スタンダード情報局 vol.90 -ネズミが猫を従えて-

富澤 洋平

はじめに

みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチームの富澤です。

前回は「戦場に出たときの能力」を使ったオルゾフコントロールをご紹介しました。《収得の熟練者》《救出専門家》のコンビは地味ながら何度もリソースを削ることで、長期戦ではボディーブローのようにじわじわと効いてきます。後々の脅威の定着にも繋がりますね。

今回はStandard Challengeの結果を振り返っていきます。

先週末の注目トピックは?

まずはここ2週間のメタゲームの変遷から始めていきましょう。スタートは速度を武器にしたボロスアグロでした。

消失の詩句婚礼の発表食肉鉤虐殺事件

最多勢力となったボロスアグロの快進撃に待ったをかけるべく増加したのはオルゾフコントロール。除去呪文でゲームスピードをコントロールし、《婚礼の発表》《放浪皇》で強固なボードを築いていきます。《食肉鉤虐殺事件》は文字通りボロスにとって一方的な虐殺事件でしかありません。

こうして環境がスローダウンしてミッドレンジ帯へと移行したことで、それよりも重いカードを使ったコントロールが復権してきます。ミッドレンジとコントロールに共通している動きは2ターン目をインスタントによる妨害にあて、続く3ターン目を攻守入れ替えの「切り返し」の時間としている点。代表的なものとしては《鏡割りの寓話》です。

婚礼の発表鏡割りの寓話

環境初期こそ切り返し手段の双璧として掲げられた《婚礼の発表》《鏡割りの寓話》ですが、現在は後者のほうが有力です。環境が遅くなればなるほどマナを増やしたり、手札といったボード以外のリソースに重点が置かれるためです。

暁冠の日向マグマ・オパス

《鏡割りの寓話》を使った最良のコントロールと聞けば、答えはひとつしかありませんね。ボロスアグロの快進撃から一月経ち、覇権は再びイゼットベースのジェスカイオパスの元へと戻ったのです。アグロが減ったことで、ミラーマッチを意識した構築が増えています。

暁冠の日向日の出の騎兵救出専門家

メタゲームはジェスカイオパス、ボロスアグロ、オルゾフコントロールの持ち回りとなっているスタンダード。これ以上カードプールが拡張されないこともあり、この三すくみはローテーションまでは続いていきそうです。

前置きが長くなりましたが、それでは大会結果をみていきましょう。

7/17(日):Standard Challenge #12442941

順位 プレイヤー名 デッキタイプ
優勝 fingers1991 ジェスカイオパス
準優勝 unagieel ジェスカイオパス
トップ4 panza_quiroga 緑単アグロ
トップ4 Jaberwocki ジェスカイオパス
トップ8 bernardocssa ジェスカイオパス
トップ8 SilvergillLord ジェスカイオパス
トップ8 bless_von ボロスアグロ
トップ8 medvedev ボロスアグロ

(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)

7/17(日)に開催されたStandard Challenge #12442941の優勝はジェスカイオパスを使用したfingers1991選手。プレイオフには同型が多く残っており、同型を意識したfingers1991選手が制したのは納得です。

刃の歴史家

medvedev選手のボロスアグロには《轟く雷獣》に続くフィニッシャーとして《刃の歴史家》が採用されています。多色のタフネス3と使用率の高い除去に耐性があり、二桁近くのダメージを叩き出す一撃必殺カードです。いわゆるわからん殺しの類のカードであるため、クリーチャーを並べて打点を確保してからプレイするように心がけましょう。

メタゲーム

デッキタイプ トップ32 トップ16
ジェスカイオパス 16 11
ボロスアグロ 4 3
エスパーミッドレンジ 4 1
オルゾフコントロール 3 0
その他 5 1
合計 32 16

トップ32の半数がジェスカイオパスとかなり偏ったメタゲームとなりました。オルゾフ系の増加にともないボロスアグロが低迷した結果、ミッドレンジに強いジェスカイオパスが爆発的に増加したかたちです。その勢いは止まらずトップ8、さらには優勝を手にしています。

トップ8デッキリストはこちら

ジェスカイオパス

トップ8に最多5名を送り込んだジェスカイオパス。インスタントによるボードコントロールと、《暁冠の日向》+《マグマ・オパス》の大技を武器にしたミッドレンジに強いデッキです。fingers1991選手の構築はミラーマッチを意識したものでした。

勇敢な姿勢

ジェスカイオパスの完成度は高く、メインボードの内56~58枚は固定されています。残る1スロットでデッキの方向性を決めるわけですが、最近はミラーマッチを意識して《否認》《プリズマリの命令》《勇敢な姿勢》が採用されています。

