はじめに
みなさんこんにちは。
来月はアメリカでEternal Weekend、日本国内ではAsia Eternal WeekendやEternal Party 2022が開催されるなどテーブルトップのイベントが充実しています。
さて、今回の連載ではBuffalo Chicken Dip Legacy Open 1とLegacy Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Buffalo Chicken Dip Legacy Open 1
テーブルトップのレガシー環境は群雄割拠
2022年11月12日
- 1位 Mono Red Prison
- 2位 Death and Taxes
- 3位 8 Cast
- 4位 Elves
- 5位 Mono Red Painter
- 6位 Bant Control
- 7位 Doomsday
- 8位 Naya Depths
トップ8のデッキリストはこちら(※スイスラウンド順)
アメリカ・オハイオ州で開催されたレガシーのテーブルトップイベント。
MOと異なり、今大会の上位はDelverが不在でアグロ、コンボ、コントロールなど多種多様なアーキタイプが活躍していました。
そんな中で優勝したのはMono Red Painterでした。
デッキ紹介
Mono Red Painter
《絵描きの召使い》+《丸砥石》コンボは長い間レガシーで活躍し続けているコンボの一つです。《絵描きの召使い》の能力によってライブラリーのカードのすべてが指定された色になっているため、《丸砥石》を起動することでライブラリーアウトさせることができます。
レガシーは青いデッキが多く、《紅蓮破》は効率的な妨害スペルとして機能しますが、青くないデッキに対しても《絵描きの召使い》で青を指定することによって1マナカウンター、パーマネント除去として使えます。
《ゴブリンの技師》や《ゴブリンの溶接工》でアーティファクトを墓地から再利用することができるのでカウンターや除去にも耐性があり、《ウルザの物語》パッケージや《鏡割りの寓話》など、コンボ以外の勝ち手段にも恵まれているため粘り強さが増しています。
☆注目ポイント
コンボ以外の勝ち手段として《大いなる創造者、カーン》パッケージが採用されていましたが、サイドボードのスペースが圧迫されるのが難点でした。
最近は《ウルザの物語》や《鏡割りの寓話》といった強力なカードが登場し、それらのカードは《大いなる創造者、カーン》よりも軽くサイドボードのスペースにも余裕ができるため、このデッキの主力として定着しています。
《鏡割りの寓話》の第Ⅱ章はコンボパーツを探し出す助けになり、変身後には《激情》や《ブレイヤの見習い》をコピーする動きも脅威となります。
Bant Control
《時を超えた英雄、ミンスクとブー》がMOで実装されて以来、コントロールデッキの研究が進み新しい形の多色コントロールが結果を残し続けています。
効率的な除去やアドバンテージを獲得できるカードを搭載しており、Izzet Delverなどクリーチャーデッキに強い一方で、StormやDoomsdayといったコンボデッキは苦手とします。
このデッキがフェアデッキの頂点にある理由は、各種プレインズウォーカーや《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《表現の反復》《壌土からの生命》といった豊富なアドバンテージ源にあります。
☆注目ポイント
《時を超えた英雄、ミンスクとブー》はリリース当初MOで実装されず、テーブルトップのイベントもそれほど多くなかったのであまり評価されていませんでしたが、今では優秀なフィニッシャーとして定着しています。
《紅蓮破》への耐性もあるので一度場に出てしまうと対処は困難です。弱点としてETB能力の誘発に対応して《稲妻》などで処理されてしまうと、一度も能力を起動することなく破壊されてしまうため注意が必要です。
プレインズウォーカーが主力なのでタップアウトすることが多く、カウンターの少なさから《暗黒の儀式》を使うデッキ全般に弱いです。そういったコンボデッキの多くは、コンボパーツをそろえるために《渦まく知識》などドロースペルに依存しているため、追加のドローを封じる《覆いを割く者、ナーセット》が活躍してくれます。
メインから採用されている《激しい叱責》は、《ウルザの物語》や《タッサの神託者》を対策したり、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の能力を消すことで場に残したりできます。《忍耐》はDelverとのマッチアップで「昂揚」や「探査」を妨害しつつプレインズウォーカーを守り、墓地を使うコンボデッキをメインから無理なく対策してくれます。
Legacy Challenge 11/12
Doomsdayコンボがワンツーフィニッシュ!
