メタゲームブレイクダウン
晴れる屋メディアチーム
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いよいよ第1期パウパー神決定戦が始まりましたが、改めて「パウパー」は未知のフォーマットといえます。コモンのみで構築されたデッキとは裏腹に、カードプールはレガシーに匹敵し、特定の戦略を後押ししたり、スタンダードにはなかったシナジーを形成したりするためです。
プレイヤーが集まり、デッキが増えれば、そこには必ず偏りが生まれます。このデッキの偏りこそがメタゲームなわけですが、ここでは268名のデッキ選択についてみていきたいと思います。
デッキタイプ | 使用者数 |
---|---|
親和 | 34 |
ラクドスバーン | 21 |
ジェスカイブリンク | 20 |
悪鬼シュート | 15 |
ボロスミッドレンジ | 15 |
赤単バーン | 12 |
ティムール続唱 | 11 |
ディミーアフェアリー | 11 |
エルフ | 9 |
ターボフォグ | 7 |
ジャンド続唱 | 7 |
呪禁オーラ | 7 |
グルール続唱 | 6 |
無限頑強 | 6 |
黒単信心 | 6 |
スリヴァー | 6 |
アゾリウスファミリア | 5 |
ディミーアコントロール | 5 |
サイクリングストーム | 5 |
その他 | 60 |
合計 | 268 |
メタゲームのポールポジションをとったのは親和。最近のMOのイベント結果ではめっきり数を減らしていたが、今回は使用者数1位となった。アーティファクト・土地による安定したマナベースと、それを起爆剤にした「親和」カードは太く素早い展開力を実現している。アーティファクト・土地-「親和」カードのラインは相手のリアクションカードを嘲笑うかのようなテンポを実現しているのだ。
加えて、この手のシナジーベースのデッキにありがちな中盤以降のリソース不足を解消している点が人気の理由といえる。《物読み》《命取りの論争》《胆液の水源》はデッキの潤滑油であり、1枚で複数枚のカードを供給してくれる。土地ですら《間に合わせの砲弾》でダメージへと変換できるのだから、このデッキには状況によって無駄になるカードは一切含まれていない。
《勢団の取り引き》はリソースを伸ばしてくれる1枚だが、副次効果としてバーン対策となっている。0マナでプレイした《マイアの処罰者》がカード2枚と7点のライフになっては対抗しようがないのだ。
ただし、誰もが想定しているデッキであるがゆえにサイドボードからは徹底的にアーティファクトをメタられてしまう。それを知った上で対策カードよりもデッキパワーの高さから選択したプレイヤーが多かったようだ。
2番手だったのはラクドスバーン。火力に加えて「マッドネス」エンジンを搭載したこのデッキは、《火炎破》を失った代わりに血トークンや「フラッシュバック」があることで赤単よりも粘り強く戦える。《信仰無き物あさり》と《台所のインプ》や《癇しゃく》が織りなすシナジーは、単色にはない魅力といえるだろう。
多色化によるメリットはサイドボードにおける干渉領域の拡張性があげられる。呪禁オーラ用の《チェイナーの布告》、ストームや「フラッシュバック」を狙い撃つ《虚無の呪文爆弾》と苦手とするアーキタイプ用のカードが採用されている。
攻撃的なアーキタイプながらある程度対応力があり、《水流破》のような色対策をすり抜ける火力を採用できるため、単色よりも上位に来ている。
3番手に現れたのはコントロールに位置するジェスカイブリンク。「戦場に出たとき~」の誘発型能力と《儚い存在》を組み合わせてアドバンテージを稼いでいく。《熟考漂い》や《古術師》は最高の相棒であり、明滅すれば呪文が尽きることはありません。
《石角の高官》はクリーチャーに頼ったビートダウンに対する最高の解答であり、タフネスが高く青や黒以外では対処の難しいカード。火力などの戦闘以外のダメージソースがなければこれ1枚で完封されてしまう。
呪文枠には打ち消し、火力、全体除去に加えて土地破壊が採用。《浄化の野火》はお帰り土地や《ウルザの塔》を咎めつつ、自身のアーティファクト・土地を対象にとることでキャントリップ付きの《不屈の自然》となる器用なカード。手札を減らさずにマナベースを拡張できるこのカードのおかげでビートダウン相手にも遅れることなくゲームを進めていける。
アドバンテージ獲得手段に富み対応力が高く、何よりもビートダウン戦略に強いことから複数の選択者がいたようだ。
《窯の悪鬼》などのインスタント/ソーサリーを唱えることでパワーが上昇するクリーチャーを使用したワンショットデッキが悪鬼シュート。《魔力変》《ティムールの激闘》と連鎖すればパワーはゆうに20を越える。最速3ターンキルを狙えるコンボデッキなのだ。
瞬間打点が高く相手にタップアウトを許さず、非常に窮屈なマッチアップを迫られる。トップ8に入賞した高野 成樹や鈴池 史康といったレガシー強者たちがこぞって持ち込んでおり、要注目のアーキタイプといえそうだ
上位には攻撃的な戦略が多かったものの、コントロールやミッドレンジ、コンボとさまざまなアーキタイプが残っている。ここで視点を変えて色ごとに見てみると、共通する色が現れてくる。それが「赤」だ。
親和、ブラッドバーン、ジェスカイブリンクと上位7デッキには赤が使用されている。ここでは赤の採用率の高さを探っていきたい。
ひとつは言うまでもなく最優良火力である《稲妻》による。環境に存在するクリーチャーの大半をわずか1マナで、しかもインスタントタイミングで対処可能なのだ。《ティタニアの僧侶》や《窯の悪鬼》、《深き刻の忍者》、《陽景学院の使い魔》といったデッキの軸となるクリーチャーを除去った上で、テンポアドバンテージのおまけまでついてくる。
《稲妻》の圏外となるクリーチャーは思いのほか少なく、極端にコントロールに寄せた形でなければ難しい。パウパーと《稲妻》は切っても切れない関係にあるのだ。
赤の強みはサイドボードにも現れている。色対策カードの筆頭である《紅蓮破》や《赤霊破》は元より、親和対策の《粉々》《ゴリラのシャーマン》、エルフやボロスラリーといった横並び戦略に対しても《焦熱の連続砲撃》《電謀》と隙なく用意されている。
墓地やエンチャントなど不干渉領域も存在しているが、コンビとなるカラーやアーティファクトでもって補うことができる。メタゲームにおけるサイドボードの有用性が赤の採用率に直結しているのだ。
ゲームレンジこそ違えど、プレイヤーの大多数は赤こそ使用すべきと判断したようだ。だからこそ『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』から登場した「イニシアチブ」を持つクリーチャーは環境を変えるかもしれない。
《稲妻》を逆手に取ったクリーチャー選定は可能なだろうか?今後のパウパーの動向にも注目だ。
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