《勇敢な姿勢》《暁冠の日向》《黄金架のドラゴン》に触れる除去であると同時に、自身のクリーチャーを守る保護スペルでもあります。後述する《船砕きの怪物》を対処できる貴重な除去であり、ミラーマッチで白マナが立っている際は必ず念頭に置くべき1枚です。

ただし、《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》《魂の粉砕》は防げないので黒系相手はご注意を。

船砕きの怪物

ミラーマッチは打ち消し呪文が絡むことで能動的に動きにくい展開が続きます。必然的にマナを伸ばし合うわけですが、その先のゴールに指定されているのが《船砕きの怪物》。打ち消し呪文の効かない超生物は土地がアンタップした瞬間にゲームを掌握してしまいます。何を唱えようが手札へと戻してしまうわけですから。

ミラーマッチにおける打ち消されないの一文は非常に重く、同じタイミングでしかけられる《マグマ・オパス》と比べてみれば一目瞭然。《船砕きの怪物》を対処できるのはタップアウトでプレイされた一瞬のみ。《勇敢な姿勢》を必ず当てましょう。

記憶の氾濫才能の試験

アドバンテージ獲得手段としては打ち消し呪文をかいくぐりやすく、インスタントと相性の良い《勢団の銀行破り》に人気が集中していましたが、最近は《記憶の氾濫》も増えています。土地が二桁まで伸びる遅いマッチアップならばより多く掘り込めて、1枚で複数枚のカードを手にできるこのカードを使わない手はありません。「フラッシュバック」は《時を越えた探索》を彷彿させますね。

《才能の試験》もコントロールマッチに強い1枚。《表現の反復》《マグマ・オパス》《勇敢な姿勢》などマッチのキーとなり、かつ複数枚採用されているカードを狙います。基本的にはリソースを伸ばすカードを狙いますが、《勇敢な姿勢》を追放できれば《船砕きの怪物》をタップアウトでプレイすることが担保されます

エスパー機体

惜しくもトップ16を逃しましたが、GabingGoblin選手が使用したのはエスパーカラーの機体デッキ。機体といえばパイオニアで猛威を振るう《パルヘリオンⅡ》シュートが有名ですが、こちらは《エシカの戦車》を使いまわすミッドレンジタイプのデッキです。

大牙勢団の総長、脂牙エシカの戦車

ベースとなるのは《大牙勢団の総長、脂牙》+《エシカの戦車》のリアニメイト戦略。最速3ターン目に4体のクリーチャーが並ぶことになります。こうなってしまうと《食肉鉤虐殺事件》でもない限り、ボードの優位は覆りません。

このデッキの利点としてエスパーコントロールに偽装できる点があげられます。ルーティング呪文の大半がインスタントであることも相まって、《大牙勢団の総長、脂牙》が出るまではデッキの全貌が掴みにくくなっています。ダメージを詰めようとタップアウトしたら最後、インスタントタイミングで機体を落とされ返すターンの《大牙勢団の総長、脂牙》で盤面を固められてしまいます。

信仰の繕い染みついた耽溺漆月魁渡
帳簿裂き策謀の予見者、ラフィーン

リアニメイト戦略はマナコストを踏み倒し、本来よりも早いターンに脅威を展開することに主眼をおいています。つまり重要なのは釣るカードよりも落とすカードにあります。《信仰の繕い》《染みついた耽溺》はどちらもインスタントでカードを捨てる、最高の仕込みカード。最速パターンには欠かせません。

《帳簿裂き》《策謀の予見者、ラフィーン》は条件付きのルーティング役です。しかも「謀議」によりボード強化も狙えるため、リアニメイト戦略に頼らない勝ち手段も兼ねています。

呪文貫き

サイドボードには白系アグロやジェスカイオパス対策がズラリと並びます。《呪文貫き》《大牙勢団の総長、脂牙》を通すor戦闘の開始時まで生存させるための補助カード。最速パターンを目指すメインボードと違ってサイド後は対策カードが増えるため、相手がタップアウトでない限り妨害呪文とセットで動くのが基本となります。《呪文貫き》は最軽量かつカバー範囲の広い理想的な補助カードであり、4ターン目のリアニメイトを可能にしてくれます。

その他の大会結果

7/9(土):Standard Challenge #12439751

順位 プレイヤー名 デッキタイプ
優勝 Jaberwocki ジェスカイオパス
準優勝 SilvergillLord ジェスカイオパス
トップ4 pokerswizard オルゾフコントロール
トップ4 Lennny ジェスカイオパス
トップ8 panza_quiroga 緑単アグロ
トップ8 hockeybro26 ボロスアグロ
トップ8 LucasG1ggs ジェスカイオパス
トップ8 MJ_23 オルゾフコントロール

