はじめに
みなさんこんにちは。
『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』がリリースされましたね。統率者専用のセットですが、レガシーでも使えるため環境にどのような影響を与えるのか要注目です。
さて、今回の連載ではLegacy Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Legacy Challenge #12426398
Mono Red Stompyがワンツーフィニッシュ
2022年6月12日
- 1位 Mono Red Stompy
- 2位 Mono Red Stompy
- 3位 8 Cast
- 4位 ANT
- 5位 Izzet Murktide
- 6位 Doomsday
- 7位 Izzet Storm
- 8位 Jeskai Control
トップ8のデッキリストはこちら
Magic Onlineリリース20年周年を記念して、MOでスペシャルなイベントが開催中です。6月8日から6月29日まで、MOに実装されているすべてのカードが使える「オールアクセストークン」も25ドルで販売されています。
そのオールアクセストークンには、MOではまだ実装されていない『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』のカードも一部含まれているので、新カードを早速試しているプレイヤーも見られました。
今大会で活躍していたのは、最近よく結果を残していたMono Red Stompyで、ワンツーフィニッシュを決める強さを見せました。
デッキ紹介
Mono Red Stompy(1位)
《金属モックス》や《古えの墳墓》などのマナ加速を利用して、《虚空の杯》や《血染めの月》といったカードを最速で1ターン目から展開することで相手の行動に制限をかけます。
相手の行動に制限をかけている間に、《ゴブリンの熟練扇動者》や《炎渦の部隊》などの脅威でプレッシャーをかけていくのが基本的な動きになります。最近は《砕骨の巨人》や《髑髏砕きの一撃》《激情》といった除去としても機能するフレキシブルなカードにもアクセスできるようになり、大幅に強化されています。
このデッキがレガシーで人気な理由は、環境の多くのデッキが特殊地形や《渦まく知識》を始めとした1マナのスペルを多用しているので、《虚空の杯》や《血染めの月》で簡単に勝ちを拾える点にあります。特に1ゲーム目でこのデッキ相手に適切な初手をキープすることは難しく、相手にしたくないデッキの一つと言えます。
☆注目ポイント
相手をシャットアウトする主な手段は《虚空の杯》と《三なる宝球》の2種類のアーティファクトで、マナ加速を用いることで1ターン目から展開することができます。最近はさらに追加で《からみつく鉄線》も採用されています。多くのマッチアップで相手の行動を縛ることができるため、かなりの時間を稼いでくれます。
最近では《炎渦の部隊》が脅威の一つとして定着しています。《ゴブリンの熟練扇動者》の生成したゴブリン・トークンをより強力なクリーチャーに変換することができるため、一度攻撃を始めれば圧倒的な場を作ることができます。
《激情》はクリーチャーデッキに対して有効なピッチスペルで、マッチアップや状況によって不要牌になりやすい《血染めの月》などをコストにしてプレイすることができます。《炎渦の部隊》でめくれるととんでもないバリューを生み出してくれます。
《鏡割りの寓話》はリリース当初はそれほど評価されていなかったカードでしたが、最近はあらゆる構築フォーマットの赤いデッキで活躍しています。このデッキでも主力の3マナ域として定着しており、特にⅡ章の能力はドロースペルに貧しいこのデッキにとって手札に余分に来てしまった《血染めの月》などを有効牌に変換することができるため、デッキの安定性の向上にも一役買っています。
Izzet Murktide(5位)
ベースはIzzet Delverですが、《秘密を掘り下げる者》が抜けて《帳簿裂き》や《予報》が採られているなど、よりミッドレンジ寄りにシフトしたデッキになっています。
近年のIzzetは、《不毛の大地》や《目くらまし》で妨害しながらビートダウンしていくテンポ戦略に加えて、《表現の反復》や《濁浪の執政》といったカードパワーにも恵まれているため、ミッドレンジとしても十分な強さを発揮します。
