【予算約1万】チャレンジャーデッキを強化しよう ~グルール・ストンピィ~

晴れる屋メディアチーム

(編集者注:この記事は2022年12月10日(土)に執筆されたものであり、カード価格も同日時点のものとなります。)

チャレンジャーデッキをパワーアップ!

みなさんパイオニアで遊んでますか?11月4日に『パイオニア・チャレンジャーデッキ2022』が発売されたことで以前よりも気軽に参入できるようになりましたね。

これだけでも遊べますが、どうせなら今あるデッキをもっと強化したくありませんか?ちょうど発売されたばかりの『兄弟戦争』にも相性の良いカードがあるはずです。

そこで今回は、Hareruya Prosの面々に予算1万円程度でチャレンジャーデッキを強化していただきました。初回は日本人Hareruya Prosの佐藤 啓輔選手、担当デッキは「グルール・ストンピィ」です。

デッキコンセプトの確認

佐藤 啓輔

今回企画に協力していただく佐藤 啓輔選手は構築戦のスペシャリスト。グランプリや日本選手権でトップ8入賞歴があり、競技マジックの最高峰に位置するMPL(マジック・プロリーグ)にも所属していました。先日開催されたアリーナ・チャンピオンシップ1では準優勝に輝くなど、飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍です。ミッドレンジをこよなく愛する佐藤選手により「グルール・ストンピィ」はどのように生まれ変わるのでしょうか。

メディアチーム「本日はよろしくお願いします。実は社内でパイオニアが流行中でして、僕も『パイオニア・チャレンジャーデッキ2022』を使って対戦したりしています。動画チームやトレードチームには負けたくない!佐藤選手、デッキのパワーアップよろしくお願いします!」

佐藤「それではグルール・ストンピィのデッキリストとコンセプトから確認していきましょう」

佐藤「グルール・ストンピィは《エルフの神秘家》などのマナクリーチャーからスタートし、より早く脅威を展開して相手を圧倒するデッキです。マナコストの高いクリーチャーが本来よりも早いターンに出てくればそれだけで脅威ですし、除去呪文によるバックアップがあれば相手に戦線を立て直す時間を与えません」

エルフの神秘家栄光をもたらすもの

メディアチーム「《探索する獣》《栄光をもたらすもの》が3~4ターン目に出たら、それだけでゲームに勝ててしまいますね」

砕骨の巨人漁る軟泥

佐藤「グルール・ストンピィに必須のパーツが揃っており、はじめてパイオニアで遊ぶ方にもおすすめのデッキです。8枚のマナクリーチャーが安定した加速を実現し、1枚で2度美味しい《砕骨の巨人》などの「出来事」カードや墓地対策用の《漁る軟泥》と至れり尽くせりのデッキです。ほかのデッキでも使用できる汎用的なカードも多く収録されているのは嬉しいところですね」

デッキコンセプトを活かしたカード選び

マナベースを見てみよう

佐藤「このデッキは脅威となるカードは揃っているので、デッキの土台となるマナベースにメスを入れて安定性を高めていきます。基本土地を《岩山被りの小道》《ハイドラの巣》《反逆のるつぼ、霜剣山》と入れ替えます」

メディアチーム「どのカードもここ2年以内のカードですね」

岩山被りの小道岩山被りの小道

佐藤「このデッキは1ターン目にマナクリーチャーを出す手前、アンタップインでGを出せる土地が16~17枚必要となります。《岩山被りの小道》はその条件を満たしつつ、なおかつRマナも補ってくれます」

カープルーザンの森

佐藤「これまでパイオニアの友好色には《尖塔断の運河》のようなファストランドと呼ばれる土地がなくマナベースが厳しい状況でしたが、最近のセットで友好色ダメージランドが使用可能になり大きく改善された背景があります」

メディアチーム「《岩山被りの小道》の採用によりデッキが安定することがわかりましたが、《ハイドラの巣》《反逆のるつぼ、霜剣山》は1色しかでません。どういった狙いがあるのでしょうか」

ハイドラの巣反逆のるつぼ、霜剣山

佐藤「メディアくんは土地ばかり引いて何もできずに負けてしまったことがありませんか?マジックは円滑に呪文を唱えられるように一定数の土地カードが必要ですが、中盤以降は余った土地の使い道にも苦慮するものです。《ハイドラの巣》《反逆のるつぼ、霜剣山》はどちらも土地でありながら、ダメージソースとしても機能します。土地カードに複数の役割を持たせることで、土地の引き過ぎを緩和する狙いがあります」

