はじめに
みなさんこんにちは。
今年もオンライン、テーブルトップのモダンの情報をみなさんにお届けしていきますのでよろしくお願いいたします。
さて、今回も最近行われたモダンイベントの結果を見ていきたいと思います。
THE LAST SUN 2022
ミッドレンジコンボの強さ
2022年12月24日
- 1位 Creativity Titan
- 2位 Creativity Combo
- 3位 Hammer Time
- 4位 Izzet Ragavan
- 5位 Izzet Ragavan
- 6位 4C Omnath
- 7位 Tribal Zoo
- 8位 Tameshi Bloom
吉森 奨
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昨年末に晴れる屋TC東京で開催された大規模な招待制のイベント、『THE LAST SUN 2022』はスタンダードとモダンで行われました。
賞金も豪華でプロも参戦しており、招待制ということもあってレベルの高いイベントでした。
今大会の上位は、Creativity ComboやHammer Timeといったコンボデッキや、現環境のトップメタのIzzet Ragavanが中心でした。
デッキ紹介
Creativity Titan
今大会は2つの異なる《不屈の独創力》コンボが決勝戦まで勝ち残りました。
優勝した吉森 奨さんの《不屈の独創力》コンボには、《原始のタイタン》+《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》も含まれており、多色型よりもコンボに特化したバージョンになっています。
メタゲームブレイクダウンによると、Creativity Comboは今大会で11.64%の使用率でIzzet Ragavanの次に人気があったデッキでした。また、《原始のタイタン》を採用したCreativity Titanを持ち込んだのは2人となっています。
2022年を通して人気があったデッキで、使用者が多かった分研究も進んだデッキです。いくつかバリエーションがありますが、主な勝ち手段は《不屈の独創力》で《残虐の執政官》を出すことです。軽い除去やドロースペル、《レンと六番》など強力なカードを多く搭載しているためミッドレンジとしても振る舞うことができ、相手は常にコンボを意識する必要があるので非常に対戦難易度が高いデッキになります。
☆注目ポイント
《原始のタイタン》は《残虐の執政官》よりも素でプレイしやすく、マナを伸ばすことで《残虐の執政官》を普通にプレイできるようになります。《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》も採用され、《不屈の独創力》コンボに頼らずに《レンと六番》で毎ターンフェッチランドを回収してダメージによるフィニッシュもできるようになりました。
『兄弟戦争』から登場した《苦々しい再会》は、《苦しめる声》と似た手札入れ替えカードですが、追加コストで手札を捨てる必要がないため、カウンターされてもアドバンテージを失うことがないので使いやすくなっています。
《苦々しい再会》によってキーカードを探しつつ、《残虐の執政官》や《原始のタイタン》を墓地に落として《頑強》でリアニメイトする動きが強力です。速攻付与も兼ね備えているのでターンを待たずに攻撃することもできるなど、コンボの強化に一役買っています。
墓地対策には《虚空の力線》が採用されています。《苦々しい再会》や《鏡割りの寓話》といった手札を入れ替えれるカードが多いので、途中で引いても有効牌に変えることができます。
全体火力とアーティファクト対策には《兄弟仲の終焉》が採用されています。サイドボード枠の節約は、デッキの種類が多いモダンでは重要です。
Modern Super Qualifier
ラガバン祭り
2022年12月26日
- 1位 Jeskai Breach
- 2位 Izzet Ragavan
- 3位 Creativity Combo
- 4位 Rakdos Grief
- 5位 Izzet Ragavan
- 6位 Golgari Yawgmoth
- 7位 Izzet Ragavan
- 8位 Izzet Ragavan
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月曜日に開催された『Modern Super Qualifier』は、ホリデーシーズンということで特にアメリカのプレイヤーにとっては参加しやすいイベントでした。
Izzet RagavanやRakdos Griefなどが中心で、優勝もJeskai Breachと《敏捷なこそ泥、ラガバン》が大暴れしたイベントとなりました。
デッキ紹介
Izzet Ragavan
優勝は逃したものの、プレイオフに3名と安定した強さを見せたIzzet Ragavan。現環境のトップメタで《敏捷なこそ泥、ラガバン》や《帳簿裂き》を除去やカウンターでバックアップし、《表現の反復》のおかげでロングゲームにも対応できる人気のデッキです。
このデッキの強みは、プレイングやサイドボードの構成次第で、どんなデッキに対しても互角以上に戦える対応力の高さです。軽いドローや「謀議」「諜報」によってデッキに一貫性があり、各マッチアップで必要なゲームプランを実行可能にします。
メインでは不利とされているマッチアップでも、サイド後に相性を改善できるので、そういった理由からIzzet Ragavanはサイドボード後のゲームで真の強さを発揮するデッキといえます。
☆注目ポイント
