ハビエル・ドミンゲス

世界王者やプロツアーチャンピオンといった数々のタイトルを総なめにしているハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguez選手。マジックの酸いも甘いも知り尽くした情熱の体現者は今大会へラクドスミッドレンジを持ち込んでいます。

特徴的なのはメインボードの《未認可霊柩車》、そしてサイドボードに3枚採用された《真っ白》。アブザンパルへリオン、イゼットフェニックスなどの墓地を活用したデッキを強く意識した構築となっています。

メインボードの《強迫》からもコンボやプレインズウォーカーを多用する非ミッドレンジの増加を予見していたようです。

佐藤 啓輔

佐藤 啓輔はミッドレンジの名手。ボード上の攻防に長けており、状況に応じて的確にカードをプレイし、硬軟織り交ぜてミッドレンジを自在に操ります。

同じラクドスミッドレンジながら佐藤選手はバランスを重視した構築となっています。メインボードは手札破壊と除去、リソース補充と揃っており、無駄がありません。ミッドレンジのお手本のような構築です。

サイドボードには苦手とするコンボ用に《強迫》が厚く取られています。先ほどのハビエル選手のデッキと比べると墓地対策が薄く、イゼットフェニックスなどは少数ないし勝ち上がってこないとの読んでいたようです。

マルシオ・カルヴァリョ

ドラフトキングマルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalhoはプロツアーのドラフトラウンドを赤白のテンポデッキで2-1と無難に折り返しています。パイオニアにはどのようなデッキを持ち込んでいるのでしょうか。

マルシオ選手が持ち込んだのはオーソドックスなラクドスサクリファイス。《大釜の使い魔》と《魔女のかまど》のドレインエンジンを軸に、相性の良いカードが散りばめられています。一時的にクリーチャーを奪う《初子さらい》は《魔女のかまど》や《命取りの論争》で処理すれば、ターン終了時に返す必要はありません。

メインボードは綺麗に4枚のカードが並び、そこへ《死の飢えのタイタン、クロクサ》と《踊り食い》といった局所的なカードが採用されています。

サイドボードにはピンポイントハンデスとエンチャント/アーティファクト対策がてんこ盛り。天敵《大いなる創造者、カーン》やロータスコンボ、《未認可霊柩車》や《安らかなる眠り》用のカードとなります。

ピオトル・グロゴゥスキ

構築フォーマットを得意とし、デッキの創造主であるピオトル・グロゴゥスキ/Piotr Glogowski選手。毎週のように目新しいデッキを構築し、見るものすべてを楽しませてくれますが、フィラデルフィアの地ではどんなデッキを選択したのでしょうか。

オーソドックスなアーキタイプながら、随所にピオトル選手らしさが散見されます。追加のサクリ台である《忘れられた神々の僧侶》は《波乱の悪魔》との相性抜群。小型クリーチャーを《波乱の悪魔》で処理し、残った大型を狙います。

《血の裏切り》を採用するなど緑単信心の増加を意識した構築といえますね。

マッティ・クイスマ

マジック界の知の巨人であるマッティ・クイスマ/Matti Kuisma選手はマジックを俯瞰でとらえ、言語化し、我々読者のもとへと届けてくれます。搭載思考機械はフィラデルフィアのメタゲームをどのように予想したのでしょうか。

何とマッティ選手が選択したのはセレズニアオーラ。突如として地域予選に登場したアーキタイプでしたが、目立った活躍もなく、なりを潜めていました。しかし、『ファイレクシア：完全なる統一』の加入により復活を遂げています。

《剃刀境の茂み》の加入により安定したマナ供給が実現しています。最序盤から展開していくこのデッキにとって追加のアンタップインである2色土地は喉から手が出るほど欲していたカードでした。

さらに《離反ダニ、スクレルヴ》を得たことでキークリーチャーである《皇の声、軽脚》や《照光の巨匠》を守りやすくなっています。これならラクドスの除去を気にせずにオーラを自由に貼れますね。