(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)

7/9(土)のStandard Challenge #12439751を制したのはJaberwockiことLogan Nettles選手。スタンダードを得意としており、事実7月に開催されたStandard Challengeでは6回中5回がトップ8入賞と恐るべき勝率を誇ります。

メタゲーム

デッキタイプ トップ32 トップ16
オルゾフコントロール 12 6
ジェスカイオパス 7 6
ボロスアグロ 4 2
イゼットコントロール 3 0
その他 6 2
合計 32 16

前週にボロスアグロが最多勢力となったことで、オルゾフコントロールが数を伸ばしています。しかし上位はそのオルゾフコントロールをメタったジェスカイオパスの群れが。オルゾフはアグロマッチを拾いつつ、ジェスカイに勝つ必要があり、結果として構築難易度が上がってしまっていました

トップ8デッキリストはこちら

7/10(日):Standard Challenge #12439763

順位 プレイヤー名 デッキタイプ
優勝 bolov0 ジェスカイオパス
準優勝 Sapoa オルゾフコントロール
トップ4 _Batutinha_ ジェスカイオパス
トップ4 Misplacedginger オルゾフコントロール
トップ8 Jaberwocki ジェスカイオパス
トップ8 Mogged エスパーミッドレンジ
トップ8 indianpancake オルゾフコントロール
トップ8 unagieel ジェスカイオパス

(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)

7/10(日)のStandard Challenge #12439763bolov0選手のジェスカイオパスが制しています。メインボードの《軽蔑的な一撃》が特徴的なリストであり、オルゾフコントロールやミラーマッチ用です。

メタゲーム

デッキタイプ トップ32 トップ16
ジェスカイオパス 8 7
オルゾフコントロール 7 4
ボロスアグロ 7 1
グリクシス吸血鬼 3 1
その他 7 3
合計 32 16

前日の結果を受けてオルゾフはやや数を減らし、ボロスアグロが増加しています。しかしながらオルゾフの数は思ったほと減っておらずジェスカイとボロスと同数。結果としてボロス選択者の目論見は外れたかたちとなりました。

トップ8デッキリストはこちら

7/16(土):Standard Challenge #12442929

順位 プレイヤー名 デッキタイプ
優勝 Oscar_Franco オルゾフコントロール
準優勝 MJ_23 オルゾフアグロ
トップ4 LucasG1ggs ジェスカイオパス
トップ4 pokerswizard エスパーミッドレンジ
トップ8 Hamuda ボロスアグロ
トップ8 O_danielakos ジェスカイオパス
トップ8 Vertyx_ ジェスカイオパス
トップ8 Jaberwocki ジェスカイオパス

(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)

7/16(土)のStandard Challenge #12442929ではオルゾフが見事巻き返し、ワンツーフィニッシュを飾っています。

有望な信徒しつこい負け犬カビーラの叩き伏せ

一口にオルゾフと言ってもMJ_23選手のデッキはやや毛色が変わったものとなります。軽量化を図ったビートダウンスタイルであり、システムクリーチャーが《有望な信徒》《しつこい負け犬》に入れ替わっています。

クリーチャーが確保できたことでスペルランドは《ペラッカの捕食》から戦略に合致した《カビーラの叩き伏せ》へと変更されています。

メタゲーム

デッキタイプ トップ32 トップ16
ジェスカイオパス 10 7
オルゾフコントロール 6 4
エスパーミッドレンジ 4 3
ボロスアグロ 2 1
イゼットコントロール 2 1
その他 8 0
合計 32 16

ジェスカイオパスが大幅に数を伸ばしており、実に7割がトップ16に入っています。ミッドレンジ帯のデッキが一定数いることがボロスにとってネックとなっています。

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おわりに

メタゲームはアグロ、ミッドレンジ、コントロール間で循環こそしているものの、アーキタイプはボロス、オルゾフ、ジェスカイの3つで固定されています。単色アグロやエスパーミッドレンジ、ナヤルーンなどに復権のチャンスはあるのでしょうか?

もしくは今回ご紹介したエスパー機体のような予想外のデッキのほうがいいのかもしれません。

次回もスタンダードの情報をお届けしたいと思います。ではまた。

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富澤 洋平 晴れる屋メディアチームスタッフです。《黄金架のドラゴン》のカードパワーに圧倒される毎日です。 富澤 洋平の記事はこちら

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