USA Legacy Express vol.209 -イニシアチブをとる者-

Kenta Hiroki

はじめに

みなさんこんにちは。

先月はEternal Weekend AsiaにLegacy Showcase Challengeとレガシーのイベントが充実していました。Eternal Weekend Asiaのトップ8入賞者に贈られたプロモの《思案》は、世界で24枚しかなく希少価値が高いことで話題になっていますね。また、今週末はアメリカでもEternal Weekendが開催されます。

今回の連載では、最近行われたレガシーの大型イベントでの入賞デッキを見ていきたいと思います。

2022 Asia Legacy Championship
イニシアチブを活用したMono Red Prisonが優勝

2022年11月27日

  • 1位 Mono Red Prison
  • 2位 ANT
  • 3位 Izzet delver
  • 4位 Izzet Delver
  • 5位 Belcher
  • 6位 Izzet Delver
  • 7位 Sneak and Show
  • 8位 4C Control

トップ8のデッキリストはこちら

参加者400名以上と大盛況のまま幕を閉じたEternal Weekend Asia。今大会でもIzzet Delverは人気があり、プレイオフにも3名の入賞者を出していましたが、優勝したのはMono Red Prisonでした。

デッキ紹介

Mono Red Prison

今大会で見事に優勝を果たしたのはMono Red Prisonでした。レガシーの代表的な《虚空の杯》デッキで、《金属モックス》や2マナランドを利用して最速で1ターン目から《虚空の杯》《三なる宝球》《血染めの月》といったカードで相手の行動に制限をかけていきます。

《虚空の杯》デッキは《渦まく知識》などキャントリップが使えないため安定性にやや難がありますが、環境の多くのデッキは早い段階から出てくる《虚空の杯》を処理する手段に貧しかったため、多くのデッキにとって脅威となりました。

『モダンホライゾン2』がリリースされて以来、《虹色の終焉》《孤独》《濁浪の執政》などが登場したことでやや厳しい立ち位置になったものの、『神河:輝ける世界』『ニューカペナの街角』から立て続けに新戦力を獲得し、現在では大きな大会の上位に一人は見られます。

☆注目ポイント

鏡割りの寓話

あらゆる構築フォーマットで活躍している《鏡割りの寓話》は、このデッキにもフィットしています。Ⅰ章はクロックを出しつつマナ加速できるので、フィニッシャーをプレイしやすくなります。マナ加速や余分に引いた《血染めの月》などを抱えたままフィニッシャーを引けずに負けるなど、安定性に難があるのが弱点でしたが、手札入れ替え効果のあるⅡ章はそれを解決してくれます。Ⅲ章も《ゴブリンの熟練扇動者》など強力なクリーチャーをコピーできるなど、すべての章がこのデッキの強みを生かすと同時に弱点をカバーする能力があります。

Unlicensed Hearse

Izzet Delverは《虚空の杯》を置かれても、無理やりスペルをプレイして《濁浪の執政》を出してくることもありますが、メインから採用された《未認可霊柩車》で毎ターン墓地のカードを追放することによって対策できます。

《ゴブリンの熟練扇動者》の能力でマストアタックになったゴブリンを、戦闘前に「搭乗」させてアタックを回避する小テクもあるので覚えておきましょう。

再鍛の刃、ラエリアCaves of Chaos Adventurer

『統率者2021』からも新戦力が登場しました。《再鍛の刃、ラエリア》はアタッカーでありながらアドバンテージを稼げる優秀なカードです。

《混沌の洞窟の冒険者》《反逆の先導者、チャンドラ》《炎渦の部隊》に代わってフィニッシャーを務めているクリーチャー。出した次のターンまで「イニシアチブ」をキープできれば、パワー7・トランプルとクロックも速く、ダンジョンを進むことでさらに追加で5点ライフを削れます。

Legacy Showcase Challenge
脅威の新顔イニシアチブ

2022年11月27日

  • 1位 4C Control
  • 2位 Mono White Initiative
  • 3位 Mono White Initiative
  • 4位 8 Cast
  • 5位 Sneak and Show
  • 6位 Maverick
  • 7位 Izzet Delver
  • 8位 Izzet Delver

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Izzet Delverがプレイオフに2名と安定感を見せましたが、今大会の勝ち組は《白羽山の冒険者》《練達の地下探検家》という「イニシアチブ」クリーチャーをフィーチャーしたMono White Initiativeでした。

直前に開催されたLegacy Challengeで話題になっていたデッキで、今回のパフォーマンスによりデッキの強さが本物であることが証明されました。

デッキ紹介

Mono White Initiative

『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』で導入されたメカニズム「イニシアチブ」を活用したデッキで、今大会でも高い勝率を出していました。

