Translated by Takumi Yamasaki
(掲載日 2022/12/09)
はじめに
みなさん、こんにちは。今回の記事では、私がここ数週間使用して非常に良い結果を残している「ティムールマークタイド」について解説します(デルバーと呼んでもいいですが、《秘密を掘り下げる者》はプレイしていません)。
このデッキで、マジックオンラインのレガシーチャレンジにおいてトップ8に4回連続入賞し、内2回が準優勝、トップ4が1回という成績を残しました。
これは最近環境に現れた「白単イニシアチブ」が登場する前のことなので、元のリストの構築理論は白単イニシアチブを念頭に置いて考えられたものではありません。なのでこの記事では、新しいメタゲームを踏まえてリストを更新したものを後半で紹介したいと思います。
構築までの道のり
まずはどのようにして構築に至ったかですが、前回の記事で書いたように私はスニーク・ショーが厳しい立ち位置にあると感じました。4色コントロールは結構勝てていましたが、イゼットデルバーに対して有利とはいえ、私が望むよりもずっと接戦になることがあったのです。さらに、コンボなどのほかのマッチアップはコントロールにとってむしろ苦戦を強いられました。
イゼットデルバー自体は常に堅実で無難な選択肢のように思えますが、ミラーとコントロールの両方で優位に立てる方法を見つけたかったのです。
《敏捷なマングース》は長い間忘れ去られていたカードでした。2022年のレガシーにおいては弱すぎるようで、コントロールから飛び交う《忍耐》や《激しい叱責》で対応され、墓地を減らしてしまう《濁浪の執政》ともシナジーしません。
とはいえ、コントロールの《剣を鍬に》や《虹色の終焉》といった8枚の除去セットや、無数の《紅蓮破》《水流破》系の効果をかわすことができる脅威は、私がたしかに望むものでした。
《ドラゴンの怒りの媒介者》がいれば、《敏捷なマングース》と《濁浪の執政》の両立がしやすくなると考えていました。《濁浪の執政》を唱えて《敏捷なマングース》のサイズが下がる状況なら、あえて唱えずに相手の除去を腐らせるプランをとることも充分にありえるでしょう。ただ、《忍耐》に弱いことに変わりはないので、できる限りケアしようと決めていました。
疑似的なミラーであるイゼットデルバーに対してですが、《敏捷なマングース》を採用したのは、盤面に残る脅威を用意したかったからです。イゼットデルバーのリストは互いの脅威を1対1で除去するのに適しており、ロングゲームになると消耗戦になりがちです。
そのため、《敏捷なマングース》が《濁浪の執政》にダメージレースをしかけられることはほぼありえないですが、《紅蓮破》で《濁浪の執政》を、《稲妻》でほかの脅威を対処すれば《敏捷なマングース》が簡単にライフを削り切れるほど盤面をクリアにできるでしょう。
以前のメタゲームでは、《真の名の宿敵》が《敏捷なマングース》を完全に封じ込めていましたが、イゼットの脅威をすべて除去して盤面を見晴らせるようになった今、《敏捷なマングース》が再び暴れるには良い時期だと感じました。
また、メタゲームのほとんどで《疫病を仕組むもの》が使われなくなったことなどは、このデッキの構築に影響こそありませんでしたが、それでも喜ばしいおこぼれでしたね。
そもそも《敏捷なマングース》と同等かそれ以上の役割を果たせる《真の名の宿敵》を使えばよいのでは?と言われそうですが、たしかに《忍耐》をそれほど心配する必要がなくなるコントロール相手ではそうかもしれません。
しかし、《激しい叱責》は依然として壊滅的であり、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を相手に回したときは、《真の名の宿敵》だろうと《敏捷なマングース》だろうとダメージレースには競り勝てません。
コントロールは別として、対デルバーにおいて《紅蓮破》と《目くらまし》は《真の名の宿敵》に対する解答としてあまりにもクリーンすぎました。さらに、《表現の反復》+《目くらまし》デッキにとっては、マナ域的に3マナよりも1マナの脅威のほうがはるかに適しているでしょう。だからこそ、予想されるメタゲームを度外視して考えるなら、《敏捷なマングース》のほうがデッキによりフィットしていると言えるのです。
イゼットからティムールにする欠点は、マナベースがより脆弱になることです。《血染めの月》の解決を許してしまうと《ドラゴンの怒りの媒介者》と《稲妻》以外唱えられません。
しかし、《島》を1枚入れているイゼットといえど《不毛の大地》をケアして動くことは難しく、結局マナ否定に敗れることは多々あるので、緑を足すことによるマナベースへの負荷はあまり気にしていませんでした。本当は《不毛の大地》をすべて入れたかったのですが、4枚入れたリストをテストするたびに、呪文をマナカーブ通りに唱えるのが明らかに難しくなってしまいました。
マナベースに緑を加えたことで、《濁浪の執政》と《ドラゴンの怒りの媒介者》に《水没》を許してしまいますが、イゼットデルバーのほとんどはミラーにおいてサイド後入れたいカードも多いので、《水没》をサイドインする枠を作るのに苦労することでしょう。
また、《濁浪の執政》や《ドラゴンの怒りの媒介者》が除去されるのはミラーにおいて想定されることです。私はできるだけ《敏捷なマングース》を暴れさせて勝てるようなマッチアップにしたかったのです。
ティムールにしたことで、コントロールに強い《時を超えた英雄、ミンスクとブー》やイゼットデルバー用の《壌土からの生命》など、優位に立ちたい仮想的に対してインパクトの強いサイドカードにアクセスできるようになりました。
