はじめに
みなさんこんにちは。
アメリカや日本国内でテーブルトップのイベントが開催されており、盛り上がりを見せているモダン。先週末にはMOでもModern Showcase Challenge Season2も開催されました。
今回の連載では、そのModern Showcase Challenge Season2とNRG Series $10,000 Trial – Lansingの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Modern Challenge #12426323
墓地コンボデッキの勝利
2022年6月11日
- 1位 Living End
- 2位 Grixis Shadow
- 3位 Scapeshift
- 4位 4C Control
- 5位 Izzet Ragavan
- 6位 4C Control
- 7位 Jund
- 8位 Hammer Time
トップ8のデッキリストはこちら
上位8名にMOCS予選への参加権が与えられる大規模なイベントだけあって、今大会の上位は強豪ぞろいでした。
優勝したのはLiving Endで、安定した成績を残し続けているデッキの一つです。ほかには、Grixis ShadowやIzzet Ragavanなど《帳簿裂き》を強く使えるデッキや、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を「相棒」として採用した多色コントロール、Hammer Timeが中心で競技性の高いイベントらしい結果となりました。
デッキ紹介
Grixis Shadow
《夢の巣のルールス》が禁止になり、トップメタから姿を消したと思われたGrixis Shadowでしたが、Piotr Glogowski選手がModern Challengeで優勝したことで復権の兆しを見せています。
復権してきた理由として《帳簿裂き》の台頭が挙げられます。《帳簿裂き》は軽いスペルを多用するこのデッキとの相性がいいクリーチャーです。また《致命的な一押し》が使えることから、Izzetと比べると《帳簿裂き》の対処がしやすいのがGrixisの強みです。
ハンデスとカウンターの両方にアクセスできるためコンボデッキに強く、ハンデスがある分Izzetよりもコントロールに対して相性が良くなります。《夢の巣のルールス》を失い中盤以降の持久力は劣りましたが、Burnなど赤いデッキが減少傾向にある現環境では有力な選択肢になりそうです。
☆注目ポイント
最近では《濁浪の執政》よりも《帳簿裂き》が優先される傾向にあります。火力では除去が難しい《帳簿裂き》を対処できる《致命的な一押し》は、現環境において頼りになる除去です。
《死の影》の枚数が3枚に減らされていることから、従来のように《死の影》を軸にした構築とは異なることが分かります。《通りの悪霊》など能動的にライフを減らす手段が少ないので序盤に出すことが難しく、多色コントロールが使う《孤独》に弱いことも枚数が減らされた理由だと思います。
《夢の巣のルールス》に代わる「相棒」として採用されたのは《湧き出る源、ジェガンサ》でした。《夢の巣のルールス》のようにはいきませんが、多色デッキの弱点である《血染めの月》に対する解答になるなど、《湧き出る源、ジェガンサ》にしかない強みもあります。
Izzet Ragavan
強豪プレイヤーのPatxiは、今回《ドラゴンの怒りの媒介者》レスのIzzet Ragavanで入賞していました。コントロールとのマッチアップが課題となるIzzetですが、環境の理解度の高さが勝率に影響してくるデッキで、環境を問わず安定した成績を残し続けています。
『ニューカペナの街角』からの新戦力にも恵まれてさらに強化されました。当初は《帳簿裂き》は2枚採用したリストが主流でしたが、強さが認識されるにつれて採用される枚数が増加され、最近では4枚採用が主流になっています。
《ドラゴンの怒りの媒介者》は多色コントロールの《虹色の終焉》や《レンと六番》などに弱いだけでなく、同型の《帳簿裂き》で止まり、《未認可霊柩車》が投入されるサイド後は安定して「昂揚」を達成することが難しいなど、環境的に活躍しにくいため不採用にしたリストが見られるようになりました。
☆注目ポイント
《ドラゴンの怒りの媒介者》が抜けて《帳簿裂き》がフル搭載され、《帳簿裂き》の枠を確保するために減らされていた《呪文貫き》《稲妻》《大魔導師の魔除け》といったスペルも元の枚数に戻っています。多色コントロールや同型戦では《ドラゴンの怒りの媒介者》はサイドアウトされることが多かったため、その2つがトップメタである現環境では納得の変更です。
Amulet Titanや各種《ウルザの物語》デッキ、最近は《発現する浅瀬》などエレメンタルクリーチャーによるシナジーを搭載したバージョンも見られるため、メインの自由枠に《激しい叱責》が採用されています。
《未認可霊柩車》は、《大祖始の遺産》に代わる新たな墓地対策としてサイドに採用されています。墓地を使うデッキ以外のマッチアップでも有用なカードで、同型戦では相手の「探査」や「昂揚」を対策する手段として機能するため、早い段階で着地させることができればそれだけでゲームを支配できるほどの影響力があります。