環境によって《ドラゴンの怒りの媒介者》と《帳簿裂き》の採用枚数が変動しています。コントロールやミラーマッチが多ければ《帳簿裂き》が、コンボなど序盤からプレッシャーをかけたい場合は《ドラゴンの怒りの媒介者》が優先されています。
《濁浪の執政》は強力なフィニッシャーですが、《忍耐》を始めとした墓地対策や《力線の束縛》が増加傾向にあるため、現在はメインに2-3枚の採用になっています。
禁止改定後の環境では、多色コントロールが衰退したことによって《血染めの月》はサイドに下げられています。また、それまでの環境では《大魔導師の魔除け》がメインに採用されていましたが、コンボデッキが多い環境では3マナと重いうえに、《血染めの月》とも相性が悪いため採用が見送られる傾向にあります。
Jeskai Breach
今大会で優勝を果たしたのは、現在のモダンを代表するコンボデッキとして定着しているJeskai Breachでした。
このデッキにはIzzet Ragavanでも採用されているカードが多数見られますが、勝ち手段はあくまで《死の国からの脱出》によるコンボです。
Nilsfitのリストは一般的なJeskai Breachと異なり、《研磨基地》や《モックス・アンバー》といったカードが不採用で、主な勝ち手段は《死の国からの脱出》によって「ストーム」を稼いで《ぶどう弾》になります。
☆注目ポイント
《遵法長、バラル》と《魔力変》といったカードが採用されており、Izzet Stormとのハイブリットになっています。この2枚を組み合わせることによって、ドローを進めつつマナを増やすことが可能です。
《死の国からの脱出》は現代の《ヨーグモスの意志》と形容されるほど強力なカードであり、現在のモダンにおいてもっとも壊れたカードの1枚とされています。
このバージョンでは、《遵法長、バラル》が場にある状態で《魔力変》をプレイすることで大量のマナを生み出しつつデッキを掘り進むことが可能になり、「ストーム」を稼いだ後は《ぶどう弾》でゲームを終わらせます。また《時を解す者、テフェリー》を着地させられれば、コンボを安全に決めることができます。
過去のStormと異なり、《ドラゴンの怒りの媒介者》と《敏捷なこそ泥、ラガバン》という脅威が加わったことでコンボ以外でもゲームに勝てるようになりました。《表現の反復》もあるので息切れしにくく、Jeskaiテンポのように振舞いつつ隙を見てコンボを決めることができます。
Modern Showcase Challenge
「続唱」デッキが決勝戦をスプリット
2023年1月23日
- 1位 Cascade Crash
- 2位 Living End
- 3位 Golgari Yawgmoth
- 4位 Jeskai Breach
- 5位 Rakdos Grief
- 6位 Tron
- 7位 Izzet Ragavan
- 8位 Jeskai Breach
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先週末に開催された『Modern Showcase Challenge』は、Creativity ComboやHammer Timeといったデッキは見られず、Izzet RagavanやRakdos Griefといった《敏捷なこそ泥、ラガバン》デッキや「続唱」コンボ、Jeskai Breachなどが中心になっています。
決勝戦にまで勝ち残ったのはLiving EndとCascade Crashという2つの「続唱」デッキでした。
デッキ紹介
Tron
土地コンボデッキの代表格であるTronが入賞していました。
基本的な構成は変わらず、トロンランドを揃えて高コストのパワーカードで圧倒していくデッキで、フェアデッキに強いデッキになります。最近では『ダブルマスターズ』シリーズや『兄弟戦争』の旧枠版アーティファクトとして再録されたものが多いため、デッキを組むコストも比較的リーズナブルになっています。
デッキのほとんどのカードが2019年以前に登場したものでまとまっていますが、『兄弟戦争』からの新カードも見られます。
☆注目ポイント
『兄弟戦争』からの新戦力である《街並みの地ならし屋》がフィニッシャーとして採用されています。《絶え間ない飢餓、ウラモグ》よりも軽く、相手の脅威に触る手段が増えました。カウンターされても能力が誘発するので青いデッキに対しても有効です。また「蘇生」持ちなのでフェアデッキ相手にも効果的です。
《大いなる創造者、カーン》の新たなサーチ用のカードとして、サイドに《石の脳》が加わりました。起動にマナがかかるので速いコンボに対してはイマイチですが、《不屈の独創力》コンボなどとのマッチアップで重宝します。
各種装備品や《ウルザの物語》《血染めの月》など優秀な置物対策になる《機能不全ダニ》は、《大いなる創造者、カーン》でサーチすることもできますが、特定のデッキに対して普通にサイドインしても十分に使えるため複数枚サイドにとられています。
総括
テーブルトップ、オンラインの両方のイベント結果を見ていきましたが、やはり《敏捷なこそ泥、ラガバン》と《レンと六番》の強さが目立ちます。
特に《レンと六番》は多色コントロールなどフェアデッキだけに収まらず、コンボデッキでも活躍しています。自由度が高いモダンですが、大きな大会で勝つには《敏捷なこそ泥、ラガバン》や《レンと六番》という『モダンホライゾン』の強力なカードを対策する必要が出てきます。
今年もモダンのテーブルトップのイベントが充実しており、1月21日には『第22期モダン神挑戦者決定戦』が開催される予定なのでモダンファンの方はお見逃しなく。
以上、USA Modern Express vol.88でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!