よりデカく。育ち続けるフォーマット
ヒュージ・リーダーズ。
土地・カードと、マナ総量5以上の呪文・カードのみを使う統率者戦「ヒュージ・リーダーズ」。
ブロールやタイニー・リーダーズ……統率者戦の派生フォーマットたちのなかでも明らかに異色。数多くあるマジックのフォーマットと比べても非常にユニークで、マジックの常識が通用しない、攻略しがいのあるフォーマットといえるだろう。
そんなヒュージ・リーダーズだが、昨年にも一度記事で紹介している。
この記事から約1年。当時はMTG Wikiにさえ掲載されていなかった。イベントもときどき行われる交流会くらいだった。
それが今では晴れる屋TC東京で毎週イベントが開かれるまでになっている。先日のコマンドフェスト・大阪2022でもブロールやタイニー・リーダーズと並んでサイドイベント競技として採用されて大きな盛り上がりを見せた。「note」でも多くのデッキ解説記事やフォーマット考察記事が投稿されるなど、ヒュージ・リーダーズは過去一番の盛り上がりを見せている。
そんなヒュージ・リーダーズの魅力を再確認してみよう。
ヒュージの面白さ
詳しいルールについては先の記事やフォーマット管理コミュニティ「ヒュージ・リーダーズ村」をご覧いただくとして、簡単にルールを振り返ろう。
統率者はもちろんマナ総量5以上。「共闘」や「背景選択&背景」をもつ2枚のカードを統率者にすることも可能。
面白そうだけどちょっと重いな……
って統率者が使いやすい！
さらに、統率領域には「拠点」として《荒地》を4枚置くことになっている。プレイヤーは統率領域から土地・カード、つまりは《荒地》をプレイすることができる。この類を見ない奇妙ですばらしいシステムにより、まず間違いなく5ターン目に5マナ生み出すことが可能になっている。
ヒュージならではのテクニック
その一方、5ターン目まで誰も何もアクションしないことはまずない。
単純に2マナ以上出る土地を使って4ターン目に5マナのアクションをとることが可能だ。こうした土地は当然利用されている。しかしそれだけではない。
そう、出来事・呪文や「魂力」「サイクリング」などの起動型能力を用いて1ターン目からアクションをとることも可能なのだ。《無限地帯》のように土地の能力でマナ加速することもできる。最も奇妙なのは《溺墓の寺院》だ。
《溺墓の寺院》を含めた7枚の手札でゲームを開始すると、ドローして手札が8枚になる。統率領域から《荒地》をプレイしてターンを終えると手札はやはり8枚のまま。ここで《溺墓の寺院》を捨てる。すると、2ターン後には墓地の《溺墓の寺院》の能力を起動して土地加速することが可能になる。ヒュージ・リーダーズ界の《太陽の指輪》である。
ヒュージのデッキ
ではここで実際にデッキを見てみよう。カジュアルにヒュージ・リーダーズを遊んでいるコミュニティからデッキを提供していただいたものをご紹介する。
モダンやレガシーといった構築フォーマットはもちろん、統率者戦でもそうそうお目にかかれないクリーチャーが見える。
《東の樹の木霊》の能力で横展開し、《クローサの心胆、カマール》の能力で《踏み荒らし》して戦線を突破することを目指したデッキになっている。
《東の樹の木霊》＋《ギルド無しの公共地》＋「上陸でトークンを生成するカード」による無限トークンコンボまで搭載している。
こっちもすごい。
クリーチャーを2/2として3マナで唱えることができる「変異」を利用して早期にクリーチャーを戦場に送り込み、まだ空っぽな対戦相手にアタック！
もちろん2/2で殴って満足するだけではない。「忍術」でより強力なクリーチャーに化けながら対戦相手の強力なカードを盗みだす！
5色のデッキも不可能ではない。このリストでは「お帰りランド」を使うことで土地1枚から2色のマナを確保しつつ、手札を常にあふれさせることで《溺墓の寺院》を使いまわすことも可能だ。
これらのデッキの魅力はその安さでもある。ぜひ一括購入ボタンで価格を確認してみてほしい。
もちろんこの「コジレック」のように異次元の価格を叩きだすデッキもある。「note」などで共有されているデッキの中には「最適化」されたデッキを目指して予算に上限を設けずに構築したものもある。しかし、「デッキが50枚と統率者戦の半分であること」、「そもそもマナ総量5以上のカードは需要が低く安価な傾向にあること」で、手軽に迫力のあるなデッキを構築することができるのだ。
遊ぶにはどうしたらいい？
ヒュージ・リーダーズの管理コミュニティが公式にdiscordサーバーを設立している。リモートで遊ぶ環境があるならぜひ参加してみて欲しい。
また、現在晴れる屋ではヒュージ・リーダーズのイベントを定期的に開催中。《荒地》4枚と《溺墓の寺院》だけ買って、まずは手持ちのカードだけでヒュージなデッキを組んでみよう！
イベントにはバラエティ豊かなデッキがあつまります。ヒュージ・リーダーズのデッキは回っているのを見るだけでも面白いもの。「そんな抜け道があったとは！」と驚きと発見にあふれた一日になるはず！
ちなみに、TC東京では8月27日にパスタがもらえる。
そう、『ニューカペナの街角』リリース記念で配布されたインフルエンサーキットのパスタだ！参加者の中から抽選でこのパスタが贈呈される。残念ながら未調理なので、ご自宅で楽しんで欲しい。各イベントの詳細は以下のリンクから確認してほしい。
最近は「魂力」や「出来事」の追加が相次ぎ、序盤の攻防により一層深みが増している。ウィザーズ特別協賛であったコマンドフェスト・大阪2022でも採用されていたことを考えると、昨年の記事で冗談交じりに書いた「いつかブロールのようにヒュージ・リーダーズ構築済みデッキが発売されたりしてね」なんて冗談が冗談ではなくなるのかもしれない。
それくらい、昨今のヒュージ・リーダーズの盛り上がりには目を見張るものがある。これはヒュージ・リーダーズ管理コミュニティやプレイヤーの日々の活動の賜物だ。デッキリストや戦術の共有、各ショップでのイベント開催、そしてフォーマットの楽しさを維持するための禁止カードの整備。その情熱は並大抵のものではない。
コミュニティの力強さを痛感するフォーマット、ヒュージリーダーズ。これからもぐんぐん大きく育っていくことだろう。パスタを食べながらその動向を見守るとしよう。