ハイドラの巣恋煩いの野獣

佐藤「《ハイドラの巣》はマナを注ぎ込めば込むほど巨大化するため、マナクリーチャーと相性の良いカード。X=1で起動すれば《恋煩いの野獣》の攻撃条件を満たすことも覚えておきましょう」

反逆のるつぼ、霜剣山反逆のるつぼ、霜剣山

佐藤「《反逆のるつぼ、霜剣山》《ハイドラの巣》と同様に土地でありながら戦力となる便利なカードです。こちらは一旦土地として戦場に出してしまうとトークン生成能力はつかえなくなるため、どちらで使用するかはゲーム展開から判断が必要です」

増量すべきはどのマナ域?

メディアチーム「マナベースが整ったところで、次はどこに手を加えましょうか」

佐藤「デッキコンセプトでも確認した通り、このデッキの強みはマナクリーチャーを利用しての1マナ→3マナのジャンプアップですが、既存のリストには能動的なカードが《砕骨の巨人》《恋煩いの野獣》しかありません。もちろん2ターン目に出てくるクリーチャーとしてはプレッシャー十分ですが、どうせなら「出来事」を使用してから盤面へ投入したいですよね?」

無謀な嵐探し

佐藤「そこで気兼ねなく使用できる3マナクリーチャーとして《無謀な嵐探し》を採用します。戦闘開始時に速攻を付与する能力により出たターンから攻撃へ向かえますし、後続のサポートにもなり攻める速度がアップします」

メディアチーム「《恋煩いの野獣》《砕骨の巨人》に速攻を付与できるのは嬉しいですね」

無謀な嵐探し無謀な嵐探し

佐藤「ゲームに夢中になるあまり、昼夜の管理を忘れないように気をつけてください。夜になって《嵐蓄積の斬鬼》へと『変身』すれば、3マナとは思えないような活躍をしてくれます」

除去の選択と枚数の見直し

佐藤「最後に相手の脅威を対処する除去呪文をみていきます。既存のリストには《削剥》《ミジウムの迫撃砲》があり、どちらも十分強力ですが、パイオニア環境に合わせてアップデートしましょう。新カードである《抹消する稲妻》を採用します」

抹消する稲妻

メディアチーム「『兄弟戦争』のアンコモンですね。2マナでクリーチャーかプレインズウォーカーに4点与えますが、なぜ《ミジウムの迫撃砲》と入れ替えるのでしょうか?《ミジウムの迫撃砲》は『超過』がありますよ」

佐藤「確かに全体に4点与える『超過』は魅力なんですが、パイオニアには緑単信心の《老樹林のトロール》やイゼットフェニックスの《弧光のフェニックス》など追放したいクリーチャーが数多くいます。また、除去カードを増やし過ぎて攻め手が薄くなるとせっかくのマナクリーチャーも活きてきません。除去カードは《削剥》《抹消する稲妻》《踏み付け》に絞り、入れ替えることにしました」

老樹林のトロール弧光のフェニックス

メディアチーム「同じマナクリーチャーから出てくる《老樹林のトロール》には頭を悩ませていましたし、『パイオニア・チャレンジャーデッキ2022』には《弧光のフェニックス》入りのイゼットフェニックスがありますね」

佐藤「マナコストも2マナと軽く、追放付きの除去としては破格の性能です。プレインズウォーカー対策にもなるため、ぜひ採用しましょう」

生まれ変わったリスト

佐藤「それでは完成したデッキリストを確認していきましょう!」

エルフの神秘家ラノワールのエルフ

佐藤「繰り返しになりますが、このデッキはマナクリーチャーからスタートして3マナ以降のクリーチャーを展開することを狙いとします。相手よりもマナで先行できる《エルフの神秘家》《ラノワールのエルフ》は是が非でも初手で欲しいカードです」

無謀な嵐探し探索する獣抹消する稲妻砕骨の巨人

佐藤「マナが十分用意できたら順次《無謀な嵐探し》《探索する獣》《栄光をもたらすもの》を召喚してダメージを稼いでいきます。ブロッカーは《抹消する稲妻》《砕骨の巨人》で除去してしまいましょう」

