設定マニアが選ぶ!『兄弟戦争』推しカード10選!

晴れる屋メディアチーム

はじめに

みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチーム所属の島田と申します。

前回に引き続き、今回も11月18日に発売される新セット『兄弟戦争』の中から、個人的に感動したカードやみなさんに伝えたいことがあるカードを紹介していきたいと思います。

今回は過去の世界が舞台、そして題材は『アンティキティー』や『ウルザズ・サーガ』などで断片的に語られてきた「兄弟戦争」。

護国卿、ウルザギックスに拾われし者、ミシュラ

どんなセットになるかと思ったら、描かれているのは陰惨で壮絶な兄弟の確執…そして戦車!砲撃!ビーム!巨大ロボ!過去の話のはずでは?『Warhammer 40,000』の世界に来ちゃったのかな。

どうにも文明レベルはぶっ飛んでいますが、ドミナリアの歴史に残るさまざまな人物や出来事はしっかり登場。本記事は前回よりさらにストーリー関係のピックアップが多いかもしれません。

文章量が長くなりがちなこの企画、よろしければお付き合いください。

なお、私は毎回以下のような基準でカードを選んでおります。

・絵が可愛い

・カードデザインが美しい

・ストーリーでかっこよく活躍する

・翻訳が上手い

・キャラが好き

・昔のカードのリスペクトが詰まってる

・なんか強そう

・ドラフトで100枚ピックしたい

などなど…つまり特別決まったテーマがあるわけではないので、お気楽な気持ちでご覧ください。

また今回もMTG公式サイトに掲載されている『兄弟戦争』のストーリーネタバレを多数含みます。ご了承ください。

それでは始めましょう。

カード紹介

《パワーストーンの神童、ウルザ》《採掘の神童、ミシュラ》

パワーストーンの神童、ウルザ採掘の神童、ミシュラ

今回の主役といえばこの2人!今回ウルザとミシュラは3種類ずつ(統率者デッキを含めれば4種類)カード化されており、この2枚は一番若かりし頃のバージョンです。

この2枚はどこまでも対比になるようにデザインされてまして、それが2人の相容れなさを感じさせて辛いんだこれが。

・ウルザは思考の青、ミシュラは衝動の赤。

・ウルザは機械好きで人嫌いなので警戒、ミシュラはまず行動するタイプなので速攻。

・ウルザの起動型能力は手札がなくても使えるが、ミシュラは手札を捨てないと(=代価を払わないと)カードを引けない(=知識を得られない)。

・ウルザの誘発型能力は戦場に残るものを生み出すがすぐには使えない。ミシュラはすぐに使えるが戦場には何も残さない。

・すれ違ってプレイヤーに攻撃しあうとミシュラ側が先に勝つが、直接戦闘するとウルザが勝つパワー/タフネス。

ほかにも、このセットのミシュラ関連のドローカードはほとんど「手札を捨ててドロー」やいわゆる「衝動的ドロー」になっており、ミシュラの「犠牲を払って力を得た」「衝動に身を任せてしまい、結果破滅した」ことを強調しています。

ミシュラの命令ファイレクシアの幻視ミシュラの研究机

2人が辿る歴史を知っているとカードデザインですべて察しちゃうじゃん。ここまで綺麗に対比にしたなら、ウルザにもフレーバーテキストを付けてほしかった!パワーストーンの注釈文の関係で削られたんでしょうね。

《行き届いた採掘》

行き届いた採掘

ぱっとテキストを見ると妙な文章が書いてあります。「それが蘇生を持っているなら、代わりにそれを追放する。その後、そのカードをオーナーの手札に戻す。」なぜそんな回りくどいことを?

その答えはキーワード能力「蘇生」のルールにあります。注釈文では書かれていませんが(書いといてよ!)、「蘇生」の正確な効果は以下の通りです。

「[コスト]:あなたの墓地にあるこのカードを戦場に戻す。これは速攻を得る。次の終了ステップの開始時に、これを追放する。これが戦場を離れるなら、これを戦場以外の領域に置く代わりに追放する。この能力は、起動はソーサリーとしてのみ行う。」

「代わりに追放する」なので、最初から追放領域に行く場合は「代わりに」する必要がないので、「蘇生」ではなく《行き届いた採掘》の能力で追放された扱いになり、その後の効果で無事手札に戻すことができます。このワンクッションがないと、手札に移動する時点で追放されてしまい、戻ってこなくなってしまいます。

まさに気配りが行き届いてる!気配りの結果、壊れるはずだったロボットをまた酷使して前線に向かわせているのはどうかと思いますが…

《鋼の熾天使》

鋼の熾天使

すみません、プレイステーションのゲームに出演されてませんでしたか?

いくら機械技術が発展しているといってもほかの自動機械はあくまで地上兵器・せいぜい羽根で空を飛ぶくらいでしたが、これは完全に宇宙適正S。しかも兄弟戦争中の兵器ということは、羽ばたき飛行機械を発見してから精々50年くらいしか経っていないはず。それでこの技術進化とはさすがウルザ。

羽ばたき飛行機械

ここから50年で?

