はじめに
みなさんこんにちは。
今月は日本国内でBIG MAGIC Open Vol.12がチームモダンで開催されるなど、モダンのイベントが充実しています。
さて、今回の連載ではModern Showcase ChallengeとNRG Series $10,000 Trial – Chicagoland、Modern Showcase Qualifierの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Modern Showcase Challenge
コンボの勝利
2022年7月23日
- 1位 Living End
- 2位 Izzet Ragavan
- 3位 Amulet Titan
- 4位 Izzet Ragavan
- 5位 Izzet Ragavan
- 6位 4C Control
- 7位 Grixis Shadow
- 8位 Belcher
トップ8のデッキリストはこちら
Modern Showcase ChallengeはMOで開催される大規模なイベントで、参加するのに40QPが必要です。本戦への予選大会への参加権がかかっているため、普段週末に開催される大会よりもレベルが高くなる傾向にあります。
今大会の上位はBelcher、Amulet Titanといったコンボデッキが結果を残しており、優勝もLiving Endでした。
競技志向のプレイヤーが多いShowcase Challengeの結果らしく、デッキリストもより洗練されていました。
デッキ紹介
Izzet Ragavan
現環境のベストデッキであるIzzet Ragavanは、今大会でも複数のプレイヤーをプレイオフに送り込む強さを見せました。
対応力が非常に高く環境によってカスタマイズができるため、常にトップメタに位置しています。
最近は《ドラゴンの怒りの媒介者》が抜けて《帳簿裂き》が採用されたバージョンが主流になっていましたが、今回準優勝を果たしたリストは両方採用していました。
☆注目ポイント
《ドラゴンの怒りの媒介者》を採用することによって、墓地対策や《忍耐》に少し弱くなってしまうリスクはあるものの、Amulet Titanなどコンボデッキが増加しているため、1マナ粋のクロックの増加は理にかなっています。
《帳簿裂き》を採用したバージョンが主流になっていましたが、コンボが増えてくればクロックの速度が重要となるため、《ドラゴンの怒りの媒介者》のほうが優先されることもあり、Izzet Ragavanを使いこなすにはこのようにメタによってフレキシブルに対応していくことが重要です。
自由枠に1-2枚採用される《呪文嵌め》は、範囲は限定されるものの現環境では優秀なカウンターとして機能します。《帳簿裂き》《石鍛冶の神秘家》《純鋼の聖騎士》《表現の反復》《対抗呪文》《未認可霊柩車》《レンと六番》《虚空の杯》(X=1)など、現環境には決定打になる対象が多数存在します。
Amulet Titan
MOでもテーブルトップでも、最近増加傾向にある土地コンボデッキのAmulet Titan。
《血染めの月》を採用したデッキも減少傾向にあり、多色コントロールなど遅いデッキが増加したため、以前よりも土地コンボの立ち位置は良くなっています。
速いコンボデッキがIzzet Ragavanによって淘汰されているのも、このデッキの勝因です。
☆注目ポイント
今回紹介するリストの特徴は、メインの《桜族の長老》とサイドボードに採用された《ハイドロイド混成体》と《業火のタイタン》です。
《桜族の長老》によって《森》を確実に持ってくることで、《血染めの月》や《月の大魔術師》を置かれても《耐え抜くもの、母聖樹》や《原始のタイタン》をプレイしやすくなります。最近《血染めの月》を採用したデッキが多いため、メインに戻ってきました。
《業火のタイタン》は《血染めの月》や《月の大魔術師》を置かれてもプレイすることができる脅威で、相手の対策カードを逆に利用するという面白いアプローチです。
《ハイドロイド混成体》はマナが伸びるデッキと相性が良いクリーチャー。ライフゲインとドローの能力は、本体がカウンターされてもアドバンテージを得ることができるため、Izzet Ragavanとのマッチアップで重宝しそうです。
Living End
Izzet Ragavanと多色コントロールと並んで結果を残し続けているLiving End。「続唱」スペルと墓地を使うデッキなので、環境にカウンターや墓地対策、《虚空の杯》のような対策カードがどれぐらい環境に存在するのかで強さが変動します。
また、「続唱」を封じる《時を解す者、テフェリー》や《虚空の杯》に対抗できるよう《否定の力》が採用されています。《暴力的な突発》と相性が良く、バックアップしながらコンボを決めることができます。
☆注目ポイント
《巨大な空亀》は《濁浪の執政》をバウンスしたり、墓地に落ちた「続唱」スペルを再利用することができるので、Izzet Ragavan とのマッチアップで活躍します。《否定の力》や《緻密》《忍耐》のコストにもなる便利なカードです。
《神聖の力線》は、ハンデスや《忍耐》《トーモッドの墓所》《大祖始の遺産》といったプレイヤーを対象にするタイプの墓地対策に有効なエンチャントです。
NRG Series $10,000 Trial – Chicagoland
コントロールが強いテーブルトップ
2022年7月30日
- 1位 4C Control
- 2位 Amulet Titan
- 3位 4C Elementals
- 4位 Izzet Ragavan
- 5位 Azorius Control
- 6位 Amulet Titan
