はじめに
みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチームの富澤です。
先週に『兄弟戦争』の全カードリストが公開されました。新しいプレインズウォーカーや伝説クリーチャー、「合体」カードとどれから使おうかと目移りしています。公式発売日に先駆けて、プレリリース実施日である11日から発売されるため、そこまでにはデッキを完成させておきましょう。
ところで、『兄弟戦争』には懐かしのカードが再録されているのをご存じでしょうか?それは黒にとって光明となる《喉首狙い》です。これさえあれば《冥府の掌握》のライフ損失に頭を悩ませる必要はありません。
今回の情報局では、『兄弟戦争』に再登場する《喉首狙い》にスポットを当てていきます。
《喉首狙い》とは?
アーティファクトでないクリーチャー1体を対象とする。それを破壊する。
《喉首狙い》とは、《恐怖》に代表される2マナのインスタントの確定除去呪文。わずか2マナでほとんどのクリーチャーを除去できるためテンポ面で大きなリターンがあり、相手からすれば念頭におきながらプレイせざるを得ません。苦労して出したフィニッシャーを対処されるわけにはいかないのです。
古来より2マナの確定除去呪文はゲーム展開のコントロールを担ってきました。《恐怖》や《破滅の刃》、「想起」の《叫び大口》はときに相手の攻勢を押しとどめ、ときに守りをこじ開ける一打となったのです。
現在はその直系に当たる《冥府の掌握》が存在しますが、アグレッシブな環境にあってデメリットばかりが目立っています。そのうえで、《黙示録、シェオルドレッド》のような対処必須のクリーチャー同居しているため、採用せざるを得ないというのが本音でしょう。
つまり、《喉首狙い》は多くのプレイヤーが求めていた除去カードだったのです。これを4枚採用すれば、もう《黙示録、シェオルドレッド》も《策謀の予見者、ラフィーン》も怖くありません。これからも黒の時代だぁぁぁ!!
果たしてそうでしょうか?これら2マナの除去呪文には例外なく何かしらのデメリットが付与されています。《冥府の掌握》はデメリットである「2点のライフ損失」のために、使用をためらうほどでした。《喉首狙い》の採用も環境に左右される可能性は十分にあります。
それでは過去の《喉首狙い》の活躍を見ていきましょう。
《喉首狙い》の歴史を振り返る
『ミラディン包囲戦』
『ミラディン包囲戦』で初登場となった《喉首狙い》はスタンダードの標準除去呪文として青黒コントロールなどに採用されました。開幕戦となった『プロツアーパリ11』において青黒コントロールはヴァラクートと人気を二分するほどの勢力でした。
重いデッキに対して《喉首狙い》は絶大な効果を誇り、《墓所のタイタン》や吸血鬼といった黒いクリーチャーも対処可能です。《破滅の刃》を抑えて、優先されるほどでした。
しかし、明るい船出とはいきません。同大会では悪名高きCaw-Bladeが環境からほかのデッキを締め出してしまったのです。
《石鍛冶の神秘家》+装備品パッケージと《戦隊の鷹》、《精神を刻む者、ジェイス》から供給されるアドバンテージは他の追随を許しませんでした。戦略に隙はなく、しかも単体除去に強い構築だったのです。
そのあまり強さから2011年6月20日 DCI制限禁止リスト告示にて、《石鍛冶の神秘家》と《精神を刻む者、ジェイス》は禁止カードに指定されてしてしまいます。これにより抑えつけられていた《喉首狙い》の時代が到来!
禁止改定後
と一筋縄でいかないのがメタゲーム。低マナのアーティファクトクリーチャーを並べて強化する《鍛えられた鋼》デッキが登場し、《喉首狙い》の旗色は悪くなってしまいます。
ただでさえ展開力のあるデッキ相手に、無駄牌を抱えるわけにはいきません。除去の枠を分け合いつつも《破滅の刃》が優先されました。
もちろん、《墓所のタイタン》などの黒いクリーチャーもいたため、《喉首狙い》がまったく採用されなかったわけではありません。しかしながら、《鍛えられた鋼》デッキが存在するメタゲームで、安定して最序盤を切り抜けるには《破滅の刃》のほうが優れていたのです。
現代では活躍するのか?
さて、ここまで過去の《喉首狙い》の不遇っぷりを見てきましたが、果たして現代のスタンダードに居場所はあるのでしょうか。早速、カードプールへと目を移していきましょう。
獲物
なんといっても筆頭は《黙示録、シェオルドレッド》でしょう。現在のスタンダードを定義する1枚であり、多くのプレイヤーが頭を悩ませるクリーチャーです。環境に強力エンチャントがあるとはいえ、メインボードに《邪悪を打ち砕く》が採用されるほど。今後は《冥府の掌握》などに取って代わり採用されることでしょう。
また、スタンダードには打ち漏らしが許されないクリーチャーが揃っています。これらキーとなるクリーチャーを的確に対処できるか否かが勝負の分かれ目となります。《喉首狙い》には《冥府の掌握》や《運命的不在》のようなデメリットはなく、《邪悪を打ち砕く》のような裏目もありません。
さらに『兄弟戦争』では兵士がフィーチャーされていますが、アグロに対しても《喉首狙い》は効果的です。《切り崩し》や《見栄え損ない》とセットで、アグロに対して鉄壁の布陣となりそうです。
天敵
気になるのは『兄弟戦争』から登場する「試作」クリーチャーです。状況に合わせてマナコストとサイズを調節できる可変的なデザインであり、無駄がありません。2ターン目に《自律型組立工》を「試作」でプレイすれば、あとは攻撃しつつ起動型能力を繰り返すことで、毎ターン打点が上がっていきます。適切なタイミングを逃せば《切り崩し》も《見栄え損ない》も役に立ちません。
ほかにも有力なアーティファクトクリーチャーが多数揃っています。《猿人の似姿》のような「蘇生」まで含めると、除去が追いつきません。色を足して《削剥》などとセットでの採用もあり得ます。《喉首狙い》が手札に残っていないことを祈るばかりです。
おわりに
今回は再録される《喉首狙い》の過去をみてきました。アーティファクトクリーチャーを採用したデッキと密接に関係しており、現在の多色ミッドレンジ環境が続けば活躍は濃厚です。デメリットはあるものの、《喉首狙い》は優秀な除去呪文であることは変わりません。メタゲーム上位にアーティファクトクリーチャーばかりが溢れない限りは、複数枚採用されることでしょう。
構築戦はしばらく先になりますので、まずは今週末のプレリリースでその感触を確かめたいところです。
なお、2022年11月11日(金)先行発売予定の『兄弟戦争』ですが、現在晴れる屋ではブースターBOX、シングルカードともに予約受付中となっております!
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