決勝戦:藤井 智也(舞台座一家) vs. キタモト ヒロキ(貴顕廊一家)
晴れる屋メディアチーム
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昼の12時に開始した今大会も、決勝戦が始まろうという現在、時計は22時を回った。長き戦いを乗り越え、決勝まで辿り着いたのは2人のプレイヤー。
藤井 智也は関西ではリミテッドの名家としてお馴染みの「カードショップふらっと」で研鑽を積むプレイヤー。白緑に赤をタッチした“舞台座一家”のデッキを手に、初戴冠を狙う。
対するは“第4期リミテッド帝王”のキタモト ヒロキ。『エルドレインの王権』環境で行われた『第4期関西帝王戦リミテッド』では、決勝ドラフトで見事な白単を組み上げ王座へと登り詰めた。今回は青黒に赤をタッチした“貴顕廊一家”のデッキを駆る。前回の結果の再現なるか。
決勝戦は先手フジイの《斡旋屋一家の新入り》で幕を開ける。だが先に攻撃を開始したのは後手キタモト。《歪んだ守衛》《詮索する新聞記者》がフジイを攻め立てる。《ロウクスの保安員》を戦線へ追加していたフジイはそれぞれブロック。
ここでキタモト、パワーの値を少し勘違いしていた様子。《交渉の難航》を《ロウクスの保安員》へ撃ち込むが、「切削」を含めても墓地のマナコストは5種類に達せず。《詮索する新聞記者》と《ロウクスの保安員》が相討ちとなる。
フジイは《市民の奉仕者》《金色の両翼》と並べて飛行&絆魂で攻める構え。キタモトは《組織の潜入者》を戦線へ追加するが、墓地の数は増えておらずサイズアップはなく3/3のまま。《金色の両翼》と《斡旋屋一家の新入り》の力を借りて3/3飛行・絆魂となった《市民の奉仕者》の攻撃を通し、フジイがライフレースで一歩リードする。
さらにフジイは《近代性の模範》で飛行戦力を強化。キタモトは《歪んだ守衛》の攻撃でフジイのライフを20へ戻し、6つのマナすべてと《組織の潜入者》を立てて迎撃の構えを見せる。しかし、ここでフジイの後続は《謎めいたリムジン》。
リムジンに捕らわれかけた《組織の潜入者》は《屍体の掘り起こし》の「犠牲」となり、「切削」によりキタモトのライブラリーよりこぼれ落ちた《全知の調停者》とともにキタモトの手札へ帰るが、ガラ空きとなったキタモトの懐に《市民の奉仕者》と《近代性の模範》が攻撃を加える。
キタモトは《謎めいたリムジン》に捕らえられることが目に見えているため《全知の調停者》は温存。5/5となった《組織の潜入者》を送り出す。
この《組織の潜入者》は攻撃した《謎めいたリムジン》に捕らえられ、キタモトのライフは残り5。そして1分の隙も与えずに、フジイは最大限の追い討ち《産業のタイタン》を戦場に降臨させる。
圧倒的なフジイの戦力を前に、キタモトあえなく投了。
フジイ 1-0 キタモト
先手となったキタモトは、1ゲーム目と同じく《歪んだ守衛》《詮索する新聞記者》と展開して攻めていく。マリガンスタートとなったフジイは《斡旋屋一家の新入り》《金属猫》で迎え撃つ構え。
《詮索する新聞記者》と《金属猫》が相討つと、キタモトは《組織の潜入者》、フジイは《ロウクスの保安員》と続ける。
キタモトは《超能力すり》で《ロウクスの保安員》を手札へ追い返すと《組織の潜入者》で攻撃。フジイが《ロウクスの保安員》を再展開すると、今度は《証人保護》で無害な市民へと変貌させて総攻撃。7点のダメージが入りフジイのライフは10へと落ちる。
キタモトの攻勢を止めたいフジイは、5枚目の土地を引き込むと《裏酒場の給仕人》を繰り出す。ライフを12へと引き上げつつキタモトのクリーチャー達に睨みを利かせる。キタモトは後々5/5へのサイズアップを期待してか、《組織の潜入者》を残して《超能力すり》のみで攻撃。
フジイはこれを《裏酒場の給仕人》でブロックして相討ちを取る。しかしこの戦闘で飛行戦力を失ったフジイに対し、キタモトの後続は《受難の天使》。これには即《身代金の要求》で対処したフジイ、だが6枚目の土地を引き入れたキタモトの手から現れたのは《全知の調停者》!