漁る軟泥ハイドラの巣

佐藤「マナクリーチャーで先行して3~5マナのクリーチャーへと繋げていきますが、ときにはゲームが長引くこともあります。その場合は《漁る軟泥》《ハイドラの巣》へとマナを注ぎ込み、サイズアップを狙います。特に《ハイドラの巣》は対処しようにも土地破壊かインスタントタイミングの除去でしか対象にとれない厄介なカードです」

サイドボードの方向性

メディアチーム「これで社内の覇権はメディアチームのものだぁ!」

佐藤「メディアくん、サイドボードを忘れていますよ。テーブルトップのイベントはほとんどが3本制(2本先取)ですし、『チャレンジャーデッキ2022』にはサイドボードも用意されています。手を加えていきましょう」

メディアチーム「メインボードがこれだけ完璧でもサイドボードは必要なのですか?」

アクロス戦争

佐藤「サイドボードは、メインボードで相性が悪いデッキや対策が必要なカード、ゲーム展開(ゲームレンジ)が大きく変わる場合のカードを用意します。たとえばこちらよりもサイズの大きい《茨の騎兵》が出てしまうと攻撃がストップしてしまいますよね?除去しようにもタフネス6を処理するには複数枚の火力が必要になります。《アクロス戦争》は一時的とはいえ、ブロッカー排除と戦力増強を1枚で担う理想的な対策カードです」

佐藤「今回は次の9個のデッキを意識して作っています」

アクロス戦争引き裂く流弾丸焼き

佐藤「ラクドスミッドレンジや緑単信心など中速のクリーチャーデッキに有効な《アクロス戦争》は4枚採用したいところ。トリッキーなバントスピリットには《引き裂く流弾》に加えて《丸焼き》で退場してもらいましょう」

メディアチーム「《睡蓮の原野》対策はありませんか?『パイオニア・チャレンジャーデッキ』のロータス・コンボになすすべなく負けてしまった過去がありまして」

減衰球

佐藤「《睡蓮の原野》は対策の難しいカードであり、専用のサイドボードが必要です。《減衰球》を採用しましょう。このカード1枚で相手を減速させ、戦略自体を否定します」

メディアチーム「メインボードに《漁る軟泥》がいますが、イゼットフェニックスやアブザンパルヘリオン用に追加の墓地対策は必要ですか?」

風化したルーン石

佐藤「ほかの対策も兼ねた《風化したルーン石》を用意しました。継続的な墓地対策でありながらライブラリーから直接パーマネントを出すデッキへの対策として機能するため、《集合した中隊》《異界の進化》を使うデッキにも効果があります」

メディアチーム「アゾリウスコントロールのような重コントロールデッキにはどういったカードを採用すれば良いのでしょうか」

群れの希望、アーリン群れの希望、アーリン

佐藤「1枚で複数の対処を迫る《群れの希望、アーリン》はどうでしょう。プレインズウォーカーであるため軸の違う脅威となります。《エシカの戦車》と同じく1枚で複数のパーマネントを生成するため、ラクドスミッドレンジのような1対1交換を繰り返すデッキも意識しています」

佐藤「サイドボードはパイオニアの主要デッキを意識して練る必要がありますが、多種多様な環境のためすべてをカバーしようとすると広く薄くになりがちです。慣れてきたらどのデッキに対して厚く対策を取るか検討しつつ、自分なりのサイドボードを練り上げていきましょう」

メディアチーム「今回ご紹介したカードを下記のリンクにまとめました。ぜひデッキ強化の参考にしてくださいね!


今回は佐藤 啓輔選手にご協力いただき、「グルール・ストンピィ」をパワーアップしていきました。マナベースを中心に強化したことで戦略は格段に安定し、《無謀な嵐探し》の採用により攻め手は厚みを増しています。《抹消する稲妻》はプレイヤーへの道を切り開く追放除去です

デッキコンセプトがしっかりしていれば、それに沿ったカードと入れ替えるだけで見違えるデッキとなるとわかりました。これからもパイオニアを楽しんでいきましょう!

次回は、ピオトル・グロゴゥスキ/Piotr Glogowski選手の「ディミーア・コントロール」をお届けします!

佐藤 啓輔 (Twitter / Twitch)

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