の影》や《スカイクレイブの災い魔》のようにライフ総量を参照する能力を持つ生物です。先の2枚との違いはライフ総量がサイズではなくマナコストに影響する点であり、サイズは7/7で固定されています。そのため一度戦場に出てしまえば以降ライフを得てもサイズが縮小することはありません(最大値も決まっていますが)。
現在のスタンダードには自主的にライフを減らす手段は少なく運用しにくい印象ですが、カードプールの広がりにより化ける可能性もあるので期待を込めて。《アダントの先兵》のようなクリーチャーが登場すれば一気にデッキになりそうです。
また、今後マナ総量15に着目した活用方法が見つかるかもしれません。パイオニア以下の環境で運用する場合、先輩方と比べて《致命的な一押し》への耐性がある点は嬉しいところです。
《しつこい負け犬》
《しつこい負け犬》は2マナでパワー3と序盤の打点として十分であり、2ライフ必要になるものの、墓地からも「奇襲」できる素晴らしいクリーチャー。息切れしかけた後半戦でダメージとカードをもたらしてくれるのです。
《イチョリッド》や《スカイクレイブの影》のように、この手の墓地から使いまわせる能力を持つ黒いクリーチャーは「ブロックできない」という一文がお決まりですが、それもなし。ブロックに回して相手クリーチャーを打ち取った後、今度は「奇襲」してダメージとカードを稼いでいきます。黒系アグロではぜひ採用したい1枚です。
《顔壊しのプロ》
《顔壊しのプロ》は宝物・トークンをカード・アドバンテージへ変換してくれる1枚で二役をこなす便利なクリーチャーです。後半使い道のない宝物・トークンが脅威に成りえるのは驚きです。威迫があるため単体でも宝物・トークンを稼ぎやすくなっています。
スタンダードでは《厚顔の無法者、マグダ》や《黄金架のドラゴン》を使用したトレジャー(宝物)デッキでの運用が期待できます。『ニューカペナの街角』には宝物関連のカードが多く、そちらとの組み合わせも注目です。
《作業場の戦長》
令和の《スラーグ牙》!ミッドレンジ愛好家なのでこのようなアドバンテージ内蔵生物は大好きです。個人的に今回のイチオシカードです。
比較すると、ライフの回復量とトークンの生成条件(明滅による再利用不可)で劣りますが、自身の持つトランプルやトークンのサイズなどを加味すると一長一短というところでしょうか。緑単よりはジャンドのようなミッドレンジでの運用を模索したいところ。
ただし、現在のスタンダードでは《消失の詩句》や《放浪皇》が活躍しており、今後も採用されることが想定されます。持ち味のトークン生成能力を発揮することなく対処される機会が多そうなのはとても気がかりですね。白相手には注意が必要です。
多色のカード
《エイヴンの心臓刺し》
自分の墓地にマナ総量が5種類以上のカードがあると性能が上がるクリーチャー。戦場に出たときにカードは引けませんが、条件を見たせば強化版《悪意の大梟》といえそうです。うっかり2枚手札に来ようものなら、1枚目の死亡時の「切削」により条件達成をサポートしてくれます。ディミーアはこれのほかにも同様の条件で強化される呪文があるので組み合わせて使用しましょう。
スタンダードでは、《永岩城の修繕》のII章で使い回すなどエスパー系のデッキで試してみたいところ。ただし、赤相手にはくれぐれも《棘平原の危険》にご注意を。
《舞台座一家の料理人、ロッコ》
《召喚の調べ》にクリーチャーがついてきたような能力の1枚。3色と色マナ要求は厳しく、「召集」がないためマナも多く必要になりますが、可能性を感じています。
《豪火を放て》
クリーチャーかプレインズウォーカーを除去しつつ、さらにアーティファクトかエンチャントを破壊できる可能性があるインスタントです。現スタンダード環境ではアーティファクトやエンチャントの採用率が高く、狙わずとも自然と2対1交換が期待できます。《放浪皇》を除去しつつ、《婚礼の発表》や《エシカの戦車》を破壊できれば最高ですね。
各種レア土地
『イコリア:巨獣の棲処』で登場した基本土地タイプと「サイクリング」付きの3色ランドが追加されました。今回は友好色の組み合わせです。現在のスタンダードで活躍している3色デッキといえばナヤとエスパーであり、それらのデッキにとってはマナベースが大いに強化された格好です。
しかし、今はあまり見かけない組み合わせであっても油断なりません。マナベースが強化されることでデッキは安定し、今後よく見かけるアーキタイプになることもありえます 。構築する上では非常に嬉しい反面、デッキがうまく回るようにマナベースを見直す必要があり、腕の見せ所です。
プレインズウォーカー
プレインズウォーカーはセットの華ということでそれぞれ紹介してます。『ニューカペナの街角』では3種類のカードが収録されています。
《華やいだエルズペス》
『テーロス還魂記』以来の登場となったエルズペス。これまで軽い忠誠度の増減でクリーチャー・トークンを生成できましたが、《華やいだエルズペス》にはありません。
[+1]:クリーチャー最大1体を対象とする。それの上に+1/+1カウンター1個と、飛行や先制攻撃や絆魂や警戒のうち1種類のカウンター1個を置く。
[+1]がクリーチャー参照能力かつ自身が5マナと少し重めのコストのため、クリーチャー主体のミッドレンジで輝きそうです。追加で得られる能力に飛行があるのは非常に強力。《遍歴の騎士、エルズペス》を思い出しますね。
[-3]:あなたのライブラリーの一番上にあるカード7枚を見る。それらの中からマナ総量が3以下であるパーマネント・カード1枚を、盾カウンター1個を置いた状態で戦場に出してもよい。残りをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。
