はじめに
みなさんこんにちは。
『ニューカペナの街角』がリリースされてしばらく経ちますが、《狩りに出るビビアン》や《帳簿裂き》といったカードが活躍していますね。
さて、今回の連載では第20期モダン神決定戦、Modern Showcase Challenge、Modern Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
第20期モダン神決定戦
プロツアー王者が新カードを使ったコンボデッキで神の座を防衛
2022年5月8日
- 1位 Izzet Ragavan
- 2位 4C Omnath
- 3位 Tameshi Bloom
- 4位 Indomitable Creativity
- 5位 4C Omnath
- 6位 Amulet Titan
- 7位 Goblins
- 8位 Elementals
ジェレミー・デザーニ
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第20期モダン神決定戦が参加者252名で開催されました。
今大会で見事に優勝を収めて神への挑戦権を得たのは、Izzet Ragavanを使用した世界王者の高橋 優太選手でした。高橋選手が使用したIzzet Ragavanについては、ご本人の記事でも詳しく解説がされています。
そして翌日に行われた神決定戦では、プロツアーでも優勝経験のあるジェレミー・デザーニ選手(神) vs. 世界王者の高橋 優太選手という非常にレベルの高いマッチアップとなりました。ジェレミー・デザーニ選手は、『ニューカペナの街角』の新カードである《狩りに出るビビアン》を採用したVivien Podを持ち込み、見事に神の座の防衛を果たしました。
デッキ紹介
Vivien Pod
今回ジェレミー・デザーニ選手が使用していたデッキは、『ニューカペナの街角』で登場した《狩りに出るビビアン》をフィーチャーした《守護フェリダー》+《鏡割りのキキジキ》の無限コンボを搭載したデッキでした。
4C Omnathとコンボをハイブリットしたスタイルで、常に《守護フェリダー》+《鏡割りのキキジキ》(《サヒーリ・ライ》)のコンボのプレッシャーを与えつつ多色ミッドレンジとしても振舞えるため、このデッキとの対戦難易度は高めです。
☆注目ポイント
《次元縛りの共謀者》の能力を起動することによって《狩りに出るビビアン》のコストを踏み倒すことができます。《狩りに出るビビアン》の[+2] 能力はあの《出産の殻》と同様の能力で、生け贄にしたクリーチャーよりマナ総量が1大きいクリーチャーに変換させることが可能です。
これを利用することによって、使用済みの《次元縛りの共謀者》を《守護フェリダー》に変換させることができます。《守護フェリダー》で《狩りに出るビビアン》を「明滅」させて、再び[+2]能力によって《守護フェリダー》を《霊体の先達》に変換させます。
これによって《守護フェリダー》を墓地から復活させられるため、《狩りに出るビビアン》を再利用して今度は《守護フェリダー》を《鏡割りのキキジキ》に変換します。《鏡割りのキキジキ》の能力によって《霊体の先達》をコピーして《守護フェリダー》を墓地から戻すことでループさせることができます。
《東屋のエルフ》や《楽園の拡散》といったマナ加速を利用することによって、《次元縛りの共謀者》や各種プレインズウォーカーを早い段階からプレイすることができます。
1ターン目に《東屋のエルフ》、2ターン目に《楽園の拡散》と動けば4マナ出るので、手札に《次元縛りの共謀者》と《狩りに出るビビアン》がいれば2ターン目にコンボを決めることが可能です。
《創造の座、オムナス》や各種プレインズウォーカー、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を駆使してミッドレンジプランも実行しやすく、ゲームに勝つのにコンボに大きく依存しないフレキシブルさがこのデッキの特徴です。サイドには《月の大魔術師》や《狼狽の嵐》など、Amulet TitanやLiving Endといったほかのコンボとのマッチアップ対策が中心になっています。
Modern Showcase Challenge #12417153
Living EndがShowcase Challengeを制する
2022年5月7日
- 1位 Living End
- 2位 8 Cast
- 3位 Tameshi Bloom
- 4位 Izzet Ragavan
- 5位 Living End
- 6位 Affinity
- 7位 Living End
- 8位 Burn
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『ニューカペナの街角』リリース後の環境になって初めて開催されたModern Showcase Challenge。
前環境では多色ミッドレンジやElementalsがトップメタでしたが、今大会ではLiving EndやTameshi Bloom、8 Cast、Izzet Ragavanなどが中心でした。
デッキ紹介
Living End
今大会はLiving Endが大きな成功を収めたイベントでした。《忍耐》や《時を解す者、テフェリー》を意識してか、《緻密》をメインから採用したリストが上位に複数入賞しています。
☆注目ポイント
ハンデス能力を持つ《悲嘆》は、このデッキにとって重要な妨害スペルです。《意思切る者》や《通りの悪霊》など「サイクリング」カードに黒いカードが多く、手札に来てしまった《死せる生》もコストに充てることができます。
《意思切る者》《秘法の管理者》《縞カワヘビ》など、青いカードが中心なため《否定の力》のコストに困ることはそこまでありません。《否定の力》を構えながら相手のエンド時に《暴力的な突発》をプレイする動きは隙が少なく強力です。
相手のカウンター以外でも《時を解す者、テフェリー》や《虚空の杯》といった「続唱」を妨害する置物や、サイド後は《大祖始の遺産》や《安らかなる眠り》といった墓地対策もカウンターできます。