2022年11月12日
- 1位 Doomsday
- 2位 Doomsday
- 3位 Izzet Storm
- 4位 The Spy
- 5位 Naya Depths
- 6位 Temur Delver
- 7位 4C Control
- 8位 Reanimator
トップ8のデッキリストはこちら
土曜日に開催されたLegacy Challengeの決勝戦は、Doomsdayのミラーマッチでした。
Izzet Delverがトップメタの中でDoomsdayが活躍しているのが印象的ですが、Doomsdayは多色コントロールなどIzzet Delverに強いとされているデッキの多くと相性が良いため、大会でも常に一定数上位で見かけます。
Doomsday
現在のレガシーを代表するコンボデッキ。《最後の審判》をプレイして5枚の束を除くライブラリーを追放し、《タッサの神託者》の特殊勝利を目指すデッキです。
《暗黒の儀式》などマナ加速によって早い段階から仕掛けることもでき、ハンデスやカウンターなどコンボを守る手段も豊富です。多色コントロールなどスペルに対する妨害が少ないデッキに対して無類の強さを見せ、軽いクロックでライフを攻めつつコンボをカウンターしてくるIzzet Delverは苦手なマッチとなります。適切な5枚の束を選択することは難しく、《最後の審判》解決後は残りのライブラリーと墓地も追放してしまいライフの残りも少なくなるため、ミスが敗北に直結しやすく使いこなすには練習が必須です。
MOのチャレンジなどで結果を残している型は青黒が最多ですが、タッチ白や赤、追加の勝ち手段として《濁浪の執政》などを搭載したテンポ型などバリエーションが豊富なのもこのデッキの特徴です。
☆注目ポイント
現在Doomsdayコンボは広く知られており、カウンターやハンデス以外でもさまざまな対策カードが散見されています。特に《激しい叱責》と《忍耐》は、《魂の洞窟》によってカウンターから守られた《タッサの神託者》による特殊勝利も妨害することが可能です。そのため、相手のコンボ対策を見すえたサイドプランがとられています。
このデッキに対しては複数の異なる対策が必須なため、最近はコントロールも《翻弄する魔道士》のようにコンボを妨害しつつクロックとしても機能するヘイトベアーを採用するようになりました。
このように、サイド後にコンボ対策してくる相手に対してサイドインするのが《黙示録、シェオルドレッド》です。サイド後は除去が減るので処理されにくく、《渦まく知識》などドロースペルを実質封じることもできます。また、《暗黒の儀式》と《魂の洞窟》によってカウンターされることなく早い段階から場に出すことが可能です。ただし、《カラカス》にはご注意を。
《忍耐》対策手段としてサイドに《虚無の呪文爆弾》が採用されています。自分の墓地を追放することによって、墓地のカードがライブラリーに戻ることを防ぐ使い方ができます。もちろん、普通にキャントリップ付きの墓地対策として墓地デッキ相手にも使えるのでオススメです。
Legacy Challenge 11/13
新しい形のTemur Delver
2022年11月13日
- 1位 8 Cast
- 2位 Temur Murktide
- 3位 4C Cascade
- 4位 Jeskai Mentor
- 5位 Izzet Delver
- 6位 Mono Red Prison
- 7位 Naya Depth
- 8位 Izzet Delver
トップ8のデッキリストはこちら
現環境のトップメタのIzzet DelverやJeskai Mentorなどフェアデッキが多い結果となりました。モダンでも活躍している「続唱」を使った《衝撃の足音》デッキのレガシー版も入賞しています。
デッキ紹介
Temur Murktide
Sneak and Showを始めとした多くのレガシーのデッキを使いこなす強豪プレイヤー・JPA93(Jonathan Anghelescu)が、オリジナル色の強いデッキで土日のLegacy Challengeで入賞していました。
Temur Delverから《秘密を掘り下げる者》を抜いてミッドレンジ寄りに寄せた構成になっています。緑を入れることで《時を超えた英雄、ミンスクとブー》や《花の絨毯》にもアクセスできるようになりました。
《表現の反復》に加えて《時を超えた英雄、ミンスクとブー》という強力なカードのおかげで、フェアデッキとのマッチアップに強くなっています。逆に3色になったことで《血染めの月》を高速で出してくるMono Red Prisonなどは苦手なマッチになります。
☆注目ポイント
「諜報」を持つ《ドラゴンの怒りの媒介者》のおかげで《敏捷なマングース》の「スレッショルド」が達成しやすくなっています。「スレッショルド」は「探査」と相性が悪くなりますが、現在は《虹色の終焉》を始めとした強力な除去があるので耐性のあるクロックは貴重です。
多色ミッドレンジのところでも解説しましたが、異なる軸から攻める手段でありアドバンテージ源にもなるので、コントロールとの相性の緩和に一役買っています。勝ち手段が《ドラゴンの怒りの媒介者》《敏捷なマングース》《濁浪の執政》と墓地に依存しているため、墓地の状況に依存しない勝ち手段を用意することは重要です。
Izeet Delver相手には《花の絨毯》が用意されています。また、土地を再利用できる《壌土からの生命》もあるので《不毛の大地》など土地破壊に耐性があります。
《壌土からの生命》の「発掘」で「スレッショルド」や「昂揚」の条件も達成させやすく、《濁浪の執政》もプレイしやすくなります。《夏の帳》が使えることも緑をタッチするメリットで、コンボや青いデッキとのマッチアップで活躍します。
4C Cascade
「続唱」スペルから《衝撃の足音》をプレイするモダンでも活躍しているコンボデッキ。レガシーでは《Elvish Spirit Guide》や《猿人の指導霊》といったマナ加速が使えるため、最速1ターン目から2体の4/4トランプルを出すことができます。
確実に「続唱」から《衝撃の足音》をプレイするため、《渦まく知識》や《剣を鍬に》といった軽量スペルが採用できないという制限がかかります。キャントリップスペルを諦めるのは厳しい制限になりますが、除去は《力線の束縛》や《厚かましい借り手》といったカードで補えます。
☆注目ポイント
『団結のドミナリア』から登場した《力線の束縛》は、レガシーでも《濁浪の執政》に対する有力なアンサーとして話題に挙げられていました。デュアルランドが使えるレガシーでは、モダンよりも「版図」によってコストを減少させることも容易です。
「続唱」コンボを対処されても、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《時を超えた英雄、ミンスクとブー》といったカードがあるので、多色ミッドレンジのようにアドバンテージを稼ぎつつ勝利を目指すこともできます。
コンボデッキが苦手なので、サイドには《精神壊しの罠》など追加の妨害が採用されています。ほかには「続唱」の邪魔にならないように《活性の力》《忍耐》《激情》など、ピッチでプレイできるカードでまとめられています。
総括
Izzet Delverが依然としてトップメタに居座り続けていますが、ほかにもさまざまなデッキが活躍しており、その多くがIzzet Delverに強い要素を持ち合わせています。
またIzzet Delverに弱いDoomsdayは、多色ミッドレンジなどIzzet Delverに強いとされているデッキに強いため結果を残し続けているようです。
今月末から来月にかけてアメリカでも日本国内でもレガシーのテーブルトップのイベントが充実しているので楽しみですね。
USA Legacy Express vol.208は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!