- 7位 Izzet Ragavan
- 8位 Golgari Yawgmoth
トップ8のデッキリストはこちら
テーブルトップのモダンはMOと異なり、フェアデッキが多くなる傾向にあります。
Izzet Ragavanやコントロールが多く、コンボデッキはAmulet Titanなど土地コンボが中心のようです。
デッキ紹介
4C Elementals
MOでは最近は減少傾向にある多色コントロールですが、テーブルトップでは健在で今大会でも結果を残していました。
《魂の洞窟》の恩恵でカウンターに耐性があり、《発現する浅瀬》+《儚い存在》のシナジーによってIzzet Ragavanやコントロールとのマッチアップで有利が付きます。
《ウルヴェンワルド横断》や《邪悪な熱気》を使うために《ミシュラのガラクタ》を搭載した「昂揚」バージョンも、最近見られるようになりました。
☆注目ポイント
《ミシュラのガラクタ》は必要な土地を引き当てやすくしたり、「昂揚」を達成する助けになります。
《ウルヴェンワルド横断》は序盤は必要な土地を確保し、中盤以降は《孤独》など必要なクリーチャーを探し出します。状況によっては《創造の座、オムナス》の能力を誘発させるためにフェッチランドを持ってきたり、置物対策の《耐え抜くもの、母聖樹》、カウンター対策の《魂の洞窟》など臨機応変に立ち回ることが可能です。
《邪悪な熱気》は《帳簿裂き》やAmulet Titanのフィニッシャーである《原始のタイタン》などをわずか1マナで処理することができることから、現環境では《稲妻》よりも優れた1マナ除去になります。
サイドに3枚採用されている《虚空の杯》は、Living EndやTemur Cascadeといった「続唱」コンボとのマッチアップ用です。このデッキは1マナのスペルが多いため、基本的にIzzet RagavanやHammer TimeなどにX=1でプレイするためにサイドインすることはありません。
Modern Showcase Qualifier
コンボデッキ多数
2022年8月7日
- 1位 Golgari Yawgmoth
- 2位 Hammer Time
- 3位 Hammer Time
- 4位 Jeskai Murktide
- 5位 Living End
- 6位 Golgari Yawgmoth
- 7位 Belcher
- 8位 Belcher
先週末にMOで開催されたMOCS本戦への参加権をかけたイベントです。Showcase Challengeの上位入賞者のみが参戦できるレベルの高いイベントとなっています。
今大会ではHammer Time、Belcher、Living Endといったコンボデッキが中心で、コントロールやIzzet Ragavanといったフェアデッキは上位では少なめでした。優勝を果たし、本戦への参加権を手に入れたのはGolgari Yawgmothを選択した@claudiohmtgでした。
Hammer Time
《夢の巣のルールス》が禁止にされた後の環境でも強力なHammer Time。最近は白単バージョンも結果を残していましたが、タッチ青バージョンも健在です。今大会で上位入賞を果たしたHappySandwichは、MOでHammer Timeを使用して結果を残し続けている強豪プレイヤーです。
《シガルダの助け》または《純鋼の聖騎士》の能力を利用して《巨像の鎚》をクリーチャーに装備させ、速攻でゲームを決めるコンボデッキ的な動きを見せつつ、《石鍛冶の神秘家》や《ウルザの物語》によってロングゲームにもある程度まで対応していけるところがこのデッキの特徴です。
コンボデッキが増加傾向にある現環境では青タッチの方が安定しそうです。
☆注目ポイント
《ジンジャーブルート》は《ウルザの物語》でサーチできるアーティファクトクリーチャーです。《鍛冶屋の技》は相手の除去や《耐え抜くもの、母聖樹》から、《巨像の鎚》や《ウルザの物語》を守ることができます。
《呪文貫き》や《マナ漏出》などのカウンターや《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》《時を解す者、テフェリー》といったカードにアクセスできることは、青をタッチする大きなメリットになります。「続唱」デッキなどコンボデッキが散見される現環境では、青タッチのほうが優先されそうです。
《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》は各種ピッチスペル(エレメンタルインカーネーション、《活性の力》など)や、《死せる生》《衝撃の足音》といった「続唱」スペルを封じることができます。《時を解す者、テフェリー》も同様に「続唱」対策になり、インスタント除去を封じることもできるので《巨像の鎚》を装備したクリーチャーの攻撃が通りやすくなります。
総括
テーブルトップではコントロールやIzzet Ragavanといったフェアデッキの人気があり、MOではIzzet Ragavan がトップメタという点では共通していますが、テーブルトップと異なりコンボデッキが多い印象です。
Modern Showcase QualifierはIzzet Ragavanが最も人気のあるアーキタイプでしたが、プレイオフには残りませんでした(白をタッチしたJeskaiはプレイオフに進出)。その代わり、BelcherやGolgari Yawgmothなどコンボデッキが勝ち残っているなど、やはり今はコンボデッキが強い環境のようです。
以上USA Modern Express vol. 80でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!