こういうシルエットのロボット大好きなので、いつかプラモデルで出してほしいです。一つだけ気になるのが背中から生えている長い板で、これドッグに収納するときとかどうしてるんだろうな。方向転換したときに周りにぶつからない?あるいはそこまで加味した武装なのかもしれない。

《機械力》

機械力

今回の翻訳素晴らしい対象はこれ!最初英語版を見たとき「これどう訳すんだ…」と勝手に頭を抱えていましたが、翻訳チームが見事にやってくれました。

機械力

英語版を見た古参MTGプレイヤーの方はピンと来たかもしれません。カード名の元ネタはMTG史に残るぶっ壊れカード《精神力》からで、こちらのカードにもウルザが描かれています。ウルザが描かれているカードの中で一番有名と言っても過言じゃないかもしれない。

精神力

「Mind Over Matter」という言葉自体は「状況を超える精神」つまり「困難な状況を精神の力で乗り越えること」を指しており、今回はMindの部分がMachineに変わったことで「困難な状況を機械の力で乗り越えること」と解釈できます。これはまさに本セットの象徴!

カードに描かれているのも「『巨大な像を動かした者が王女と結婚できる』というお触れを聞いたウルザが、自分の腕力ではなくロボットを使って像を動かす」という場面なので、まさに《機械力》の名前通りです。こんな重要シーンがコモンで登場するなんて贅沢なセットだな。

《時空錨》

時空錨

過去と現在を行き来する」本セットにおける現在側の重要アイテム、サヒーリが作り出した大装置《時空錨》。このカードのデザインが本当にすごいんですよ!ちょっと妄想を語らせてください(このシリーズはもともと半分くらい妄想ですが)。

まず各アップキープの占術。「占術/Scry」はその名の通り、占いなどで未来のことを知って、それを自分が選び取るかを選択するイメージの能力です。そのものずばり《選択》も占術を持ったカードですね。

選択

このとき、選ばれずに下に送られた選択肢とは普通二度と出会うことはありません(フォーマットによっては何度もシャッフルするのでその限りではないですが)。ライブラリーを一番下まで引ききるってよほどゲームが長引かないと発生しませんから。

ですが《時空錨》は、その「選ばれなかった未来」を錨のようにつなぎ止め、その未来を選び直す力を与えてくれる!パラレルワールドを自由に行き来できるようなものです。あるいは世界線(俗語的な用法)を移動できるようになると言ってもいいかもしれない、こんな装置を作れるなんてサヒーリすごすぎる。

金線使い、サヒーリ

しかも性格まで良い

《次元橋》もカラデシュ産だしあの次元の技術力どうなってるんだ。過去の時間軸では兵器として戦争の手助けばかりしていた技術の力が、現在では平和を目指すために使われているという対比も素晴らしいです。ただこういうのってだいたい悪役に奪われちゃうんだよな…

次元橋

《肉体装置技師、アシュノッド》

肉体装置技師、アシュノッド

『アンティキティー』からカード名に登場していたあの人がついにカード化。《アシュノッドの供犠台》の知名度も手伝って結構な有名人のはずですが、これまで一度も正式なカードとして実装されたことはなく(ヴァンガードになっただけ)、初登場から実に28年越しのカード化になります。

アシュノッドの供犠台

しかもこの人キャラ立ちがいいんだ。彼女はミシュラ陣営の工匠で《呪われた拷問台》《人体改造機の冠》などの邪悪なアーティファクトをたくさん作成し恐れられていましたが、一方で捕虜にしたタウノス(ウルザ陣営)と意気投合して愚痴を言い合ったり、いざというときに助けたりしていました。

アシュノッドの介入

ダックって呼んでるんだ

最終的に彼女の犠牲によってタウノスと《ウルザの酒杯》は救われ、それが兄弟戦争の終結に繋がりました。MTGのストーリー、土壇場で勇気ある女性の翻心によって窮地から救われるパターンけっこう多いな(『灯争大戦』のリリアナもそうだし、もっと言えば兄弟戦争の先進たるスラン戦争のレベックもそう)。

登る建築家、レベック

彼女の話はまたいずれ

《ヨーグモスの法務官、ギックス》

ヨーグモスの法務官、ギックス

このセット一番の悪役と言ってもいいファイレクシアの重要人物も初のカード化。最初にお目にかかったときよりはだいぶ人間っぽさが残っているような、そうでもないような。その赤い紐は何?ドレッドヘア?