[-3]はライブラリートップ7枚から3マナ以下のパーマネントを盾カウンター付きで戦場へ出せる効果です。白には3マナ以下でも強力なパーマネントは多く存在します。ただし、外れる可能性もあるのでリターンを見込めるカードを十分な数確保した上で使用しましょう。
[-7]:飛行を持つ白の3/3天使・クリーチャー・トークン5体を生成する。
[-7]は3/3天使を5体生成します。全体除去で対処は可能なため即勝ちとはなりませんが、全体除去を有さないデッキに対しては勝利をもたらしてくれるでしょう。
[-7]以外でトークン生成能力がないため、このカード単体で忠誠度を高く保ったまま盤面を構築することはできません。また[-3]で持ってこられるパーマネントにも制限があり、意識してデッキ構築をする必要があります。
スタンダードではセレズニアミッドレンジがうまく条件にハマりそうです。[+1]で《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》を飛ばすのはもちろんのこと、[-3]で《精鋭呪文縛り》や《スカイクレイブの亡霊》、《婚礼の発表》、先に紹介した《救出専門家》などの優良カードにアクセスできるのは良いですね。
《狩りに出るビビアン》
こちらは『イコリア:巨獣の棲処』以来の登場となったビビアン。マナコストも1マナ重くなっています。
[+2]:あなたはクリーチャー1体を生け贄に捧げてもよい。そうしたなら、あなたのライブラリーから、そのクリーチャーよりマナ総量が1大きいクリーチャー・カード1枚を探し、戦場に出し、その後ライブラリーを切り直す。
このカードの能力の中心は《出産の殻》を彷彿とさせる[+2]能力でしょう。こちらをいかにうまく使えるかで価値が決まると思います。スタンダードでコンボは組めるのでしょうか?
[+1]:カード5枚を切削し、その後これにより切削した望む枚数のクリーチャー・カードをあなたの手札に加える。
[+1]はクリーチャーしか手札に加えられないものの、「切削」がポイントです。生き残っている限り墓地を肥やせるのでそこを有効活用したいですね。
[-1]:緑の4/4のサイ・戦士・クリーチャー・トークン1体を生成する。
盤面を構築したいときには[-1]を選択しましょう。クリーチャー・トークン生成の能力があり、忠誠度をわずかに減らすだけで4/4サイズが出せます。
6マナのプレインズウォーカーは、かつての《太陽の勇者、エルズペス》のように、戦況を傾けるレベルの相当なインパクトがなければ使用されない認識であり、個人的に《狩りに出るビビアン》は単体ではそのレベルにないかなという印象です。
そうなるとやはりカギになるのは[+2]能力。こちらを利用した強力な動きやコンボのような振る舞いが見つかるかどうかです。
デッキとして形に成るかは検討が必要ですが、緑の注目カードとして挙げた《作業場の戦長》を生け贄に捧げて《トヴォラーの猟匠》や《アヴァブルックの世話人》をサーチするのは面白そうです。
《敵対するもの、オブ・ニクシリス》
『灯争大戦』以来の登場となったオブ・ニクシリス。本セット最注目のカードといっていいでしょう。
能力自体は3マナのプレインズウォーカーらしく強すぎも弱すぎもせずといった感じですが、特筆すべきは「犠牲」を持っていること。唱えるに際してパワーが1以上のクリーチャーをコントロールしていればコピーが生成できるのです。
[+1]:各対戦相手はそれぞれ、カード1枚を捨てないかぎり2点のライフを失う。あなたがデーモンやデビルをコントロールしているなら、あなたは2点のライフを得る。
仮に忠誠度の小さいコピーが出ても、[+1]能力を連打されてはたまったものではありません。クリーチャー数の少ないコントロールデッキにとっては絶望的な存在となります。
[-2]:「このクリーチャーが死亡したとき、クリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーのうち1つを対象とする。これはそれに1点のダメージを与える。」を持つ赤の1/1デビル・クリーチャー・トークン1体を生成する。
[-2]で自己防衛機能が備わっていますが、このトークンがデビルであるため[+1]のライフゲインも満たせるなど自己完結しています。
[-7]:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを7枚引き、7点のライフを失う。
ラクドスカラーということで低コストでパワーの大きいクリーチャーを用意するのは難しいものの、上手くいけば「犠牲」でコピーしてすぐに[-7]を使えます。非常に強力でプレイヤーを対象に取るという点を除けば《グリセルブランド》と同じドロー能力であり、場合によって相手を対象にとり7点火力としてライフを削ることも可能です。
軽さと使いやすさが相まって、3マナながら非常に強力なプレインズウォーカーといえるでしょう。前評判通りの活躍をできるか注目しつつ、新環境で真っ先に試したいカードですね。
おわりに
以上、『ニューカペナの街角』の注目カードの紹介でした。今回紹介した以外にも隆盛サイクルや魔除けサイクルなど強力な多色カードはまだあり、3色土地の加入も相まって、今後どのようなデッキが出てくるかとても楽しみです。
『神河:輝ける世界』加入後のスタンダードは活躍するデッキが毎週変化する非常に楽しい環境でしたので、今期も期待したいところ。各々の注目カードを使用して、新しい環境を一緒に楽しんでいきましょう!
ここまで読んでいただきありがとうございました。それではまた!