イニシアチブ+地下街

「イニシアチブ」は「統治者」と似たような能力で、それを得たプレイヤーは「地下街」を探索していきます。そして、対戦相手は戦闘ダメージを与えることでこれを奪うことができます。一番最初のダンジョンでは基本土地を手に入れることができるため、安定性に貢献してくれます。

虚空の杯スレイベンの守護者、サリア精鋭呪文縛り孤独

ほかのStompy系と同様に、マナ加速を利用して可能な限り脅威を早い段階で着地させてプレッシャーをかけていきます。《虚空の杯》《スレイベンの守護者、サリア》《精鋭呪文縛り》など行動を制限させる手段も豊富で、《孤独》など除去にも恵まれているため「イニシアチブ」を守りやすくなっています。

☆注目ポイント

White Plume AdventurerSeasoned Dungeoneer

《白羽山の冒険者》《練達の地下探検家》はデッキ名にもなっている「イニシアチブ」を持つデッキの主力クリーチャーです。

《白羽山の冒険者》は除去されやすいため、「イニシアチブ」を守るためになるべく《孤独》など除去が使えるタイミングで出していきたいところです。《練達の地下探検家》は4マナと少し重くなりますが、タフネスが4あるため《稲妻》など火力で落とされにくく、プロテクション(クリーチャー)によって攻撃が通りやすいので「イニシアチブ」を維持しやすくなります。

精霊界との接触

《精霊界との接触》は普通に除去としても使えますが、「魂力」で《マリット・レイジトークン》を除去したり、ETB能力持ちのクリーチャーを「明滅」させて再利用するなどフレキシブルな使い方ができます。

エメリアの呼び声皇国の地、永岩城

《エメリアの呼び声》は土地としてだけでなく、《金属モックス》《孤独》のコストにもなるため見た目以上に便利です。《皇国の地、永岩城》はカウンターされない除去として機能するため、相手にとってケアが難しくなります。

4C Control

今大会で見事に優勝を収めた多色コントロール。メイン、サイドともに現環境に対応しており、除去が豊富でスイーパーも搭載されているため、Izzet DelverやMono White Initiativeなどクリーチャーデッキに強い構成になっています。

メインのカウンターが4枚の《意志の力》のみで、除去が不要牌になりやすいDoomsdayやReanimatorなど《暗黒の儀式》を使ったコンボデッキは相性の悪いマッチとなります。

☆注目ポイント

激しい叱責

《激しい叱責》は現在流行りの「イニシアチブ」持ちのクリーチャーや《ウルザの物語》《タッサの神託者》など多くの脅威を対策することが可能です。Reanimatorの《残虐の執政官》にも有効で、出たあとに《剣を鍬に》で除去すればアドバンテージを失うことなく処理できます。

時を超えた英雄、ミンスクとブー

アタッカーが少ないコントロールデッキは「イニシアチブ」が厳しい印象がありますが、《終末》の「奇跡」によって場を更地にしたあとに《時を超えた英雄、ミンスクとブー》のトークンで攻撃することで一気に形成を逆転することも可能です。

倦怠の宝珠

ほかにも追加の「イニシアチブ」対策として、ETB能力を封じる《倦怠の宝珠》がサイドに採用されています。もちろん「イニシアチブ」だけでなく、Death and TaxesやDoomsdayの《タッサの神託者》も対策することができるなど、複数のマッチアップで活躍してくれます。また、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を生け贄に捧げることなく場に残すことができます。

European Legacy Masters 2022 Main Event
青デッキ多数

2022年12月3日

  • 1位 Izzet Delver
  • 2位 Dimir Shadow
  • 3位 Cephalid Breakfast
  • 4位 White Stompy
  • 5位 Jeskai control
  • 6位 Izzet Delver
  • 7位 Izzet Delver
  • 8位 Red Stompy

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4 Seaon Tournament Seriesはヨーロッパで開催された大規模なエターナルフォーマットのイベントで、メインイベントのレガシーは480名のプレイヤーが参加するという盛り上がりを見せていました。

プレイオフはIzzet Delverなど青いデッキが中心で、最近勢いのある「イニシアチブ」デッキも結果を残していました。

デッキ紹介

Cephalid Breakfast

セファリッドの幻術師Nomads en-KorDread ReturnThassa's Oracle

Cephalid Breakfastはクリーチャーベースのコンボデッキです。《セファリッドの幻術師》《コーの遊牧民》による組み合わせによってライブラリーのカードをすべて墓地に落とし、ライブラリーから出た《ナルコメーバ》をコストに《戦慄の復活》を「フラッシュバック」し、《タッサの神託者》を墓地から復活させて勝利します。

