USA Legacy Express vol. 199 -デルバーを抑えるセレズニアデプス-

Kenta Hiroki

はじめに

みなさんこんにちは。

ゴールデンウィーク中は、日本国内で大規模なイベントであるEternal Party 2022 in Tokyoが開催されました。いつでもプレイできるオンラインのイベントも便利ですが、相手との対話があるテーブルトップのイベントは特にレガシーでは別物ですね。

さて、今回の連載ではSCG Con Legacy 5KとEternal Party 2022 in Tokyoの入賞デッキを見ていきたいと思います。

SCG CON Pittsburgh Legacy $5K (Friday)
Selesnya Depthsのエキスパートが優勝

2022年4月29日

  • 1位 Selesnya Depths
  • 2位 4C Control
  • 3位 Moon Stompy
  • 4位 Bant Control
  • 5位 Moon Stompy
  • 6位 Jeskai Control
  • 7位 8 Cast
  • 8位 Izzet Delver
Michael Mapson

Michael Mapson

Twitter:@SCGCON

トップ8のデッキリストはこちら

アメリカで開催された大規模なテーブルトップイベント。今大会を制したのはSelesnya Depthsのエキスパートとして知られているMichael Mapson氏でした。

デッキ紹介

Selesnya Depths

《暗黒の深部》《演劇の舞台》によるコンボが主な勝ち手段になりますが、コンボ以外でも《緑の太陽の頂点》によって《エルフの開墾者》《聖遺の騎士》《忍耐》など緑のクリーチャーを状況に応じてサーチし戦うことができます。《剣を鍬に》《虹色の終焉》といった、白の優秀な除去にアクセスできるところもこのデッキの特徴の一つです。

《輪作》《エルフの開墾者》《聖遺の騎士》などコンボパーツをサーチする手段が豊富で、《セジーリのステップ》《森を護る者》といった《マリット・レイジトークン》を守る手段も搭載されているため動きが安定しています。

Izzet Delverなどフェアデッキとのマッチアップに強い反面、ハンデスやカウンターを採用していないので高速コンボには弱くなります。しかし、現環境はDelverが多くコンボデッキの多くは淘汰されているため、特に大きな大会では勝ち残りやすい傾向にあります。

☆注目ポイント

紅蓮破赤霊破

《濁浪の執政》をより確実に対策するために、赤をタッチしサイドに《紅蓮破》《赤霊破》が採用されています。これにより、Sneak and ShowやDoomsdayなど、青ベースのコンボデッキとの相性が緩和されています。8 Castのフィニッシャーである《河童の砲手》もカウンターすることができるので、現環境ではNayaバージョンのほうが安定しているようです。

辺境地の罠外し逆説の領域

Michael Mapson氏のリストの注目ポイントは、サイドボードのカードチョイスにあります。《辺境地の罠外し》《緑の太陽の頂点》でサーチ可能な置物対策で、変身すれば攻撃のたびに相手の置物を処理できる優秀なクリーチャーです。《逆説の領域》は単体除去が中心のコントロールとのマッチアップで有用な置物で、異なる角度から攻めることができるようになります。

溜め込み屋のアウフ無垢への回帰

8 Castを意識していたようで、サイドには《緑の太陽の頂点》でサーチできる《溜め込み屋のアウフ》とアーティファクト専用の全体除去である《無垢への回帰》が2枚と多めに採られています。

SCG CON Pittsburgh Legacy $5K (Sunday)
Selesnya Depthsが連覇

2022年5月1日

  • 1位 Selesnya Depths
  • 2位 Grixis Control
  • 3位 Jeskai Control
  • 4位 Izzet Delver
  • 5位 Lands
  • 6位 Doomsday
  • 7位 Izzet Delver
  • 8位 Izzet Delver
Rodney Bedell

Rodney Bedell

Twitter:@SCGCON

トップ8のデッキリストはこちら

日曜日に開催された同大会も、金曜日と同様にSelesnya Depthsが優勝を収めました。デッキリストもMichael Mapson氏が使用していたリストと同様のものでした。