基本的には、相手の脅威を捌いていきながら《表現の反復》でアドバンテージを稼ぎ、《濁浪の執政》で決着をつけるゲームになります。また、《帳簿裂き》や《予報》といったアドバンテージ源を加えることによって、同型やほかのフェアデッキとのマッチアップで有利が取れます。
☆注目ポイント
モダンやパイオニアでも活躍している《帳簿裂き》ですが、レガシーでも見られるようになりました。ルーター能力によって手札の質が向上するだけでなく、「昂揚」や《濁浪の執政》をプレイしやくなります。クロックが遅くなった分、《帳簿裂き》や《ドラゴンの怒りの媒介者》の能力をより有効に使うために《ミシュラのガラクタ》もフル搭載されています。
《帳簿裂き》のもう一つの注目ポイントは、墓地の状態の影響を受けないことです。デッキの主要な脅威が《ドラゴンの怒りの媒介者》や《濁浪の執政》のみになったことで、《虚空の力線》や《安らかなる眠り》といった墓地対策にも少し弱くなってしまいました。その点《帳簿裂き》はクロックとして安定しています。
サイドに採用されている《相殺》は、最近よく目にするようになったカードです。Izzet同型では、ライブラリーのトップに1マナのカードを置いておくだけでゲームが有利に進みます。もともと1-2マナのカードが主力なので仕込むのもそれほど難しくなく、コンボデッキとのマッチアップでも有用なサイドカードになります。
Jeskai Control(27位)
『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』で話題になっている《ディスプレイサーの仔猫》が早速使われています。
《ディスプレイサーの仔猫》はコンボに組み込まずとも単体で十分に強く、場に出たときの能力を持つパーマネントやプレインズウォーカーが多数搭載された《空を放浪するもの、ヨーリオン》デッキで活躍していました。
☆注目ポイント
新顔の《ディスプレイサーの仔猫》は、《大いなる創造者、カーン》+《大祖始の遺産》+《ライオンの瞳のダイアモンド》による無限マナや、《時を解す者、テフェリー》+《0マナのアーティファクト》(《モックス・アンバー》など)でライブラリーのカードをすべてドローなど、無限コンボパーツとして注目されています。
コンボにフォーカスしなくてもプレインズウォーカーなどのパーマネントを「明滅」させることでアドバンテージを稼ぐことができ、《意志の力》のコストにもなるので青ベースのフェアデッキでも採用に値する強さです。
AnziDはコンボパーツの0マナアーティファクトに、コンボ以外でもスイーパーとしても機能する《仕組まれた爆薬》を採用しており、コンボよりもコントロールしつつフィニッシュにコンボを決める戦略を取っていることが分かります。
《セヴィンの再利用》は最近のJeskai Controlに1-2枚採用されているリアニメイトスペルです。《覆いを割く者、ナーセット》や《時を解す者、テフェリー》といった3マナのプレインズウォーカーを再利用できるだけでも十分な強さですが、「フラッシュバック」した際は効果が2倍になるためフェアデッキとのマッチアップではゲームを決定づけるインパクトがあります。
Legacy Challenge #12429709
最後に勝つのはデルバー
2022年6月18日
- 1位 Izzet Delver
- 2位 Bant Loam
- 3位 Jeskai Control
- 4位 Mono Red Stompy
- 5位 Elves
- 6位 Reanimator
- 7位 Selesnya Depths
- 8位 Izzet Delver
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土曜日に開催されたLegacy Challengeは、Izzet DelverやJeskai Controlなど青いフェアデッキが中心でした。
デッキ紹介
Izzet Delver(1位)
今大会で優勝を収めたのは、現環境のトップメタであるIzzet Delverでした。
メインの自由枠に《死亡/退場》、サイドには減少傾向にあるLands対策の《発展の代価》に代わって、Mono Red Stompyとのマッチアップを想定していたのか《水流破》が2枚採用されています。
余談になりますが、筆者もこのリストを参考にしたリストで日曜日のLegacy Challengeでトップ8に入賞することができました。
