Translated by Riku Endo
(掲載日 2022/02/16)
はじめに
やあみんな!
今週末のプロツアーで行われる『ファイレクシア:完全なる統一』リミテッドについての考察を届けるために戻って来たよ!新メカニズム、ベストカラー、各色のコモントップ5、アーキタイプについて話しながらこのセットの簡単なガイドをしていこうと思うから、楽しんでいってくれ!
メカニズム
まずは最初にエキサイティングな新しいメカニズムについて話していこうか。『ファイレクシア:完全なる統一』では、5つのメカニズムが存在している。
「毒性」/「毒カウンター」
「油カウンター」
「堕落」
「ミラディンのために!」
「増殖」(そう……昔の『ミラディンの傷跡』ブロックからのやつさ!)
「毒性」/「毒カウンター」
毒カウンターに関する能力は以前からあったけど、これまでのものと大きな違いはクリーチャーの毒性の値とパワーが必ずしも一致しない点だ。もし「毒性3」のクリーチャーが対戦相手に1点でも戦闘ダメージを与えれば、相手は3つの毒カウンターを得ることになる。だから相手に与えるダメージの量は関係なくて、大切なのはそのカードが持っている毒性の値なんだ!
「油カウンター」
この能力はとても分かりやすい。いくつかのアーティファクトやアーティファクトクリーチャーはX個の油カウンターが置かれた状態で戦場に出て、油カウンターを取り除くことで何らかの効果を得る。たとえば、《アクシオムの彫版師》は油カウンターが2つ置かれた状態で戦場に出て、カウンターを1つ取り除けば1枚ルーティングできる。
「堕落」
「堕落」は対戦相手が3つ以上の毒カウンターを持っているときに追加効果が得られる能力だ。「毒性」アーキタイプのドラフトやシールドのデッキに隠された二次的なシナジーだね。
「ミラディンのために!」
みんなは《殴打頭蓋》といった「生体武器」の装備品は覚えているかな?クリーチャーに装備された状態で戦場に出る装備は今ではたくさんあって、この能力はほとんどそれと同じだ。ただ、このセットでは常に2/2のクリーチャーと一緒に出てくる。
「増殖」
アドバンテージだらけの世界へようこそ!『ミラディンの傷跡』から再登場したこの能力を温かく迎えようじゃないか!「増殖」はこのフォーマットにとても合っている。ピックしたカードの質をより高めてくれるとてもシナジーのあるメカニズムで、毒カウンターを相手に与えてもいいし、自分のアーティファクトの油カウンターを増やしてさらなる”悪行”をしてもいい。
各色コモントップ5
メカニズムを分析したところで、各色のコモントップ5について話そう。
白
1位:《肉剥ぎの猛禽》
2位:《次元の撹乱》
3位:《聖堂の導き手》
4位:《這い回る合唱者》
5位:《教化案内人》
そうだな…まずは(個人的に思う)最強カラーから紹介していこう。ハッキリ言って不公平と言いたくなるほど、白はコモンの層が厚い。ここでは7枚のカードを紹介したけど、やろうと思えばまだ優秀なカードを挙げられる。たった2マナで除去できる《次元の撹乱》が2番手に甘んじて、「毒性」持ちの《肉剥ぎの猛禽》がトップになるぐらいだからね!
なぜ白が強いのかと考えてみると、このフォーマットがシナジーを重視する環境だからだと思う。「毒性」をテーマにするなら、白黒であれ白緑であれ白が良い味を出すんだ。トップコモン5枚のうち4枚はダニを生成するか「毒性」を持っているけど、それは20点ライフを削るよりも10個毒カウンターを与えるほうが楽だからだ。単純なことさ。
黒
1位:《苦痛ある選定》
2位:《腐り腹のネズミ》
3位:《伝染させる吸血者》
4位:《有刺巣主》
5位:《滅殺の眼差し》
黒にはこのフォーマットにおけるベストコモンが存在する。《苦痛ある選定》だ。「堕落」の追加効果がなかったとしてもかなり強力だ。序盤のクリーチャーをほとんど制圧できるからね。もし「堕落」を達成すれば、軽くなった《殺害》にもなる。とてもコモンの性能とは思えないよ!