現環境トップメタのIzzet Delverは今大会でも人気があり、プレイオフに3名入賞しています。そのほかJeskai ControlやLandsといったデッキが中心でした。

デッキ紹介

Jeskai Control

Izzet Delverに次いで安定した結果を残し続けているJeskai Control。Jeskai Controlといっても《僧院の導師》型や《船殻破り》《一日のやり直し》コンボ搭載型、プレインズウォーカー型などいろんなバリエーションが散見されますが、今大会で入賞していたのは《船殻破り》《一日のやり直し》コンボを搭載した形でした。

《船殻破り》《一日のやり直し》コンボ搭載型は現在もっともポピュラーな型です。優秀な除去やカウンター、プレインズウォーカーに加えてコンボによる勝ち手段もあるなど、かつてモダンで活躍していた双子コンボを彷彿とさせます。相手はコンボを常に警戒することになるため思い切ったアクションが取りにくくなり、結果ゲームが長引けば伝統的なコントロールプランを実行しやすくなります。

☆注目ポイント

覆いを割く者、ナーセット時を解す者、テフェリー

《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が使えるBant(多色)コントロールに比べてデッキパワーは劣りますが、青白をベースに赤をタッチしたJeskaiは基本地形を採用する余裕があるなどマナ基盤が安定しています。

《一日のやり直し》とのコンボパーツとしても機能する《覆いを割く者、ナーセット》や、コンボを妨害されなくなる《時を解す者、テフェリー》は、単体でもコントロールやコンボデッキの行動を著しく制限させることができる強力なプレインズウォーカーです。

放浪皇

『神河:輝ける世界』から登場した《放浪皇》レガシーでも通用する逸材でした。当初は4マナとレガシーでは重く、《精神を刻む者、ジェイス》と比べても地味な能力であり使いにくい印象でした。しかし、プレインズウォーカーでありながらインスタントスピードでプレイすることができ、採用率が増えている《紅蓮破》に引っかからないといった特徴があります。

静寂破滅

8 Cast対策としてよく《溶融》が見られますが、Jeskaiは《河童の砲手》《ウルザの物語》もまとめて処理できる《静寂》が使えます。Lands、4C Controlなど特殊地形に頼ったデッキ用に《破滅》が採られています。このデッキは多色デッキでありながら基本地形を多く採用しているため、被害を抑えることが可能です。

Eternal Party 2022 Tokyo
Delver祭り

2022年5月4日

  • 1位 Izzet Delver
  • 2位 Mono Red Painter
  • 3位 ANT
  • 4位 Izzet Delver
  • 5位 Jeskai Control
  • 6位 Bant Control
  • 7位 Izzet Delver
  • 8位 Omni-Tell
フクシマ ヒロアキ

フクシマ ヒロアキ

Twitter:@MtgBigmagic

トップ8のデッキリストはこちら

日本国内でも大規模なレガシーのイベントであるEternal Party 2022 Tokyoが開催されました。

今大会の上位は現環境トップメタのIzzet Delverがプレイオフに3名入賞し、決勝戦はIzzet DelverとMono Red Painterの対決となりました。

ほかにはJeskaiやBantなど青いフェアデッキが活躍しており、ANTやOmni-Tellといったコンボデッキも結果を残しています。上位入賞を果たしたほとんどのデッキに《溶融》《魔力流出》《静寂》といったカードが採用され、かなり意識されていたのか8 Castは上位では見られませんでした。

デッキ紹介

Izzet Delver

今大会でも猛威を振るったIzzet Delverですが、渡邉選手のリストはメインから《紅蓮破》を4枚採用し、《意志の力》をサイドに落とすという思い切ったアプローチを施しており、徹底的に同型を意識した構成となっていました。

このバージョンを使用するに至った経緯についてはご本人の記事にも挙げられていましたが、有名配信者のMOパンダ(@mopanda_mtg)のアドバイスによるものだそうです。