抑圧

ストーリー上の暗躍ぶりは言うまでもありませんが、注目はその能力。《ファイレクシアの闘技場》の効果を攻撃が通ればすぐに・何度でも得ることができ、しかも選択可能なのでライフが少ないときは引かなくていいとファイレクシアらしからぬ親切設計です。

ファイレクシアの闘技場

しかも3マナと軽く、自身もそこそこ戦闘能力があるので黒いビートダウンならいますぐ採用したい性能。《進化した潜伏工作員》《ネファリアのグール呼び、ジャダー》、そして今大活躍中の《黙示録、シェオルドレッド》など相性の良さそうなクリーチャーはたくさんいるので、これからよく見かける存在になりそうです。

ギックスは3マナ、シェオルドレッドは4マナなのでマナカーブもばっちり。ギックスの能力で払ったライフをシェオルドレッドが回復してくれるのでシナジーも最高です。でもフレーバーテキストを見る限り、この2人が並んでる場はめっちゃ空気ギスギスしてそうだな。

黙示録、シェオルドレッド

《焼き討ち》

焼き討ち

見てくださいこの詩的なフレーバーテキスト。「終末の訪れを刻む時計の針のように」!人生でこんな詩的な表現したことない。英語版だと「like an apocalypse clock」なので、おそらく《終末の時計》を意識した表現だと思われます。この時計も「酒杯」と並ぶ兄弟戦争の重要アイテムで、ミシュラ陣営が侵略と破壊のために用いていました。

終末の時計

時計の針が進むように侵略者が都市を包囲していき、針が0時に辿り着き終末を刻む瞬間に包囲が完成して都市が陥落する…なんて絶望的で美しい表現なんだ。「打ち消されない」効果も止めることのできない侵略の圧倒的脅威を示していて、とにかくデザインが美しい。

マナ総量が1以下ならカードを引ける効果はフレーバーテキストでも登場している《象牙の塔》意識でしょう。《機械力》もそうだけど、こんなストーリー上の重要な場面をコモンで出していいんですか?贅沢じゃない?まぁ約50年分の戦争をぎゅっと1セットに圧縮したらそれくらいの密度になるのも当然かもしれない。

象牙の塔

《忠実な護衛、ハジャール》

忠実な護衛、ハジャール

恥ずかしながら彼のことを存じ上げなかったので調べたところ、彼はウルザと喧嘩別れして砂漠で奴隷生活を強いられていた頃のミシュラを見出したファラジの軍人だそうです。ミシュラは彼に見いだされて有力者の子供の教育係になり、そこから国の権力者になって戦争へ突き進んでいくことになります。

その結果ファラジの国は壮絶な戦争に巻き込まれてしまうわけですが、それでも彼はミシュラを見捨てませんでした。能力が献身的で辛い…彼がもっと早くミシュラを見捨ててしまえば歴史は変わったのかもしれませんが、それは存在しなかった未来ですね。

なにより色でストーリー性を出してくるのがすごい。ミシュラを見出し(=赤は共通してる)、邪悪に魂を囚われたミシュラを見捨てずともファイレクシアには与しない(=黒は共通してない)。ウルザの息子ハービンはしっかり白青なのに!こんなところまで対比にしてくるのは徹底してる。

先兵の飛行士、ハービン

《土の勇者》

土の勇者

またかっこいいロボットが出てきた!今回はリアルロボット系っぽいスマートな機体と重装甲系の機体のコンビで、スタイリッシュでいいですね。きっと合体攻撃とかしてくるんだろうな。でもどう見ても材質は土じゃなくない?

粘土像

もしやこいつの関係者?

能力がちょっとややこしいですが、要は緑マナを支払って出せば自分を強く・白マナを払って出せば周りを強くできる能力です。GGGGで出せば4マナ8/8!色マナを払えないと貧弱なので、アーティファクトだけど実質有色のカードだと思ったほうがよさそうです。

しかしこいつ、MTGアリーナだとちょっと面倒かもしれません。アリーナにはオートタップという便利な機能(1つずつマナを出さなくてもカードを選ぶだけで、その分のマナを計算して払ってくれる)があるんですが、マナの色が重要になるこのカードだと自動支払いに任せていたら思わぬ結果になるかも。

しかも同じセットに、ダメージを受けるマナの払い方をしようとすると確認してくる 《低木林地》があるのでさらに大変。リアルでもアリーナでも、こういったカードはしっかり宣言してよく確認しながらプレーしたほうがいいですね。マナのご利用は計画的に!

おわりに

今回はここまで。ほかにも『兄弟戦争』にはたくさんの魅力的なカードがありますので、ぜひカードリストを見てお気に入りの1枚を探してみてください。通常版特別版のカードリストを置いておきます。

なお、2022年11月18日(金)発売の『兄弟戦争』ですが、現在晴れる屋ではブースターBOXシングルカード発売中となっております!

また『兄弟戦争』の特設ページがオープンしました!こちらからも各種商品の購入ができるだけでなく、『兄弟戦争』に関する記事や動画がまとめてご覧いただけますので、ぜひご活用ください!

『兄弟戦争』特設ページ

それではみなさま、『ファイレクシア:完全なる統一』でお会いしましょう。また次回!

この記事内で掲載されたカード

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