残りの黒のカードは「毒性」を持つクリーチャーとプレインズウォーカーを処理できる《骨の粉砕》だ。黒と白は2色とも厚みがあってメインの色にしやすい。そうしたなら、もう1色はサポートする色を選べばいい。
赤
1位:《呪い金の斬撃》
2位:《電位の負荷》
3位:《焼炉の徘徊者》
4位:《アクシオムの彫版師》
5位:《逆棘の叩拳》
まず質の高い2枚の除去が1位と2位にランクインだ。この2枚の順番に疑問を思った人もいるかもしれないが、《呪い金の斬撃》を《電位の負荷》の上にした。このフォーマットでは「毒性」がもっとも良いアーキタイプの1つだと思っていて、1マナのショックが4点にもなりえるのはとんでもない。だから、少なくとも現段階では《呪い金の斬撃》がこのランクの勝者だ。もちろん、将来的には意見が変わる可能性はあるけどね。
3番目には、弱くなった《突進するモンストロサウルス》がいる。パワーが1下がり、トランプルも失ってしまったが、油カウンターシナジーに加えて後続のアタッカーに速攻を付与できる。このカードには本当に感心させられたよ。
トップ5を締めくくるのは最低2回ルーティングできる《アクシオムの彫版師》と、実質2マナ3/2の《逆棘の叩拳》だ。これら白・赤・黒が上位3色で、ほかのどのサポートカラーとも組み合わせることができる。
緑
1位:《伝染病のヴォラック》
2位:《無情な捕食》
3位:《油喰らいのトロール》
4位:《格子刃のカマキリ》
5位:《非道なティラナックス》
特別賞:《錆蔦の培養者》
緑部門でのトップは3マナで3/3のスタッツを持ち、出たときに土地1枚を手札に加えられる改良版《護民官の道探し》だ。もし土地を見つけられなくても、「増殖」できて毒や油カウンターを増やせる…みんな、信じられないだろ!
2位は古典的な緑の格闘除去だ。目新しさはないがいつだって手堅い。さっと3位を見てみよう…ちっちゃい《スラーグ牙》だ。言っておくがこのカードは素晴らしいよ!《油喰らいのトロール》は油カウンターでデッキを組む見返りの一つだ。俺は本当にこのスタッツが気に入っている。
最後の2つを取りまとめると、《格子刃のカマキリ》は攻撃するときに油カウンターを取り除くことで、少なくとも2ターンは実質5/4警戒として振る舞える。みんなの認識はわからないが、俺にとっては申し分ない性能だ。この中で最下位に相応しくないくらい強力なのが《非道なティラナックス》だ。「毒性」デッキにおいてこのカードはかなり奇襲性に長けていて、この良さは伝えきれないよ!
特別賞の《錆蔦の培養者》が初見ではアンプレイアブルだと思ったが、赤緑の油カウンターデッキにおける相性の良さに感心してここで取り上げた。
最後はこのセットにおいてはるかに弱い色で締めくくろう…それは青だ。
青
1位:《ギタクシア派の猛禽》
2位:《外科の頭蓋爆弾》
3位:《胆液の合成者》
4位:《実験的占い》
ええと…見ての通り《ギタクシア派の猛禽》は手堅くはあるけどたいしたものでもない。《排撃》に似た効果を持つ《外科の頭蓋爆弾》の後は、わくわくしない青いカードの深い洞穴が広がっている。
シナジーもなければ全色の中でも層がより薄くて、さらには多くの点でどの色とも相性が良くない。青に深く入るのは、ボムを引いたときだけにしておくことをオススメするよ。唯一ドラフトしていてとても好感触だった青のアーキタイプは青白アーティファクトだ。
お気に入りのアーキタイプ
全色のトップコモンが出そろったところで、記事の最初に述べた通り現段階のお気に入りのアーキタイプの紹介に移る。
1. /:毒カウンター
2. :油カウンター
3. :アーティファクト
4. :装備品
5. :増殖
この環境への第一印象をみんなにも気に入ってもらえたなら幸いだ。神話やレアがみんなの味方でありますように…もちろん自分にとっても。『プロツアー・ファイレクシア』に参加するからね!どうかみんな、俺に力を分けてくれ……ずっと「バブルマッチの男」でいるのはうんざりなんだ。
それではまた、ドラフト卓で会おう。
マルシオ・カルヴァリョ (Twitter)