はじめに
みなさんこんにちは。
先週末には『ファイレクシア:完全なる統一』のプレリリースがありましたね。公式のルール変更でプレリリース直後から新セットのカードが使えるようになったため、リリースを待たずにいち早く新カードを試すことができるようになりました。
さて、今回の連載では先週末にアメリカで開催されたSCG CON Indianapolisの入賞デッキを見ていきたいと思います。
SCG CON Modern 5K Indianapolis
『ファイレクシア:完全なる統一』のあのカードが大活躍
2023年2月3日
- 1位 4C Creativity
- 2位 Amulet Titan
- 3位 Izzet Ragavan
- 4位 4C Glimpse
- 5位 Amulet Titan
- 6位 Domain Zoo
- 7位 Amulet Titan
- 8位 Hammer Time
トップ8のデッキリストはこちら
先週末に開催されたSCG CON Indianapolisは『ファイレクシア:完全なる統一』入りの新環境で行われました。
ただプレリリース初日ということで『ファイレクシア:完全なる統一』のカードを中心としたデッキは見られませんでしたが、プレビュー段階から話題だった《マイコシンスの庭》をフル搭載したAmulet Titanが複数入賞しました。
デッキ紹介
Amulet Titan
現環境トップメタの一角であるIzzet Ragavanを苦手とし、使いこなすのには慣れが必要なデッキですが《精力の護符》を1ターン目に置けたときの爆発力は凄まじいものがあります。
土地コンボにとってやっかいな《血染めの月》を対処できる《耐え抜くもの、母聖樹》や、《原始のタイタン》以外の勝ち手段である《耕作する巨躯》《ウルザの物語》など比較的最近のセットからの恩恵も多く人気上昇中のデッキです。
☆注目ポイント
『ファイレクシア:完全なる統一』で登場した《マイコシンスの庭》は、強力なアーティファクトが多い下環境で活躍できそうなカードとしてプレビュー段階から注目を集めていました。モダンでは《精力の護符》をコピーすることで強力なマナ加速として機能し、最速で3ターン目に《原始のタイタン》を出してゲームを終わらせることも可能です。
枠を確保するために《ボジューカの沼》や《光輝の泉》などが不採用になっています。《ボジューカの沼》を削ったことでLiving Endなど墓地を使ったデッキとのマッチアップとの相性が悪化しているため、環境によって《マイコシンスの庭》の枚数を調整したほうが良さそうです。
《耐え抜くもの、母聖樹》が使えるとはいっても、《血染めの月》をどのように対策するかは永遠の課題になりますが、《精力の護符》をコピーできる《マイコシンスの庭》のおかげで《血染めの月》が着地する前に勝負を決めやすくなっています。
サイドの《四肢切断》はIzzet Ragavanのクロックなどを処理するのに使えます。《耐え抜くもの、母聖樹》で対処されない《月の大魔術師》を処理できるところも採用理由の一つです。
Domain Zoo
(※メインボード2枚不明)
基本土地タイプの種類数を参照にするメカニズムの「版図」が、『モダンホライゾン2』と『団結のドミナリア』から再登場したことで復権したDomain Zoo。
ショックランドに加えてトライランドの登場によってマナ基盤も強化されています。フェッチランドを利用することによって2ターン以内に5種類の基本土地タイプがそろうので《ドラコの末裔》を早い段階からプレイすることができ、《縄張り持ちのカヴー》は2マナパワー5という規格外のサイズとなり《部族の炎》も2マナ5点火力として機能します。
「続唱」でアドバンテージがとれたり、《縄張り持ちのカヴー》や《ドラコの末裔》といった火力スペルで対処が困難な脅威がそろっているため、Izzet Ragavanなどのフェアデッキに有利に立ち回ることができます。
☆注目ポイント
《縄張り持ちのカヴー》は主力の2マナ域のクリーチャーで、このデッキでは2マナ4/4~5/5になることが多いです。墓地のカードを追放する能力も「昂揚」や「探査」を妨害するのに役に立ちます。
《ドラコの末裔》は実質2マナ4/4飛行として扱えます。回避能力持ちのクロックで、環境の主要な除去である《虹色の終焉》に引っかからず、タフネス4なので火力除去にも耐性があります。
《部族の炎》は2マナで最大5点火力と驚異の打点を誇ります。《稲妻》と《稲妻のらせん》もあるので、バーンのようにライフを強引に削り切ることも可能です。
優秀な火力とクロックが数多く採用されているので、《断片無き工作員》と《血編み髪のエルフ》から飛び出すスペルも必然と強力になります。5/5や5点火力がめくれれば相手もたまったものじゃありません。