レガシーチャレンジ初週のリストでは、デルバー用に《花の絨毯》を1枚採用していましたが、《祭典壊し》に変更しました。
《花の絨毯》は後手を楽にさせてくれるものですが、イゼットデルバーに対して盤面に影響を与えないキャントリップ以外の呪文は必要なく、きついマッチアップであるエルフ用に全体除去が1枚必要であることがわかりました。《花の絨毯》はイゼットデルバーの《不毛の大地》に対する保険にもなりますが、《壌土からの生命》がその役割を果たすのに役立ちます。
振り返りとこれから
レガシーチャレンジでどのデッキと当たったかは、ツイッターを見ていただければなと思います。
簡単にまとめると、ほぼ思い描いていたプランどおりに進み、当たり方的に多くのマッチアップで《敏捷なマングース》をサイドアウトさせましたが、全体的に驚くほど好感触でした。
一番きついなと感じたマッチアップはエルフと8 Castでしたが、それはイゼットデルバーを含んだこのアーキタイプ自体に予想されることです。
レガシーチャレンジの連続トップ8入りは次の週末に終わり、土曜日のチャンレジでは3-3、日曜日のショーケースチャレンジでは0-2でした。ティムールマークタイドがより知られるようになったことで、対応されやすくなったのもあるかもしれませんが、最適なプレイができずダブルマリガンも重なりました。
このデッキは非常にタイトなプレイが要求され、マナベースと《敏捷なマングース》の使い方を見極める必要があるため、おそらくイゼットデルバーよりも回すのが難しいでしょう。
上手くいかなかった週末の後、ティムールマークタイドは一旦お休みして新たな脅威である白単イニシアチブと戦うために愛機のスニーク・ショーで遊んでみました。残念ながら、このマッチアップは私が考えていたものより悪いことが分かりました(もっと徹底的にテストしたら、後日記事にするかもしれません)。
というわけで、もう少しティムールマークタイドを調整することにしたのです。これは白単イニシアチブメタ用に調整した、今後試す予定のリストです。
デッキリスト
メインデッキの《紅蓮破》を《邪悪な熱気》に変更し、盤面をクリアにしてイニシアチブをとります。ほかには、メインから《虚空の杯》を対処しながら、回避能力持ちの脅威を追加できる《厚かましい借り手》を採用、サイドの《倦怠の宝珠》は各種イニシアチブクリーチャーや《孤独》対策です。
《敏捷なマングース》はイニシアチブをとるための除去されないクリーチャーであり、白単イニシアチブにたいして実際かなり有用だと思います。
サイドボードガイド
それでは、アップデートしたリストでのサイドボードガイドをお楽しみください。常々言ってますが、これはあくまで一般的なガイドであり、状況に応じてアジャストしていくべきなのでそのまま取り入れるべきではないでしょう。
イゼットデルバー
vs. イゼットデルバー(先手)
vs. イゼットデルバー(後手)
白単イニシアチブ
vs. 白単イニシアチブ(先手)
vs. 白単イニシアチブ(後手)
4色コントロール
vs. 4色コントロール(先手)
vs. 4色コントロール(後手)
相手が《氷牙のコアトル》を採用したバージョンであれば、《稲妻》は多めに残しておきましょう。そのバージョンはおおむね氷雪基本土地が採用されているので、代わりに《不毛の大地》を2枚サイドアウトすれば《壌土からの生命》は必要ないでしょう(バント型もありますが、その場合《水流破》が不要になります)。
ここからは、《敏捷なマングース》をサイドアウトさせるマッチアップをいくつか紹介します。
8 Cast
vs. 8 Cast(先手)
vs. 8 Cast(後手)
エルフ
vs. エルフ
《夏の帳》は後手時に弱く、《濁浪の執政》を《飢餓の潮流、グリスト》や《殺し》から守るための1マナを浮かせる余裕がないことも多いですが、それでもあったほうがいいでしょう。
後手のときは《敏捷なマングース》のほうが《目くらまし》より優れている可能性もありますが、正直まだ分かりません。
ラクドスリアニメイト
vs. ラクドスリアニメイト
スニーク・ショー
vs. スニーク・ショー
ドゥームズデイ
vs. ドゥームズデイ
赤単ストンピィ
vs. 赤単ストンピィ
後手時は《ミシュラのガラクタ》よりも《目くらまし》をサイドアウトすることもできますが、たとえ後手の《目くらまし》が弱かったり、《猿人の指導霊》でかわされることがあったとしても、このデッキに対しては打ち消し呪文を最大枚数用意したほうが良いと思います。
ペインター
vs. ペインター(先手)
vs. ペインター(後手)
ナヤデプス
vs. ナヤデプス(先手)
vs. ナヤデプス(後手)
このとおりでなくとも、《目くらまし》や《意志の力》を残して代わりに《敏捷なマングース》をサイドアウトすることもできます。しかし、ナヤデプスも《剣を鍬に》や《虹色の終焉》《紅蓮破》といった強力な除去を使うデッキです。
そのため、《聖遺の騎士》《忍耐》《エルフの開墾者》が《敏捷なマングース》の壁として立ちはだかるとはいえ、残しておく価値はあると思います。
デス&タックス
vs. デス&タックス(先手)
vs. デス&タックス(後手)
《目くらまし》は後手で弱いように見えますが、《霊気の薬瓶》を出されなかった場合はマナカーブ通り出てくる3マナの脅威に対応する必要があり、《目くらまし》はそれにきれいに答えることができます。
また、《霊気の薬瓶》だけでなく《安らかなる眠り》も時にマストカウンターになるので、《否定の力》も後手時にサイドインする候補です。
今回はこれで以上です。ためになった、面白かったと思ってくれたのであれば幸いです。また次の記事で会いましょう!
ヨナタン・アンゲレスク(Twitter)