☆注目ポイント
《死亡/退場》は小型クリーチャーに対する除去として機能しつつ、《濁浪の執政》や《マリット・レイジトークン》など青赤では処理が難しい大型クリーチャーもバウンスできるフレキシブルスペルです。
最近活躍が著しいMono Red Stompyとのマッチアップを想定して、《水流破》がサイドに2枚と多めに採用されています。Mono Red Stompyだけでなく、《ドラゴンの怒りの媒介者》《紅蓮破》《表現の反復》といったカードも対象にできるため同型でも活躍します。
8 Castなどのアーティファクトデッキ対策として、《溶融》に加えて《無のロッド》や《削剥》などアーティファクト対策が厚くとられています。《無のロッド》はマナアーティファクトを使うStormにも使えるカードで、《削剥》はクリーチャーデッキにもサイドインすることができます。
Legacy Challenge #12429717
フォーマットを跨いで活躍する鳥アドバイザー
2022年6月19日
- 1位 8 Cast
- 2位 Blue Zenith
- 3位 Grixis Phoenix
- 4位 Izzet Delver
- 5位 Blue Zenith
- 6位 Doomsday
- 7位 Izzet Delver
- 8位 Blue Zenith
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Izzet DelverやBlue Zenithといった青いフェアデッキが中心に活躍する中、優勝したのは8 Castでした。そのほか、珍しい《帳簿裂き》入りのGrixis Phoenixが3位入賞しています。
デッキ紹介
Grixis Phoenix(3位)
《暗黒の儀式》でマナ加速して《生き埋め》で《弧光のフェニックス》を3枚墓地に落とし、スペルをもう1枚プレイして《弧光のフェニックス》を復活させてビートダウンしていきます。最速で1ターン目から3体の《弧光のフェニックス》を展開するというコンボデッキのような動きで、一度に3体の《弧光のフェニックス》を処理することは困難を極めます。
《弧光のフェニックス》を含めた戦略の強みは、デッキのスペースがそれほど圧迫されないところです。《弧光のフェニックス》自体も単体で速攻と回避能力持ちなのでアタッカーとして十分な性能を持っています。
☆注目ポイント
《帳簿裂き》はスペルを複数プレイするこのデッキにフィットしたクリーチャーです。墓地対策の影響を受けないところも強みで、ルーター能力は自身を強化しつつ《弧光のフェニックス》を墓地に落とすことができます。
《アゴナスの雄牛》は《弧光のフェニックス》以外に《生き埋め》でサーチしてこれるクリーチャーで、手札に来てしまった《弧光のフェニックス》を墓地に落としつつリソースを補充することができます。フェアデッキとのマッチアップではカードアドバンテージ源となり、中盤以降の息切れを防止します。「脱出」コストも軽く、《帳簿裂き》のおかげで墓地に落としやすくなりました。
サイドには墓地の状態に依存しない勝ち手段が多数見られます。《厚かましい借り手》は《虚空の力線》や《安らかなる眠り》といった墓地対策を始めとした置物対策になりつつ、アタッカーとしても十分な性能を持ち合わせています。
相手のライブラリーサーチを封じる《敵対工作員》は、フェッチランドやチューターが多いレガシーでは非常に強力な能力で、主にコンボデッキとのマッチアップで活躍します。このデッキでは《暗黒の儀式》から急に飛び出してくるのでケアが難しく、相手の計算を大きく狂わせることができます。
総括
オールアクセストークンを利用して、早速新カードの《ディスプレイサーの仔猫》を試しているプレイヤーも見られました。このカードを使ったデッキがリーグなどで結果を残しており、まだ試行錯誤段階ですが可能性を感じさせます。
Izzet Delverは依然として高い勝率を維持し続けていますが、《虚空の杯》などIzzet Delverに効果的なカードを積んだMono Red Stompyや8 Castも活躍しており、メタゲームは今後も動き続けそうです。
USA Legacy Express vol.201は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!