ほかのフェアデッキとのマッチアップでも活躍する《未認可霊柩車》で墓地対策の枠を占めたいところではありますが、Living EndやDredgeといった墓地を最大限に活用するコンボに対しては悠長なため、《大祖始の遺産》や《魂標ランタン》、《トーモッドの墓所》といった専用の墓地対策も混ぜるなどバランスを取るのが大切です。
NRG Series $10,000 Trial – Lansing
多色コントロールのワンツーフィニッシュ
2022年6月11日
- 1位 4C Control
- 2位 4C Control
- 3位 Izzet Ragavan
- 4位 4C Control
- 5位 Hammer Time
- 6位 Tron
- 7位 Living End
- 8位 Izzet Ragavan
トップ8のデッキリストはこちら
アメリカの中西部で開催されている大規模なテーブルトップのイベント、NRG Seriesが先週末も開催されました。
今大会の上位もMOと同様に多色コントロールやIzzet Ragavan、Living Endといったデッキが中心でした。常に上位で見られる多色コントロールは、今大会でもワンツーフィニッシュを飾るなど頭一つ抜けた強さを見せつけました。
デッキ紹介
4C Control
最近はエレメンタルクリーチャーシナジーを重視したバージョンも活躍していましたが、カウンターや除去を多めに採用したコントロールバージョンは、Living EndやTemur Cascadeとのマッチアップで安定します。また、Izzet Ragavanがエレメンタルクリーチャーに対抗するために《激しい叱責》をメインから採用し始めたのも、コントロールバージョンを選択する理由になります。
《激情》と《孤独》を含めた豊富な除去と、タフネス1のクリーチャーを毎ターン除去できる《レンと六番》のおかげでクリーチャーデッキに有利な反面、Belcherや《計算された爆発》などスペルを使用したコンボデッキやLiving Endなど墓地を使ったコンボデッキを苦手とします。
☆注目ポイント
メインから採用されている《約束された終末、エムラクール》は、同型戦では出せばそれだけでゲームに勝利できる強さがあります。《孤独》などと同様に《エラダムリーの呼び声》でサーチ可能です。
Living Endとのマッチアップを想定したようで、《忍耐》がメインから採用されています。墓地対策の影響を受けない《帳簿裂き》がいるとはいえ、タフネス4なので除去されにくく「探査」や「昂揚」を対策できるためIzzetに対しても有効です。
サイドの《虚空の杯》は、ほぼ「続唱」デッキ専用になります。《時を解す者、テフェリー》やカウンターに加えて、サイド後は合計4枚の《忍耐》+《エラダムリーの呼び声》、《虚空の杯》、《狼狽の嵐》とLiving End対策が徹底しています。
Living End
Showcase Challegneでも優勝を収めていた墓地コンボのLiving End。「サイクリング」を繰り返して3ターン目には《否定の力》や《悲嘆》でバックアップしつつ、強力な「サイクリング」クリーチャーを墓地から復活させる動きは、多色コントロールにとって追いつくのは困難を極めます。
《未認可霊柩車》など厄介なカードも登場したことから、最近は《緻密》や《厚かましい借り手》による瞬速クリーチャーによるビートダウンプランを採用したリストが主流になっています。
☆注目ポイント
インスタントスピードの《暴力的な突発》は、相手のターンにプレイすることで《否定の力》が使えるため、《死せる生》を安全に通しやすくなります。また、相手のエンド時に《暴力的な突発》をプレイすることで、相手のスイーパーを対策することができます。
最近は《緻密》がメイン、サイドにトータルで3-4枚採用されたリストが多く見られます。主に《忍耐》と《時を解す者、テフェリー》用ですが、遅いデッキとのマッチアップでは4マナ瞬速3/3飛行のアタッカーとしてプレッシャーをかけていくこともできます。
もともと《対抗呪文》《時を解す者、テフェリー》《創造の座、オムナス》《濁浪の執政》など、さまざまなスペルに対して1マナで打ち消せる《神秘の論争》でしたが、《帳簿裂き》が台頭したことでその価値がさらに上がりました。多色コントロールやIzzetが散見される現環境では、《神秘の論争》の枚数が増量される傾向にあります。
総括
今週末にはMOCS Season 1 Finalsが開催されます。構築のフォーマットにモダンが採用されているので楽しみですね。
現環境は、MOやテーブルトップでLiving Endを上位で頻繁に見かけるため墓地対策は欠かせません。また、多色コントロールやIzzet Ragavanなど現環境のフェアデッキは青ベースなため、《神秘の論争》は優秀な干渉手段になります。
USA Modern Express vol.77は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!