パイオニア情報局 vol.4 -《パルヘリオンⅡ》で行く夢の国-

富澤 洋平

はじめに

みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチームの富澤です。

かつてのPTQ(プロツアー予選)を彷彿させるように各地で開催されているプレミアム予選。プレイヤーとプロツアーの最短距離を繋ぐこのルートには、毎週末多くの参加者が集まっています。

本稿は、毎週末に各地で開催されているプレミアム予選へと可能な限り帯同し、デッキ分布(メタゲーム)の分析とトップ8デッキを紹介していく企画となります。

執筆にあたり、各店舗様にご協力をいただき公開へといたっています。改めて感謝申し上げます。

それでは早速、先週開催された大会をみていきましょう。

先週末のトピック

今週のトピックは何といっても、トップメタの変動です。ラクドスミッドレンジ-緑単信心-イゼットフェニックスの3強時代は終わりを告げ、イゼットフェニックスに代わるデッキが台頭しています。それも同じ墓地を軸にしたアーキタイプでありながら、です。

大牙勢団の総長、脂牙パルヘリオンⅡ

入れ替わりで最強の一角となったのはアブザンパルヘリオン。《大牙勢団の総長、脂牙》の登場により成立したアーキタイプですが、当初はエスパー、マルドゥ、アブザンとカラーパターンが複数あり、それらをひっくるめてパルヘリオンシュートと分類していました。どのカラーパターンも一長一短であり、決め手に欠けていたのです。

忌まわしい回収エシカの戦車ウィザーブルームの命令

しかし、前回の記事でご紹介した通り、アブザンパルヘリオンが一歩抜け出したかたちとなり、徐々に勢力を拡大していきました。掘ることに特化した《忌まわしい回収》《サテュロスの道探し》、当たり牌でありながらミッドレンジプランも推奨する《エシカの戦車》、メタゲームにハマった《ウィザーブルームの命令》と、どれもほかのカラーパターンにはない魅力です。

大いなる創造者、カーン

天敵《大いなる創造者、カーン》はパイオニアを定義している存在。不思議なことに環境に強烈なメタカードがありながらもアブザンパルヘリオンはみるみるうちに使用者を増やし、トップメタの一角まで上り詰めました。《思考囲い》《ウィザーブルームの命令》による手札とボードの両干渉手段を駆使して相手の展開を遅らせつつ、自身は最速で《パルヘリオンⅡ》を走らせます。不利ながらも戦えるプランを手にしているのです。

墓地へのガード自体は下がっていませんでしたが、アブザンパルヘリオンは想定よりも遥かに早く、かつ安定したコンボプランを持っていました。ほかのデッキが緑単信心やラクドスミッドレンジ攻略に躍起になっていたこともあって、メタ外からの強襲はハマったかたちとなったのです。

ニクスの祭殿、ニクソス鏡割りの寓話

さらに、トップメタの一角が入れ替わったことで緑単信心とラクドスミッドレンジにも影響が出ています。これまでトップ8の常連だった両デッキですが、MINT渋谷店のプレミアム予選にその姿はありませんでした。ラクドスミッドレンジからすれば、想定外の速度のデッキが登場したことで、構築部分(妨害枠)に穴があるといったところでしょう。

至高の幻影霊灯の罠

もちろんプレミアム予選には地域性があり、メタゲームは多少変化します。一度トップ8に残れなかっただけで、緑単信心とラクドスミッドレンジがトップメタから陥落したとは思いません。ですが、アブザンパルヘリオンの登場によりラクドスミッドレンジの立ち位置が悪化したのは事実であり、これによりトップメタに不利とされていた一部のデッキにもチャンスが巡ってきたのです。

MINT渋谷店のプレミアム予選ではこの一瞬の隙を逃さず、青単スピリットはトップ8の座を射止め、そのまま権利を手にしました。同大会では青単スピリットの使用者は複数名おり、メタゲームの変化を見逃さずに持ち込んでいたようです。

各大会のメタゲームブレイクダウン

今回は先週に東京都、茨城県で開催されたプレミアム予選の結果を振り返っていきます。

第6週(祝・木) トーナメントセンターバトロコ高田馬場

デッキタイプ 使用者数 占有率
ラクドスミッドレンジ 19 (17)
緑単信心 17 (15)
アゾリウスコントロール 11 (9.9)
白単アグロ 10 (9)
イゼットフェニックス 9 (8)
アブザンパルヘリオンシュート 7 (6.3)
青単スピリット 4 (3.6)
ラクドスサクリファイス 4 (3.6)
ボロスヒロイック 3 (2.7)
ロータスコンボ 3 (2.7)
《不屈の独創力》コンボ 3 (2.7)
その他 22 (19.6)
合計 112人 (100%)

ラクドスミッドレンジと緑単信心というお馴染みの顔ぶれに加えて、アゾリウスコントロールと白単アグロが追従する分布となっています。アゾリウスコントロールは《放浪皇》《告別》など新しいカードが多く、人気の《ドミナリアの英雄、テフェリー》を最適に使用できるデッキ。コントロールの常として構築の適正化がついて回る課題ですが、プレミアム予選が折り返しを過ぎたことで形が見えてきたようです。

ニクスの祭殿、ニクソスラノワールのエルフ茨の騎兵

ですが、これはあくまでも「始まる前の数字」に過ぎません。大会が進行し、数が減っていく内に自然と勝ち組が見えてきます。最終ラウンドで上位に多く見られたのは緑単信心。トップ8に進出したのはこのうち2名だけでしたが、そのすぐ下には広大な緑色の絨毯が広がっていたわけです。緑単信心攻略がこの環境の最低条件なのです。

第6週(土) Pinocchio Games

デッキタイプ 使用者数 占有率
ラクドスミッドレンジ 8 (16.7)
緑単信心 8 (16.7)
アブザンパルヘリオンシュート 5 (10.4)
ボロスヒロイック 3 (6.2)
アゾリウスコントロール 2 (4.2)
イゼットフェニックス 2 (4.2)
白単アグロ 2 (4.2)
バントスピリット 2 (4.2)
エスパーコントロール 2 (4.2)
その他 14 (29)
合計 48 (100%)

ラクドスミッドレンジと緑単信心が同数で並んだPinocchio Gamesのプレミアム予選。3強といわれたイゼットフェニックスの使用者はわずか2名であり、ボロスヒロイック以下でした。多彩な攻め手に加えて、《Ancestral Recall》と比較しても遜色ない《宝船の巡航》を持っていましたが、墓地に依存していたことが裏目となり、ここで表舞台を去ることになったのです。

大牙勢団の総長、脂牙パルヘリオンⅡ

パルヘリオンシュートの躍進は今大会における注目すべきトピックです。単にメタゲームでトップ3に入ったからではなく、その実力と安定性はスイスラウンドでも垣間見えました。

今大会で《パルヘリオンⅡ》デッキを選択していたのはアブザンパルヘリオン5名に加えて、エスパータイプ1名の計6名。この内最終ラウンド時点でトップ8の目があったのはアブザンパルヘリオン3名のみでしたが、2敗のラインにはアブザンパルヘリオンとエスパーパルヘリオンが1名ずついました。つまり、《パルヘリオンⅡ》デッキを選択したプレイヤーの大半がトップ8かそれに準ずる成績だったのです。

大いなる創造者、カーン未認可霊柩車

これまでのようにアブザンパルヘリオンがメタゲームで下位に甘んじる少数精鋭のアーキタイプならば偶然の一言で片づけることができたかもしれません。しかし、《大いなる創造者、カーン》《未認可霊柩車》蔓延る世界線で、使用者の大半がトップ8付近にいたとなれば話は別です。

これらのカードを攻略すべくアブザンパルヘリオンには手札破壊とパーマネント対処手段、コンボ以外のクロックなどプレイヤーごとにさまざまなプランが用意されていました。メタられた上で勝ち抜けるだけのデッキパワーがあることを証明してみせたのです。

第6週(日) MINT渋谷

デッキタイプ 使用者数 占有率
ラクドスミッドレンジ 15 (15.4)
緑単信心 13 (13.3)
パルヘリオンシュート 10 (10.3)
白単アグロ 9 (9.2)
ジェスカイオパス 5 (5.1)
アゾリウスコントロール 4 (4.1)
ロータスコンボ 4 (4.1)
青単スピリット 3 (3)
イゼットフェニックス 3 (3)
ボロスヒロイック 2 (2)
赤単アグロ 2 (2)
サクリファイス 2 (2)
その他 26 (26.5)
合計 98 (100%)

向かえたMINT渋谷のプレミアム予選。メタゲームの地図は完全に書き換えられ、上位は緑単信心、ラクドスミッドレンジ、そしてパルヘリオンシュート、白単アグロへと移行しています。対応力の高いラクドスミッドレンジはどの予選でも一定数いますが、それを追うように奇襲性の高いアブザンパルヘリオンが増加しています。緑単信心はその両者に強く一人勝ちを狙いますが、すぐ後ろに白単アグロが迫っている、といった感じです。

ニクスの祭殿、ニクソス鏡割りの寓話大牙勢団の総長、脂牙サリアの副官

数の上でこそいい勝負といえますが、ラウンドが進むごとに明暗ははっきりとわかれていきました。最終ラウンド時点で上位にいたのは緑単信心とアブザンパルヘリオン、白単アグロ。ラクドスミッドレンジは最終ラウンドを待たずして、会場から締め出されてしまったのです。

さらに付け加えるならば、その緑単信心すらも青単スピリットなどに食われてしまい最終的にトップ8へと進出することはかないませんでした。MINT渋谷のプレミアム予選は2強不在の決勝ラウンドとなったのです。

空殴り

《大いなる創造者、カーン》による対応力の高さは魅力のひとつでしたが、逆にいえば特定にデッキに対するサイドインするカードが用意されていません。クリーチャー除去も《空殴り》もない構築ではアグロを押し寄せ返し切れなかったようです。

まとめ

第6週終了時点でのメタゲームまとめは、以下の通りです。

Tier デッキタイプ
Tier1 緑単信心
ラクドスミッドレンジ
アブザンパルヘリオン()
白単アグロ()
Tier2 アゾリウスコントロール
青単スピリット
ロータスコンボ
Tier3 イゼットフェニックス()
赤単アグロ
ボロスヒロイック
サクリファイスなど

イゼットフェニックスと入れ替わりでアブザンパルヘリオンと白単アグロがトップメタ入りとなります。速さこそ強さと定義でき、対応する側には低コストの妨害手段もしくは同速度でのアプローチが求められます

弧光のフェニックス宝船の巡航

人数を減らしたとはいえイゼットフェニックスのカードパワーは十分であり、何かのきっかけで急浮上する可能性が残っています。ですが、墓地へのガードが下がることは期待できないため、対策の対策か墓地に頼らない第2の勝ち手段が必要となります。

続いては実際の大会結果をみていきましょう。

大会結果

チャンピオンズカッププレミアム予選 in トーナメントセンターバトロコ高田馬場

順位 プレイヤー名 デッキタイプ
権利獲得 タカヤマ ジュンイチ 緑単信心
権利獲得 ヨコカワ ユウタ ジェスカイオパス
トップ4 ヒラヤマ レイ アブザンパルヘリオン
トップ4 オカベ キヨタカ ラクドスサクリファイス
トップ8 カナマル アツノリ バント人間
トップ8 イノウエ トオル 緑単信心
トップ8 タニ ヒロツグ アゾリウスコントロール
トップ8 ナカダ リョウ ラクドスミッドレンジ

(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)

メタゲームおよびデッキリストにつきましてはトーナメントセンターバトロコ高田馬場様にご協力いただき、掲載しております。

参加者112名で開催されたプレミアム予選(TC バトロコ高田馬場店)は緑単信心とジェスカイオパスが権利を獲得しています。

ジェスカイオパス

ジェスカイオパスは《暁冠の日向》《奔流の機械巨人》を使って《マグマ・オパス》のコストを踏み倒す、コンボ入りのコントロール。戦略自体はスタンダードのものと同じですが、マナベースや除去呪文など各カテゴリーがアップデートされています。

マグマ・オパス奔流の機械巨人鏡割りの寓話

このデッキではさまざまな方法で《マグマ・オパス》を使い倒します。《奔流の機械巨人》はパイオニアならではの選択肢であり、序盤に手札から捨てて宝物トークンを生成しておけば着地を助けつつ、5/6のおまけ付きとなります。《キキジキの鏡像》のコピー先としても優秀であり、ハーフロック状態へと持ち込み墓地の呪文が尽きるまで使いまわしてくれます。もっとも、その前に対戦相手が倒れているでしょうがね。

チャンピオンズカッププレミアム予選 in MUGEN TABLE GAMES

順位 プレイヤー名 デッキタイプ
権利獲得 カモ リキ 白単アグロ
権利獲得 カイ ヒロユキ ラクドスミッドレンジ
トップ4 キハラ リョウ アゾリウスコントロール
トップ4 シミズ ナオト アゾリウスコントロール
トップ8 セキ ケイタ ラクドスミッドレンジ
トップ8 シラキ ケント セレズニア天使
トップ8 キヨタ ショウヘイ ロータスコンボ
トップ8 サカイ リク バントスピリット

(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)

メタゲームおよびデッキリストにつきましてはMUGEN TABLE GAMES様にご協力いただき、掲載しております。同大会の決勝戦の模様はMUGEN TABLE GAMES Youtube チャンネルにて来月公開予定とのことです。

参加者70名で開催されたプレミアム予選(MUGEN TABLE GAMES)は白単アグロとラクドスミッドレンジが権利を獲得しています。トップ8にアゾリウスコントロールが2名、バントスピリットとコントロール寄りのデッキが複数残っています。

セレズニア天使

セレズニア天使は由緒正しき種族デッキであり、天使を並べれば並べるほどボードが強化されていきます。《翼の司教》《正義の戦乙女》の存在により愚直にライフを攻めるアグロデッキに強く、中途半端な攻撃は意味を成しません。タッチ緑により中長期戦に強い《集合した中隊》を獲得しています。

基本的に除去に頼らず、ライフ回復を絡ませながらサイズの大きい肉の壁を用意し、相手が攻めあぐねている間に上空からライフを削りきってしまいます。

翼の司教輝かしい天使正義の戦乙女

《翼の司教》《正義の戦乙女》がいれば天使が戦場へ出るたびにライフを回復できるわけですが、それによりボーナスもあります。《輝かしい天使》がいれば自動的に横へと戦線が伸びていきますし、《正義の戦乙女》は自軍へバフ効果をもたらしてくれます

チャンピオンズカッププレミアム予選 in Pinocchio Games

順位 プレイヤー名 デッキタイプ
権利獲得 コバヤシ タツウミ 緑単信心
準優勝 マツモト ケイイチロウ 緑単信心
トップ4 ミオタニ トモヤ アブザンパルヘリオン
トップ4 ニシノ トオル エスパーコントロール
トップ8 カガ ヒロユキ アブザンパルヘリオン
トップ8 タカハシ リョウ アブザンパルヘリオン
トップ8 イシカワ ヒカル アゾリウスコントロール
トップ8 スギモト タカシ 緑単信心

(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)

メタゲームおよびデッキリストにつきましてはPinocchio Games様にご協力いただき、掲載しております。

参加者48名で開催されたプレミアム予選(Pinocchio Games)は緑単信心が突破しています。アブザンパルヘリオンと緑単信心が3名ずつとがっぷりよつに組んだプレイオフでしたが、《大いなる創造者、カーン》を持つ後者に軍配が上がっています。

緑単信心

緑単信心はマナクリーチャーからシンボルの濃いパーマネントを展開していき、「信心」を稼ぎます。集まった「信心」を《ニクスの祭殿、ニクソス》で膨大なマナへと変換し、《収穫祭の襲撃》へと繋げてより強固なボードを築き上げます。《ビヒモスを招く者、キオーラ》《大いなる創造者、カーン》を使った無限マナパッケージなど攻め手が多彩なアーキタイプです。

大いなる創造者、カーン鎖のヴェール

環境定義といわれる《大いなる創造者、カーン》はミラーマッチでも強力なプレインズウォーカーです。単にカードアドバンテージを得るだけでなく、常在型能力により相手の行動に制限をかけます。ミラーマッチで強力な《鎖のヴェール》《大いなる創造者、カーン》を先出しした者のみの特権であり、後手番は相手の《大いなる創造者、カーン》を対処しない限りその恩恵にあずかることはできません。

《ビヒモスを招く者、キオーラ》《大いなる創造者、カーン》がいる状況で《鎖のヴェール》を起動すれば、追随不可能なまでの差が生まれてしまいます。

チャンピオンズカッププレミアム予選 in MINT渋谷店

順位 プレイヤー名 デッキタイプ
権利獲得 キハラ アツキ ラクドスサクリファイス
権利獲得 クボタ ヨウコウ 青単スピリット
トップ4 ワダ ヤスタカ 白単アグロ
トップ4 ナガサワ ケンスケ 白単アグロ
トップ8 ヒラヤマ レイ アブザンパルヘリオン
トップ8 ミオタニ トモヤ アブザンパルヘリオン
トップ8 オカベ キヨタカ ラクドスサクリファイス
トップ8 ヤマガタ ヒロキ アゾリウスコントロール

(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)

メタゲームおよびデッキリストにつきましてはMINT渋谷店様にご協力いただき、掲載しております。

参加者98名で開催されたプレミアム予選(MINT渋谷店)はラクドスサクリファイスと青単スピリットが権利を獲得しています。プレイオフに緑単信心が不在であり、青単スピリットにとっては想定外ともいえる結果でしたが、アブザンパルヘリオンと白単アグロに勝利しています。

ラクドスサクリファイス

ラクドスサクリファイスは生け贄に捧げることでメリットを生むカードと、それらを生け贄に捧げるためのカード(以下、サクリ台)を組み合わせてデッキを循環させていきます。デッキ内は《大釜の使い魔》《魔女のかまど》《初子さらい》《波乱の悪魔》とかつてのスタンダードでよく見たカードで構成されています。ボードコントロールに特化した構築であり、軽量クリーチャーをベースにしたデッキで太刀打ちすることは困難を極めます。

ラクドスサクリファイスはクリーチャー戦に強いといってもサクリファイスエンジンが完成するまでに少し時間を要します。そのため一般的には《致命的な一押し》《電圧のうねり》など軽量除去を採用しています。

血の裏切り

しかし、今回ご紹介する構築にそれらが一切採用されていません。序盤のコントロールを犠牲にして《血の裏切り》へと変更しています。《血の裏切り》は対象の制限がなくなった《初子さらい》であり、緑単信心に対して効果は絶大。《茨の騎兵》を奪ってサクリ台へと捧げればブロッカーをどかし、「信心」を減少させ、さらに使ったばかりの《血の裏切り》を再度ライブラリートップへと仕込めるのです。アグロデッキに有利なことを考えると、多少ガードを下げてでも緑単信心専用カードを採用する価値はありそうです。

チャンピオンズカッププレミアム予選 in 晴れる屋広島店

順位 プレイヤー名 デッキタイプ
権利獲得 コンドウ ショウゴ 緑単信心
準優勝 カワサキ ヒロタカ アブザンパルヘリオン
トップ4 ホリエ マサシ ラクドスミッドレンジ
トップ4 ミウラ リュウジ アゾリウスエンソウル
トップ8 イシカワ イッポ 赤単アグロ
トップ8 ササオ ユウスケ アゾリウスコントロール
トップ8 ヨシカワ タクマ 5色ニヴ
トップ8 ウエダ エリソン アブザンミッドレンジ

(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)

参加者39名で開催されたプレミアム予選(広島店)は緑単信心が突破しています。赤単アグロやアゾリウスエンソウルなど一点突破を狙ったデッキに加えて、ボードコントロールの強い5色ニヴが残っています。

アゾリウスエンソウル

アゾリウスエンソウルは軽量アーティファクトを並べて《継ぎ接ぎ自動機械》《巧妙な鍛冶》を育てるビートダウンデッキ。《ダークスティールの城塞》+《アーティファクトの魂込め》のコンボをはじめプロテクションや「護法」など、見た目以上に除去へ耐性を持っています。

直接火力はないものの、《魅知子の真理の支配》《きらきらするすべて》などライフを詰めるカードが揃っており、回避能力持ちクリーチャーと合わせて予想外のダメージを叩き出せるようになっています。

魅知子の真理の支配継ぎ接ぎ自動機械きらきらするすべて

《継ぎ接ぎ自動機械》は最序盤にプレイしたい成長性Sクラスのクリーチャー。小さなサイズとは裏腹に「護法」により守られており、2ターンもすれば火力の射程圏外となってしまいます。《致命的な一押し》に注意は必要ですが、それ以外の場合はもっとも信頼できる《魅知子の真理の支配》《きらきらするすべて》の対象先となります。

おわりに

今回は3箇所のメタゲームを中心に、5つの大会結果をご紹介しました。環境攻略の最低条件は緑単信心にプラスしてアブザンパルヘリオンが加わりました。わずか3ターンで13点を生み出すコンボに対して《大いなる創造者、カーン》以外の対抗策はあるのでしょうか。

大いなる創造者、カーン

今週末には、BIG MAGIC Open Vol.12の開催が予定されていますね。チャンピオンズカッププレミアム予選ではどんなデッキが活躍し、権利を手にするのか楽しみでなりません。

それでは、また次回!

(編集者注:本稿ではデッキの詳細解説は行わないため、それにつきましては以下の記事をご覧ください。トッププレイヤー視点での環境解説がございます。)

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富澤 洋平 晴れる屋メディアチームスタッフです。最近は《黙示録、シェオルドレッド》に夢中な日々です。 富澤 洋平の記事はこちら

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