コンボデッキですが、《ウルザの物語》《石鍛冶の神秘家》、カウンターや除去とそろっているためミッドレンジとしても優秀です。ツールボックスデッキ的な側面を持った80枚バージョンと異なり、60枚バージョンはEsper Stonebladeに近い構成になっています。

☆注目ポイント

虹色の終焉剣を鍬にNomads en-Kor

メインはコンボを狙いますが、サイド後は《虹色の終焉》《剣を鍬に》といった白い除去がサイドインされてEsper Stonebladeに近い構成になります。

コンボパーツの《コーの遊牧民》は除去耐性のないクリーチャーに見えますが、ほかのクリーチャーと並んでいると《稲妻》などで除去されなくなるので、ダメージ系の除去を多用するIzzet Delverとマッチアップする際は覚えておきたいところです。

時を解す者、テフェリー陰謀団式療法

相手のカウンターやインスタントタイミングの除去をシャットアウトする《時を解す者、テフェリー》のおかげで、コンボが安全に決めやすくなりました。《陰謀団式療法》もコンボを仕掛ける前に安全確認できるほか、手札に来てしまった《戦慄の復活》《タッサの神託者》を墓地に落とす手段としても機能します。

通り抜け石鍛冶の神秘家

ウィザード・サイクリングスペルの《通り抜け》《石鍛冶の神秘家》によって、コンボパーツである《セファリッドの幻術師》《手甲》をサーチできるため、動きが安定しています。

Eternal Party 2022 in Tokyo Winter
Izzet Delverのワンツーフィニッシュ

2022年12月4日

  • 1位 Izzet Delver
  • 2位 Izzet Delver
  • 3位 Izzet Delver
  • 4位 4C Control
  • 5位 Death and Taxes
  • 6位 Merfolk
  • 7位 Boros Stompy
  • 8位 Naya Depths

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先週末に開催されたEternal Party 2022 in Tokyo Winter。今大会の前の週にもEternal Weekend Asiaが開催されるなど、テーブルトップのレガシーイベントが充実していました。

「イニシアチブ」デッキは今大会でも結果を残していましたが、最終的に決勝戦まで勝ち残ったのは、それらのデッキに対してしっかりと対策をしてきていたIzzet Delverでした。

デッキ紹介

Izzet Delver

今大会でも安定したパフォーマンスを見せたIzzet Delverが、ワンツーフィニッシュを飾るという強さを見せました。

同じIzzet Delverでも、《秘密を掘り下げる者》の代わりに《帳簿裂き》《相殺》をメインから採用したバージョンなどプレイヤーによって個性が見られます。

☆注目ポイント

邪悪な熱気

タフネス4以上のクリーチャーも除去できる《邪悪な熱気》は、最近台頭してきているMono White Initiativeに有効なこともあり、《稲妻》と並んで主要な火力除去として定着しています。

目くらまし

最近のIzzet Delverの傾向として、《目くらまし》の枚数が減らされていることが挙げられます。「イニシアチブ」デッキや8 Castが使う2マナランドやマナアーティファクトなどによってソフトカウンターはケアされやすくなったことと、《表現の反復》やそれを再利用できる《神秘の聖域》のために土地を伸ばす必要もあるのが主な理由になります。

倦怠の宝珠解き放たれた狂戦士

最近流行りの「イニシアチブ」デッキ対策も徹底しています。ETB能力を封じる《倦怠の宝珠》はもちろん、準優勝したリストのサイドボードには《解き放たれた狂戦士》が採用されていました。

「プロテクション(白)」なので除去耐性があり、攻撃も通りやすいため「イニシアチブ」も取り返しやすく、「イニシアチブ」デッキに対してかなり有効なサイドボードになります。

Brotherhood's End

『兄弟戦争』からは《兄弟仲の終焉》を採用したリストもありました。プレビュー段階でも評価されていたカードで、全体火力と《溶融》の効果を持つためサイドボード枠の節約になり、その分のスペースを「イニシアチブ」などほかのマッチアップ用のカードに割くことができるようになりました。

総括

今回も最近の大会で結果を残していたデッキを見ていきました。

白羽山の冒険者練達の地下探検家

複数の大規模なイベントで結果を残していた「イニシアチブ」デッキの強さは本物で、《倦怠の宝珠》《解き放たれた狂戦士》のような専用のサイドボードも見られるようになるなど環境に大きな影響を与えていることが分かります。

オンラインでもテーブルトップでも「イニシアチブ」デッキは高い勝率を出しており、比較的組みやすいデッキなので今後も人気が出そうなデッキです。

今週末にはアメリカでEternal Weekendが開催されるので要注目です。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!

この記事内で掲載されたカード

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Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Standard Express」「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら