赤単で《最後の審判》!?
みなさんこんにちは、晴れる屋メディアのいってつです。
『ファイレクシア:完全なる統一』がリリースされて1週間が経ちました。新環境を楽しんでいますか?
魅力的な統率者が多数登場し、新しくデッキを組んだ方も多いのではないでしょうか。
今回紹介するのは統率者カード枠からの新顔。ミラディンの有名人(?)です!
統率者の特徴
かつて「親和」デッキで採用されていた《チス=ゴリアの歯》、《チス=ゴリアの鱗》。そのご本人が登場しました!こんなにクールなドラゴンだったなんて!自身も親和(アーティファクト)を持っています。
「親和(アーティファクト)」
(この呪文を唱えるためのコストは、あなたがコントロールするアーティファクト1つにつき(1)少なくなる。)
さらに、《溶鉱炉の暴君、チス=ゴリア》が攻撃する度に、ライブラリー上5枚を追放し、その中からアーティファクト・呪文1枚を唱えることができます。そのアーティファクト・呪文も親和を持つため、あらかじめアーティファクトをばらまいておけば、0マナで唱えることだって可能になるのです!
ネックとなるのは、《溶鉱炉の暴君、チス=ゴリア》の能力で追放されたカードは「追放されっぱなし」になってしまうこと。この手の能力にしては珍しく、墓地に置かれたりライブラリーに戻りません。
せっかくコンボしようにも、大事なパーツがうっかり追放されては困ります。コンボはあきらめて、デカブツで蹂躙するデッキにするしかないのでしょうか。
デッキのコンセプト
いいえ、この問題は1枚の素晴らしいカードの発見でむしろメリットになりました。それが《命運の鏡》です。
追放領域に置かれているカードを最大7枚まで選び、新たなライブラリーにすることができるカードです。《最後の審判》に似ていますが、モダンやレガシーでの《タッサの神託者》コンボデッキでライブラリーを吹き飛ばす手段としての利用がほとんどでした。
しかし《溶鉱炉の暴君、チス=ゴリア》デッキでは追放したカードの中にコンボパーツがあればまさに《最後の審判》のように使えるのです。これ自身もアーティファクトなので《溶鉱炉の暴君、チス=ゴリア》の能力でめくれても問題ないというのがまた魅力的。
相性のいいカード
アーティファクト散らかし
《溶鉱炉の暴君、チス=ゴリア》を唱えるため、能力を強く使うためにアーティファクトを散らかしましょう。
アーティファクト・土地や《モックス・アンバー》など0マナのアーティファクトは置いてあるだけで1マナの加速となります。
《巻物棚》はフェッチランドと組み合わせてドロー・手札の質を良くするだけでなく、《溶鉱炉の暴君、チス=ゴリア》でめくれるカードを操作することで、効率よく重たいアーティファクトを唱えられます。
「宝物・トークン」と「親和」の作用を覚えておきましょう。
ふだん意識することはあまりありませんが、「呪文を唱える」とは、まず呪文を唱えることを宣言したあとに「総コスト」の決定と固定(親和によるコスト軽減や統率者税などのコスト追加を計算する)が行われ、そのあとにマナ能力を起動する機会を得て、コストを支払っていくという手順になっています。
仮に戦場に宝物・トークンが6つあるという状況で考えてみましょう。《溶鉱炉の暴君、チス=ゴリア》を唱えることを宣言し、コストを決定・固定します。6マナ軽減され、(赤)(赤)(赤)となりました。これはこれ以後変化しません。続いてマナ能力を起動する機会を得たので宝物・トークン3つを生け贄に捧げ、(赤)(赤)(赤)を作ります。戦場にあるアーティファクトの数が減ってしまいましたが、コストは増えることなく、そのまま《溶鉱炉の暴君、チス=ゴリア》のコストを払うことができます。
コピー
《溶鉱炉の暴君、チス=ゴリア》の能力を増やすことができるカード。
《ストリオン共鳴体》《石成エンジン》は誘発型能力をコピーし、《多勢の兜》は《溶鉱炉の暴君、チス=ゴリア》そのものを増やします。
《多勢の兜》の誘発を《ストリオン共鳴体》でコピーし始めると、5/5飛行が戦場に溢れかえります。もはやコンボせずともコンバットで勝利も目指せるでしょう。
