USA Legacy Express vol. 203 -天下のイゼット-

晴れる屋メディアチーム

はじめに

みなさんこんにちは。

先週末はMOではLegacy Showcase Challenge、テーブルトップではNRG Series $5,000 Trial – Chicagolandなどレガシーのイベントが充実していました。

今回の連載ではそれらの入賞デッキを見ていきたいと思います。

Legacy Showcase Challenge
やはり最強は青赤

2022年7月31日

  • 1位 Izzet Murktide
  • 2位 Izzet Delver
  • 3位 Madness
  • 4位 Mono Red Stompy
  • 5位 Mono Red Stompy
  • 6位 Death and Taxes
  • 7位 Blue Zenith
  • 8位 Oops All Spells

トップ8のデッキリストはこちら

先週末にMOで開催されたLegacy Showcase Challengeは、参加するのに40QPが必要で本戦への予選大会への参加権がかかっているため、普段週末に開催される大会よりもレベルが高くなる傾向にあります。

今大会はIzzetがワンツーフィニッシュで幕を閉じ、現環境のIzzetの強さが再確認できる結果となりました。

ElvesやReanimatorは今大会前に結果を残していたこともあり、警戒されていたのか上位では少数でした。

デッキ紹介

Izzet Murktide

Izzet Murktideは一見するとIzzet Delverの亜種のように見えますが、デッキの方向性は大きく異なります。

Izzet Delverは、《不毛の大地》で相手のマナを縛りつつ《秘密を掘り下げる者》《ドラゴンの怒りの媒介者》といった軽いクロックをカウンターでバックアップしていくテンポ戦略と、《表現の反復》などでアドバンテージを稼いでいき、《濁浪の執政》でフィニッシュを決めるミッドレンジ戦略をハイブリットしたデッキです。

一方このIzzet Murktideは、一貫してロングゲームを想定したミッドレンジ戦略に特化した構成になっています。

☆注目ポイント

稲妻邪悪な熱気

今大会を制したリストの特徴は、《稲妻》《邪悪な熱気》に代えられているところです。Izzet Delverと異なり序盤からプレッシャーをかける戦略ではないので火力で最後の一押しをすることが少なく、《忍耐》《濁浪の執政》《帳簿裂き》など高タフネスの脅威やプレインズウォーカーにも対応できる《邪悪な熱気》が優先される理由です。

ミシュラのガラクタ

《ミシュラのガラクタ》がフル搭載されています。これは、《ドラゴンの怒りの媒介者》《帳簿裂き》のシナジーを意識したもの。各マッチアップでより適切なカードが探しやすくなり、より安定した動きが期待できます。

溶融発展の代価相殺

サイドには《溶融》《発展の代価》《相殺》といった特定のマッチアップに刺さるカードが採用されています。各種キャントリップや《ドラゴンの怒りの媒介者》《帳簿裂き》の能力によって、ある程度ライブラリートップをコントロールすることができるので《相殺》をより強く使うことができます。

Mono Red Stompy

Mono Red Stompyは最近結果を残し続けているデッキで、2マナランドやマナアーティファクトを使って最速で1ターン目から《虚空の杯》《三なる宝球》《血染めの月》といったカードを出して相手の行動を縛ります。

これらの置物で相手の行動を制限している間に、《ゴブリンの熟練扇動者》《軍勢の戦親分》といったクロックでライフを削り切りるのが主なプランです。

☆注目ポイント

鏡割りの寓話

比較的最近登場したカードによって強化されたこともあり、上位で頻繁に見られるようになったMono Red Stompy。パイオニアやモダンで活躍している《鏡割りの寓話》は、このデッキでも主力のパーツの1枚として採用されています。

Ⅰ章のトークンで宝物・トークンを生成できるので、《目覚めた猛火、チャンドラ》《焦熱の合流点》といった重いスペルをプレイしやすくなります。Ⅱ章の能力は手札に余りがなちな《血染めの月》などの置物を有効牌に変換してくれるので、いままでより安定性が増しています。

未認可霊柩車

メインから採用されている《未認可霊柩車》は、フェアデッキからコンボデッキまで墓地をリソースとして活用しているデッキが多いのであらゆるマッチアップで活躍します。

Izzet Delverは、《虚空の杯》を置いてもキャントリップスペルを墓地に落として強引に《濁浪の執政》へとつなげてきます。《未認可霊柩車》で頻繁に墓地のカードを追放しておくことで、Delver側も「探査」をすることが難しくなります。

死亡+退場虚空の力線赤霊破

サイドには《死亡/退場》《虚空の力線》《赤霊破》といったカードが見られ、《濁浪の執政》対策が徹底しています。墓地対策がメインから採用されており、サイド後も《虚空の力線》が投入されることから、Reanimatorなど墓地をベースとしたデッキにとっては厳しかったことが分かります。