1ゲーム目のお返しとばかりにレアカードを連打するキタモト。さらにこの誘発で《交渉の難航》をディスカードすると、《組織の潜入者》のサイズアップ条件も達成。
1ゲーム目とはまるで逆の圧倒的戦力差を前にフジイはここで投了。勝負の行方は3ゲーム目へともつれ込む。
フジイ 1-1 キタモト
両者のデッキ、ひいては内包されたカードの強力さが伺える展開となったこの2ゲーム。長きに渡った『第7期関西帝王戦リミテッド』もこれが最終戦、果たしてどのような結末が待っているのか。
両者マリガンでのスタートとなった最終ゲーム、初動はキタモトの《堕落した廷臣》。マリガンで少なくなった手札からフジイは少考のあと、《裏酒場の給仕人》をディスカード。フジイは《金属猫》を呼び出し、不要牌をライブラリーの下へと送って攻撃を開始する。だが4枚目の土地へ辿り着けない。
対照的にキタモトはもう土地は不要と、《ザンダーの居室》を「サイクリング」。《歪んだ守衛》を戦場へ。《堕落した廷臣》の攻撃に合わせてフジイは《温かい歓迎》。市民・トークンで相討ちを取りつつ《著名な剣士》を手札へ加えるが、次のターンも土地を引けず後続は《高層の鋸術屋》。
キタモトは2枚目の《堕落した廷臣》で《近代性の模範》を捨てさせると、攻撃には行かずフジイの攻めを迎え撃つ構え。
まだ土地が3枚で止まったままフジイ。しかし攻撃の手は止めまいと、《歪んだ守衛》へ《身代金の要求》を貼り付けて攻撃を続行。
まずは身を守ることを優先するキタモト、《堕落した廷臣》で《金属猫》の攻撃を受け止め、《貴顕廊一家の劇場》でライフを13に引き上げると《金属猫》を《交渉の難航》で排除する。
ここでフジイはようやく4枚目の土地へ辿り着く。《高層の鋸術屋》で攻撃を継続し、《著名な剣士》を戦場へ。まだまだ攻めのペースを握るフジイ、このまま押し切ることができるか。
しかしここで、キタモトの場へ2ゲーム目の勝敗を決定づけた《全知の調停者》が現れる。巨大な飛行戦力かつアドバンテージ源。さらには、相手の攻撃への抑止力も兼ねる神話レアの登場に勢力図は一気にキタモトへ優位へと傾く…かに思われた。
そう、5枚目の土地を引き込んだフジイが唱えたのは《謎めいたリムジン》!
決勝戦に相応しいレアカードの応酬が続く中、《高層の鋸術屋》がキタモトのライフを削り残りは9。身を守るクリーチャーがいなくなってしまったキタモト。しかし土地を置くのみでターンを返す。先ほどの《全知の調停者》の能力により《橋桁のうすのろ》を捨てているキタモト。手札に何もないとは考え難いが…。
フジイは《ロウクスの保安員》を呼び出し《著名な剣士》を強化するが、除去呪文を警戒してか《謎めいたリムジン》へは「搭乗」せず。《高層の鋸術屋》と《著名な剣士》で攻撃を仕掛ける。だが、キタモトの手より放たれたのは《都落ち》。
クリーチャー以外にも有効な呪文。《謎めいたリムジン》はライブラリーへと戻される。リムジンから解き放たれた《全知の調停者》により《高層の鋸術屋》を討ち取り、《著名な剣士》も無力化したキタモトは、さらに《身代金の要求》されている《歪んだ守衛》を「犠牲」に《屍体の掘り起こし》。《組織の潜入者》と《堕落した廷臣》を手札へ回収する。
その《堕落した廷臣》はフジイの最後の手札であった《用心棒の荒事》を奪い去る。フジイはこの虎の子の除去呪文を仕方なくといった様子で《堕落した廷臣》へ撃ち込みカードアドバンテージの喪失は回避するが、ついにキタモトの《全知の調停者》は攻撃を開始。
能力により《ロウクスの保安員》のパワーが奪われると、次いで現れた《超能力すり》が《著名な剣士》を手札に追い返す。わずか1ターンの間に、一気にキタモトが攻めへ転じる。
フジイは先ほど《都落ち》された《謎めいたリムジン》を再度唱えるのだが、ここでリムジンへと捕らえる対象を熟考。《全知の調停者》によって手札差もつけられてしまっている現状でキタモトの残りライフ9点を削り切るのは難しいと考えたか、フジイはキタモトに尋ねる、残りのライブラリーは何枚かと。
度重なる《全知の調停者》の誘発能力や、これまで唱えた数々の呪文による「切削」でキタモトの残りライブラリーは9枚。フジイはここに狙いを定める。《謎めいたリムジン》の能力は《超能力すり》を対象に。
迎えたキタモトのターン。ドローフェイズでまず1枚、《全知の調停者》が攻撃して2枚、さらに《詮索する新聞記者》を展開したことで「切削」により2枚。キタモトのライブラリーはこれで残り4枚。ライブラリーアウトが現実的に見えてきた。しかしキタモトは追加戦力として《組織の潜入者》を戦場へ。
もちろんサイズアップの条件は達成されている、これでキタモトの場にはパワー5の飛行クリーチャーが2体並ぶことに。《全知の調停者》の攻撃を2度受けたフジイのライフは10。このままでは、キタモトのライブラリーより先にフジイのライフが尽きてしまう。ドローして考えるフジイ。だが、ほかの選択肢は見つからない。
飛行クリーチャーの攻撃を止めるべく、呼び出した《著名な剣士》を《謎めいたリムジン》へ「搭乗」させ攻撃。《全知の調停者》を捕らえにかかる。
しかし、《謎めいたリムジン》の追放定員は1名のみ。《全知の調停者》に弾き出される形で再度現れた《超能力すり》が《ロウクスの保安員》を手札へ追い返すと、フジイの身を守るクリーチャーはいなくなる。
キタモトがすべてのクリーチャーを攻撃へ送り出すと、再び“リミテッド帝王”の座に就く瞬間が訪れたのだった。
フジイ 1-2 キタモト
『第7期関西帝王戦リミテッド』優勝はキタモト ヒロキ!おめでとう!!