絆魂
クリーチャーが少なく、かつ統率者が毎ターンアタックしてしまうため、無防備な状態が多くなってしまいます。
やっぱり筋肉。何点くらっても大丈夫。
《影槍》は《溶鉱炉の暴君、チス=ゴリア》のパワーを6にまで引き上げ、4回の攻撃でプレイヤー1人を倒せるようになるだけでなく、《溶鉱炉の暴君、チス=ゴリア》着地前のアーティファクトカウント稼ぎにも役立ちます。実質マナアーティファクト。
このデッキには《霊気貯蔵器》が採用されているので、絆魂することは「攻防一体」のアクションと言えます。半端な呪文を唱えるよりも積極的に絆魂するほうが勝利に近づけます。
クリーチャー
赤単で《最後の審判》コンボするぞと銘打っておいてなんですが、実態は重量級アーティファクト・カードで蹂躙することもしばしば。こうしたカードに除去を使わせることでコンボを成立させるための時間を稼ぐことができます。
《堅牢な玉座守り》は「統治者」によってドローさせてくれるクリーチャー。統率者が飛行を持ち、これ自身も警戒を持つため、統治者の奪い合いでは有利で、毎ターン追加のドローをくれます。
《砂岩の予言者》も手札が不足しがちな赤茶単に大量の手札を供給してくれます。
やはり筋肉。筋肉はすべてを解決する。
未来コマ
ライブラリー上からカードをプレイできるようになる《実験の狂乱》と《師範の占い独楽》が組み合わされば1マナでドローできるようになります。
そこに《雲の鍵》などのマナコストを軽減するカードがあればたちまち無限ドロー。
ドローのたびに呪文を唱えているので《霊気貯蔵器》で大量のライフを獲得してそのまま勝利できます。
《命運の鏡》
《命運の鏡》でコンボ勝利する場合も、基本的には「未来コマ」コンボで勝利します。
戦場に《師範の占い独楽》がある場合
《神秘の炉》
《雲の鍵》などマナコスト軽減カード
《霊気貯蔵器》
「0,1マナのアーティファクト」4枚《師範の占い独楽》でドロー。
《神秘の炉》を唱える。
トップから 《師範の占い独楽》を唱える。
コマの能力でドロー。
《霊気貯蔵器》を唱える。
トップからコマを唱える。コマの能力でドロー。
《雲の鍵》を唱える。
以下、ドローしてそのカードを唱える……といった手順で唱えていきます。すると《霊気貯蔵器》で回復できるのは99点。自分のライフが40点だとして合計139点。
めちゃくちゃマナいるし、そもそもたりねーじゃねーか!
そう、《霊気貯蔵器》で3人倒すにはもう一工夫が必要です。
手札から他にも呪文を唱える。あらかじめ《殴打頭蓋》や《影槍》でライフを出っ張らせておくことでライフを150点以上にする。《溶鉱炉の暴君、チス=ゴリア》で一人を殴り倒しておく。《ストリオン共鳴体》でライフ回復をコピーする。《石成エンジン》で50点砲をコピーする。
様々な方法で勝利条件を満たすことができ、実際は「なんやかんや足りる」ことが大半です。
コンボパーツが全てアーティファクトなので、《溶鉱炉の暴君、チス=ゴリア》の能力だけで揃ってしまうこともあります。
墓地に置かれてしまったコンボパーツは《大祖始の遺産》で追放することで《命運の鏡》で回収が可能。《命運の鏡》の能力をコピーするか《命運の鏡》自体をコピーすることで、「ライブラリーのカードを全て追放→追放されたカードから最大7枚を積み込む」ことも可能です。覚えておきましょう。
いってつのイチオシ!
クリーチャーにトランプルと+1/+1修正を与えつつ、戦闘ダメージを与えるとその点数分宝物・トークンが出ます。大量の宝物を作ることで何度除去されても簡単に統率者を唱えなおせるようになり、引いてしまった《彩色の宇宙儀》や《街並みの地ならし屋》も唱えやすくなります。
おわりに
高速でコンボ勝利するようなデッキではありませんが、赤茶単の割には骨太です。かっこいいドラゴンを統率者に据えつつ、「コンバット」「コンボ」の両面で攻めることができる、かなり楽しいデッキになりました。
《命運の鏡》という面白カードの存在もまた魅力ですね!ぜひ赤茶単でDDコンボを楽しんでください!
それではみなさん、統率者戦のテーブルでお会いしましょう。