多色なことを活かしサイドにはさまざまな対策カードが積まれています。《碑出告が全てを貪る》は0-1マナのパーマネントを並べるHammer Timeに有効なだけでなく、墓地対策も兼ねるので多くのマッチアップで使えます。
新登場の《生ける治療、メリーラ》はクロックになりつつ自軍のパーマネントを除去などから守ることができます。インカーネーション・クリーチャーとのシナジーもあり、《激情》を再利用することで相手の場を更地にすることも可能です。
SCG CON Modern 10K Indianapolis
多種多様なBreachデッキ
2023年2月4日
- 1位 Living End
- 2位 Izzet Ragavan
- 3位 Izzet Breach
- 4位 Jeskai Breach
- 5位 Jeskai Breach
- 6位 Jund
- 7位 Amulet Titan
- 8位 Temur Breach
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金曜日に開催された5Kでも活躍していたAmulet Titanが、今大会でも結果を残していました。
プレイオフには3種類の《死の国からの脱出》デッキが入賞していたのが印象的です。特に3位入賞を果たしたIzzet Breachは、ほかのバージョンと異なりコンボではなくアドバンテージ源として使用していました。
デッキ紹介
Izzet Breach
Izzet Breachとされていますが、実際はコンボ要素は皆無でIzzet Ragavanのバリエーションの一つになります。
《帳簿裂き》の枠に《第三の道の偶像破壊者》が採用されており、《濁浪の執政》の枠が《死の国からの脱出》に差し替えられています。単体で強力なフィニッシャーでゲームを決めるIzzet Ragavanと異なり、横に並べつつ中盤以降は《死の国からの脱出》でアドバンテージを回収していきます。
☆注目ポイント
『兄弟戦争』がリリースされた当初は《若き紅蓮術士》のほぼ上位交換として話題になったものの、その後それほど使われることがなかった《第三の道の偶像破壊者》でしたが、今大会で結果を残したことで再評価されています。
クリーチャーでないスペルでもトークンを生成することができるので《ミシュラのガラクタ》と相性が良く、《死の国からの脱出》と組み合わせることで大量のトークンを並べることができます。
このデッキの《死の国からの脱出》はアドバンテージ源として運用されています。墓地を肥やして中盤以降にアドバンテージを稼ぐ動きは、あの《宝船の巡航》を彷彿とさせますね。
「諜報」持ちの《ドラゴンの怒りの媒介者》と組み合わせることでより効率的にアドバンテージを稼ぐことが可能で、《第三の道の偶像破壊者》が場にいる状態なら大量にトークンが並び、次のターンに相手に対策がなければゲームを終わらせることができます。
Temur Breach
先ほどは《死の国からの脱出》をアドバンテージ源にしたIzzet Breachを紹介しましたが、一般的にはこのようなコンボデッキで運用されることが多いです。
多くはジェスカイ型ですが、このデッキはティムール型になっており、《虹色の終焉》や《時を解す者、テフェリー》が使えなくなった代わりに、《レンと六番》や《耐え抜くもの、母聖樹》《夏の帳》が使えるようになりました。
☆注目ポイント
《機能不全ダニ》は《ウルザの物語》で持ってこれる《帰化》であり、《湖に潜む者、エムリー》で再利用できるのでHammer Timeとのマッチアップで活躍します。
《鏡割りの寓話》は《死の国からの脱出》などキーカードを探しつつ墓地を肥やすこともできるため重宝します。単純に《レンと六番》や《鏡割りの寓話》《表現の反復》でアドバンテージを稼げるので、ミッドレンジとしても十分に渡り合うことができる強みがあります。
サイドの《不屈の追跡者》は、アドバンテージも稼げる墓地に依存しない追加の勝ち手段になります。カウンター対策としてジェスカイ型には《時を解す者、テフェリー》がありましたが、こちらは1マナと軽い《夏の帳》にアクセスすることができます。《時を解す者、テフェリー》の方がフレキシブルですが、緑は《耐え抜くもの、母聖樹》や《機能不全ダニ》など優秀な置物対策が揃っています。
総括
今回の連載では新セットが使えるようになったテーブルトップのイベント結果を一通り見ていきましたが、《マイコシンスの庭》を得て強化されたAmulet Titanが《死の国からの脱出》デッキやIzzet Ragavan、Living Endなど既存のデッキとともに上位で多数見られました。
今週から『ファイレクシア:完全なる統一』がMOでも実装されるので、新カードを中心としたデッキを見るのが楽しみですね。
USA Modern Express vol.89は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!