メインから採用されている《緻密》は、《否定の力》が効かない《忍耐》を対策する手段として機能します。ほかにも《濁浪の執政》や《時を解す者、テフェリー》といったカードを対策できるなど、多くのマッチアップで活躍します。また、瞬速を活かして主にコントロールや土地コンボとのマッチアップではクロックとしても使えます。
置物対策としては《活性の力》や《基盤砕き》が安定ですが、《厚かましい借り手》は《時を解す者、テフェリー》や《濁浪の執政》などいろいろなパーマネントに触れる便利なカードです。
Modern Challenge #12418748
『ニューカペナの街角』のスリーパーが大活躍
2022年5月14日
- 1位 Izzet Ragavan
- 2位 Living End
- 3位 Vivien Pod
- 4位 Golgari Yawgmoth
- 5位 Tron
- 6位 4C Omnath
- 7位 Death and Taxes
- 8位 Izzet Ragavan
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先週末に開催されたModern Challengeは、多種多様なデッキが活躍するモダンらしい結果になりました。
今大会で優勝を収めたのはIzzet Ragavanで、結果を残しているリストは『ニューカペナの街角』の新カードで最近話題になっている《帳簿裂き》が採用されています。
デッキ紹介
Izzet Ragavan
第20期モダン神挑戦者決定戦でも優勝するなど、安定した結果を残し続けているIzzet Ragavan。基本的な構成に大きな変化はなく、効率的なクロックやカウンター、除去、アドバンテージ源と一通り揃っており、《激しい叱責》《月の大魔術師》《激情》《緻密》など、現環境の多くのマッチアップで高い効果を望めるカードが使えるのがこのデッキの特徴です。
Izzet Ragavanは、Golgari Yawgmothなど《敏捷なこそ泥、ラガバン》に対するブロッカーを多く用意したマッチアップや、《虚空の杯》をメインから採用したAzorius Controlなどを苦手としますが、《濁浪の執政》《表現の反復》《対抗呪文》といった優秀なスペルはそれを補ってあり余る強さです。
☆注目ポイント
《ドラゴンの怒りの媒介者》の枚数が減らされ、その枠に《帳簿裂き》が採用されています。《ミシュラのガラクタ》や1マナのスペルが多いこのデッキでは、簡単に「謀議」を誘発させることができます。
そしてこのクリーチャーの注目ポイントは、相手がスペルを2回プレイした場合も誘発するところです。効率的な動きが求められるモダンでは相手も1ターンに複数のスペルをプレイすることが多く、ルーター能力で墓地にカードも溜まるので《濁浪の執政》をプレイしやすくなります。
サイドに採用されている《神秘の論争》は、《濁浪の執政》《時を解す者、テフェリー》《創造の座、オムナス》など、現環境の脅威の多くは青いカードなのでさまざまなマッチアップで活躍します。
Modern Challenge #12418754
コントロールが強い環境
2022年5月15日
- 1位 4C Elementals
- 2位 4C Elementals
- 3位 Golgari Yawgmoth
- 4位 Jeskai Control
- 5位 Jeskai Control
- 6位 Affinity
- 7位 Indomitable Creativity
- 8位 Burn
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Living EndやIzzet Ragavanなどが幅を利かせていたメタから一転し、コントロールデッキが活躍した日曜日のModern Challenge。コントロールマスターであり殿堂プレイヤーでもあるGuillaume Wafo-Tapa(WaToO)選手もプレイオフ進出を果たしています。
デッキ紹介
Jeskai Control
(※表示されていないカードは《火/氷》です)
Izzet RagavanやLiving End、Temur Cascadeなどが幅を利かせている環境では、Jeskai Controlは良いポジションにあると言えます。そして最後にそれを4C Elementalsが狩って優勝という結果で、モダンのメタゲームの目まぐるしい変化が見られます。
《虚空の杯》や《時を解す者、テフェリー》が強い環境であり、《濁浪の執政》に対する解答である《孤独》や、《ウルザの物語》《原始のタイタン》を無力化する《激しい叱責》など、現環境の脅威に対抗する手段が一通りそろっています。
《放浪皇》や《天上都市、大田原》といった最近のセットからの新戦力にも恵まれているデッキです。
☆注目ポイント
《放浪皇》は大きな隙を作らずに展開することができ、《濁浪の執政》や「疾駆」の《敏捷なこそ泥、ラガバン》を対処できる能力が環境に合っていたため、現在は《精神を刻む者、ジェイス》よりも優先的に採用されています。
《夢の巣のルールス》が禁止になった後は各デッキの構成が変化したため、《虚空の杯》がメインからサイドに移され、過去の青白のように《瞬唱の魔道士》や《選択》といったカードが再び採用されるようになりました。
《虚空の杯》は現環境トップメタの一角である4C Omnathに対して不要牌なのでサイドに落とされているものの、「続唱」デッキやIzzet Ragavanなどに刺さるため、メタによってはメインから採用してもいいカードです。
総括
現在のモダンはさまざまなデッキが活躍する混沌としたメタゲームになっています。現在オススメのデッキは、やはり優秀なカードのそろったIzzet Ragavanと、能動的であり軸をずらした戦略でミッドレンジに強いLiving Endになります。
『ニューカペナの街角』からはIzzet Ragavanの新戦力として《帳簿裂き》が採用されていました。2マナという軽さでありながら飛行を持ち、軽いスペルの多いモダンではすぐに手の付けられないサイズになります。また、墓地が肥やせて「昂揚」しやすくなるなどモダンでも十分に通用する強さなようです。
USA Modern Express vol.76は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!