NRG Series $5,000 Trial – Chicagoland
《マリット・レイジトークン》がIzzetの海を渡り切る

2022年7月31日

  • 1位 Selesnya Depths
  • 2位 Izzet Delver
  • 3位 Izzet Delver
  • 4位 Izzet Control
  • 5位 Elves
  • 6位 Mono Red Stompy
  • 7位 Oops! All Spells!
  • 8位 Izzet Delver

トップ8のデッキリストはこちら

先週末に開催されたテーブルトップのレガシーのイベントも、プレイオフの半数がIzzetという結果になりました。

そんななかで今大会を制したのはSelesnya Depthsです。火力除去が中心のIzzetにとって《マリット・レイジトークン》を処理することは難しく、現環境のようにIzzetが多い環境では良チョイスとなります。

デッキ紹介

Selesnya Depths

Selesnya Depthsは《暗黒の深部》《演劇の舞台》を搭載したコンボデッキという見方もされていますが、優秀な除去や《緑の太陽の頂点》などで柔軟に戦うことができるので、実際はコンボによるフィニッシュを勝ち手段としたミッドレンジにカテゴライズされます。

最近は赤をタッチしたナヤバージョンが主流になっています。《濁浪の執政》や8 Castとのマッチアップで使える《紅蓮破》にアクセスできるメリットがあり、今大会で優勝を収めたRodney Bedell氏は《時を超えた英雄、ミンスクとブー》も採用していました。

☆注目ポイント

忍耐

現環境トップメタのIzzet Delverを意識していたことは明らかで、《ドラゴンの怒りの媒介者》《濁浪の執政》を対策するために《忍耐》がメインから2枚採用されています。

時を超えた英雄、ミンスクとブー

『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』から登場した《時を超えた英雄、ミンスクとブー》は、《投げ飛ばし》と同様の効果の[-2]能力を持つプレインズウォーカーで、《マリット・レイジトークン》をサクリファイスすることで戦闘をすることなくゲームを終わらせることができます。

紅蓮破忍耐窒息

サイドには《紅蓮破》に加えて追加の《忍耐》《窒息》も採用されているため、Izzetとのマッチアップに強い構成となっています。Izzet Delverが中心の現環境では、苦手なDoomsdayやSneak and Showなどコンボデッキが少数なのもこのデッキが現環境でいい立ち位置である理由になります。

Izzet Delver

現環境トップメタのIzzet Delverは、今大会でも優勝こそ逃しましたが多数プレイオフに勝ち残る活躍を見せます。テーブルトップでは《狂乱の呪詛》が使えるので、オンラインよりコントロールに対しても有利が付きます。

Izzet Delverは《目くらまし》《不毛の大地》をフルに採用しているので、相手の立ち上がりの悪さを咎めることに長けています。さらにクロックも速いため、コンボデッキとのマッチアップで有利が付きます。

☆注目ポイント

未認可霊柩車外科的摘出

Reanimatorなど墓地コンボ対策には速さで勝る《外科的摘出》のほうが優先されますが、同型や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》デッキといった墓地を使うフェアデッキとのマッチアップでは、アドバンテージを失いにくく継続的に墓地を対策できる《未認可霊柩車》のほうが有用です。

相殺

サイドの《相殺》は、同型やコンボとのマッチアップで有用なため現在は主流のサイドプランとして定着しています。デッキの多くのカードのマナ総量が1なため、相手にとってはマストカウンターです。《紅蓮破》を使わせることができ、《濁浪の執政》が生き残りやすくなります。

狂乱の呪詛

テーブルトップでは《狂乱の呪詛》が使えます。最近ではこのカードの強さが認識され、主要なサイドカードの1枚として定着しています。わずか1枚のカードですがその違いは大きく、オンラインとテーブルトップのレガシーのメタに差が見られる理由の一つにもなっています。このカードは異なる角度から攻めることを可能にしており、同型やコントロール、コンボなど多くのマッチアップで活躍します。

特にコントロール戦は、サイド後に相手の除去が増加することでダメージを通すことが困難だったので、戦闘を介せずダメージソースとなる《狂乱の呪詛》はIzzet Delverが抱えていた問題を解決するのに十分な役割を果たしていると言えます。事実《狂乱の呪詛》が実装されていないMOと比べると、テーブルトップではジェスカイや多色コントロールといったデッキの数は少なめです。

総括

MOでもテーブルトップでもIzzet Delverや、その派生であるIzzet Murktideが高い勝率を維持しています。

追放系の除去を採用したデッキも減少傾向にあり、現環境の主要なフェアデッキであるIzzet Delverは火力系の除去が中心なので、Depths系のコンボも安定した結果を残しています。墓地対策もしっかりと採られているため、Reanimatorなど墓地コンボも上位ではあまり見られなくなりました。

Legacy Showcaseで使用されたデッキのデータを見てもIzzet Delverは高い使用率、勝率を維持しています。今後のメタゲームがどうなるのか注目です。

以上、Legacy Express vol. 203でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!

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