最初からサイドボードをした状態でマッチを始めることができるため、Izzet DelverやJeskai Control、多色コントロールなど青いフェアデッキとのマッチアップではかなり有利がつきます。しかし、《意志の力》がないのでReanimateやANTなどコンボデッキとのマッチアップでは、一般的なDelverよりもメイン戦は不利なゲームを強いられます。

☆注目ポイント

紅蓮破水流破

現環境はコンボよりもIzzet Delver、多色コントロール、Jeskai Controlなど青いフェアデッキが多く、最近は8 Castも活躍しているので《紅蓮破》はメインから採用しても腐りづらくなっています。Izzet Delverの同型戦では《濁浪の執政》を巡るゲームになりやすいため、《紅蓮破》がメインからフル搭載されている分、同型ではかなり有利にゲームを進めることができます。

また、相手の《紅蓮破》《表現の反復》などをカウンターしたり、《ドラゴンの怒りの媒介者》を対策できる《水流破》もメインから十分に使えるスペルです。

狂乱の呪詛

現在ほとんどのIzzet Delverのサイドボードに採用されている《狂乱の呪詛》は、MOではまだ実装されていないカードです。エンチャントされているプレイヤーがクリーチャーでないスペルをプレイする度にダイスを振ってダメージを与える呪いオーラで、このカードのおかげでテーブルトップのIzzet Delverはコンボとのマッチアップにさらに強くなっています。

特にサイド後は《濁浪の執政》《紅蓮破》で処理し合うゲームになりやすいため、このように軸をずらした追加の勝ち手段を用意するのは重要となります。また、メインから採用されている《水流破》は、この《狂乱の呪詛》も対策することができます。

ANT

レガシーを代表するコンボデッキの一つで、環境を問わず常に一定数見られます。

苦手なIzzet Delverがトップメタの現在ではキツイ印象ですが、Izzet Delverも同型を対策するためにメインの確定カウンターが必要最低限にまで絞られています。コントロールやLandsなどDelverに強いデッキに強いことも勝因の一つだと思われます。

コンボデッキはカウンターに弱い印象がありますが、ANTはハンデスや《夏の帳》といったコンボを守るためのスペルが多く、Izzet Devlerのようなクロックパーミッション系以外の青いデッキに対しては互角以上に戦えます。ドロースペルやサーチスペルも多用するため、柔軟性のあるコンボデッキです。

☆注目ポイント

耐え抜くもの、母聖樹夏の帳

『神河:輝ける世界』から登場した《耐え抜くもの、母聖樹》は、《虚空の杯》《無のロッド》など厄介な置物を対策する手段として採用されています。緑マナ源にもなりカウンターされない置物対策として機能する非常に便利なカードで、メインだけでなくサイドにも追加で2枚採用されています。青対策としては《夏の帳》がメインから3枚採用されているなど徹底しています。

ぶどう弾苦悶の触手Allosaurus Shepherd

Storm系のコンボの追加の勝ち手段としてよく見られる《巣穴からの総出》は不採用で、サイドに忍ばせてある勝ち手段は《ぶどう弾》と追加の《苦悶の触手》のみとなっています。《夏の帳》をカウンター不能にできる《アロサウルス飼い》は興味深いアプローチです。

激しい叱責

キャントリップしつつクリーチャーの能力を失わせる《激しい叱責》は、ヘイトベアー対策として有用で相手のエンド時に《激しい叱責》を置くことで自分のターンがくればコンボを決めることができます。

総括

MOのチャレンジではJeskai ControlなどDelver以外のデッキも結果を残し続けていますが、テーブルトップのイベントではDelverがトップを維持し続けています。

狂乱の呪詛

テーブルトップのイベントの上位にDelverが多い理由の一つに、《狂乱の呪詛》が挙げられます。《狂乱の呪詛》が実装されていないMOでは、Jeskai Controlなど効率的な除去を多用するコントロールがテーブルトップよりも活躍しています。

USA Legacy Express vol. 199は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!

この記事内で掲載されたカード

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Standard Express」「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら