ただいま我らが故郷
みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチームです。
今回はウィザーズ・オブ・ザ・コースト様からのご依頼で、新セット『団結のドミナリア』に収録されるカードを紹介する機会をいただきました。
『ドミナリア』といえば、マジックのストーリーの中心に位置し、多くのカードセットの舞台となってきた次元。ウルザとミシュラといった兄弟をはじめ、数々の人気キャラクターが登場してきました。若月女史のあなたの隣のプレインズウォーカーでもたびたび語られてきた次元です。
公式のファースト・プレビューでは懐かしの「キッカー」が公開されています。
すぐにでも最新カードを紹介したいところですが、はやる気持ちを抑えて、まずは『ドミナリア』と切っても切れない『ファイレクシア』の関係を簡単に振り返っていきましょう。
ドミナリアから始めて
古くは『インベイジョン』より始まったファイレクシアによるドミナリア侵攻。ファイレクシアとは次元の一つであり、すべてが人工的に作られた暗黒次元です。生物兵器のみが生存することを許された劣悪な環境であり、調和の取れた次元であるドミナリアとは似ても似つかないものでした。
今回のメインストーリーにあるように、カーンは再びファイレクシア人の侵攻を予感していました。危機感を募らせてほかのプレインズウォーカーへ伝えるも、真剣に取り合ってもらえません。
確たる証拠を探してカーンは独り掘削を続け、ついにファイレクシア人がドミナリアへと侵攻している決定的な証拠を手に入れます。ファイレクシア人の体液であるファイレクシアの油です。かつて己が体内より流れ出てミラディンの地を汚染してしまったファイレクシアの油が地層深くより発見されたのです。
魔の油は触る者すべてをファイレクシア人へと変貌させてしまいます。ドミナリアの大地へと浸食し、生態系へも手を伸ばしていきます。それは、かつて地母神ガイアによって生み出された種族、カヴーへも。
What’s the Kavu ?
カヴーはファイレクシアの侵略に対抗するべく、ドミナリアの地母神ガイアが生み出したトカゲ型の種族。単独でもファイレクシア人に対する心強い味方であり、ラノワールのエルフたちとも共闘しました。ファイレクシアとの戦争が終結した後も生き残っており、すっかりドミナリアの固有種族として定着しているようです。
かつてのスタンダードで名をはせた《火炎舌のカヴー》はその代表格といえます。戦場に出すだけで4点のダメージを与えるこの生物は、迫りくるファイレクシアンに対する心強いクリーチャーでした。このカードの存在によりタフネス4以下のクリーチャーの採用をためらうほど。
しかし、『団結のドミナリア』ではこのカヴーが、ファイレクシアの油により生まれ変わってしまいました。かつてのドミナリアの守護者はファイレクシアの手先となってしまったのです。
前置きが長くなりましたが、それでは最新のカードご覧いただきたいと思います。
《本能を穢すもの》
《本能を穢すもの》
先制攻撃
赤のパーマネント・呪文を唱えるための追加コストとして、あなたは2点のライフを支払ってもよい。これによりライフを支払ったなら、その呪文を唱えるコストは「」少なくなる。この効果は、あなたが支払う赤マナの点数のみを減らす。
あなたが赤のパーマネント・呪文を唱えるたび、クリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーのうち1つを対象とする。《本能を穢すもの》はそれに1点のダメージを与える。
《本能を穢すもの》は各色に存在するファイレクシア化してしまったクリーチャーの一種。赤ではカヴーがその影響を受けてしまっています。4/4のボディーに先制攻撃が標準装備され、4マナ域としては文句なしのデザイン。戦闘に参加すれば一方的に蹂躙してくれます。アグロからミッドレンジまでフィニッシャーとして活躍が期待できるデザインです。
ここまでの解説はこのカードのカヴー部分に過ぎません。今回ファイレクシア化してしまったクリーチャーには、固有の能力を有しています。それが、同色のパーマネント・呪文にマナの代わりにライフでの支払いを付与する能力です。
たとえば《本能を穢すもの》がいる状態で《ヴォルダーレンの美食家》を唱えたとします。すると通常通り「」を支払ってプレイするか、《本能を穢すもの》の常在型能力を使ってライフ2点を支払うか、好きな方を選択できるのです。つまり、自分がマナを生み出す手段を持ち合わせていなくとも、1マナ以下のパーマネント・呪文ならばライフと引き替えでプレイできるのです。
さらに、同色のパーマネント・呪文を唱えるたびに、好きな対象へ1点のダメージを与えます。実質的に、パーマネント・呪文に1点火力を付与しているのです。ここでのポイントは誘発するタイミングであり、「唱えるたび」とあるため、仮に打ち消し呪文でカード自体が対処されたとしてもダメージを与えることができます。
ライフに余裕があるなら《本能を穢すもの》から一気に低コストパーマネント・呪文を唱えて、戦場の主導権を自分へと引き寄せます。中盤以降に役割を失ってしまった低コストカードにも付加価値を付けることができそうです。
《本能を穢すもの》の可能性
近年の赤の役割は、メインカラーというよりはほかの色のサポートに甘んじている程度でした。《黄金架のドラゴン》や《轟く雷獣》など強力無比なクリーチャーはいるものの、青や白など相方あっての構築。赤単色のデッキは久しく見ていません。
《本能を穢すもの》はデッキ内に赤のパーマネント・呪文が多ければ多いほど、真価を発揮します。このカードを生かすためにも赤の濃い、パーマネント重視のデッキに採用されそうです。
これまであまり見かけなかった《増員された浪人》は序盤のダメージソースに加えて、《本能を穢すもの》がいれば中盤以降は繰り返し使える火力となります。デメリットと思われた手札に返る能力も使い方次第ではメリットとなるのです。
また、この能力が誘発するのはパーマネント全般。《実験統合機》は《本能を穢すもの》と抜群の相性を誇り、プレイするだけで1点と追加のカード1枚が手に入ります。追放されたカードがパーマネントだったら…これだけで盤面を掌握するには十分過ぎるでしょう。
マナカーブを切り詰めたアーティファクト重視の赤単アグロは面白いかもしれません。先ほどのカードに加えて《ヴォルダーレンの美食家》や《兎電池》など優良クリーチャーが揃っています。これらに共通するのは低コスト、クリーチャー、そしてアーティファクトであること。
アーティファクトに着目すると、アグロデッキに必要不可欠なダメ押しカードが見つかります。《龍火花の反応炉》は序盤にプレイできる置き火力であり、《増員された浪人》や《ヴォルダーレンの美食家》をプレイするたびにダメージが蓄積されていきます。横に《本能を穢すもの》がいれば蓄積カウンターに加えてダメージが入り、相手のライフはあっという間に致死圏内となることでしょう。
新加入の《怪しげな統治者、スクイー》との相性も見逃せません。「脱出」に似た能力を有する《怪しげな統治者、スクイー》は、墓地から蘇る不死身の性能。墓地にカードがある限り火力として使いまわせます。
おわりに
今回は『団結のドミナリア』の新カード、《本能を穢すもの》をお届けいたしました。攻撃的な戦略を加速させるカヴーはスタンダードで大いに活躍してくれることでしょう。戦略さえ噛み合えば、あらゆるフォーマットの赤いデッキに採用されそうです。
なお、2022年9月9日(金)発売予定の『団結のドミナリア』ですが、現在晴れる屋ではブースターBOXなどの予約受付中となっております!下記のリンクより『団結のドミナリア』の商品ページへ繋がっておりますので、ぜひ、ご活用ください!!